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第一章 目覚めた記憶
第33話 便利な魔道具
しおりを挟む「それにしてもこのギルドタグって便利ですわね」
冒険者ギルドに登録した際渡された親指程の大きさの薄くて平らなタグは、ネックレスにして身につけて居るのだが、なんと言うか仕様がゲームっぽいものだった。
「ええ。倒した魔物の数が自動登録されるという、高性能なものです。これも魔道具の一種だとか」
「凄いですわねぇ。こんなに小さいのに優秀なのね」
「そうですね。異空間収納のバックなるものもありますし、もう何でも有りって感じですよね」
「ふふふっ、まぁ便利ですからいいですけれど」
「あははっ、確かに」
ファンタジーでお馴染みの異空間収納のバック……通称マジックバック。科学が発展した前世にもなかった超便利グッズ。
バックの中は時間が止まっていて、生きているもの以外なら何でも入る。さすがに容量は製作者の能力によりばらつきがあるらしいが、小さな物でも荷馬車一台分は入るというのだから凄い。
公爵家だけあってヴィヴィアンの家はとってもお金持ちなので、アリス達が大容量のものを用意してくれていた。
勿論、一緒に行く他の三人も同様で、一つの冒険者パーティーで四つもマジックバッグがあるという、無駄に贅沢な事になっている。
「同じランクの冒険者たちに見つかったら、羨ましがられるどころか発狂される案件かもしれない……」
「そ、それはまずいですわっ」
「うん。こっそり隠し持つに限ります。下手に目をつけられて狙われては敵わないですし、バレないように最善を尽くしましょう」
「ええ、分かりました。慎重に扱いましょう」
そうこう話しているうちに、再びやってまいりました冒険者ギルド前。
シリルとリリアンヌは一足先に到着していたようで、待ち合わせ場所から小さく合図を送ってきた。
彼らもヴィヴィアン達と同じように普段なら絶対に着ない地味な服装で変装している。
これで全員がきちんと目立たない服装になっているので、群衆に紛れ込めると考えていたのだが……無理があったようだ。
本人たちは気づいていないが、下町にいるにしては上品な佇まいの美男美女すぎるのと、美しく洗練された所作までは隠しきれなかったのだ。ただ立っているだけで違いがわかってしまう。
場違い感を与えてしまっているのにメイド達は気づいたが、これはもう仕方なかった。一つ所に長く留まらないことをそれぞれの主人に約束して貰い、後は諦めてしっかり護衛することにした。
「お待たせいたしました」
「いや、こちらも先程来たばかりだ」
フレデリックとシリルが軽く挨拶を交わし、さっさと中に入る。
ギルドの建物は五階建てになっていて、一階の出入口の正面から左側までを大きく使い、受付カウンターが設けられていた。
そのため窓口も多く、大勢が一度に利用できることを考えた作りになっている。
左の壁際には依頼書が貼り出されたボードが冒険者のランク順に並んでいた。地方の冒険者ギルドに行くと、酒場や食堂なども併設されているようだが、ここは王都で地代も高いため余分な施設は入っていない。
二階は会議室と資料室、三階にはギルドマスターの執務室や応接間が、四階と五階は冒険者専用の宿泊施設といったふうに、狭い土地を有効に活用した無駄のない構造になっていた。
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