悪役令嬢だと気づいたので、破滅エンドの回避に入りたいと思います!

飛鳥井 真理

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第一章 目覚めた記憶

第58話 今後の野外活動について

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 と言うわけでその日の放課後、いつものように変装してから冒険者ギルドに向かった。
 二人共、身バレしないようにと、顔を隠せるフード付の外套もきちんと羽織ってきている。

 あそこなら今の時間、魔法学院の生徒も殆どいないだろうし、もしいたとしても依頼達成の報告する冒険者で込み合う時間帯なので、人混みに紛れてしまえるだろう。
 特権階級の子息が通う王立学園の生徒達が来ることもないはずなので、秘密の話をするにはうってつけの場所であった。



 本当なら、彼女たちが普段利用する王都のお店などでもよかったとは思う。個室もあり店員にも貴族対策の教育をしっかりしている分快適だし、一応、店側は秘密を守ってくれる。
 ただ、そこには当然のことながら他の貴族も来る訳で、ヒロイン側の者に見られて報告される可能性もないとは言えない。
 彼女はまだ、シリルやフレデリックの攻略を諦めていないみたいだし、彼らに関する情報を手に入れたいだろうから。

 何といってもヒューシャ男爵令嬢は、この世界に愛されるヒロインポジションにいるので、そんな偶然があって堪るかと言うような、都合のいいことも起こる可能性が否定出来ないのだ。少なくとも、このシナリオが終わるまでは油断しない方が出いいだろう。

 乙女ゲームのことを知らないシリルだが、ヒロイン側と極力接触したくないという気持ちは同じらしい。まず貴族が来ないであろう冒険者ギルドで、小会議室を借りるのがいいのではと判断してくれた事は、二人とっても都合がよかった。



 馬車の中で、彼から送られた手紙について話し合う。

 簡潔に、今後のことで話したいことができたとだけ、書かれてあったが……。

「……シリル様のお話って、何なんでしょうねぇ?」

「う~ん? 手紙では詳しく説明出来ない、直接伝えたいということですし、重要なお話なんでしょうけれど……」

「そうですわね。でも仕方ありませんわ。というのは多分、冒険者活動のことについてでしょうし、ね」 

 手紙だと、使用人たちから親に報告されることもないとは言えない。側仕えの者たちも雇い主には逆らえないし、内容的に漏洩が心配なものなのかもしれない。いずれにせよ……。

「貴族らしくない話題になる……ですか」

「ええ。あまり大っぴらに出来ませんもの」

「ははっ、そうですね。自らが冒険者になって鍛えるということ自体、最初に父に話した時は正気を疑われましたよ」

わたくしもですわ。信じられないという顔をされましたもの……」

 ヴィヴィアンも、父親から許可を得る為に費やした労力を思い出してため息をついた。



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