71 / 89
第一章 目覚めた記憶
第71話 妄想が止まらない!
しおりを挟む大人気だった乙女ゲーム……『恋の華が咲くまで~学園編~』、通称コイサクは全年齢対象のゲームで、いろんな攻略対象と様々なシチュエーションで恋人になるまでの過程を楽しむってやつだった。
今のわたしの年齢は(中の人の年齢はともかく)十三歳。
十八禁ばりの、いやん~ばかん~うふんな展開にはならないはず……なんだけど。
でも、ね? 今は未成年だし無理だけど、この世界では十五歳で成人だし、せっかく可愛く生まれ変わったんだからもっと楽しみたいじゃん?
例えば夕暮れ時の教室で攻略対象のイケメンと二人きりになっちゃって、甘い雰囲気になって。
そ、そ、そのまま勢いで流されちゃったりする事なんかも……あったりなんかしちゃうかもしれないじゃんっ、ね!?
「……キャッ、やだぁ。どうしよっ、もしそんなことになったら……」
思わず胸がキュンキュンしてときめきが振り切れそうになったけど。
真剣に悩んで……いやいやいや、ダメじゃん自分って気がついた。
だってわたしはもう、この世界のヒロインなんだから。
きちんと愛されキャラを演じなきゃっ。
ゲームのヒロインはそれはもう純真無垢で天真爛漫な女の子、そんな俗っぽいこと考えてなさそうなキラキラ具合だった。
そうだそうだ、浮かれ過ぎてストーリーから逸脱しないように気をつけなきゃいけないんだった。
「はぁ、好きすぎてまた妄想が暴走しちゃった……」
次々に妄想が広がって、ついポロッと口からこぼれちゃうんだよね。正気に返ったとき、気恥ずかしくて身悶えそうになるくせについやっちゃう。
ちょっと反省……と言うかこのところテンション上がりっぱなしで毎日反省している気がする……気をつけなきゃ……ショボン。
「よしっ、まずはヒロインになりきろう! そして頑張ってイケメン達を攻略して、今世こそ充実した学園生活を送るぞ――!!」
その為にはまず、攻略の予習をしなきゃね!
――と、いうわけでっ、いよいよ始まりました!
わたし、ルチル・ヒューシャは今、乙女ゲーム『恋の華が咲くまで~学園編~』の舞台、王立学園の入園式が行われる講堂前に来ております!
攻略対象との初顔合わせですよ――!
はい拍手っ、パチパチパチパチパチパチ――――!!!
オホホホホッ、いよいよ生で攻略対象のイケメン達に会うのですわよ……超ドキドキしてるしっ。
ではではではっ、実地で前世の記憶との擦り合わせといこうかな、うん。
――えっと、まずは主要なメンバー五人を年齢順に思い並べてみると……。
フレデリック・サクス伯爵令息(十三歳)
シリル・レジーナ侯爵子息(十四歳)
クリストファー・ランドル第二王子(十五歳)
ハロルド・バイロン公爵令息(十六歳)
ロイド・リーン子爵令息(十七歳)
となって、この中で今日会えるのは三人だけ。
フレデリック様とシリル様、そしてみんなの王子様、クリストファー様です!
0
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?
藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。
目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。
前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。
前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない!
そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした
珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。
色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。
バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。
※全4話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる