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第25話 何だかんだ上手くいきそうな二人
しおりを挟むリンドヴァルは、王家が持つ直轄地の一つで国内でも比較的気候が穏やかな土地だ。
そのため古くから、保養所や貴族たちの別荘地として有名で、勿論、王家の離宮もあった。
これといった産業は無いので税収はウィグモアほど期待できないものの、避暑地として賑わう夏の間は社交が盛んで、諸外国からの訪問客も多く活気が溢れる町になる。
そして何より重要なのは、公爵家の領地とも一部、隣接しているということ。
ウィグモアとリンドヴァルは地理的には離れているが、これなら問題ないだろう。
色々と手も口も出しやすいし、工作もしやすい。
「……と言う、お父様のご意見なのね?」
「そうですわ」
実はもう、テコ入れの方法も目処がたっているらしく、ルフィルオーネ公爵は張り切っていると教えられた。
では初めから、わたくしの意見など聞く気はなかったのではないですかと剥れるイリーナ。
しかし、長年仕えていた侍女は小さな変化を見逃さなかった。
不服ですという表情をしながらも、イリーナの口角が少し上がっていたことに……。
(わたくし、お父様とお母様に愛されてますのね……)
公爵夫妻の真意を瞬時に見抜いた彼女は、才女と名高い公爵令嬢らしい……さすがだった。
徐々に気持ちが落ち着いてきたのを見て取った侍女は、具体的な計画を伝えると……。
聞かされたイリーナは、そういうことならと納得せざるを得なかった。
その計画とは、王子の唯一の才能である「音楽」という分野を生かした街づくりをすること。
楽器製造などの産業を興し、音楽学校やオペラハウスが立ち並ぶ、いずれはこの国一番の音楽の町へと成長させる。
広告塔として、宣伝効果抜群のアレクシス王子がいるのだ。
他のことはダメダメでも、音楽だけは天賦の才がある彼が先頭に立てばきっと成功する。何しろ、周りにはイリーナをはじめとした優秀な人材が揃っているのだ。
王家も全面的に協力するだろうし、第三王子の才能惚れ込んだ支持者も多い。
支援金などあっという間に集まるはずだ。どうとでもなる。
「分かりましたわ。ではそのようにお願いします、とお父様にお伝えして」
「はい。畏まりました」
頭を下げて礼をとりながら、何だかんだいって、愛するお嬢様の未来が上手くいきそうな予感に、少しだけホッとした侍女なのだった。
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