【完結】救済の魔女として魔王様に召喚されました

飛鳥井 真理

文字の大きさ
8 / 10

第8話 幻獣をプレゼントされました

しおりを挟む
 

 自宅で犬を飼いたいという紫音の願いに寄り添う形で、魔王陛下が連れてきたのは、カーバンクルという幻獣の仔だった。

 好奇心いっぱいにクリクリとよく動く黒い瞳と額に赤く輝く宝石、フサフサと感情に任せて素直に揺れる長めの尻尾……。

 モフモフ成分高めで愛らしい外見を持ったカーバンクルの兄弟は、一方的に異界に召喚され魔族を救う役割を負わされた少女の心をきっと慰めてくれるはず。

 そんな思いを込めて、ちょうど宰相のところで生まれたばかりの仔を貰って来てくれたらしい。

 大きさとしてはリス程しかなく紫音の肩に乗れるほど小さい。だが、彼らは魔法をよく操る種族のため、成長すれば立派に護衛も務められる。



 魔王に抱き抱えられて大人しくしているモフモフ兄弟を、彼女にソッと手渡した。

「ほら、シオン」

「う、うん。……うわぁっ、可愛い~!!」

「ふふっ、気に入ってもらえたみたいだね」

「ホンマおおきにっ。めちゃ嬉しいわぁ」

 早速モフりながら、ニコニコとお礼をいう紫音。

 カーバンクルの兄弟も、彼女の匂いを嗅いだり頬っぺたを舐めたりと新しい主人に興味津々だ。額にある宝石も、彼らの感情に合わせるかのようにピカピカ点滅している。少し興奮しているようだ。

「どういたしまして。シオンが教えてくれたイヌは、残念ながらこの世界にはいないけど、でもこのカーバンクルは、性格が穏和で主人に忠実、人懐っこくて一緒に遊ぶのが大好きなんだ。だからちょうどいいんじゃないかと思ってね」

「何やホンマに外見以外は犬とよう似てはるんやなぁ」

「うん、そうだね。それとカーバンクルって、きちんと絆を結ぶことが出来れば声が聞こえるようになるから」

「声が聞こえる? それって話せるようになるんかいな」

「う~ん、ちょっと違うかな。心が繋がって相手の考えていることが読み取れるようになるってことだよ」

「何やて!? それってテレパシーみたいなもんやんっ、最高かっ。ウチ、頑張ってこの仔らと信頼関係作るわ」

「うん、それがいいよ。ほら、まずはこれを上げてごらん」

 そう言って魔王は、いくつか美味しそうな果物を差し出した。

「カーバンクルの好物なんだ」

「うん、おおきに」

 手のひらに乗せて、驚かさないようにそっと二匹の口元に持っていく。

「きゅい?」

「きゅう……きゅ」

「……んきゅ……!」

 フンフンと匂いを嗅いでから夢中でがっつき、嬉しそうに鳴き声をあげている。ふさふさの尻尾も機嫌よくパタパタと揺れていた。

「ふわわわ、めっちゃ可愛い」

 嬉しそうに笑う紫音とモフモフした幻獣の組み合わせは可愛いに過ぎる。

「はあぁ癒されるぅ。召喚してよかった……」

「ん? 何か言うた?」

「ううん、なんでもないよ。あ、そうだっ。裏の森にもいいモフモフがいるんだよ。よかったら今度、見に行かない?」

「是非お願いします!」

「ふふっ、了解っ」

 期待で思わず食い気味に返事をしてしまった紫音に、近いうちに必ず時間を作るよと、魔王陛下は約束してくれた。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

処理中です...