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第9話 ようやく戦が終わりました
しおりを挟むまだまだ戦時中ではあったが、魔族達にとっては久しぶりに心地好く、力強い大気が満ちてきつつあった。
朝夕欠かさず行われる救済の魔女による祈りの儀式により、魔神の加護が戦士達だけでなく、次第に魔大陸中の魔属性を持つ生き物たちに行き渡るようになったためだ。
人間族との戦いにも優位に立てる機会が増え、同じモフモフ仲間の魔王陛下と共に、裏の森に遊びに行く時間も取れるようになってきた。
ユニコーンの群れと戯れたり、きゅいきゅい鳴いてなついてくるモフ可愛い小さな竜、ミニドラを構ったりして心安らぐ楽しい一時を過ごす。
時にはロック鳥に乗って、遠くまで連れ出してくれる事もあった。
初めての外出は勿論、紫音にとってモフモフの王様であるフェンリル達の住む森である。
魔王陛下直々のお越しとあって一族総出の出迎えを受け、心行くまでモフモフの海に埋もれて大満足の二人。
「はぁぁ、ウチもうここに住みたい」
「それもいいねぇ」
「いやいや全然よくないですから。ほら、もういいでしょう? そろそろ帰りますよ」
デレデレとだらしなく蕩ろけた顔をする二人に、苦労性の魔導師長が冷たく言い放つ。
「「えええぇぇぇ~!?」」
それでも中々帰りたがらない二人を説得し、最終的には群れの中から若い個体が一体、一緒に来てくれることで落ち着いた。もちろん無理矢理ではなく、本人(?)の了解を取った上でだが。
念願だったフェンリルを手元に置くことに成功した二人は、至福の時間を与えてくれたフェンリル達に感謝し、再訪を固く約束してから大人しく城へと帰っていったのだった。
――この世界に救済の魔女として召喚されてから二年……。
魔王や魔導師長の他にも、魔王城で親しくしていた魔族達が次々と戦地に赴くのを見送る日々が続いていた。
心配ではあったが、彼女自身には戦闘能力がないので一緒に行く事は出来ない。
その代わり、少しでも聖女の祈りに対抗しようと、以前にも増して熱心に魔神に仕える神官達と共に祈りを捧げる日々が続く。
――やがて、そうした皆の努力が実る日が来た。
ついに、魔大陸から侵略者達を追い払うことに成功したのである。
人間族は、最後には聖女まで前最線に引っ張り出してきた上で総攻撃を仕掛けてきたが、大した結果は得られなかった。
この大陸では既に魔神の力の方が強く、対極にある聖属性を持つものが多い人間族では思うような加護が受けられなかった為だ。
侵略戦争に敗れた人間族の支配者たちは、今度は勇者や聖女に戦の責任を押し付け処罰しようと企み、これに反発する勢力との泥沼の争いに発展しているらしい。
「うわぁ、怖っ。人間さん側に召喚されんでホンマよかったわぁ」
「まあ、身内同士で争っている間は平和が続くでしょう。全く迷惑な話です」
「……やれやれだね」
こうして、救済の魔女として魔王陛下に召喚された紫音は、予見通り侵略の脅威から魔族を救ったのだった。
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