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第一章 辺境の町
第175話 見つからない……
しおりを挟む彼女にとって、弱体化していないゴブリンとの戦闘は初めてなはずだけど、臆することなく飛び込んでいくっ。
ほぼ同時に四体と対峙し、振り回された棍棒を避けきれず、バシッ音を立てて鎧に当たったっ。
痛そうな響きにハラハラするけど、本人はまるで攻撃を受けてないかのように動きを止めない。
この混戦状態のまま魔法を使うと、間違ってリノに当たるかもしれないと躊躇した。
そこで、わざと大きな音をたてて樹から飛び降り、ゴブリンの注意を引いてみた。
即座に反応して、一体がこっちに向かってくるっ。よしっ、引っ掛かった! 単純で助かったよ。
すかさず火魔法の『火弾』を放って排除する……これであと三体。
リノにダメージを与えられても尚、敵意を剥き出しに反撃している個体に後ろから近づくと、気付かれる前に万能ナイフで仕留める。
その直後、彼女が二体目を倒したので、全てを討伐し終える事が出来た。
で、怪我の具合を確かめようとしたんだけど、かすり傷程度で大きな怪我もなくちょっと痛いだけです、という。
それでもキズ口から血が滲んでいて痛そうなので、聖魔法の『治療』を掛けておいた。
私も含めて、今回初めてゴブリンの攻撃を直接受けた訳だけど、奴らは思ったよりも腕力がなかった。想定より弱くて助かったよ……。
武器も錆びたナイフと棍棒という粗末なものだったし、鎧の金属部分が上手く衝撃を吸収してくれた事もあって大事に至らなかったのもよかった。
やっぱり装備って大事だね……あの時、有り金叩いて手に入れられる革鎧の中で一番のを買っといてよかったよ。
私達が強くなったのか装備が相応のものだったのか定かじゃないけど、ゴブリンの攻撃を直接受けても防げると分かったのは収穫かな。
私は魔法攻撃だけで倒していたから、そこら辺の情報が不明だったんだよね。これなら、もう少し積極的に攻撃しても大丈夫かも?
それからもよく魔物に遭遇するので、『索敵』で少しは避けて休憩も入れながら、サクサク討伐していく。
余裕がある時には、二人で一回の戦闘時間を出来るだけ短く済むように考えて動いたりもした。
森の中をあちこち移動し、目的の迷いの魔樹を探していったんだけど……。
「う~ん。結構見つからないもんだね」
「本当に。エドさんから聞いて、一番可能性が高い所を探しているはずなんですけどね?」
「そうだよね。高い樹の上からスキルを使って視てもダメだったし……」
「北の森は広大ですし、この中から発見するのはやっぱり厳しいですよね。時間が掛かりそうです」
歩きながら、おやつに持ってきた木の実入りのクッキーをモグモグ食べていたリノも、ため息をついた。
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