92 / 154
第94話竜人族の王国編〜薬膳と龍の涙〜
しおりを挟む
「――ふぅぅぅ、やっぱり空を飛ぶのって、慣れないわね……」
美月は、竜人族の飛竜運搬部隊の背に揺られながら、しっかりと腰を下ろしていた。
一方、隣で風を切って笑顔を浮かべているのは、クラリーチェ。
「すっごいですわ~! これぞ“異世界旅行”ですわね! わたくし、もう少しで“はじめての空の詩”が完成しそうですの!」
「詩の構成とか今考えなくていいから! 落ちないようにしてクラリーチェ!!」
「うふふ、美月さま、安心してくださいまし。私がしっかりと捕まっておりますから!」
「それが一番不安なのよおおおお!」
後方では、リリアーナが揺れにも動じず涼しい顔。
「まったく……。お二人とも、我らは外交代表なのですから、もう少し風格というものを……」
「――わおーん!!(ボク、風になるっ!)」
「……チグーだけ風に乗りすぎですわ!!」
魔獣・ちびグリズリーのチグーは、まるで空中サーフィンでもしているかのように滑空し、竜人族の飛竜たちと一緒に羽ばたいていた。
________________________________________
◆王都ル=ディルア、到着!
飛竜に乗って到着したのは、天空の渓谷に築かれた美しい都――ル=ディルア。
高地の冷気と、湧き水の霧が常に立ち込める幻想的な空間だ。
出迎えに現れたのは、竜人族の王族の一人、レオニス=ティア=ディルア王子。
「ようこそ、“ラーメンの騎士たち”よ。我が国に、ようこそ」
「いえ、騎士ってわけじゃ……って、あれ? 王子、もしかして以前に会ったこと……?」
「ふふ、覚えておられぬか? 以前、世界平和サミットであなたのラーメンを口にした一人です」
「えっ、あのときの!?」
「“ミヅキ白湯、天草の煌めきラーメン”――あれを食してからというもの、我が龍族の味覚も目覚めた。我らの民のために、ぜひ、薬膳ラーメンを伝授していただきたい」
________________________________________
◆竜人の胃袋と、涙の理由
「うぅ……おなか……ぐぅぅぅ……」
「クラリーチェ!? まさか……高度差で胃が? いや、空飛んでるとき元気だったじゃん!」
「違うんですの、美月さま……竜人族のおもてなし料理、全部……辛かったんですのぉおおおお!」
「唐辛子!山椒!謎のスパイス!もはや罰ゲームですわ!!」
「それが“竜の魂”なのだ。龍の力は、灼熱に宿る。我らの料理もまた、心火を映す」
「いや、せめて冷水つけて……」
「おぉ、なるほど、“冷たいラーメン”とやらも存在するのだな?」
「うん、辛い物食べたら冷やし中華が恋しくなるんだよ! ってことで、ちょっと厨房借ります!」
________________________________________
◆奇跡のラーメン、竜の涙を呼ぶ
竜人の王に捧げるため、美月は渓谷に湧く霊水と、伝統の竜鶏(リュウケイ)のささみ、そしてミヅキ香草でつくった薬膳スープを開発。そこに、もちもちとした“氷雨麺”を合わせた――
『龍息の冷香つけ麺』
「――これは……まるで、炎の後に訪れる、癒しの風だ……」
目を閉じ、麺を口に運んだ竜王は、一筋の涙を流した。
「この味は……我が亡き母が、かつて我らのために、苦しむ者のために作ったという“癒しの薬膳粥”……それを、彷彿とさせる……」
「……うわぁ、そんな、大切な思い出と重ねてもらえるなんて……」
「ありがとう、美月殿。我が国にとって、あなたは、もはや“風の導き手”だ」
美月は、竜人族の飛竜運搬部隊の背に揺られながら、しっかりと腰を下ろしていた。
一方、隣で風を切って笑顔を浮かべているのは、クラリーチェ。
「すっごいですわ~! これぞ“異世界旅行”ですわね! わたくし、もう少しで“はじめての空の詩”が完成しそうですの!」
「詩の構成とか今考えなくていいから! 落ちないようにしてクラリーチェ!!」
「うふふ、美月さま、安心してくださいまし。私がしっかりと捕まっておりますから!」
「それが一番不安なのよおおおお!」
後方では、リリアーナが揺れにも動じず涼しい顔。
「まったく……。お二人とも、我らは外交代表なのですから、もう少し風格というものを……」
「――わおーん!!(ボク、風になるっ!)」
「……チグーだけ風に乗りすぎですわ!!」
魔獣・ちびグリズリーのチグーは、まるで空中サーフィンでもしているかのように滑空し、竜人族の飛竜たちと一緒に羽ばたいていた。
________________________________________
◆王都ル=ディルア、到着!
飛竜に乗って到着したのは、天空の渓谷に築かれた美しい都――ル=ディルア。
高地の冷気と、湧き水の霧が常に立ち込める幻想的な空間だ。
出迎えに現れたのは、竜人族の王族の一人、レオニス=ティア=ディルア王子。
「ようこそ、“ラーメンの騎士たち”よ。我が国に、ようこそ」
「いえ、騎士ってわけじゃ……って、あれ? 王子、もしかして以前に会ったこと……?」
「ふふ、覚えておられぬか? 以前、世界平和サミットであなたのラーメンを口にした一人です」
「えっ、あのときの!?」
「“ミヅキ白湯、天草の煌めきラーメン”――あれを食してからというもの、我が龍族の味覚も目覚めた。我らの民のために、ぜひ、薬膳ラーメンを伝授していただきたい」
________________________________________
◆竜人の胃袋と、涙の理由
「うぅ……おなか……ぐぅぅぅ……」
「クラリーチェ!? まさか……高度差で胃が? いや、空飛んでるとき元気だったじゃん!」
「違うんですの、美月さま……竜人族のおもてなし料理、全部……辛かったんですのぉおおおお!」
「唐辛子!山椒!謎のスパイス!もはや罰ゲームですわ!!」
「それが“竜の魂”なのだ。龍の力は、灼熱に宿る。我らの料理もまた、心火を映す」
「いや、せめて冷水つけて……」
「おぉ、なるほど、“冷たいラーメン”とやらも存在するのだな?」
「うん、辛い物食べたら冷やし中華が恋しくなるんだよ! ってことで、ちょっと厨房借ります!」
________________________________________
◆奇跡のラーメン、竜の涙を呼ぶ
竜人の王に捧げるため、美月は渓谷に湧く霊水と、伝統の竜鶏(リュウケイ)のささみ、そしてミヅキ香草でつくった薬膳スープを開発。そこに、もちもちとした“氷雨麺”を合わせた――
『龍息の冷香つけ麺』
「――これは……まるで、炎の後に訪れる、癒しの風だ……」
目を閉じ、麺を口に運んだ竜王は、一筋の涙を流した。
「この味は……我が亡き母が、かつて我らのために、苦しむ者のために作ったという“癒しの薬膳粥”……それを、彷彿とさせる……」
「……うわぁ、そんな、大切な思い出と重ねてもらえるなんて……」
「ありがとう、美月殿。我が国にとって、あなたは、もはや“風の導き手”だ」
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
転生幼子は生きのびたい
えぞぎんぎつね
ファンタジー
大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。
だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。
神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。
たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。
一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。
※ネオページ、カクヨムにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる