ラーメン屋の看板娘、異世界へ。健康ラーメンと鑑定スキルで成り上がります!

谷川 雅

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第94話竜人族の王国編〜薬膳と龍の涙〜

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「――ふぅぅぅ、やっぱり空を飛ぶのって、慣れないわね……」
美月は、竜人族の飛竜運搬部隊の背に揺られながら、しっかりと腰を下ろしていた。
一方、隣で風を切って笑顔を浮かべているのは、クラリーチェ。
「すっごいですわ~! これぞ“異世界旅行”ですわね! わたくし、もう少しで“はじめての空の詩”が完成しそうですの!」
「詩の構成とか今考えなくていいから! 落ちないようにしてクラリーチェ!!」
「うふふ、美月さま、安心してくださいまし。私がしっかりと捕まっておりますから!」
「それが一番不安なのよおおおお!」
後方では、リリアーナが揺れにも動じず涼しい顔。
「まったく……。お二人とも、我らは外交代表なのですから、もう少し風格というものを……」
「――わおーん!!(ボク、風になるっ!)」
「……チグーだけ風に乗りすぎですわ!!」
魔獣・ちびグリズリーのチグーは、まるで空中サーフィンでもしているかのように滑空し、竜人族の飛竜たちと一緒に羽ばたいていた。
________________________________________
◆王都ル=ディルア、到着!
飛竜に乗って到着したのは、天空の渓谷に築かれた美しい都――ル=ディルア。
高地の冷気と、湧き水の霧が常に立ち込める幻想的な空間だ。
出迎えに現れたのは、竜人族の王族の一人、レオニス=ティア=ディルア王子。
「ようこそ、“ラーメンの騎士たち”よ。我が国に、ようこそ」
「いえ、騎士ってわけじゃ……って、あれ? 王子、もしかして以前に会ったこと……?」
「ふふ、覚えておられぬか? 以前、世界平和サミットであなたのラーメンを口にした一人です」
「えっ、あのときの!?」
「“ミヅキ白湯、天草の煌めきラーメン”――あれを食してからというもの、我が龍族の味覚も目覚めた。我らの民のために、ぜひ、薬膳ラーメンを伝授していただきたい」
________________________________________
◆竜人の胃袋と、涙の理由
「うぅ……おなか……ぐぅぅぅ……」
「クラリーチェ!? まさか……高度差で胃が? いや、空飛んでるとき元気だったじゃん!」
「違うんですの、美月さま……竜人族のおもてなし料理、全部……辛かったんですのぉおおおお!」
「唐辛子!山椒!謎のスパイス!もはや罰ゲームですわ!!」
「それが“竜の魂”なのだ。龍の力は、灼熱に宿る。我らの料理もまた、心火を映す」
「いや、せめて冷水つけて……」
「おぉ、なるほど、“冷たいラーメン”とやらも存在するのだな?」
「うん、辛い物食べたら冷やし中華が恋しくなるんだよ! ってことで、ちょっと厨房借ります!」
________________________________________
◆奇跡のラーメン、竜の涙を呼ぶ
竜人の王に捧げるため、美月は渓谷に湧く霊水と、伝統の竜鶏(リュウケイ)のささみ、そしてミヅキ香草でつくった薬膳スープを開発。そこに、もちもちとした“氷雨麺”を合わせた――
『龍息の冷香つけ麺』
「――これは……まるで、炎の後に訪れる、癒しの風だ……」
目を閉じ、麺を口に運んだ竜王は、一筋の涙を流した。
「この味は……我が亡き母が、かつて我らのために、苦しむ者のために作ったという“癒しの薬膳粥”……それを、彷彿とさせる……」
「……うわぁ、そんな、大切な思い出と重ねてもらえるなんて……」
「ありがとう、美月殿。我が国にとって、あなたは、もはや“風の導き手”だ」
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