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第98話三人で過ごす休日作戦!〜美月様と、のんびりがしたい〜
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王都・美月邸の応接室。
今日はなぜか、リリアーナとクラリーチェがやけに落ち着きがない。
「ねえ……なんか、ふたりともソワソワしてる?」
ソファに座る美月が紅茶を口にしながらそう言うと、リリアーナとクラリーチェは目を合わせ――同時に立ち上がった。
「――美月様ッ! 休日のお誘いですのッ!」
「ぴったり! 心も身体もリラックスする! 三人で過ごす! 超のんびり休日ですッ!」
「……なんで語尾がそんなに勢いあるの?」
「美月様が、最近ずっとおひとりで休日を過ごされているのが、少し、少しだけ寂しかったのですわ……!」
「そ、そう! 私たち、美月様とおでかけしたいの!」
「べっ、べつに寂しがってたわけじゃないですのよ!? たまたま時間が空いていただけで!」
「えっ、リリアーナさま、壁に向かって“今日もおひとり……今日もおひとり……”って呟いてましたよ?」
「言わなくてよろしい!!!」
________________________________________
◆休日計画・全容!
「でねでね、美月様、これが今回の『休日作戦・極秘日程』ですっ」
と、クラリーチェが渡してきたのは、リボン付きの分厚いスケジュール帳。手書きで「やさしい休日🌸」と表紙にある。
「え……えーと……朝は? ぬるめのお湯の足湯から?」
「そうですの。足元からあたたまって、自律神経がととのいますわ!」
「その後は……“焼きたてパンと旅するピクニック”?」
「屋敷のお庭に敷物を敷いて、お昼寝と読書を交互にするだけですの! 途中、チグーも交えて“くんくんクイズ”大会も予定していますわよ!」
「そして最後は“湯上りフルーツ牛乳選手権”!」
「何それ?」
「わたくしが桃、クラリーチェがバナナ、美月様はイチゴ派だと思って、冷蔵庫に準備済みですの」
「なんで好みまで予想済みなの!?」
「だって、美月様ですから……!」
________________________________________
◆お誘い、成功なるか!?
美月はしばし呆気にとられていたが、ふたりの期待に満ちた視線に、ふっと小さく笑った。
「……ふたりとも、本当にありがとね。たまには、誰かと過ごす休日も、悪くないかも」
「やったーっ!!」
「きゃー! クラリーチェ、抱きつかないで! 美月様に抱きつきなさい!」
「えっ? わたしですか!?」
「違う違う違う! ふたりとも落ち着いてっ」
「うう、嬉しすぎてもう……!」
________________________________________
◆そして、休日当日。
三人の休日は――
あたたかな紅茶に始まり、ふわふわパンと笑顔のピクニック、そして湯気たつ足湯とチグーの“もふクイズ”に癒され、笑いが絶えない一日となった。
その夜、美月はぽつりと呟いた。
「……一人の時間も好きだけど、こうやって誰かと過ごすのも、やっぱり、いいね」
クラリーチェは星空を見上げながら、ほわんと笑う。
「私たちにとっては、何気ない一日も……美月様といれば、全部特別ですわ」
リリアーナも優しく微笑んだ。
「美月様の笑顔が、わたくしたちの、最高の休日ですのよ」
今日はなぜか、リリアーナとクラリーチェがやけに落ち着きがない。
「ねえ……なんか、ふたりともソワソワしてる?」
ソファに座る美月が紅茶を口にしながらそう言うと、リリアーナとクラリーチェは目を合わせ――同時に立ち上がった。
「――美月様ッ! 休日のお誘いですのッ!」
「ぴったり! 心も身体もリラックスする! 三人で過ごす! 超のんびり休日ですッ!」
「……なんで語尾がそんなに勢いあるの?」
「美月様が、最近ずっとおひとりで休日を過ごされているのが、少し、少しだけ寂しかったのですわ……!」
「そ、そう! 私たち、美月様とおでかけしたいの!」
「べっ、べつに寂しがってたわけじゃないですのよ!? たまたま時間が空いていただけで!」
「えっ、リリアーナさま、壁に向かって“今日もおひとり……今日もおひとり……”って呟いてましたよ?」
「言わなくてよろしい!!!」
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◆休日計画・全容!
「でねでね、美月様、これが今回の『休日作戦・極秘日程』ですっ」
と、クラリーチェが渡してきたのは、リボン付きの分厚いスケジュール帳。手書きで「やさしい休日🌸」と表紙にある。
「え……えーと……朝は? ぬるめのお湯の足湯から?」
「そうですの。足元からあたたまって、自律神経がととのいますわ!」
「その後は……“焼きたてパンと旅するピクニック”?」
「屋敷のお庭に敷物を敷いて、お昼寝と読書を交互にするだけですの! 途中、チグーも交えて“くんくんクイズ”大会も予定していますわよ!」
「そして最後は“湯上りフルーツ牛乳選手権”!」
「何それ?」
「わたくしが桃、クラリーチェがバナナ、美月様はイチゴ派だと思って、冷蔵庫に準備済みですの」
「なんで好みまで予想済みなの!?」
「だって、美月様ですから……!」
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◆お誘い、成功なるか!?
美月はしばし呆気にとられていたが、ふたりの期待に満ちた視線に、ふっと小さく笑った。
「……ふたりとも、本当にありがとね。たまには、誰かと過ごす休日も、悪くないかも」
「やったーっ!!」
「きゃー! クラリーチェ、抱きつかないで! 美月様に抱きつきなさい!」
「えっ? わたしですか!?」
「違う違う違う! ふたりとも落ち着いてっ」
「うう、嬉しすぎてもう……!」
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◆そして、休日当日。
三人の休日は――
あたたかな紅茶に始まり、ふわふわパンと笑顔のピクニック、そして湯気たつ足湯とチグーの“もふクイズ”に癒され、笑いが絶えない一日となった。
その夜、美月はぽつりと呟いた。
「……一人の時間も好きだけど、こうやって誰かと過ごすのも、やっぱり、いいね」
クラリーチェは星空を見上げながら、ほわんと笑う。
「私たちにとっては、何気ない一日も……美月様といれば、全部特別ですわ」
リリアーナも優しく微笑んだ。
「美月様の笑顔が、わたくしたちの、最高の休日ですのよ」
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