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第61話 誰かの英雄になりたくて
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———あの日憧れた英雄に僕はなれたのだろうか。
樹はそう思ってふと青い空を眺めた。
『英雄』それは男なら誰でも一度は憧れる存在だろう。
弱き者の味方で強き者に立ち向かう。
そんな姿に樹はどこか憧れを抱いていた。
「英雄、か……いつかなれるといいな」
樹は何の気無しに呟いた。
「私の英雄は樹さまです!!」
「へ!?」
振り向くとそこにはシャルが立っていた。
「聞いてたの?」
「はい、すみません」
シャルはペコリと頭を下げた。
「あ、いや、いいんだ。声に出してた俺が悪いし」
「英雄って、ヒーローのことですよね?」
「ああ、まあそうだな」
「だったらわたしの英雄は樹さましか居ません!」
シャルがグイっと近づいて来た。
「そう、なのか……?」
「はい! 初めて私の前に現れた樹さんはそれはもう凄くカッコよくて……」
シャルは樹に助けられた時の事を語り始めた。
「私を助けてくれる人なんて誰も居ないと思ってました。今までたくさんの人に裏切られ、酷い扱いをされて来ました。でも、樹さまは違った……」
「ははは、それは俺がお人好しなんだよ」
樹はそう言うと自虐的に笑った。
「そんな事ありません! 樹さまは私に力を与えてくれました。いつも優しく守ってくれました。それに……」
シャルはそこまで言うと少し言葉を詰まらせた。
「それに?」
「それに、ただのお人好しなら誰かの為に自分を犠牲にしてまで強敵に立ち向かったりしません!」
シャルは真剣な目をしていた。
「私は、アリアさんのように強くありませんが、樹さまをそばで見て来ました。樹様が怒る時はいつも誰かの為です」
「そう、だったか?」
樹は自分の行動を思い返してみた。
「そうです。誰かの為に怒って、それはおかしいと、どんな相手でも怯まず立ち向かう。その姿『英雄』じゃなきゃなんと言うのですか!」
「シャルさんのおっしゃる通りです」
気づくといつの間にかセザールが立っていた。
「申し訳ありません。盗み聞きするつもりでは無かったのですが」
「いや、構わないよ」
「やっぱり、セザールさんもそう思いますよね」
シャルはセザールに同意を求めた。
「そうですね。この国は、旦那様が来てから随分と平和になったものです。以前は強力な魔獣が出たものなら騎士団が総力を上げて戦ったのですから」
聞くと、年に1回もないようだが、それでも数多くの犠牲者を出していたらしい。
「そんな時です。綾瀬樹という強者がどこからか現れたと聞きました。その男は高ランクの依頼しか受けないと」
実際には受けないのではなく、受けさせられた、のだが。
「旦那様には私たちだけでなく、この国の者皆が感謝しておりますよ。そんな強者がこの街をうろつきますから、治安も良くなりましたしね」
「二人ともありがとう……」
樹は目頭が熱くなった。
「そんな方に人生最後となるであろう執事生活でお仕え出来るのだから私は幸せ者です」
「私もです! どこまでもついて行きます!」
樹は後ろを向いた。
その時、樹の目には一筋の涙が流れた。
樹はそう思ってふと青い空を眺めた。
『英雄』それは男なら誰でも一度は憧れる存在だろう。
弱き者の味方で強き者に立ち向かう。
そんな姿に樹はどこか憧れを抱いていた。
「英雄、か……いつかなれるといいな」
樹は何の気無しに呟いた。
「私の英雄は樹さまです!!」
「へ!?」
振り向くとそこにはシャルが立っていた。
「聞いてたの?」
「はい、すみません」
シャルはペコリと頭を下げた。
「あ、いや、いいんだ。声に出してた俺が悪いし」
「英雄って、ヒーローのことですよね?」
「ああ、まあそうだな」
「だったらわたしの英雄は樹さましか居ません!」
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「そう、なのか……?」
「はい! 初めて私の前に現れた樹さんはそれはもう凄くカッコよくて……」
シャルは樹に助けられた時の事を語り始めた。
「私を助けてくれる人なんて誰も居ないと思ってました。今までたくさんの人に裏切られ、酷い扱いをされて来ました。でも、樹さまは違った……」
「ははは、それは俺がお人好しなんだよ」
樹はそう言うと自虐的に笑った。
「そんな事ありません! 樹さまは私に力を与えてくれました。いつも優しく守ってくれました。それに……」
シャルはそこまで言うと少し言葉を詰まらせた。
「それに?」
「それに、ただのお人好しなら誰かの為に自分を犠牲にしてまで強敵に立ち向かったりしません!」
シャルは真剣な目をしていた。
「私は、アリアさんのように強くありませんが、樹さまをそばで見て来ました。樹様が怒る時はいつも誰かの為です」
「そう、だったか?」
樹は自分の行動を思い返してみた。
「そうです。誰かの為に怒って、それはおかしいと、どんな相手でも怯まず立ち向かう。その姿『英雄』じゃなきゃなんと言うのですか!」
「シャルさんのおっしゃる通りです」
気づくといつの間にかセザールが立っていた。
「申し訳ありません。盗み聞きするつもりでは無かったのですが」
「いや、構わないよ」
「やっぱり、セザールさんもそう思いますよね」
シャルはセザールに同意を求めた。
「そうですね。この国は、旦那様が来てから随分と平和になったものです。以前は強力な魔獣が出たものなら騎士団が総力を上げて戦ったのですから」
聞くと、年に1回もないようだが、それでも数多くの犠牲者を出していたらしい。
「そんな時です。綾瀬樹という強者がどこからか現れたと聞きました。その男は高ランクの依頼しか受けないと」
実際には受けないのではなく、受けさせられた、のだが。
「旦那様には私たちだけでなく、この国の者皆が感謝しておりますよ。そんな強者がこの街をうろつきますから、治安も良くなりましたしね」
「二人ともありがとう……」
樹は目頭が熱くなった。
「そんな方に人生最後となるであろう執事生活でお仕え出来るのだから私は幸せ者です」
「私もです! どこまでもついて行きます!」
樹は後ろを向いた。
その時、樹の目には一筋の涙が流れた。
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