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第1章
第20話 公爵家に迫る危機
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「一体、どうしろというのだ……」
公爵は、自身の執務室で頭を抱えていた。
今、公爵家に持って来られた依頼はとんでもなく大きなものであった。
「父上、どうされたのですか?」
ラドバルがそんな父を見て尋ねる。
ラドバルはラースの元婚約者にして、今はラースの妹と婚約している時期公爵である。
ラースとの婚約破棄の一件から少しは、真面目に公務に取り組むようになったが、それでも父である公爵10分の1にも満たない仕事量である。
「ドラグス王国と我が国は同盟を結んでいることはお前も知っているだろ?」
「はい、知ってます」
「そのドラグス王国の特徴はなんだ」
「龍と盟約を結んだ国、ですか?」
「ああ、その通りだ」
隣国、ドラグス王国は龍と盟約を結んだ国として有名だ。
龍を守り神として長く信仰している世界的に見ても珍しい国である。
「そのドラグスがどうかしたのですか?」
「龍を治療できる獣医師を紹介して欲しいと言っている」
「は? 龍を治療できる獣医なんている訳ないじゃないですか!!」
龍を治療するなど、聞いたことがない。
そんな、前例が少ない治療ができる獣医がこの国に居るのだろうか。
「しかも、なんでドラグスはうちに協力を要請しているんですか?」
「ドラグス王国より、うちの方が獣医学が進歩しているからだろうな」
ベルベット・ナイゲールのおかげで、ローラン王国の獣医学は飛躍的に進歩したのである。
なので、獣医学という分野においては他国からは頭一つ抜けている状態である。
「断ったたらいいじゃないですか。そんなものは居ないと」
「いや、そうはいかない。ドラグス王国と我が国は同盟を結んでいるのだし、これは兄上から任された仕事なのだ」
「でも、居ないもんをどうやって紹介するんですか?」
「いや、いるには居るんだが……」
公爵の頭の中には、一人の獣医が思い浮かんでいた。
「え、じゃあ、その人に頼めば解決なんじゃないですか? 誰ですか?」
「ラース・ナイゲール、賢者ベルベットの孫娘だよ」
「は?」
そこで、ラドバルは全てを察したようである。
「今更、どの面下げてお願いすればいいんだ! 聞けば、ラース氏はオーランドの辺境伯の領地で獣医院を開業しているそうじゃないか」
「そんな、ラースに龍を治す力なんて……」
「あるんだよ!! それを勝手に婚約破棄しやがって! 公爵家がどれほどの損害を被っているのかわかっているのか、バカもの!!」
ベルベットが他界した今、ローラン王国の獣医で一番腕が立つのはその孫娘である、ラースの他に居ないだろう。
「ラースに出来るなら、妹のミーシャにも出来るんじゃ……」
「お前、それを本気で言っているのか」
公爵は鋭い視線を向けて言った。
同じ、ベルベットの血を引いているが、ラースの妹には治癒魔法の才能も医療魔法の才能も受け継がれなかったのだ。
だから、ミーシャは獣医にはなれなかったのだ。
「もう、お前はいい! お前には公爵家は継がせない。弟の方に継いでもらうことにする」
「そ、そんな……」
ここで、公爵は決断したのだった。
「詳しい話は後だ。私は兄上とナイゲール伯爵に頭を下げてくる」
そういうと、公爵は王宮へと向かったのであった。
公爵は、自身の執務室で頭を抱えていた。
今、公爵家に持って来られた依頼はとんでもなく大きなものであった。
「父上、どうされたのですか?」
ラドバルがそんな父を見て尋ねる。
ラドバルはラースの元婚約者にして、今はラースの妹と婚約している時期公爵である。
ラースとの婚約破棄の一件から少しは、真面目に公務に取り組むようになったが、それでも父である公爵10分の1にも満たない仕事量である。
「ドラグス王国と我が国は同盟を結んでいることはお前も知っているだろ?」
「はい、知ってます」
「そのドラグス王国の特徴はなんだ」
「龍と盟約を結んだ国、ですか?」
「ああ、その通りだ」
隣国、ドラグス王国は龍と盟約を結んだ国として有名だ。
龍を守り神として長く信仰している世界的に見ても珍しい国である。
「そのドラグスがどうかしたのですか?」
「龍を治療できる獣医師を紹介して欲しいと言っている」
「は? 龍を治療できる獣医なんている訳ないじゃないですか!!」
龍を治療するなど、聞いたことがない。
そんな、前例が少ない治療ができる獣医がこの国に居るのだろうか。
「しかも、なんでドラグスはうちに協力を要請しているんですか?」
「ドラグス王国より、うちの方が獣医学が進歩しているからだろうな」
ベルベット・ナイゲールのおかげで、ローラン王国の獣医学は飛躍的に進歩したのである。
なので、獣医学という分野においては他国からは頭一つ抜けている状態である。
「断ったたらいいじゃないですか。そんなものは居ないと」
「いや、そうはいかない。ドラグス王国と我が国は同盟を結んでいるのだし、これは兄上から任された仕事なのだ」
「でも、居ないもんをどうやって紹介するんですか?」
「いや、いるには居るんだが……」
公爵の頭の中には、一人の獣医が思い浮かんでいた。
「え、じゃあ、その人に頼めば解決なんじゃないですか? 誰ですか?」
「ラース・ナイゲール、賢者ベルベットの孫娘だよ」
「は?」
そこで、ラドバルは全てを察したようである。
「今更、どの面下げてお願いすればいいんだ! 聞けば、ラース氏はオーランドの辺境伯の領地で獣医院を開業しているそうじゃないか」
「そんな、ラースに龍を治す力なんて……」
「あるんだよ!! それを勝手に婚約破棄しやがって! 公爵家がどれほどの損害を被っているのかわかっているのか、バカもの!!」
ベルベットが他界した今、ローラン王国の獣医で一番腕が立つのはその孫娘である、ラースの他に居ないだろう。
「ラースに出来るなら、妹のミーシャにも出来るんじゃ……」
「お前、それを本気で言っているのか」
公爵は鋭い視線を向けて言った。
同じ、ベルベットの血を引いているが、ラースの妹には治癒魔法の才能も医療魔法の才能も受け継がれなかったのだ。
だから、ミーシャは獣医にはなれなかったのだ。
「もう、お前はいい! お前には公爵家は継がせない。弟の方に継いでもらうことにする」
「そ、そんな……」
ここで、公爵は決断したのだった。
「詳しい話は後だ。私は兄上とナイゲール伯爵に頭を下げてくる」
そういうと、公爵は王宮へと向かったのであった。
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