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第2章
第6話 カリロの街
ラースは準備を済ませると、すぐに戻った。
「では、行きましょうか」
「私も、行きます」
応接間に居たクレインが言った。
「ラースさんが行くなら私が護衛に付きます」
「ありがとうございます。隣街ですからそんなに危険はないと思いますが」
「私の居ない所でラースさんに傷の一つでも付いたら私は一生、後悔します」
クレインは真剣な表情で言った。
「でも、私なら医療魔法ですぐに治せますよ」
「そういう問題ではありません!! あなたはもっと自分を大切にしてください」
「まあまあ、クレインも落ち着きなさい。二人で行ってきなさい」
バーロンさんがなだめるように言った。
「父上、ありがとうございます」
「クレインさん、よろしくお願いします」
「お任せください」
「カリロ子爵によろしく伝えといてくれな」
そう言うと、ラースとクレインは屋敷の外に出た。
そこには、馬車が停車していた。
「どうぞお乗りください」
シリノが御者を務め、馬車はゆっくりと進み始めた。
ここから、カリロの街までは馬車で3時間ほどだったはずである。
オーランド領を抜けてずっと真っ直ぐ進んで行く。
特に何も問題は起こらなかった。
「もう少しでカリロの街に到着します」
御者台の方からシリノの声が飛んできた。
馬車の窓から外を見ると、確かに遠くに街並みが見えてきた。
カリロの街である。
「私、カリロの街は初めてなんですよね」
「私は、父と何度か来たことがありますね。ここは魚が美味しいんですよ」
カリロの街には綺麗な川が流れている。
そこで獲れる川魚は美味しいと評判がいい。
「それは、食べてみたいですね」
「仕事が終わったら一緒に食べに行きますか?」
「はい、ぜひ!」
そんなことを話しているうちに、カリロの街へと入った。
そこから、馬車は街中を進んで行き大きなお屋敷の前で停車した。
「ここがカリロ子爵のお屋敷です」
シリノに案内されて、屋敷の中へと入る。
応接間へと通されると、そこには壮年の男性がソファーに座っていた。
「お二人も座ってくれ」
「失礼します」
その男性の対面にラースたちは座った。
「初めまして。私がここの領主を任されているメイル・カリロと申します」
「ラース・ナイゲールです」
「では、あなたがベルベットの孫娘か。立派になったな。クレイン君も久しぶり」
「ご無沙汰しております。カリロ子爵」
クレインとカリロ子爵は何度か面識があるようである。
「本来なら、ワシが出向くべきの所だがこの所、体調が優れんくてな」
「いえ、お気になさらないでください」
「ベルベットも、ワシより若いかったのに先に逝っちまうとはな……」
「祖父とは仲が良かったんですか?」
「ああ、君のお祖父さんとワシの父が友人でな。王都に行った時はよく一緒に食事したものだ。その孫娘がオーランドで獣医師になるとは、なんとも感慨深いわい」
そう言って、カリロ子爵は昔を懐かしむように言った。
「生前は祖父がお世話になりました」
「いや、世話になったのはこっちの方だ。ベルベットの孫娘が来てくれたとなればもう、大丈夫だろう」
「動物たちが不審死しているとか」
「ああ、そうなんだ。何しろ数が多くてな。偶然とは思えんのだよ」
野生動物たちが大量に死んでしまうということは、そこには何か原因が存在するはずである。
「動物たちの遺体はどこに?」
「それは、うちで保管してある。見るなら庭で頼む」
「わかりました。現場も見せて欲しいんですが」
「それなら、シリノに案内させよう」
「ありがとうございます。早速動きます」
そう言うと、ラースは立ち上がりお屋敷の庭へと向かった。
「では、行きましょうか」
「私も、行きます」
応接間に居たクレインが言った。
「ラースさんが行くなら私が護衛に付きます」
「ありがとうございます。隣街ですからそんなに危険はないと思いますが」
「私の居ない所でラースさんに傷の一つでも付いたら私は一生、後悔します」
クレインは真剣な表情で言った。
「でも、私なら医療魔法ですぐに治せますよ」
「そういう問題ではありません!! あなたはもっと自分を大切にしてください」
「まあまあ、クレインも落ち着きなさい。二人で行ってきなさい」
バーロンさんがなだめるように言った。
「父上、ありがとうございます」
「クレインさん、よろしくお願いします」
「お任せください」
「カリロ子爵によろしく伝えといてくれな」
そう言うと、ラースとクレインは屋敷の外に出た。
そこには、馬車が停車していた。
「どうぞお乗りください」
シリノが御者を務め、馬車はゆっくりと進み始めた。
ここから、カリロの街までは馬車で3時間ほどだったはずである。
オーランド領を抜けてずっと真っ直ぐ進んで行く。
特に何も問題は起こらなかった。
「もう少しでカリロの街に到着します」
御者台の方からシリノの声が飛んできた。
馬車の窓から外を見ると、確かに遠くに街並みが見えてきた。
カリロの街である。
「私、カリロの街は初めてなんですよね」
「私は、父と何度か来たことがありますね。ここは魚が美味しいんですよ」
カリロの街には綺麗な川が流れている。
そこで獲れる川魚は美味しいと評判がいい。
「それは、食べてみたいですね」
「仕事が終わったら一緒に食べに行きますか?」
「はい、ぜひ!」
そんなことを話しているうちに、カリロの街へと入った。
そこから、馬車は街中を進んで行き大きなお屋敷の前で停車した。
「ここがカリロ子爵のお屋敷です」
シリノに案内されて、屋敷の中へと入る。
応接間へと通されると、そこには壮年の男性がソファーに座っていた。
「お二人も座ってくれ」
「失礼します」
その男性の対面にラースたちは座った。
「初めまして。私がここの領主を任されているメイル・カリロと申します」
「ラース・ナイゲールです」
「では、あなたがベルベットの孫娘か。立派になったな。クレイン君も久しぶり」
「ご無沙汰しております。カリロ子爵」
クレインとカリロ子爵は何度か面識があるようである。
「本来なら、ワシが出向くべきの所だがこの所、体調が優れんくてな」
「いえ、お気になさらないでください」
「ベルベットも、ワシより若いかったのに先に逝っちまうとはな……」
「祖父とは仲が良かったんですか?」
「ああ、君のお祖父さんとワシの父が友人でな。王都に行った時はよく一緒に食事したものだ。その孫娘がオーランドで獣医師になるとは、なんとも感慨深いわい」
そう言って、カリロ子爵は昔を懐かしむように言った。
「生前は祖父がお世話になりました」
「いや、世話になったのはこっちの方だ。ベルベットの孫娘が来てくれたとなればもう、大丈夫だろう」
「動物たちが不審死しているとか」
「ああ、そうなんだ。何しろ数が多くてな。偶然とは思えんのだよ」
野生動物たちが大量に死んでしまうということは、そこには何か原因が存在するはずである。
「動物たちの遺体はどこに?」
「それは、うちで保管してある。見るなら庭で頼む」
「わかりました。現場も見せて欲しいんですが」
「それなら、シリノに案内させよう」
「ありがとうございます。早速動きます」
そう言うと、ラースは立ち上がりお屋敷の庭へと向かった。
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