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第2章
第7話 死因究明
カリロ子爵のお屋敷の庭に、今回見つかった動物たちの遺体が並べられていた。
亡くなった動物は主に野生の猫たちである。
「あなた達が最後に、何を見たのか教えてくださいね」
そう言って、ラースは手を合わせた。
「初めます」
カバンの中からゴム手袋を出して、着用する。
《医療魔法・スキャン》
一体一体、猫達の状態をチェックする。
骨も折れていないし、内出血の類も見られなかった。
「だとしたら、何かの毒物によるものという可能性もありますね」
《医療魔法・検知》
毒物によって亡くなったのだとしたら、これで検知することが可能なはずである。
「これは……」
「何かわかったんですか?」
後ろでラースの作業を見つめていた、クレインが言った。
「この子たち、毒物によって汚染されています。おそらく、自然のものではこうはなりません」
人工的に生み出された毒物の可能性が高いとラースは判断した。
《医療魔法・分析》
「やっぱり……」
毒物を分析して確信した。
「クレインさん、シリノさん、この子たちは農薬を誤って食べたことによる中毒死です」
「農薬ですか!? でも、あの辺りに農薬を使う所なんてあったかどうか……」
「現場、案内してもらってもいいですか?」
「分かりました。こちらです」
シリノの案内でラースたちは、動物たちが見つかった現場へと向かった。
そこは、ただの河川敷の空気のいい場所だった。
「確かに、ここには農薬を使うような所はありませんね」
ラースは現場周辺をしばらく歩いて見た。
「ん? これは……」
所々に猫たちの餌になるものが置かれていた。
《医療魔法・検知》
「これです。これから、同じ毒物を感じます。おそらく、これを食べたのでしょう」
「誰から意図的に毒入りの餌を撒いたということですか?」
「ええ、そうなりますね」
「急いで領主様に報告して、対策を練ります」
ラースたちは結論を出して、カリロの領主邸へと戻った。
そして、子爵にわかったことを報告する。
「それは、悪意を持った人間が毒餌を撒いているということで間違い無いのだな?」
「はい、間違い無いと思います。早急に対策を打った方がいいかと」
「わかった。早急に調査を進め、対策を取るとしよう。ありがとうな。まさか、こんなに早く原因が分かるとはな」
「いえ、お役に立てましたら何よりです。では、私たちはこれで失礼します」
原因を解明したので、ラースたちは帰ることにした。
「ああ、もしワシで力になれることがあったら何でも言ってくれ」
「ありがとうございます」
「まあ、こんな老ぼれじゃ役に立たんかもしれんがな」
「そんなことありませんよ」
カリロ家は代々、考古学者の家系なのである。
その研究成果は、王家にも一目置かれるほどである。
「では、また時間のある時にきますね」
「ああ、道中気をつけてな」
ラースは、クレインと共に馬車に乗るってオーランドの街へと帰る。
その馬車の中でラースはノートにペンを走らせていた。
「ラースさん、何を書いているんですか?」
「今日の不審死の記録です」
人間の不審死は法的にも医学的にも記録される。
しかし、動物の死は獣医が書き記さなければ、埋もれてしまうような事実なのだ。
「この記録はいつかきっと次世代の動物たちの不審死に光を当てます。未来へと続くカルテなんです」
「流石ですね。あなたは」
ラストとは最期という意味の他に、続く、継続するという意味がある。
なので、きっと死は終わりではないのだ。
法獣医学は“未来“のための学問である。
亡くなった動物は主に野生の猫たちである。
「あなた達が最後に、何を見たのか教えてくださいね」
そう言って、ラースは手を合わせた。
「初めます」
カバンの中からゴム手袋を出して、着用する。
《医療魔法・スキャン》
一体一体、猫達の状態をチェックする。
骨も折れていないし、内出血の類も見られなかった。
「だとしたら、何かの毒物によるものという可能性もありますね」
《医療魔法・検知》
毒物によって亡くなったのだとしたら、これで検知することが可能なはずである。
「これは……」
「何かわかったんですか?」
後ろでラースの作業を見つめていた、クレインが言った。
「この子たち、毒物によって汚染されています。おそらく、自然のものではこうはなりません」
人工的に生み出された毒物の可能性が高いとラースは判断した。
《医療魔法・分析》
「やっぱり……」
毒物を分析して確信した。
「クレインさん、シリノさん、この子たちは農薬を誤って食べたことによる中毒死です」
「農薬ですか!? でも、あの辺りに農薬を使う所なんてあったかどうか……」
「現場、案内してもらってもいいですか?」
「分かりました。こちらです」
シリノの案内でラースたちは、動物たちが見つかった現場へと向かった。
そこは、ただの河川敷の空気のいい場所だった。
「確かに、ここには農薬を使うような所はありませんね」
ラースは現場周辺をしばらく歩いて見た。
「ん? これは……」
所々に猫たちの餌になるものが置かれていた。
《医療魔法・検知》
「これです。これから、同じ毒物を感じます。おそらく、これを食べたのでしょう」
「誰から意図的に毒入りの餌を撒いたということですか?」
「ええ、そうなりますね」
「急いで領主様に報告して、対策を練ります」
ラースたちは結論を出して、カリロの領主邸へと戻った。
そして、子爵にわかったことを報告する。
「それは、悪意を持った人間が毒餌を撒いているということで間違い無いのだな?」
「はい、間違い無いと思います。早急に対策を打った方がいいかと」
「わかった。早急に調査を進め、対策を取るとしよう。ありがとうな。まさか、こんなに早く原因が分かるとはな」
「いえ、お役に立てましたら何よりです。では、私たちはこれで失礼します」
原因を解明したので、ラースたちは帰ることにした。
「ああ、もしワシで力になれることがあったら何でも言ってくれ」
「ありがとうございます」
「まあ、こんな老ぼれじゃ役に立たんかもしれんがな」
「そんなことありませんよ」
カリロ家は代々、考古学者の家系なのである。
その研究成果は、王家にも一目置かれるほどである。
「では、また時間のある時にきますね」
「ああ、道中気をつけてな」
ラースは、クレインと共に馬車に乗るってオーランドの街へと帰る。
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「ラースさん、何を書いているんですか?」
「今日の不審死の記録です」
人間の不審死は法的にも医学的にも記録される。
しかし、動物の死は獣医が書き記さなければ、埋もれてしまうような事実なのだ。
「この記録はいつかきっと次世代の動物たちの不審死に光を当てます。未来へと続くカルテなんです」
「流石ですね。あなたは」
ラストとは最期という意味の他に、続く、継続するという意味がある。
なので、きっと死は終わりではないのだ。
法獣医学は“未来“のための学問である。
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