60 / 61
第4章
第6話 猛き祈り
「クレインさんは今回の件、どう思いました?」
部屋に戻る道中、ラースが尋ねた。
「だいぶ、神獣国内が乱れているようですね。だから、賊の侵入を許したのかと」
「確かにそうですよね」
「それと、内通者が居る可能も否定出来ません。いくら、隠密スキルがあっても王城に侵入するとなると……」
隠密スキルといえど、完璧ではない。
気配探知に敏感な者が居たら、すぐにバレてしまう。
それに、隠密スキルを無効化する魔道具なんてものも王城にはあった。
誰かが、内部から手引きしたと考えるのが無難だろう。
「ここは、早急にガイル国王を復帰させるのが賢明かと」
「ですね。ありがとうございます」
♢
翌朝、ラースはガイル国王陛下の診察を任された。
「こちらです。よろしくお願いします」
家令のバラットに王の寝室へと案内される。
「では、診察を始めます」
ラースがガイル国王の体に触れる。
「これは……」
陛下の体には、神気が帯びているのを感じた。
これが、神獣の加護というものだろう。
《医療魔法・感知》
「なるほど。国王陛下のご病気の正体が分かりました」
「本当ですか? 陛下は一体なんの病気なんですか?」
「希少性のがんに侵されています」
希少がんとは、人口10万人あたり6人未満のまれな悪性腫瘍の総称である。
診断や治療の専門性や特殊性が高いものが多く、診療・受療上の課題が他のがん種に比べて大きい。
専門家で無ければ、病名が分からない事も多いので、今まで治療が進まなかったのも納得できる。
「陛下は大丈夫なのでしょうか?」
「お父様……」
家令のバラットと娘のミルルが心配そうな表情を浮かべる、
「大丈夫。きっと良くなりますよ。ここまでがんの進行が抑えられていたのも、神獣様の加護のおかげでしょう」
陛下の癌を発症した時期を考えれば、本来ならもっと進行してしまっているものである。
それをここまで、進行を遅らせているとなると、神獣の加護のおかげとしか考えられない。
「守ってくれてありがとうね」
ラースはガイル陛下の肩に手を置き、神獣へ感謝の気持ちを送った。
「では、治療を始めます。少し、離れていて下さい」
《医療魔法・展開》
『永遠の流れに穿つもの、刹那の縛鎖に去りゆくもの、終焉にたゆたい我が唄を聞け』
ラースの詠唱が終わると、陛下の体は黄色の光に包まれた。
これは、女神が祝福してくれている証拠である。
《医療魔法・感知》
「これでもう、大丈夫です」
ガイル国王陛下の、悪性腫瘍は完全に消滅していた。
「もうしばらくしたら、目を覚ますはずです。それまでそばに居てあげて下さい」
ミルル王女にそう告げて、ラースは部屋を出た。
部屋に戻る道中、ラースが尋ねた。
「だいぶ、神獣国内が乱れているようですね。だから、賊の侵入を許したのかと」
「確かにそうですよね」
「それと、内通者が居る可能も否定出来ません。いくら、隠密スキルがあっても王城に侵入するとなると……」
隠密スキルといえど、完璧ではない。
気配探知に敏感な者が居たら、すぐにバレてしまう。
それに、隠密スキルを無効化する魔道具なんてものも王城にはあった。
誰かが、内部から手引きしたと考えるのが無難だろう。
「ここは、早急にガイル国王を復帰させるのが賢明かと」
「ですね。ありがとうございます」
♢
翌朝、ラースはガイル国王陛下の診察を任された。
「こちらです。よろしくお願いします」
家令のバラットに王の寝室へと案内される。
「では、診察を始めます」
ラースがガイル国王の体に触れる。
「これは……」
陛下の体には、神気が帯びているのを感じた。
これが、神獣の加護というものだろう。
《医療魔法・感知》
「なるほど。国王陛下のご病気の正体が分かりました」
「本当ですか? 陛下は一体なんの病気なんですか?」
「希少性のがんに侵されています」
希少がんとは、人口10万人あたり6人未満のまれな悪性腫瘍の総称である。
診断や治療の専門性や特殊性が高いものが多く、診療・受療上の課題が他のがん種に比べて大きい。
専門家で無ければ、病名が分からない事も多いので、今まで治療が進まなかったのも納得できる。
「陛下は大丈夫なのでしょうか?」
「お父様……」
家令のバラットと娘のミルルが心配そうな表情を浮かべる、
「大丈夫。きっと良くなりますよ。ここまでがんの進行が抑えられていたのも、神獣様の加護のおかげでしょう」
陛下の癌を発症した時期を考えれば、本来ならもっと進行してしまっているものである。
それをここまで、進行を遅らせているとなると、神獣の加護のおかげとしか考えられない。
「守ってくれてありがとうね」
ラースはガイル陛下の肩に手を置き、神獣へ感謝の気持ちを送った。
「では、治療を始めます。少し、離れていて下さい」
《医療魔法・展開》
『永遠の流れに穿つもの、刹那の縛鎖に去りゆくもの、終焉にたゆたい我が唄を聞け』
ラースの詠唱が終わると、陛下の体は黄色の光に包まれた。
これは、女神が祝福してくれている証拠である。
《医療魔法・感知》
「これでもう、大丈夫です」
ガイル国王陛下の、悪性腫瘍は完全に消滅していた。
「もうしばらくしたら、目を覚ますはずです。それまでそばに居てあげて下さい」
ミルル王女にそう告げて、ラースは部屋を出た。
あなたにおすすめの小説
【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。
再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。
妻を一途に想い続ける夫と、
その想いを一ミリも知らない妻。
――攻防戦の幕が、いま上がる。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。
バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。
全123話
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完】王妃の座を愛人に奪われたので娼婦になって出直します
112
恋愛
伯爵令嬢エレオノールは、皇太子ジョンと結婚した。
三年に及ぶ結婚生活では一度も床を共にせず、ジョンは愛人ココットにうつつを抜かす。
やがて王が亡くなり、ジョンに王冠が回ってくる。
するとエレオノールの王妃は剥奪され、ココットが王妃となる。
王宮からも伯爵家からも追い出されたエレオノールは、娼婦となる道を選ぶ。