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9話:転移の間と家の紋
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「どのぐらい経っているかわからんけど、ほぼ白骨化していた。
白霧の中じゃ、干し肉すら乾かねぇ。……それが骨になってるってことは、何年どころじゃねぇ時間が経ってる」
ミミがというより、レジーネが気にしている様子だったので、先に答えた。
「え? え? 唐突に何?」
想定通りの反応をミミはしてくれた。対してレジーネは神妙な顔つきだ。
どことなく、身なりが他の者と比較してこぎれいなのも気になっていた。
「レジーネはもしかして、どこかお偉いさんの令嬢?」
「私は」
どこか言い難そうだったため、その話はそこで終えた。
「そんじゃ、やってみるか」
「え? 何を?」
「ここってな、ボス部屋だったわけだ。そんで目の前の窪みがボスからとれた魔石をはめ込む感じなんだな」
「ということは? もしかして」
「そうだな。そのもしかしてって奴だ」
「でもどこに出るのかしら?」
レジーネも食い込んできた。
今は選択肢として、戻ってきた道を引き返してもどうにもならない。
しかも出口を匂わせるのはここしかない。
何らかの罠というのもありえる。
俺は、思わず大きく息を吐き出した。
「だよな。選択肢が少ないのは、いつの世の中もだるい話だぜ。……息が詰まるほどにな」
「それじゃ試すな」
まずは手元にある小格の魔石キューブからだ。
そっと一個ずつ置き二個並ぶ。
【試行:小格キューブ → 嵌合不一致/起動なし】
「……不発か」
次にボスからとった中格の魔石キューブを黒と白のそれぞれから吐き出してもらい涎つきでおいてみる。
【試行:中格キューブ → 嵌合一致】
【機構起動:円環歯車 回転/封鎖結界 解除】
「なんだ! 何かきやがった」
石と石が擦れる音と巨大な何か歯車の噛み合うような音が激しくなると正面の壁が左右に割れて開く。
その先は二十畳程度の広さの広間ですでに緑色の魔法陣がゆっくりと床で回転をしている。
「これってあれか? 転移魔法陣とかいう類か?」
俺は思わずそうだと思い口をついてでた。
「ええ、そうです。よくご存知で。しかもこの色と形式からすると、相当高度な者です」
「レジーネって詳しいんだね」
ミミはマジマジと顔を覗き込む。
「ああ、これりゃあアレだな。見知らずの場所に放り出されるんだろうな」
「でしょうね」
「えー、また見知らず?」
俺は見渡して言った。
「ここにいても仕方ねぇだろ? 行こうぜ」
「ええ、そうですね。行きましょう」
「うん、いこーいこー」
俺たちは魔法陣の中央に寄り添いあいながら、互いに手を繋ぐ。
【外結線:距離 0.4m|損失/分:+1秒 → 接触同期で +0秒】
【位置:転移の間/監視:低(常駐なし時)】
数秒後、緑色の光が強くなり視界が光で白くなると一瞬の浮遊感を得た。
「おっ」
初めての挙動と体験に思わず声がでたが一瞬のことだった。
体の内側が逆流するような感覚だけが残る。
出た先は、どこかの遺跡跡なのか白い石畳の上で周囲は堅牢そうな白い石の壁の間に出てきた。松明などないのに全体的に明るくなっている。
【外結線:維持】
「ここは」
「恐らく、転移の間なので誰か来れば現れますが、いなければそのままでられると思います」
「そっか」
俺は誰がこようと気にせず、一つだけの出入り口に向けて歩き出す。
部屋を出るとまっすぐな一本道の廊下があり、すぐまた別の部屋に繋がる。
なんだこの部屋。同じぐらいの広さだが明らかに光景が違う。
それは、周囲の壁が水槽で覆われたようになっていた。
「おいおい、これはすげぇな」
「悠斗これって水槽?」
「なんだろな。その先に景色が見えるようで見えないな」
「儀式の間ですね」
「お前よく知っているな」
「ええ」
どこか歯切れが悪そうだ。
「この先の道もまた部屋につながっているんか?」
「少々お待ちを」
レジーネは、右側の水槽のような壁面に手を当てると小規模の魔法陣が現れた。
水槽が左右に割れると扉があり、レジーネは開く。
【識別:設置紋=レジーネ家系統(確度B)】
「……反応しましたわ。私の側の紋に。」
「悠斗様、こちらの品が今後役に立つかと」
目の前に広がるのは財宝の山だった。
「なんだよこれ。……命の燃料にならねぇもんばっかだな」
そうは言いつつ、俺はまずは別の種類の魔法袋を手にした。
もしやと思い期待してスロットにある魔法袋の錨を外し、取り替えると驚きの表記が現れた。
【錨更新:魔法袋 → 魔法袋(大/最大収納数 10,000)】
【インベントリ移送:既存スタック → 新袋へ完全移管(損失なし)】
「一万か。スゲェーな」
百スロットが一気に一万に増えた。一旦取り出し、袋の口同士を当て移せるか試し再度スロットを見ると見事に中身が移せた。
「ミミ片っ端から入れるぞ」
「わーすごいねこれ。魔法袋足りるかしら」
もうひとつ同じタイプの物があり、ミミに渡す。
「こいつは多分一万も入る中身移し替えるといいさ」
「え? 本当? すごすぎ」
俺たちはまずは片っ端から収めていく。ミミには金銀財宝を頼み。
俺はそれ以外の道具類だ。数時間はいたのか部屋の中身が空になるまで取り尽くした。
【経過:2時間|外結線 損失合計 -0秒(接触維持)】
レジーネがこれを知っているということは、関係者か王族なのかと疑問に抱くも本人が言いたがらないのであれば仕方ない。
「この先を進か」
「ええ」
俺の残り時間が、じわじわと削れていく。
ひとつだけの出口へ、足を運んだ。
俺の稼働時間の残りは。47分19秒。予備は11時間32分0秒――それだけだ。
白霧の中じゃ、干し肉すら乾かねぇ。……それが骨になってるってことは、何年どころじゃねぇ時間が経ってる」
ミミがというより、レジーネが気にしている様子だったので、先に答えた。
「え? え? 唐突に何?」
想定通りの反応をミミはしてくれた。対してレジーネは神妙な顔つきだ。
どことなく、身なりが他の者と比較してこぎれいなのも気になっていた。
「レジーネはもしかして、どこかお偉いさんの令嬢?」
「私は」
どこか言い難そうだったため、その話はそこで終えた。
「そんじゃ、やってみるか」
「え? 何を?」
「ここってな、ボス部屋だったわけだ。そんで目の前の窪みがボスからとれた魔石をはめ込む感じなんだな」
「ということは? もしかして」
「そうだな。そのもしかしてって奴だ」
「でもどこに出るのかしら?」
レジーネも食い込んできた。
今は選択肢として、戻ってきた道を引き返してもどうにもならない。
しかも出口を匂わせるのはここしかない。
何らかの罠というのもありえる。
俺は、思わず大きく息を吐き出した。
「だよな。選択肢が少ないのは、いつの世の中もだるい話だぜ。……息が詰まるほどにな」
「それじゃ試すな」
まずは手元にある小格の魔石キューブからだ。
そっと一個ずつ置き二個並ぶ。
【試行:小格キューブ → 嵌合不一致/起動なし】
「……不発か」
次にボスからとった中格の魔石キューブを黒と白のそれぞれから吐き出してもらい涎つきでおいてみる。
【試行:中格キューブ → 嵌合一致】
【機構起動:円環歯車 回転/封鎖結界 解除】
「なんだ! 何かきやがった」
石と石が擦れる音と巨大な何か歯車の噛み合うような音が激しくなると正面の壁が左右に割れて開く。
その先は二十畳程度の広さの広間ですでに緑色の魔法陣がゆっくりと床で回転をしている。
「これってあれか? 転移魔法陣とかいう類か?」
俺は思わずそうだと思い口をついてでた。
「ええ、そうです。よくご存知で。しかもこの色と形式からすると、相当高度な者です」
「レジーネって詳しいんだね」
ミミはマジマジと顔を覗き込む。
「ああ、これりゃあアレだな。見知らずの場所に放り出されるんだろうな」
「でしょうね」
「えー、また見知らず?」
俺は見渡して言った。
「ここにいても仕方ねぇだろ? 行こうぜ」
「ええ、そうですね。行きましょう」
「うん、いこーいこー」
俺たちは魔法陣の中央に寄り添いあいながら、互いに手を繋ぐ。
【外結線:距離 0.4m|損失/分:+1秒 → 接触同期で +0秒】
【位置:転移の間/監視:低(常駐なし時)】
数秒後、緑色の光が強くなり視界が光で白くなると一瞬の浮遊感を得た。
「おっ」
初めての挙動と体験に思わず声がでたが一瞬のことだった。
体の内側が逆流するような感覚だけが残る。
出た先は、どこかの遺跡跡なのか白い石畳の上で周囲は堅牢そうな白い石の壁の間に出てきた。松明などないのに全体的に明るくなっている。
【外結線:維持】
「ここは」
「恐らく、転移の間なので誰か来れば現れますが、いなければそのままでられると思います」
「そっか」
俺は誰がこようと気にせず、一つだけの出入り口に向けて歩き出す。
部屋を出るとまっすぐな一本道の廊下があり、すぐまた別の部屋に繋がる。
なんだこの部屋。同じぐらいの広さだが明らかに光景が違う。
それは、周囲の壁が水槽で覆われたようになっていた。
「おいおい、これはすげぇな」
「悠斗これって水槽?」
「なんだろな。その先に景色が見えるようで見えないな」
「儀式の間ですね」
「お前よく知っているな」
「ええ」
どこか歯切れが悪そうだ。
「この先の道もまた部屋につながっているんか?」
「少々お待ちを」
レジーネは、右側の水槽のような壁面に手を当てると小規模の魔法陣が現れた。
水槽が左右に割れると扉があり、レジーネは開く。
【識別:設置紋=レジーネ家系統(確度B)】
「……反応しましたわ。私の側の紋に。」
「悠斗様、こちらの品が今後役に立つかと」
目の前に広がるのは財宝の山だった。
「なんだよこれ。……命の燃料にならねぇもんばっかだな」
そうは言いつつ、俺はまずは別の種類の魔法袋を手にした。
もしやと思い期待してスロットにある魔法袋の錨を外し、取り替えると驚きの表記が現れた。
【錨更新:魔法袋 → 魔法袋(大/最大収納数 10,000)】
【インベントリ移送:既存スタック → 新袋へ完全移管(損失なし)】
「一万か。スゲェーな」
百スロットが一気に一万に増えた。一旦取り出し、袋の口同士を当て移せるか試し再度スロットを見ると見事に中身が移せた。
「ミミ片っ端から入れるぞ」
「わーすごいねこれ。魔法袋足りるかしら」
もうひとつ同じタイプの物があり、ミミに渡す。
「こいつは多分一万も入る中身移し替えるといいさ」
「え? 本当? すごすぎ」
俺たちはまずは片っ端から収めていく。ミミには金銀財宝を頼み。
俺はそれ以外の道具類だ。数時間はいたのか部屋の中身が空になるまで取り尽くした。
【経過:2時間|外結線 損失合計 -0秒(接触維持)】
レジーネがこれを知っているということは、関係者か王族なのかと疑問に抱くも本人が言いたがらないのであれば仕方ない。
「この先を進か」
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