69 / 338
7章
69、交渉
しおりを挟む
フィニアスが名乗った直後、いの一番に声を上げたのは何故かベルギルツだった。
「おや?おやおやおやぁ?これは一体どうしたことでしょう?指定した人数になっていないように感じます。どうも人質の命が惜しくないように感じますが、いかがでしょうかフィニアス様?」
大袈裟にリアクションして見せながら場を掌握しようと目論むベルギルツ。のっぺらぼうの発言にレッドたちが一瞬困惑の顔を見せたが、すぐにグルガンが割り込む。
「黙らんかベルギルツ!貴公の破綻した策略という勘違いを振りかざすのはやめよ!みっともない悪あがきであると分からんのか?!……失礼した。我はゴライアス=公爵=グルガン。ここからの進行は我が行う。おい、そこのデーモン。すぐに人質をここに連れてこい。丁重にな」
「はっ!!」
デーモンは頭を下げてすぐさま踵を返した。部屋を出ていくのを見計らってグルガンは口を開く。
「さてレッド=カーマイン。貴公、我ら皇魔貴族に何か恨みでもあるのか?我らの居城を荒らし、苦も無く同胞を撃破する様はまるで悪夢のようである。貴公の目的は何か、今ここで説明せよ」
「え?あ、はい。女神ミルレースを復活させるために女神の欠片を集めています。皇魔貴族が持っているから、取り返す名目で戦っているっていうか……」
レッドは先ほど話していたグルガンとはまるで違った冷たい態度に感動しながら返答する。演技であることを踏まえるとニヤけてしまいそうだが、それだけは不味いのではないかと顔に力を入れる。
そんなレッドに怪訝な顔を向けるのは魔族全員だった。
「バカな……あの男は女神の存在を本当に理解しているのか?」
「人間は昔の戦いを知らないんだよ」
「救いようのない奴だ」
こそこそと子爵や男爵の面々がヤジを飛ばす。しかしそれもグルガンの咳払いひとつでピタッと止んだ。
「女神ミルレースは昔の皇魔貴族がなんとか封印した最強の破壊神だ。その女神を復活させることは世界の終焉を意味する。我らが保有する欠片を渡すことは出来ん。断固拒否する」
『ちょっと!?それでは戦うほかありませんよ!ねぇレッド!!』
「う、うん。ミルレースは決して破壊神なんかじゃない。ちょっと口の悪い女神様なんだ。きっと人と魔族の隔たりを取っ払ってくれる架け橋になると、俺はその……思いますけど」
『口の悪いは余計ですが、概ねその通りです。私が復活した暁にはレッドが言うように2種族の隔たりなど取っ払っちゃいますよ!』
「その発言に興味こそ湧くが、信用には値しない」
「そ、そんな……」
「待て。1つ聞きたいことがある」
レッドの横に並ぶようにライトがずいっと前に出た。
「貴公は?」
「俺の名はライト=クローラー。レッドの仲間だ」
レッドの目がキラリと輝いた。グルガンは鼻を鳴らして冷たい目でライトを見据えた。
「そうかライト=クローラー。発言を許そう。何が聞きたい?」
「貴様さっき昔の皇魔貴族と言ったな。となれば今誰が破壊神たるミルレースを知っているんだ?その脅威をどうやって知った?」
「我らの歴史書だ。事細かに記録している」
「歴史書か。歴史書は勝者の言い分でしかない。ミルレースを悪しざまに書くことも出来るわけだが、それはすべて真実だと言えるのか?」
「……小賢しい人間め……」
苦々しく呟くロータスをグルガンはチラッと見る。
「うむ……確かにその通りだ。貴公の言う通り歴史書とは勝者の歴史よ。我らとて疑問に思わなかったことはない。しかし女神の力の一端を知ればその手のひらも返る。フィニアス。よろしく頼む」
グルガンの視線がフィニアスに移り、フィニアスもコクリと頷いた。そのやり取りに驚いたのは魔族たち。「まさかあれを!?」と狼狽え、ギュッと奥歯を噛み締めて堪えるように気を張る者や、あたふたする者で場が乱れる。
そんなにも混乱することがあるのかと疑問に思っていると、フィニアスがスッと手を上にかざした。
「感じよ。これが女神の力だ」
ギュバッ
空間が歪み、卵のような形をした青い結晶が天井より顔を出した。その瞬間に訪れる重圧。その重圧を感じたすべての生き物は萎縮し、押し潰されそうなほどの全身の重みから膝を地面に付けたくなる。
跪けば楽になれる。そう心の底から思わされる圧倒的なまでの強力な力。それが青い結晶から放たれていることに気付くのに然程の時間もかからない。
デーモンはもちろん、ライトやオリー、皇魔貴族の全員が恐怖に煽られながらも何とか堪えている。
結晶を仕舞う間の10秒。たったそれだけの時間が1時間にも2時間にも感じられるほどの脅威。すでに知っていた魔族はもちろんのこと、ライトやオリー、フローラまでもミルレースのことを怪訝な顔つきで見つめる。さっきまであった仲間意識も吹き飛ぶレベルだった。
「え?え?な、なに?なんでそんな目で見てるんだよ?」
しかしこの異常事態に困惑で返す異常者が居た。
「今のを……レッドは感じなかったのか?」
『いやいやいや、あり得ぬわ』
「き、君は……鈍感が過ぎるぞ?あれは……一度感じたことがある。そうだ、貴様らがアヴァンティアに攻めてきた時に感じたあれと似ている」
「む?アヴァンティア?」
「ハウザーを向かわせた都市の名前だな。貴公はあの時の力の出どころを知らんのか?」
「ん?どういうことだ」
「あの時の力の発生源は先の石ではない。あの石よりももっと強大な力の波動。それは何を隠そう、レッド=カーマインから出ていたのだ」
「な、なに……?まさかそんな……」
ライトはレッドに困惑の眼差しを向ける。レッドは自分が何を言われているのか理解出来ず、逆にライトに困惑の眼差しを向け返した。フローラも驚愕する。
『あぁ?あの重圧をこの男が?そんなの……まったく感じぬが?』
「それは我らとて同じこと。一瞬だけ感じた凄まじいまでの力はまさしく女神を凌駕する」
『ちょっと待ってください!あの石が何故私の力を持っていると言えるのですか?!デタラメです!擬似的に誇張された力に怯えるなど愚かすぎます!!』
ミルレースの必死さに気圧されたライトは「一理あるが……」と勢いに飲まれる。レッドは目を瞬かせながら懐から女神の欠片を取り出した。
「え?でも封印されたよね?」
『ちょっ……!余計なことを言わないでくださいよ!』
「いや、レッドが言わずとも俺が言おうとしていた。嫌がらせにしては手が込みすぎているとな。魔族が封印し、わざわざ砕いてまで隠したのは、封印した結晶を消滅させることが出来なかったからだと推測する。あれほどの力を隠したのも、力を分散し切れなかったためと考えれば説明は付く。状況だけならミルレースがいかに危険か、嫌でも理解してしまう」
『何ひとつとして理解出来ていませんよ!これは私を排除しようとする流れです!レッド!!レッドは私を見捨てませんよね!?』
「う~ん……ミルレースを復活させたい気持ちは今も変わらないよ。約束は守りたいからさ」
『レッド!信じていましたよ!!』
「レッドがそう言うなら私もレッドに賛成だが……」
「さすがオリー!」
「待てミルレース。私の発言を最後まで聞いてほしい。……グルガン。もしだ。もしこちらが女神復活を諦めた場合、そちらは私たちに何をするのかハッキリさせてくれないか?こちらが一方的に女神復活を諦め、後は通常通りというのは割に合わない。レッドの目的を諦めさせるだけの利点があればそれを教えてほしい」
『何をバカな!そんなこと……!!』
『ミルレースよ、静かにせい。あくまで”もし”の話じゃて』
グルガンは顎に手を当てて数秒思案する。そこでベルギルツが急に前に出た。
「当・然っ!人質の解放です!あなたが女神復活を諦めることで2人の命が助かるのです!!ここであなたの品位が問われるのですよおぉぉおっ!!」
どうだと言わんばかりに胸を張って堂々とぶち上げたベルギルツの考えるレッドたちの利点。人質を取ったのはこのためだったと言いたげな雰囲気に、皇魔貴族はもちろんデーモンたちをも失笑させるのに十分な道化具合だった。
「……ならば今後人族に対し、我ら魔族が一切手を出さないことを約束するのはどうか?休戦協定……いやこの際、人と我々が和平を結ぶのが良いかもしれん。貴公らも魔族と2度と戦わなくてよくなるのは良いことであろう?」
グルガンはベルギルツの言葉を完全スルーし、話し合いを和平に持っていった。オリーのアシストありきだが、ライトはグルガンの組み立てに関心する。
(……そうか、ここで出すのか。しかし……)
女神の脅威を伝えることでレッドに女神復活を諦めさせ、魔族側にもレッドに『納得』させるためだからと譲歩を引き出そうと言う魂胆だったようだ。だがこの作戦は完全に失敗している。何故なら肝心のレッドに女神の力が一切響いていないのだから。
「う~ん……」
『絶対にあり得ません!!こんなの話が違いますよねぇ!?ねぇレッド!無視してください!こんな話っ!!』
「うん……いや、えっと……そもそも俺は冒険者だ。魔族が俺個人を襲ってくる分には別にいいと思ってる。そういうのも冒険の一環っていうか……あ、街や村のことを思えば襲ってこないに越したことはないと思っているんだ。でも襲って来たら来たで特別任務が出るからお金稼げるし、危険はあるけどそればっかりじゃないっていうか……とにかく俺は冒険者の視点でしか話を広げられない。和平とかそういうのはもっと上の人と話してくれよ。王様とかさ」
「ああ、レッドらしい答えだ」
『ぬぅ……らしいのかも知らんが、それじゃ何にもならないんじゃないかえ?』
(……いや、レッドは女神がどうのこうのではない。自分が話の中心にいることにも気づいていないのでは?)
ライトは考える。レッドが話の中心に自分を置かなければグルガンの策は空回りだ。階段の上で未だ胸を張って手を広げているベルギルツと大差ない。軌道修正すべきかどうかを思案しているとグルガンが口を開いた。
「実は……もうひとつ案がある。貴公のその反応でこうせざるを得ないと我も決心がついた」
グルガンは諦めたような、それでいて晴れ晴れとした顔で言葉を紡ぐ。
「貴公の目的を叶えよう。女神を……復活させる」
場内に激震が走った。
「おや?おやおやおやぁ?これは一体どうしたことでしょう?指定した人数になっていないように感じます。どうも人質の命が惜しくないように感じますが、いかがでしょうかフィニアス様?」
大袈裟にリアクションして見せながら場を掌握しようと目論むベルギルツ。のっぺらぼうの発言にレッドたちが一瞬困惑の顔を見せたが、すぐにグルガンが割り込む。
「黙らんかベルギルツ!貴公の破綻した策略という勘違いを振りかざすのはやめよ!みっともない悪あがきであると分からんのか?!……失礼した。我はゴライアス=公爵=グルガン。ここからの進行は我が行う。おい、そこのデーモン。すぐに人質をここに連れてこい。丁重にな」
「はっ!!」
デーモンは頭を下げてすぐさま踵を返した。部屋を出ていくのを見計らってグルガンは口を開く。
「さてレッド=カーマイン。貴公、我ら皇魔貴族に何か恨みでもあるのか?我らの居城を荒らし、苦も無く同胞を撃破する様はまるで悪夢のようである。貴公の目的は何か、今ここで説明せよ」
「え?あ、はい。女神ミルレースを復活させるために女神の欠片を集めています。皇魔貴族が持っているから、取り返す名目で戦っているっていうか……」
レッドは先ほど話していたグルガンとはまるで違った冷たい態度に感動しながら返答する。演技であることを踏まえるとニヤけてしまいそうだが、それだけは不味いのではないかと顔に力を入れる。
そんなレッドに怪訝な顔を向けるのは魔族全員だった。
「バカな……あの男は女神の存在を本当に理解しているのか?」
「人間は昔の戦いを知らないんだよ」
「救いようのない奴だ」
こそこそと子爵や男爵の面々がヤジを飛ばす。しかしそれもグルガンの咳払いひとつでピタッと止んだ。
「女神ミルレースは昔の皇魔貴族がなんとか封印した最強の破壊神だ。その女神を復活させることは世界の終焉を意味する。我らが保有する欠片を渡すことは出来ん。断固拒否する」
『ちょっと!?それでは戦うほかありませんよ!ねぇレッド!!』
「う、うん。ミルレースは決して破壊神なんかじゃない。ちょっと口の悪い女神様なんだ。きっと人と魔族の隔たりを取っ払ってくれる架け橋になると、俺はその……思いますけど」
『口の悪いは余計ですが、概ねその通りです。私が復活した暁にはレッドが言うように2種族の隔たりなど取っ払っちゃいますよ!』
「その発言に興味こそ湧くが、信用には値しない」
「そ、そんな……」
「待て。1つ聞きたいことがある」
レッドの横に並ぶようにライトがずいっと前に出た。
「貴公は?」
「俺の名はライト=クローラー。レッドの仲間だ」
レッドの目がキラリと輝いた。グルガンは鼻を鳴らして冷たい目でライトを見据えた。
「そうかライト=クローラー。発言を許そう。何が聞きたい?」
「貴様さっき昔の皇魔貴族と言ったな。となれば今誰が破壊神たるミルレースを知っているんだ?その脅威をどうやって知った?」
「我らの歴史書だ。事細かに記録している」
「歴史書か。歴史書は勝者の言い分でしかない。ミルレースを悪しざまに書くことも出来るわけだが、それはすべて真実だと言えるのか?」
「……小賢しい人間め……」
苦々しく呟くロータスをグルガンはチラッと見る。
「うむ……確かにその通りだ。貴公の言う通り歴史書とは勝者の歴史よ。我らとて疑問に思わなかったことはない。しかし女神の力の一端を知ればその手のひらも返る。フィニアス。よろしく頼む」
グルガンの視線がフィニアスに移り、フィニアスもコクリと頷いた。そのやり取りに驚いたのは魔族たち。「まさかあれを!?」と狼狽え、ギュッと奥歯を噛み締めて堪えるように気を張る者や、あたふたする者で場が乱れる。
そんなにも混乱することがあるのかと疑問に思っていると、フィニアスがスッと手を上にかざした。
「感じよ。これが女神の力だ」
ギュバッ
空間が歪み、卵のような形をした青い結晶が天井より顔を出した。その瞬間に訪れる重圧。その重圧を感じたすべての生き物は萎縮し、押し潰されそうなほどの全身の重みから膝を地面に付けたくなる。
跪けば楽になれる。そう心の底から思わされる圧倒的なまでの強力な力。それが青い結晶から放たれていることに気付くのに然程の時間もかからない。
デーモンはもちろん、ライトやオリー、皇魔貴族の全員が恐怖に煽られながらも何とか堪えている。
結晶を仕舞う間の10秒。たったそれだけの時間が1時間にも2時間にも感じられるほどの脅威。すでに知っていた魔族はもちろんのこと、ライトやオリー、フローラまでもミルレースのことを怪訝な顔つきで見つめる。さっきまであった仲間意識も吹き飛ぶレベルだった。
「え?え?な、なに?なんでそんな目で見てるんだよ?」
しかしこの異常事態に困惑で返す異常者が居た。
「今のを……レッドは感じなかったのか?」
『いやいやいや、あり得ぬわ』
「き、君は……鈍感が過ぎるぞ?あれは……一度感じたことがある。そうだ、貴様らがアヴァンティアに攻めてきた時に感じたあれと似ている」
「む?アヴァンティア?」
「ハウザーを向かわせた都市の名前だな。貴公はあの時の力の出どころを知らんのか?」
「ん?どういうことだ」
「あの時の力の発生源は先の石ではない。あの石よりももっと強大な力の波動。それは何を隠そう、レッド=カーマインから出ていたのだ」
「な、なに……?まさかそんな……」
ライトはレッドに困惑の眼差しを向ける。レッドは自分が何を言われているのか理解出来ず、逆にライトに困惑の眼差しを向け返した。フローラも驚愕する。
『あぁ?あの重圧をこの男が?そんなの……まったく感じぬが?』
「それは我らとて同じこと。一瞬だけ感じた凄まじいまでの力はまさしく女神を凌駕する」
『ちょっと待ってください!あの石が何故私の力を持っていると言えるのですか?!デタラメです!擬似的に誇張された力に怯えるなど愚かすぎます!!』
ミルレースの必死さに気圧されたライトは「一理あるが……」と勢いに飲まれる。レッドは目を瞬かせながら懐から女神の欠片を取り出した。
「え?でも封印されたよね?」
『ちょっ……!余計なことを言わないでくださいよ!』
「いや、レッドが言わずとも俺が言おうとしていた。嫌がらせにしては手が込みすぎているとな。魔族が封印し、わざわざ砕いてまで隠したのは、封印した結晶を消滅させることが出来なかったからだと推測する。あれほどの力を隠したのも、力を分散し切れなかったためと考えれば説明は付く。状況だけならミルレースがいかに危険か、嫌でも理解してしまう」
『何ひとつとして理解出来ていませんよ!これは私を排除しようとする流れです!レッド!!レッドは私を見捨てませんよね!?』
「う~ん……ミルレースを復活させたい気持ちは今も変わらないよ。約束は守りたいからさ」
『レッド!信じていましたよ!!』
「レッドがそう言うなら私もレッドに賛成だが……」
「さすがオリー!」
「待てミルレース。私の発言を最後まで聞いてほしい。……グルガン。もしだ。もしこちらが女神復活を諦めた場合、そちらは私たちに何をするのかハッキリさせてくれないか?こちらが一方的に女神復活を諦め、後は通常通りというのは割に合わない。レッドの目的を諦めさせるだけの利点があればそれを教えてほしい」
『何をバカな!そんなこと……!!』
『ミルレースよ、静かにせい。あくまで”もし”の話じゃて』
グルガンは顎に手を当てて数秒思案する。そこでベルギルツが急に前に出た。
「当・然っ!人質の解放です!あなたが女神復活を諦めることで2人の命が助かるのです!!ここであなたの品位が問われるのですよおぉぉおっ!!」
どうだと言わんばかりに胸を張って堂々とぶち上げたベルギルツの考えるレッドたちの利点。人質を取ったのはこのためだったと言いたげな雰囲気に、皇魔貴族はもちろんデーモンたちをも失笑させるのに十分な道化具合だった。
「……ならば今後人族に対し、我ら魔族が一切手を出さないことを約束するのはどうか?休戦協定……いやこの際、人と我々が和平を結ぶのが良いかもしれん。貴公らも魔族と2度と戦わなくてよくなるのは良いことであろう?」
グルガンはベルギルツの言葉を完全スルーし、話し合いを和平に持っていった。オリーのアシストありきだが、ライトはグルガンの組み立てに関心する。
(……そうか、ここで出すのか。しかし……)
女神の脅威を伝えることでレッドに女神復活を諦めさせ、魔族側にもレッドに『納得』させるためだからと譲歩を引き出そうと言う魂胆だったようだ。だがこの作戦は完全に失敗している。何故なら肝心のレッドに女神の力が一切響いていないのだから。
「う~ん……」
『絶対にあり得ません!!こんなの話が違いますよねぇ!?ねぇレッド!無視してください!こんな話っ!!』
「うん……いや、えっと……そもそも俺は冒険者だ。魔族が俺個人を襲ってくる分には別にいいと思ってる。そういうのも冒険の一環っていうか……あ、街や村のことを思えば襲ってこないに越したことはないと思っているんだ。でも襲って来たら来たで特別任務が出るからお金稼げるし、危険はあるけどそればっかりじゃないっていうか……とにかく俺は冒険者の視点でしか話を広げられない。和平とかそういうのはもっと上の人と話してくれよ。王様とかさ」
「ああ、レッドらしい答えだ」
『ぬぅ……らしいのかも知らんが、それじゃ何にもならないんじゃないかえ?』
(……いや、レッドは女神がどうのこうのではない。自分が話の中心にいることにも気づいていないのでは?)
ライトは考える。レッドが話の中心に自分を置かなければグルガンの策は空回りだ。階段の上で未だ胸を張って手を広げているベルギルツと大差ない。軌道修正すべきかどうかを思案しているとグルガンが口を開いた。
「実は……もうひとつ案がある。貴公のその反応でこうせざるを得ないと我も決心がついた」
グルガンは諦めたような、それでいて晴れ晴れとした顔で言葉を紡ぐ。
「貴公の目的を叶えよう。女神を……復活させる」
場内に激震が走った。
10
あなたにおすすめの小説
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~
エース皇命
ファンタジー
学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。
そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。
「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」
なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。
これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。
※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる