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第四話 確認
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「悪い悪い、かなり湿っぽくなっちまったな」
この世界に生れ落ちて、初めての気持ちにようやく落ち着きを取り戻した春田はポイ子に向き直る。
「? 何かありましたか?」
ポイ子はニコニコしながら首を傾ける。「いや、別に」と言って誤魔化す。二人でジュースを静かにすする。多少の間が開くと、ふいにポイ子が声をかける。
「あっ私、手品しますよ」
本当にふと思いつきましたという感じで気楽に。春田は唐突すぎる事柄に一瞬呆気にとられた。
「え?なんで?」
当然の疑問である。ポイ子は何気なく話す。
「なんか間があいちゃったんで、空気変えよっかなって思いまして」
それはポイ子なりの気の使い方だった。
「自信あるネタやらせてください!」
鼻から空気を思いっきり出す感じでフンスッという音が出る程だった。そんな事よりなんでそんな音が不定形であるはずのその体から出るのか聞きたいところだが、やる気満々のポイ子になんか言う程、空気が読めないわけではない。
「ほう、気になるな……」
眉をそばだて意気込んだ顔が、二ヘラと笑ってほころぶ。
「それではその飲みかけを貸して下さい」
春田のドリンクバーのコップを指をさす。
「おう」
春田はまだ半分残ったコップを差し出し、ポイ子に渡す。ポイ子はそれを受け取ると、コップの上に手をかざす。
「では、いきますよ~……こちらのオレンジジュースが~……」
と言いつつ、注ぎ口をふさぐ。その時、半分しかなかったコップの中身が一瞬にして一杯になる。そして、さっきまで綺麗なオレンジ色だったのにその色は一転して紫色に変わった。
「グレープジュースになっちゃった!!」
「嘘つけぇ!!」
その発言に間髪入れずにツッコミを入れる。
「これ絶対、体液入れただろ!水かさ増してるし!!」
椅子から立ち上がってコップを前に出し詰め寄る。
「え~……もう……信用無いなぁ、神経毒ですよぉ~」
「あっぶね!何考えてんだ!!」
最早、店内の状況など関係なしに喚くほど動揺していた。
「でも前は普通に飲まれてましたよ?」
その発言は魔王時代にもこのトリックを使って神経毒を飲まされていた事を意味する。
「上司になんてもん飲ませてんだ馬鹿!昔の俺も飲んでんじゃねーよ!!」
「もういい!飲み物替えてくる!」そう言ってイライラしながら席を空ける。
その先で、また店員に注意を受ける春田。何を言われているか、この位置では分からないがとにかくペコペコ謝っている。
しばらく戻ってこない事を確認しチラリと春田のハンバーグプレートに目が行く。まだ手が付けられていないそのご飯は冷めかけていた。
「くそ……ポイ子ってあんなんだったか?」
おいしい水と書かれた水入れ場でコップをすすぎ、ドリンクをどれにするか迷っていた。迷ったが、同じオレンジジュースを入れる事にする。
(いや…多分ポイ子は変わっていないだろう……昔の俺が寛容すぎたんだよなぁ……)
溢れんばかりにオレンジジュースを入れて気合も入れる。
(よし!ここは一発ガツンと言って分からせないと……)
振り返って自分の席に戻る際、春田が座っていた奥側の席にポイ子が座っていた。
「あれ?」と思ってそのまま戻ると、ポイ子がハンバーグを食べていた。
「あっ!何喰ってんだ!!俺のだぞ!!」
口を器用に動かし咀嚼していた。歯は見えていたが同じ役割を果たしているのか疑問だ。それより何故、手を付けているのか謎だった。それを聞いたポイ子はひとしきりもぐもぐした後、お皿に向かってヴェーッと吐き出そうとする。
「うおおっ!だ……出すな!何やってんだ飲みこめぇ!!」
出しかけた咀嚼物をのどに流し込む。信じられないといった目でポイ子を見る春田。その視線に晒されたポイ子はポッという音が似合いそうな程、顔を赤らめて恥ずかしそうに見つめる。
「おいしそうだったもので……つい……」
「ついじゃねーよ、擬態ついでに常識も学べ」
チラリと小さな鉄板とご飯皿を一瞥して、状態を確認する。自分が切った分は確実に食べられているが
「何回、口付けた?」
「二口ですかね」
聞いたところで意味がない。
「まぁどのみち喰えないか……」
「え!ひどい!そんなに私が嫌いですか!?」
ポイ子は目に涙をためながら過剰に訴える。
「もう一度お前の種族を考えろポイズンスライム」
ため息をついてポイ子に転生後の体について教える。
「前の体と違うから、毒に耐性がないんだ…俺の事は今までより慎重に扱え」
それを聞いたポイ子はさっきまでの泣きそうな顔から涙が引いて、逆に顔がほころぶ。
「なぁんだ!そうだったんですね♪じゃ今はただの非力な人間ってことですね!」
「……もうちょい言い方ないか?」
そのポイ子のセリフに肩を落としながら落ち込む。
「あっ!あっ!じゃあ私のこと嫌いじゃないんですよね?」
「当たり前だ」
「おっ?即答!じゃあ私のこと、どう思ってます?」
ポイ子は自分がもし嫌われていたらと不安になっていて色々仕掛けていたようだ。そんなに不安にさせていたのかと少しだけ自分を自戒する。だが、こうもハッキリ聞かれると、
「いや……どうって……なぁ……」
恥ずかしい。
「ん?」
ズイッと詰め寄るポイ子。
「もういいだろ別に……」
顔を逸らしながら恥ずかしさに耐える春田。
「んん?」
「もういいから喰えよ!」
この世界に生れ落ちて、初めての気持ちにようやく落ち着きを取り戻した春田はポイ子に向き直る。
「? 何かありましたか?」
ポイ子はニコニコしながら首を傾ける。「いや、別に」と言って誤魔化す。二人でジュースを静かにすする。多少の間が開くと、ふいにポイ子が声をかける。
「あっ私、手品しますよ」
本当にふと思いつきましたという感じで気楽に。春田は唐突すぎる事柄に一瞬呆気にとられた。
「え?なんで?」
当然の疑問である。ポイ子は何気なく話す。
「なんか間があいちゃったんで、空気変えよっかなって思いまして」
それはポイ子なりの気の使い方だった。
「自信あるネタやらせてください!」
鼻から空気を思いっきり出す感じでフンスッという音が出る程だった。そんな事よりなんでそんな音が不定形であるはずのその体から出るのか聞きたいところだが、やる気満々のポイ子になんか言う程、空気が読めないわけではない。
「ほう、気になるな……」
眉をそばだて意気込んだ顔が、二ヘラと笑ってほころぶ。
「それではその飲みかけを貸して下さい」
春田のドリンクバーのコップを指をさす。
「おう」
春田はまだ半分残ったコップを差し出し、ポイ子に渡す。ポイ子はそれを受け取ると、コップの上に手をかざす。
「では、いきますよ~……こちらのオレンジジュースが~……」
と言いつつ、注ぎ口をふさぐ。その時、半分しかなかったコップの中身が一瞬にして一杯になる。そして、さっきまで綺麗なオレンジ色だったのにその色は一転して紫色に変わった。
「グレープジュースになっちゃった!!」
「嘘つけぇ!!」
その発言に間髪入れずにツッコミを入れる。
「これ絶対、体液入れただろ!水かさ増してるし!!」
椅子から立ち上がってコップを前に出し詰め寄る。
「え~……もう……信用無いなぁ、神経毒ですよぉ~」
「あっぶね!何考えてんだ!!」
最早、店内の状況など関係なしに喚くほど動揺していた。
「でも前は普通に飲まれてましたよ?」
その発言は魔王時代にもこのトリックを使って神経毒を飲まされていた事を意味する。
「上司になんてもん飲ませてんだ馬鹿!昔の俺も飲んでんじゃねーよ!!」
「もういい!飲み物替えてくる!」そう言ってイライラしながら席を空ける。
その先で、また店員に注意を受ける春田。何を言われているか、この位置では分からないがとにかくペコペコ謝っている。
しばらく戻ってこない事を確認しチラリと春田のハンバーグプレートに目が行く。まだ手が付けられていないそのご飯は冷めかけていた。
「くそ……ポイ子ってあんなんだったか?」
おいしい水と書かれた水入れ場でコップをすすぎ、ドリンクをどれにするか迷っていた。迷ったが、同じオレンジジュースを入れる事にする。
(いや…多分ポイ子は変わっていないだろう……昔の俺が寛容すぎたんだよなぁ……)
溢れんばかりにオレンジジュースを入れて気合も入れる。
(よし!ここは一発ガツンと言って分からせないと……)
振り返って自分の席に戻る際、春田が座っていた奥側の席にポイ子が座っていた。
「あれ?」と思ってそのまま戻ると、ポイ子がハンバーグを食べていた。
「あっ!何喰ってんだ!!俺のだぞ!!」
口を器用に動かし咀嚼していた。歯は見えていたが同じ役割を果たしているのか疑問だ。それより何故、手を付けているのか謎だった。それを聞いたポイ子はひとしきりもぐもぐした後、お皿に向かってヴェーッと吐き出そうとする。
「うおおっ!だ……出すな!何やってんだ飲みこめぇ!!」
出しかけた咀嚼物をのどに流し込む。信じられないといった目でポイ子を見る春田。その視線に晒されたポイ子はポッという音が似合いそうな程、顔を赤らめて恥ずかしそうに見つめる。
「おいしそうだったもので……つい……」
「ついじゃねーよ、擬態ついでに常識も学べ」
チラリと小さな鉄板とご飯皿を一瞥して、状態を確認する。自分が切った分は確実に食べられているが
「何回、口付けた?」
「二口ですかね」
聞いたところで意味がない。
「まぁどのみち喰えないか……」
「え!ひどい!そんなに私が嫌いですか!?」
ポイ子は目に涙をためながら過剰に訴える。
「もう一度お前の種族を考えろポイズンスライム」
ため息をついてポイ子に転生後の体について教える。
「前の体と違うから、毒に耐性がないんだ…俺の事は今までより慎重に扱え」
それを聞いたポイ子はさっきまでの泣きそうな顔から涙が引いて、逆に顔がほころぶ。
「なぁんだ!そうだったんですね♪じゃ今はただの非力な人間ってことですね!」
「……もうちょい言い方ないか?」
そのポイ子のセリフに肩を落としながら落ち込む。
「あっ!あっ!じゃあ私のこと嫌いじゃないんですよね?」
「当たり前だ」
「おっ?即答!じゃあ私のこと、どう思ってます?」
ポイ子は自分がもし嫌われていたらと不安になっていて色々仕掛けていたようだ。そんなに不安にさせていたのかと少しだけ自分を自戒する。だが、こうもハッキリ聞かれると、
「いや……どうって……なぁ……」
恥ずかしい。
「ん?」
ズイッと詰め寄るポイ子。
「もういいだろ別に……」
顔を逸らしながら恥ずかしさに耐える春田。
「んん?」
「もういいから喰えよ!」
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