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第六十話 食事会
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案内されたのは豪華なホテルのビュッフェコーナーだった。
沢山食べるだろうことを考慮してか、好きなものが分からないので好きなものを取れることを考慮してか、あるいはそのどちらも理由に入ってそうな選択だった。
「なんだこれは?凄くうまそうだな!」「なんか楽しみ~」
ヤシャはその豪華さに舌を巻きつつよだれが出る。マレフィアも自分で取りに行く方式は初めてなのでワクワクしていた。
「喜んでいただけて何よりです」
自分たちの席に案内され、荷物を置くと滝澤が口を開く。
「それではお皿を取って、好きなものを取りましょう。菊池は席で待っていなさい」
「承知いたしました」
菊池は滝澤の命令に即答し、席に座る。
菊池がいつもの調子が戻って来た事に満足している。
「あ、そうだ。ポイ子も座って待ってろ」
「え?何でですか?」
ポイ子は本気のきょとん顔で春田に抗議する。言わずもがな彼女はポイズンスライム。万が一、食中毒がこの会場内で起こればホテルに多額の損害を与えてしまう。毒物が検出されれば、単なる食中毒で済まず、テロと報道される可能性も少なくない上、また魔法を使っての隠ぺい工作を図らなければならない。
「菊池が待ちますからポイ子さんもどうぞ」
「わーい」子供っぽく可愛く振舞う。本人も毒をばらまきたいわけではない事くらい分かっているが、この見た目に騙されては痛い目を見る。
春田たちを伴ってお皿が積み上げられた場所に行く。
「なるほど。この盆を持って皿の上に食べ物を置いていく方式か」
「そうだ。食べ物の前にはそれぞれ取るものが設置してあるから、専用の器具で皿に盛って行くんだ」
後ろにいるポイ子に振り向き。春田のお盆に皿を二つ乗っけた。
「こっちがポイ子の皿。んで、こっちが俺の皿だ」
「取ってくれるんですか?」
ポイ子は感激している。
「いいか?絶対食料に触るなよ?トングもお箸もおたまとかの専用器具にも触るな。お前が触ったら何もかもお終いだ。欲しいものがあれば俺に全部言え」
「はい!」元気のいい返事でニコニコ嬉しそうになった。
「おい聖也。甘やかすな。自分の物は自分に取らせるのが……」といった所でマレフィアから小突かれる。
「ポイ子ンの種族は?」
それを聞いた時、嫉妬の気持ちが失速し、理解が追い付く。
「如何されました?」
「何でもないよ。とっとと取ろうぜ」
………
ヤシャの前にはたくさんの皿が詰み上がっていた。
「これは……予想をはるかに超えますね……」
滝澤も驚きの食事量だった。そして、取ったおかずは全て残さず、骨だろうが殻だろうが口に放り込んではバリバリボリボリ食べられる物は全てなくなる。ハマグリの酒蒸しを貝の殻ごと行こうとした時は流石に止めたが、「骨も殻も変わらん」と豪快に全部いった。
「む……無茶苦茶だ……」
これには菊池もドン引き。
「あー……気にしないでくれ。こいつ体頑丈だからレスラーとかの類と思ってくれたら当てはまるかな?」
「凄い体格の良い方ですものね。なのに引き締まっているのは鍛えられているのでしょうか?」
お皿をウェイターに片づけてもらっている間にヤシャが一息つく。
「まぁそうだな。生半可ではここまで鍛え上げられないぞ?私も実は結構努力してこの力を手に入れたんだ」
袖をまくり上げ、力こぶを見せる。「はぁ~」と感心する滝澤に、ふふんと得意気になり意気揚々と話始める。
「何より大事なのは諦めず邁進する事だな。自分の目標を定め、そこを目指して日々精進だ」
人生の先輩風を吹かす。だが、相応の成果を見せられれば、菊池もヤシャの筋肉には脱帽する。
自身の1.5倍はありそうな力瘤は女性にしては筋肉が付きすぎともいえる。常人では到達しえない領域に立っている彼女は生まれ育ちが他と明らかに違うのだろうと教えられた。傲岸不遜でお嬢様に悪影響を与えかねない彼女は認めたくないが本物だ。
「菊地よ。そう凹むのではない。種族の違いこそお前たち人間と私を隔てる壁ではあるが、お前も強くなれる」
「しゅ?」ヤシャは鬼であり、人間とは隔絶した差がある。言いたいことは分かるが、現在のヤシャは人間に見えるよう魔法で弄っている。自分で正体をバラしていくのは馬鹿である。
「ヤシャっちは体の作りが違うから~、この子の言ってることは聞き流して~」
ヤシャも自分で言ったことは間違いがあったと感じ、席を立って新しい食べ物を取りに行った。
「まだ食うのか……」
誤魔化しでホテルの食料を食いつくしてしまいそうだ…。
沢山食べるだろうことを考慮してか、好きなものが分からないので好きなものを取れることを考慮してか、あるいはそのどちらも理由に入ってそうな選択だった。
「なんだこれは?凄くうまそうだな!」「なんか楽しみ~」
ヤシャはその豪華さに舌を巻きつつよだれが出る。マレフィアも自分で取りに行く方式は初めてなのでワクワクしていた。
「喜んでいただけて何よりです」
自分たちの席に案内され、荷物を置くと滝澤が口を開く。
「それではお皿を取って、好きなものを取りましょう。菊池は席で待っていなさい」
「承知いたしました」
菊池は滝澤の命令に即答し、席に座る。
菊池がいつもの調子が戻って来た事に満足している。
「あ、そうだ。ポイ子も座って待ってろ」
「え?何でですか?」
ポイ子は本気のきょとん顔で春田に抗議する。言わずもがな彼女はポイズンスライム。万が一、食中毒がこの会場内で起こればホテルに多額の損害を与えてしまう。毒物が検出されれば、単なる食中毒で済まず、テロと報道される可能性も少なくない上、また魔法を使っての隠ぺい工作を図らなければならない。
「菊池が待ちますからポイ子さんもどうぞ」
「わーい」子供っぽく可愛く振舞う。本人も毒をばらまきたいわけではない事くらい分かっているが、この見た目に騙されては痛い目を見る。
春田たちを伴ってお皿が積み上げられた場所に行く。
「なるほど。この盆を持って皿の上に食べ物を置いていく方式か」
「そうだ。食べ物の前にはそれぞれ取るものが設置してあるから、専用の器具で皿に盛って行くんだ」
後ろにいるポイ子に振り向き。春田のお盆に皿を二つ乗っけた。
「こっちがポイ子の皿。んで、こっちが俺の皿だ」
「取ってくれるんですか?」
ポイ子は感激している。
「いいか?絶対食料に触るなよ?トングもお箸もおたまとかの専用器具にも触るな。お前が触ったら何もかもお終いだ。欲しいものがあれば俺に全部言え」
「はい!」元気のいい返事でニコニコ嬉しそうになった。
「おい聖也。甘やかすな。自分の物は自分に取らせるのが……」といった所でマレフィアから小突かれる。
「ポイ子ンの種族は?」
それを聞いた時、嫉妬の気持ちが失速し、理解が追い付く。
「如何されました?」
「何でもないよ。とっとと取ろうぜ」
………
ヤシャの前にはたくさんの皿が詰み上がっていた。
「これは……予想をはるかに超えますね……」
滝澤も驚きの食事量だった。そして、取ったおかずは全て残さず、骨だろうが殻だろうが口に放り込んではバリバリボリボリ食べられる物は全てなくなる。ハマグリの酒蒸しを貝の殻ごと行こうとした時は流石に止めたが、「骨も殻も変わらん」と豪快に全部いった。
「む……無茶苦茶だ……」
これには菊池もドン引き。
「あー……気にしないでくれ。こいつ体頑丈だからレスラーとかの類と思ってくれたら当てはまるかな?」
「凄い体格の良い方ですものね。なのに引き締まっているのは鍛えられているのでしょうか?」
お皿をウェイターに片づけてもらっている間にヤシャが一息つく。
「まぁそうだな。生半可ではここまで鍛え上げられないぞ?私も実は結構努力してこの力を手に入れたんだ」
袖をまくり上げ、力こぶを見せる。「はぁ~」と感心する滝澤に、ふふんと得意気になり意気揚々と話始める。
「何より大事なのは諦めず邁進する事だな。自分の目標を定め、そこを目指して日々精進だ」
人生の先輩風を吹かす。だが、相応の成果を見せられれば、菊池もヤシャの筋肉には脱帽する。
自身の1.5倍はありそうな力瘤は女性にしては筋肉が付きすぎともいえる。常人では到達しえない領域に立っている彼女は生まれ育ちが他と明らかに違うのだろうと教えられた。傲岸不遜でお嬢様に悪影響を与えかねない彼女は認めたくないが本物だ。
「菊地よ。そう凹むのではない。種族の違いこそお前たち人間と私を隔てる壁ではあるが、お前も強くなれる」
「しゅ?」ヤシャは鬼であり、人間とは隔絶した差がある。言いたいことは分かるが、現在のヤシャは人間に見えるよう魔法で弄っている。自分で正体をバラしていくのは馬鹿である。
「ヤシャっちは体の作りが違うから~、この子の言ってることは聞き流して~」
ヤシャも自分で言ったことは間違いがあったと感じ、席を立って新しい食べ物を取りに行った。
「まだ食うのか……」
誤魔化しでホテルの食料を食いつくしてしまいそうだ…。
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