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第九十一話 困惑
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「おい、アリシア。ゲームはその辺でやめたらどうだ?」
ヤシャはいつまでもゲームをし続けるアリシアに文句を言う。
「なんでよ?こんなに面白いのにやめる必要とかある?」
視線をチラリとも外さず抗議する。
「それはお前はな。遊んでいるんだから当然やめたくないだろうけど、私たちのことも考えろ」
アリシアはゲームを一時停止してため息を吐いた後、ヤシャに振り向く。
「じゃ、どうする?対戦ゲームでもする?それなら皆で遊べるけど?」
「いや、ゲーム自体をやめろ。楽しいのは分かるが流石に飽きたぞ。何か別の映像を見せろ……というかお前は今日帰るんだから、荷物をまとめたらどうなんだ?」
ヤシャは仁王立ちで腕を組み、取りつく島のない強固な態度で小うるさく伝える。
「荷物ったって鎧だけだし、着たら終わりなんだから今すぐ着る必要ないでしょ。どうせ今日帰るんだから、ギリギリまでゲームやらせてよ」
「ぬぅ……」
向こうの世界にはゲームのような娯楽はない。満足するまでやらせとけば、帰る際に駄々をこねないかも知れない。ヤシャはこれ以上言わない方が後々良いのかもと思い始めた。
「……結局いつ帰るつもりなんじゃ?」
二人の言い合いを端から聞いていたナルルはニーナに質問した。
「さぁ……いつ帰りましょうねぇ」
「さぁ?!帰るんだよな?」
ヤシャはちょっと焦っている。万が一ここで「やっぱここに住む」など言われた場合どうするべきかと悩んでしまう。
「そう警戒しないで、ちゃんと帰るから」
ニーナは席を立って台所に向かい、冷蔵庫を開ける。牛乳を取り出したり、おやつ入れからクッキーを取り出したりと、まるで自宅のように自然な動きでリビングに戻ってくる。
昨日の今日、それも夜から朝にかけてのわずかな時間しかいなかったのに「長年住んでます」みたいな動きをされると焦りを通り越して戦慄が走る。ニーナにヘイトが集まったところでアリシアは一時停止を解除し、密かにゲームを再開した。
ピリッとした空気を感じたニーナはクッキーを頬張りつつ顔をほころばせる。
「やぁだぁ~、私人妻よ?あの魔王だって転生して10数年でしょ?こんなおばさんなんか興味無いでしょうに」
手招きするような形で一回手を振る。井戸端会議でおばちゃん達が多用する動作だ。
ババくさい言動だが、ニーナはモデル並みに整った肢体と、顔だけで食べていけるタイプの有名人のように綺麗なので、この言動は似合わない。これにはポイ子が反応した。
「そんなことないですよ。十分美人ですし、最近では年の差カップルなんてザラですから、興味はあるとおもいますよ?」
「え~?そう?」
美人に反応しニッコニコ。すごく嬉しそうにしている。そんな熱に当てられてかマレフィアが二度寝から目を覚まし、ボケーっとした顔でリビングにやってきた。
「楽しそ~ね~……なんの話~?」
マレフィアに事の経緯を説明すると、マレフィアはウンウン頷いてニーナの体を上から下、下から上と舐めるように眺める。
「そうねぇ……ニーナは~昔と比べたらかなりいい体になったよね~。思春期の男の子には刺激的だよ~。年の差カップルもいいけど~寝取られとかいう性癖もあるから~、ポイ子のいう通り興味無いなんて事はないと思うよ~」
「ネトラレ?それは何の事?」
マレフィアの話で突飛なところに飛んだ瞬間、ニーナとアリシア以外の四天王達が一斉に「ん?」と首をかしげた。ニーナが質問をした途端の出来事だったので、一瞬(え?自分で言ったのに答えがわからないの?)と不安になったがそうではないと気づく。その4人全員の目がテレビ側の壁を不思議そうに見ていたからだ。
「?……どうかしたの?」
その不思議な様子にアリシアも気づく。
「は?何よ……気味悪いわね……」
3人は微動だにしないが、ポイ子だけが首を動かさないまま返答する。
「お二人は気づきませんか?聖也様の気配が所定の位置から外れています。本来まだ帰る時間ではないのですが……」
ポイ子は心配そうな顔をしている。
「なんだ?サボりか?立派なことを言っているが、見てないところでやっていることはやっているんだな。全くしょうのない奴だ……」
ヤシャは呆れた顔を見せているが、昔の姿が重なるのか、懐かしさを感じてちょっと嬉しそうだった。
「うむ。わらわの事が恋しゅうなったんじゃなぁ……」
目を閉じて感慨に浸っている。それをみんな無視して気配を探る。
「あ、そういう事だったのね。も~聖ちゃんったら、だからついてこられたくなかったんだ。ヤシャさんのいう通りしょうのない子」
ニーナも3人の雰囲気に合わせてふざけ出した。お母さん感を出してくるニーナに敵対心を抱くヤシャ。一方的な対抗で勝手に睨んでいる視線の間をマレフィアはわざわざ通り過ぎる。視線を切られたヤシャは迷惑そうにマレフィアを目で追う。マレフィアはとととっと軽快に壁際に行くと飾られているカレンダーを見る。
「……なるほどね~」
一人納得しているマレフィアに視線が集まる。最初から見ていたヤシャが真っ先に声をかけた。
「何がだ?」
「今日は学校休みだよ」
それを聞いた途端、部屋の時間が停止したようにピタッと止まる。
「ぶふーっ!!あっはっはっは!!」アリシアが吹き出して笑い始めたところで時が動く。
「ううむ……これはどう言えばいいんだ?あいつは何の為に学校に行ったのか……」
「はっはっ!ただの勘違いでしょ!はっはっは……ふーっ可笑しい……」
「何か行く理由があったんですよ。でなければあれだけ自信満々に出ていかれるわけがありません……」
そこまで言って、ふと不安になる。
「私……ちょっと迎えに行ってきます」
ポイ子はスッと立ち上がる。
「ならばわらわも行こう」
ナルルはポイ子の後ろについていく。このポイ子の不安な対応にヤシャまで若干不安になってきた。
「え?……大丈夫なんだよな?」
それに対してアリシアはこの空気に辟易してきて、今度は冷静にツッコんだ。
「……いや、だからただの勘違いでしょ」
ヤシャはいつまでもゲームをし続けるアリシアに文句を言う。
「なんでよ?こんなに面白いのにやめる必要とかある?」
視線をチラリとも外さず抗議する。
「それはお前はな。遊んでいるんだから当然やめたくないだろうけど、私たちのことも考えろ」
アリシアはゲームを一時停止してため息を吐いた後、ヤシャに振り向く。
「じゃ、どうする?対戦ゲームでもする?それなら皆で遊べるけど?」
「いや、ゲーム自体をやめろ。楽しいのは分かるが流石に飽きたぞ。何か別の映像を見せろ……というかお前は今日帰るんだから、荷物をまとめたらどうなんだ?」
ヤシャは仁王立ちで腕を組み、取りつく島のない強固な態度で小うるさく伝える。
「荷物ったって鎧だけだし、着たら終わりなんだから今すぐ着る必要ないでしょ。どうせ今日帰るんだから、ギリギリまでゲームやらせてよ」
「ぬぅ……」
向こうの世界にはゲームのような娯楽はない。満足するまでやらせとけば、帰る際に駄々をこねないかも知れない。ヤシャはこれ以上言わない方が後々良いのかもと思い始めた。
「……結局いつ帰るつもりなんじゃ?」
二人の言い合いを端から聞いていたナルルはニーナに質問した。
「さぁ……いつ帰りましょうねぇ」
「さぁ?!帰るんだよな?」
ヤシャはちょっと焦っている。万が一ここで「やっぱここに住む」など言われた場合どうするべきかと悩んでしまう。
「そう警戒しないで、ちゃんと帰るから」
ニーナは席を立って台所に向かい、冷蔵庫を開ける。牛乳を取り出したり、おやつ入れからクッキーを取り出したりと、まるで自宅のように自然な動きでリビングに戻ってくる。
昨日の今日、それも夜から朝にかけてのわずかな時間しかいなかったのに「長年住んでます」みたいな動きをされると焦りを通り越して戦慄が走る。ニーナにヘイトが集まったところでアリシアは一時停止を解除し、密かにゲームを再開した。
ピリッとした空気を感じたニーナはクッキーを頬張りつつ顔をほころばせる。
「やぁだぁ~、私人妻よ?あの魔王だって転生して10数年でしょ?こんなおばさんなんか興味無いでしょうに」
手招きするような形で一回手を振る。井戸端会議でおばちゃん達が多用する動作だ。
ババくさい言動だが、ニーナはモデル並みに整った肢体と、顔だけで食べていけるタイプの有名人のように綺麗なので、この言動は似合わない。これにはポイ子が反応した。
「そんなことないですよ。十分美人ですし、最近では年の差カップルなんてザラですから、興味はあるとおもいますよ?」
「え~?そう?」
美人に反応しニッコニコ。すごく嬉しそうにしている。そんな熱に当てられてかマレフィアが二度寝から目を覚まし、ボケーっとした顔でリビングにやってきた。
「楽しそ~ね~……なんの話~?」
マレフィアに事の経緯を説明すると、マレフィアはウンウン頷いてニーナの体を上から下、下から上と舐めるように眺める。
「そうねぇ……ニーナは~昔と比べたらかなりいい体になったよね~。思春期の男の子には刺激的だよ~。年の差カップルもいいけど~寝取られとかいう性癖もあるから~、ポイ子のいう通り興味無いなんて事はないと思うよ~」
「ネトラレ?それは何の事?」
マレフィアの話で突飛なところに飛んだ瞬間、ニーナとアリシア以外の四天王達が一斉に「ん?」と首をかしげた。ニーナが質問をした途端の出来事だったので、一瞬(え?自分で言ったのに答えがわからないの?)と不安になったがそうではないと気づく。その4人全員の目がテレビ側の壁を不思議そうに見ていたからだ。
「?……どうかしたの?」
その不思議な様子にアリシアも気づく。
「は?何よ……気味悪いわね……」
3人は微動だにしないが、ポイ子だけが首を動かさないまま返答する。
「お二人は気づきませんか?聖也様の気配が所定の位置から外れています。本来まだ帰る時間ではないのですが……」
ポイ子は心配そうな顔をしている。
「なんだ?サボりか?立派なことを言っているが、見てないところでやっていることはやっているんだな。全くしょうのない奴だ……」
ヤシャは呆れた顔を見せているが、昔の姿が重なるのか、懐かしさを感じてちょっと嬉しそうだった。
「うむ。わらわの事が恋しゅうなったんじゃなぁ……」
目を閉じて感慨に浸っている。それをみんな無視して気配を探る。
「あ、そういう事だったのね。も~聖ちゃんったら、だからついてこられたくなかったんだ。ヤシャさんのいう通りしょうのない子」
ニーナも3人の雰囲気に合わせてふざけ出した。お母さん感を出してくるニーナに敵対心を抱くヤシャ。一方的な対抗で勝手に睨んでいる視線の間をマレフィアはわざわざ通り過ぎる。視線を切られたヤシャは迷惑そうにマレフィアを目で追う。マレフィアはとととっと軽快に壁際に行くと飾られているカレンダーを見る。
「……なるほどね~」
一人納得しているマレフィアに視線が集まる。最初から見ていたヤシャが真っ先に声をかけた。
「何がだ?」
「今日は学校休みだよ」
それを聞いた途端、部屋の時間が停止したようにピタッと止まる。
「ぶふーっ!!あっはっはっは!!」アリシアが吹き出して笑い始めたところで時が動く。
「ううむ……これはどう言えばいいんだ?あいつは何の為に学校に行ったのか……」
「はっはっ!ただの勘違いでしょ!はっはっは……ふーっ可笑しい……」
「何か行く理由があったんですよ。でなければあれだけ自信満々に出ていかれるわけがありません……」
そこまで言って、ふと不安になる。
「私……ちょっと迎えに行ってきます」
ポイ子はスッと立ち上がる。
「ならばわらわも行こう」
ナルルはポイ子の後ろについていく。このポイ子の不安な対応にヤシャまで若干不安になってきた。
「え?……大丈夫なんだよな?」
それに対してアリシアはこの空気に辟易してきて、今度は冷静にツッコんだ。
「……いや、だからただの勘違いでしょ」
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