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第116話 第一回戦
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第一回戦。
金網に囲まれたデスマッチを思わせるリングに上がったのは違法ドラッグの使用、売買で逮捕起訴され除籍された元レスラー。現在、髭のキックボクサーと同じく用心棒兼、裏の格闘賭博で身を削るその日暮らしに身をやつしている。参加するだけでも金になるという美味しい話に飛び付いたのは良かったが……。
(……あいつが子供扱いとは……あの女はなんだったんだ……?この大会のレベルはどうなっている?)
今日は軽く吸ってきた。多少ハイになっているとはいえ、現実味の無いことが起こり、幻覚でも見てるようだ。控室での騒動が後を引き、参加したことと粉を吸ったことに多少後悔していた。
体格に恵まれ、”破壊屋”と呼ばれた怖いものなしの大男はリタイアを考えるほど不安定になっていた。
(こんなことならもっと大量に吸っとくんだったぜ……)
そんな詮ないことを考えていると、いつの間にか自分の紹介を終えて対戦相手の紹介に入っていた。
『……対して、この凶悪レスラーに挑むのはこの大会の出資者であり、東グループの頭目。そして前大会優勝者でもある滝澤 剛蔵会長!!』
「……は?」
会場が揺れるほどの歓声が響き渡る。皆、滝澤会長の名前にボルテージを上げている。
(出資者が大会参加だと?そんな話聞いてないぞ?)
東グループの会長は御年80歳。年だけで見てもここに参加すべきではない事は明らかだ。つまりこれは八百長を示唆しているのだろうか?となれば最初から言ってくれれば交渉に応じたというのに、察しろとでもいうつもりか?応じれば金ももらえそうだしあのボクサーの様な矜持もない。だが、正直何も言わず八百長を察しろというのは人が悪い。自分の様に察せる人間ならともかく、万が一ドラッグを使っていたら何も考える事無く老人を嬲り殺している所だ。とは言えこれで退場できるなら願ってもない。右手を左手で覆ってポキリと何回か鳴らすとニヤリと笑う。
「一発くらいは事故で勘弁してくれねぇかなぁ?」
いつもの調子が戻ってきたところで選手入場だ。そこに現れたのは歳にしては若々しい背筋のピンと張った老人でも、ヨボヨボで杖を突きながら恰好だけが一人前の老人でもない。筋骨隆々で身長2mを超える白髪と白髭の偉丈夫。顔はしわだらけだろうが髭によって大半が隠れてしまっている。その眼光は人を何人か殺している。着物と袴を着ていて上半身を曝け出し、その筋肉を見せつける。筋肉の付き方が常人のそれではない。その筋肉のカット、キレを見るに作り物に近い筋肉だ。体は細かい傷が多く、多くの戦いを臭わせる。昔、版画で描かれた鬼の様な見た目に言葉を失った。
金網前に来ると黒服が入り口を開けて中にいざなう。金網を潜ると、リングに飛び上がった。床からリングマットまでの高さ1m。ロープを含めると2m100cm前後の高さをひとっ飛びで入ってきた。着地の衝撃がマット全体を揺らす。その一瞬、場内が鎮まる。着地の音が爆発音の様に鳴り響いたからだ。ぬぅっと立ち上がると腕を振り上げた。その瞬間「うおおおおっ」という男くさい歓声が響き渡る。
「人間じゃねぇ……」
生唾を飲んで会長を見ていた。整形による作り物の体だったら良かったのにと本気で思ったほど脅威的である。
「……一回戦の相手はキサマか、一度戦ってみたいと思っておった」
重厚で野太い声に圧倒される。元レスラーは現役レスラー時代は勿論、裏賭博で荒稼ぎした時にも見せなかった防御姿勢を取る。両腕を頭のすぐそばに上げて、一撃に耐えるカウンターの姿勢だ。あの脚力を鑑みると腕力も同様の力があると考えるのが妥当。頭に一発食らえば下手すれば死ぬ。
『待ちわびたこの瞬間!観客席の皆々様の事も考え、言葉で飾るのはもうやめましょう!それでは一回戦レディー……ファイ!!』
カァンッ
ゴングが鳴った。
「来い”破壊屋”。お前の力を見せて見ろ」
前大会チャンピオン。挑むのは元レスラー。会長が手を広げ攻撃を待っているのを確認すると、頭を庇いながら突進する。一発受けてくれるというなら全体重を乗っけて引き倒す。勢いが良ければ受け身が取れず後頭部を強打してお陀仏だ。100kg近い体重で猪ばりの突貫なら避けないと不味い。しかし、会長は手を広げたまま破壊屋が来るのを待つ。ドガッと肉がぶつかり合う凄まじい音が場内に響く。完璧なタイミングで破壊屋は諸手刈りを使う。膝に手を差し入れ、引き倒そうと試みた。しかし、倒れない。足はこのマットに根付く大木の様にビクともせず、雄大に破壊屋を支える。破壊屋は雄たけびを上げて押し続ける。絶対に諦めないという意思を持って諸手刈りを続行する。マットを抉る勢いであがくが、会長が押される事は無い。
「……この程度か?」
会長は右手で破壊屋の脇腹を小突く。「うっ!」と呻いて手足が緩んだのを確認すると、左手で破壊屋の右脇を抱え、マットに転がした。すぐさま起き上がるが、小突かれた脇腹に若干の痛みを感じる。ボディブローを5発は打たれたような鈍い痛みだ。持ち前の耐久力で痛みを我慢し、次の攻撃に移る。意外に素早い動きで体を左右に振ると体重移動を利用した遠心力による蹴りで会長の脇腹に蹴りを放つ。お返しだと言わんばかりの一撃だったが、ブーツ越しに感じたのは岩を蹴った様な痛み。続け様に興行なしの水平チョップで会長の胸を叩いた。常人なら悶絶必死な連携技。感触こそあったが痛がってすらいない。チョップで叩いた皮膚は一応赤くなっているのでダメージがないわけではないだろう。一気にロープまで下がって、ロープの張力を利用したラリアットを会長の首に入れる。本来ならマットに沈むのはラリアットを食らった会長のはずだが、ラリアットを放った本人が一回転してマットに落ちた。
(……通じねぇっ!!)
会長は仰向けに倒れた破壊屋の両手を持ち、一気に引き上げて立たせる。その膂力に耐えられず立たされて、会長の水平チョップが放たれる。パァンッと肉を叩いた甲高い音が鳴って同じ場所に仰向けに倒れた。勢いが良すぎて後頭部を強打した。痛みから後頭部を抱え悶絶していると、今度は肩を持ってグイッと立たせた。バタバタ足をバタつかせてもお構いなしだ。ロープに投げると、自分の意志とは関係なくロープの張力で体が会長の立つ場所まで飛んでいく。ラリアットの様に構えた腕に当たると、電柱に当たったように破壊屋が弾かれた。構えた腕は微動だにしない。
「わぁっ!!!」と歓声が上がる。傍から見ればプロレスそのものだ。破壊屋はよろよろと立ち上がる。目もぼんやりしていて限界が近い事が分かる。歯を食いしばり、頭を振ると最後の力を振り絞って後ろに下がる。十分な距離を稼ぎ、助走をつけた後両足を揃えて飛ぶ。全体重を乗せたドロップキックで会長の腹に一撃を入れる。頭の片隅で(多分無駄なあがきだ)と思いつつも、一矢報いたい気持ちに駆られての事だ。そして破壊屋の考えは的中する。何と言うか、ドロップキックを壁にはなった様な感触だ。会長のお腹に着地したと言って過言ではない。そのまま床に落ちる。衝撃で悶絶していると、脇を抱えられて立たされた。
「……ま、待て!頼む!もうやめてくれ!!」
命乞いをし始めた。
「俺はもう戦えない!棄権だ!棄権する!!」
「ダメだ。でかい金を払ったんだからな。その分は観客をにぎわせろ。それに……」
背中を抱え込んでグンッと垂直に持ち上げた。
「やめろ……やめろぉ……」
「一発は一発だ」
会長は破壊屋に対してブレーンバスターを決めた。
金網に囲まれたデスマッチを思わせるリングに上がったのは違法ドラッグの使用、売買で逮捕起訴され除籍された元レスラー。現在、髭のキックボクサーと同じく用心棒兼、裏の格闘賭博で身を削るその日暮らしに身をやつしている。参加するだけでも金になるという美味しい話に飛び付いたのは良かったが……。
(……あいつが子供扱いとは……あの女はなんだったんだ……?この大会のレベルはどうなっている?)
今日は軽く吸ってきた。多少ハイになっているとはいえ、現実味の無いことが起こり、幻覚でも見てるようだ。控室での騒動が後を引き、参加したことと粉を吸ったことに多少後悔していた。
体格に恵まれ、”破壊屋”と呼ばれた怖いものなしの大男はリタイアを考えるほど不安定になっていた。
(こんなことならもっと大量に吸っとくんだったぜ……)
そんな詮ないことを考えていると、いつの間にか自分の紹介を終えて対戦相手の紹介に入っていた。
『……対して、この凶悪レスラーに挑むのはこの大会の出資者であり、東グループの頭目。そして前大会優勝者でもある滝澤 剛蔵会長!!』
「……は?」
会場が揺れるほどの歓声が響き渡る。皆、滝澤会長の名前にボルテージを上げている。
(出資者が大会参加だと?そんな話聞いてないぞ?)
東グループの会長は御年80歳。年だけで見てもここに参加すべきではない事は明らかだ。つまりこれは八百長を示唆しているのだろうか?となれば最初から言ってくれれば交渉に応じたというのに、察しろとでもいうつもりか?応じれば金ももらえそうだしあのボクサーの様な矜持もない。だが、正直何も言わず八百長を察しろというのは人が悪い。自分の様に察せる人間ならともかく、万が一ドラッグを使っていたら何も考える事無く老人を嬲り殺している所だ。とは言えこれで退場できるなら願ってもない。右手を左手で覆ってポキリと何回か鳴らすとニヤリと笑う。
「一発くらいは事故で勘弁してくれねぇかなぁ?」
いつもの調子が戻ってきたところで選手入場だ。そこに現れたのは歳にしては若々しい背筋のピンと張った老人でも、ヨボヨボで杖を突きながら恰好だけが一人前の老人でもない。筋骨隆々で身長2mを超える白髪と白髭の偉丈夫。顔はしわだらけだろうが髭によって大半が隠れてしまっている。その眼光は人を何人か殺している。着物と袴を着ていて上半身を曝け出し、その筋肉を見せつける。筋肉の付き方が常人のそれではない。その筋肉のカット、キレを見るに作り物に近い筋肉だ。体は細かい傷が多く、多くの戦いを臭わせる。昔、版画で描かれた鬼の様な見た目に言葉を失った。
金網前に来ると黒服が入り口を開けて中にいざなう。金網を潜ると、リングに飛び上がった。床からリングマットまでの高さ1m。ロープを含めると2m100cm前後の高さをひとっ飛びで入ってきた。着地の衝撃がマット全体を揺らす。その一瞬、場内が鎮まる。着地の音が爆発音の様に鳴り響いたからだ。ぬぅっと立ち上がると腕を振り上げた。その瞬間「うおおおおっ」という男くさい歓声が響き渡る。
「人間じゃねぇ……」
生唾を飲んで会長を見ていた。整形による作り物の体だったら良かったのにと本気で思ったほど脅威的である。
「……一回戦の相手はキサマか、一度戦ってみたいと思っておった」
重厚で野太い声に圧倒される。元レスラーは現役レスラー時代は勿論、裏賭博で荒稼ぎした時にも見せなかった防御姿勢を取る。両腕を頭のすぐそばに上げて、一撃に耐えるカウンターの姿勢だ。あの脚力を鑑みると腕力も同様の力があると考えるのが妥当。頭に一発食らえば下手すれば死ぬ。
『待ちわびたこの瞬間!観客席の皆々様の事も考え、言葉で飾るのはもうやめましょう!それでは一回戦レディー……ファイ!!』
カァンッ
ゴングが鳴った。
「来い”破壊屋”。お前の力を見せて見ろ」
前大会チャンピオン。挑むのは元レスラー。会長が手を広げ攻撃を待っているのを確認すると、頭を庇いながら突進する。一発受けてくれるというなら全体重を乗っけて引き倒す。勢いが良ければ受け身が取れず後頭部を強打してお陀仏だ。100kg近い体重で猪ばりの突貫なら避けないと不味い。しかし、会長は手を広げたまま破壊屋が来るのを待つ。ドガッと肉がぶつかり合う凄まじい音が場内に響く。完璧なタイミングで破壊屋は諸手刈りを使う。膝に手を差し入れ、引き倒そうと試みた。しかし、倒れない。足はこのマットに根付く大木の様にビクともせず、雄大に破壊屋を支える。破壊屋は雄たけびを上げて押し続ける。絶対に諦めないという意思を持って諸手刈りを続行する。マットを抉る勢いであがくが、会長が押される事は無い。
「……この程度か?」
会長は右手で破壊屋の脇腹を小突く。「うっ!」と呻いて手足が緩んだのを確認すると、左手で破壊屋の右脇を抱え、マットに転がした。すぐさま起き上がるが、小突かれた脇腹に若干の痛みを感じる。ボディブローを5発は打たれたような鈍い痛みだ。持ち前の耐久力で痛みを我慢し、次の攻撃に移る。意外に素早い動きで体を左右に振ると体重移動を利用した遠心力による蹴りで会長の脇腹に蹴りを放つ。お返しだと言わんばかりの一撃だったが、ブーツ越しに感じたのは岩を蹴った様な痛み。続け様に興行なしの水平チョップで会長の胸を叩いた。常人なら悶絶必死な連携技。感触こそあったが痛がってすらいない。チョップで叩いた皮膚は一応赤くなっているのでダメージがないわけではないだろう。一気にロープまで下がって、ロープの張力を利用したラリアットを会長の首に入れる。本来ならマットに沈むのはラリアットを食らった会長のはずだが、ラリアットを放った本人が一回転してマットに落ちた。
(……通じねぇっ!!)
会長は仰向けに倒れた破壊屋の両手を持ち、一気に引き上げて立たせる。その膂力に耐えられず立たされて、会長の水平チョップが放たれる。パァンッと肉を叩いた甲高い音が鳴って同じ場所に仰向けに倒れた。勢いが良すぎて後頭部を強打した。痛みから後頭部を抱え悶絶していると、今度は肩を持ってグイッと立たせた。バタバタ足をバタつかせてもお構いなしだ。ロープに投げると、自分の意志とは関係なくロープの張力で体が会長の立つ場所まで飛んでいく。ラリアットの様に構えた腕に当たると、電柱に当たったように破壊屋が弾かれた。構えた腕は微動だにしない。
「わぁっ!!!」と歓声が上がる。傍から見ればプロレスそのものだ。破壊屋はよろよろと立ち上がる。目もぼんやりしていて限界が近い事が分かる。歯を食いしばり、頭を振ると最後の力を振り絞って後ろに下がる。十分な距離を稼ぎ、助走をつけた後両足を揃えて飛ぶ。全体重を乗せたドロップキックで会長の腹に一撃を入れる。頭の片隅で(多分無駄なあがきだ)と思いつつも、一矢報いたい気持ちに駆られての事だ。そして破壊屋の考えは的中する。何と言うか、ドロップキックを壁にはなった様な感触だ。会長のお腹に着地したと言って過言ではない。そのまま床に落ちる。衝撃で悶絶していると、脇を抱えられて立たされた。
「……ま、待て!頼む!もうやめてくれ!!」
命乞いをし始めた。
「俺はもう戦えない!棄権だ!棄権する!!」
「ダメだ。でかい金を払ったんだからな。その分は観客をにぎわせろ。それに……」
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