138 / 151
第137話 急げ
しおりを挟む
昼時ーー。
春田を抜いた6人は「ん?」と首を傾げた。この動きに覚えのあった春田は頭を抱える。
「マジか……今度は何が来たんだよ……」
アリシアたちが来た時に、ポイ子たちが突如虚空を見つめ出したのと同じ動きだ。異世界からの転移者がまた空気も読まずにやって来たのだろう。勘弁してくれと言わんばかりの春田を尻目に声をあげたたのはアリシアだった。
「お母さん。これって……」
「うん……そうね。間違いないわ」
ニーナまで意味深に呟く。
「勇者ですか?」
ポイ子が何気なく口を挟んだ。ここで迷わず「勇者」だと言えるのは、魔王最期の時に一緒にいたポイ子だけだろう。ヤシャ達三人も「あっ」と今気付いたように納得している。
「ええ?勇者本人が来ちゃったのか……もー、だから早く帰れって言ったのにー……」
大体、勇者の妻と一人娘が別の世界で安否の連絡を取る事も無く魔王の転生先にいるのだ。「その日の内に帰ってくるだろう」→「まぁ一日くらい……」→「流石に遅いのでは?」こうなる流れはすぐに予測できる。春田は自分の後頭部を撫で上げた後、顔を隠した。その様子を見てニーナは苦笑する。
「おい、何が可笑しい。勇者なんて来たらそれこそ大問題だろう。お前らが来る事よりヤバい事が起こっているのが分からないのか?」
ヤシャは腕を組んで吐き捨てるように睨みつける。
「まぁまぁ、そう怒らないでヤシャっち~。こうなる事は目に見えてたんだし、来ちゃったものはしょうがないでしょ?」
マレフィアは片手をプラプラさせながら軽く話す。それにナルルも続いた。
「その通りよな。それに狙いがアリシアとニーナなら勇者と共に今度こそ帰ってもらえば良い。もちろん誤解を解いてからのぅ」
「取り敢えずとっとと合流して被害がでないようにするぞ!ポイ子は蛇口を閉めたか確認!ヤシャはテレビを消して!アリシアは鎧を装着しろ!終わったら玄関に集合!!」
ビシッと指示を出す春田。支配者だった頃の名残か堂に入ってる。ポイ子は「はい!」という元気な声でキッチンから洗面所にかけて蛇口を閉めたか一つ一つ確認している。ヤシャはリモコンでピッとテレビを消した。
「うっさいわね~。あんたに言われずとも用意するわよ!ったく!」
アリシアは文句を垂れながら春田の部屋にのっしのっしと歩いていく。子犬達を連れて行くべきか迷ったが、勇者に殺されてはせっかく拾ってきたのに意味がない。仕方ないので適当な段ボールを身繕い、犬ように味の薄いご飯と捨てても良いタオルを入れて二匹を入れる。
「今日にでもケージを買うか……トイレ用の砂とか買うもの多そうだな……」
飼うと決めた以上致し方ない事ではあるが、色々揃えて準備が出来次第でも良かったのではなかったろうかと詮無い事を考える。だが多分先に相談されていたら考えることもなく駄目だとキッパリ断っただろうから、その考え事態を捨てることにした。
用意出来た面々は点呼を取り合うこともなく玄関先で一つ頷くと春田を先頭にゾロゾロと階段を降りていく。
行くべき場所はいつもの廃寺。元々神聖だった神社や寺は潰れてしまった後にも何かしらの力が自然に蓄えられており、外の世界との出入り口となってしまっているらしい。その為マレフィアは、魔王が死ぬ以前からちょくちょくこの世界に足を運んで楽しんでいたそうだ。
元の世界では戦争していたのに良い気なものだと思っていたが、そのおかげで今があるのだと思えば考え深い。
一行がせかせか世話しなく移動しているとポイ子が春田に耳打ちする。
「聖也様、どうやら勇者が動き出したようです」
「何っ!?不味いな……ニーナかアリシア!勇者の野郎を引き留めに走れ!」
「はぁ?イヤよ」
急に命令口調で言ったのでアリシアからの反発を受ける。イラっとしたが、自分も唐突すぎたと頭を切り替える。
「……野郎が動き出した。この世界を知らないのに急に移動すると色々被害が出る」
「うん、それは分かるわよ。でも何であたしらが……」
「俺らが真っ先に行くと戦闘になるだろ?話がややこしくなる前に対処してくれってこと。頼むから早くしてくれ」
「ああ、そういう……てか、最初からそう言って頼みなさいよ。突然命令するとか生意気な事しないで」
「くっ!!」春田はイライラで物に当たりたくなったが我慢して気を落ち着ける。これでお別れなのだから一旦ストレスを貯めて後で解消するのを選んだ。
「……悪かった。頼む」
頭を下げる春田。四天王の面々はアリシアの一連の行動から春田のお願いまでを見て一瞬手が出そうになるも、春田の選択で矛を納めた。主人が我慢してでも頭を下げたならそれを尊重するのが部下の勤め。
アリシアは意気揚々とふんぞり返りながら前に出て、春田を見下した後「仕方ないなぁ」と走っていった。
「……ニーナよ。やはり育て方を間違えとるのではないか?」
ナルルは四天王の怒りを親にぶつける。
「あはは……娘が失礼しました。一応学校では人当たりが良いらしいから、味方、つまり人に対しては礼を尽くすと思うの……まだ敵だと思ってるからあんな感じなんじゃないかなぁと……」
ニーナは反応を窺うように返答する。本音と建前の差が激しいと言うことだろう。それに関して何か言うつもりはないが、時と場合を考えて欲しいものだ。
こちらの都合なので真摯に伝えても反論されるのは目に見えているが……。
「よし、俺たちも急ごう」
アリシアの後を追って歩き出すが、すぐに呼び止められる。
「春田くん」
その声に覚えのあった春田はビクッと反応する。虎田だ。
「……ポイ子を残して他は先に行け。俺たちもすぐに追い付く」
ヤシャとマレフィアとニーナはそれに従って先を急ぐが、ナルルは立ち止まる。
「何故ポイ子なんじゃ?わらわで良かろう?」
こちら側にも命令を聞かないのが一人。ヤシャが一瞬凄い顔で振り向いたが、春田が小さい声で「行け行け!」と急かした為、渋々進んでいった。
それを尻目にポイ子が手を振って虎田を出迎える。
「虎田さんこんにちわ」
「こんにちわー……。なんかタイミング悪かったかな?」
「うん!」と言えたらどれだけ楽か。
「そんなこと無いよ。なんか用か?」
「いえ別に。ちょこっと外出たら出会えたから偶然だなーって」
(単なる挨拶程度か……)と胸を撫で下ろす。
「そっか……でも一人で出歩くのは危ないぜ?昨日の今日だし、今日は控えた方が良いと俺は思うけど?」
「今日は町に出る用事もないし、すぐに帰るよ。ありがとう心配してくれて」
他愛ない会話。正直勘弁してほしい。流行る気持ちを抑えて一生懸命笑顔を見せる。
ドパァンッ
その時凄まじい音が空に木霊した。爆竹程度の音なら誤魔化しも聞くが、花火のもう一つ上くらいの心胆を震わせる音が空気を震わせる。目を瞑って少し丸まった虎田は恐る恐る目を開ける。
「何……今の……?」
「どうなってる?アリシアが先行しただろ?なんで戦闘が始まるんだよ……」
春田は虎田を尻目に青ざめている。
「春田くん何か知ってるの?」
「おい、もう良いか?聖也。すぐに行くぞ」
ナルルがそれを遮る。春田も虎田に構っている暇がなくなった。
「悪い虎田さん!もう少し話したかったけど無理っぽい!気を付けて帰って!!」
ポイ子もナルルも走って春田に続く。あっという間走っていったのを見て虎田はポカンと呆けていた。
「えぇ?……何なの?本当に……」
春田を抜いた6人は「ん?」と首を傾げた。この動きに覚えのあった春田は頭を抱える。
「マジか……今度は何が来たんだよ……」
アリシアたちが来た時に、ポイ子たちが突如虚空を見つめ出したのと同じ動きだ。異世界からの転移者がまた空気も読まずにやって来たのだろう。勘弁してくれと言わんばかりの春田を尻目に声をあげたたのはアリシアだった。
「お母さん。これって……」
「うん……そうね。間違いないわ」
ニーナまで意味深に呟く。
「勇者ですか?」
ポイ子が何気なく口を挟んだ。ここで迷わず「勇者」だと言えるのは、魔王最期の時に一緒にいたポイ子だけだろう。ヤシャ達三人も「あっ」と今気付いたように納得している。
「ええ?勇者本人が来ちゃったのか……もー、だから早く帰れって言ったのにー……」
大体、勇者の妻と一人娘が別の世界で安否の連絡を取る事も無く魔王の転生先にいるのだ。「その日の内に帰ってくるだろう」→「まぁ一日くらい……」→「流石に遅いのでは?」こうなる流れはすぐに予測できる。春田は自分の後頭部を撫で上げた後、顔を隠した。その様子を見てニーナは苦笑する。
「おい、何が可笑しい。勇者なんて来たらそれこそ大問題だろう。お前らが来る事よりヤバい事が起こっているのが分からないのか?」
ヤシャは腕を組んで吐き捨てるように睨みつける。
「まぁまぁ、そう怒らないでヤシャっち~。こうなる事は目に見えてたんだし、来ちゃったものはしょうがないでしょ?」
マレフィアは片手をプラプラさせながら軽く話す。それにナルルも続いた。
「その通りよな。それに狙いがアリシアとニーナなら勇者と共に今度こそ帰ってもらえば良い。もちろん誤解を解いてからのぅ」
「取り敢えずとっとと合流して被害がでないようにするぞ!ポイ子は蛇口を閉めたか確認!ヤシャはテレビを消して!アリシアは鎧を装着しろ!終わったら玄関に集合!!」
ビシッと指示を出す春田。支配者だった頃の名残か堂に入ってる。ポイ子は「はい!」という元気な声でキッチンから洗面所にかけて蛇口を閉めたか一つ一つ確認している。ヤシャはリモコンでピッとテレビを消した。
「うっさいわね~。あんたに言われずとも用意するわよ!ったく!」
アリシアは文句を垂れながら春田の部屋にのっしのっしと歩いていく。子犬達を連れて行くべきか迷ったが、勇者に殺されてはせっかく拾ってきたのに意味がない。仕方ないので適当な段ボールを身繕い、犬ように味の薄いご飯と捨てても良いタオルを入れて二匹を入れる。
「今日にでもケージを買うか……トイレ用の砂とか買うもの多そうだな……」
飼うと決めた以上致し方ない事ではあるが、色々揃えて準備が出来次第でも良かったのではなかったろうかと詮無い事を考える。だが多分先に相談されていたら考えることもなく駄目だとキッパリ断っただろうから、その考え事態を捨てることにした。
用意出来た面々は点呼を取り合うこともなく玄関先で一つ頷くと春田を先頭にゾロゾロと階段を降りていく。
行くべき場所はいつもの廃寺。元々神聖だった神社や寺は潰れてしまった後にも何かしらの力が自然に蓄えられており、外の世界との出入り口となってしまっているらしい。その為マレフィアは、魔王が死ぬ以前からちょくちょくこの世界に足を運んで楽しんでいたそうだ。
元の世界では戦争していたのに良い気なものだと思っていたが、そのおかげで今があるのだと思えば考え深い。
一行がせかせか世話しなく移動しているとポイ子が春田に耳打ちする。
「聖也様、どうやら勇者が動き出したようです」
「何っ!?不味いな……ニーナかアリシア!勇者の野郎を引き留めに走れ!」
「はぁ?イヤよ」
急に命令口調で言ったのでアリシアからの反発を受ける。イラっとしたが、自分も唐突すぎたと頭を切り替える。
「……野郎が動き出した。この世界を知らないのに急に移動すると色々被害が出る」
「うん、それは分かるわよ。でも何であたしらが……」
「俺らが真っ先に行くと戦闘になるだろ?話がややこしくなる前に対処してくれってこと。頼むから早くしてくれ」
「ああ、そういう……てか、最初からそう言って頼みなさいよ。突然命令するとか生意気な事しないで」
「くっ!!」春田はイライラで物に当たりたくなったが我慢して気を落ち着ける。これでお別れなのだから一旦ストレスを貯めて後で解消するのを選んだ。
「……悪かった。頼む」
頭を下げる春田。四天王の面々はアリシアの一連の行動から春田のお願いまでを見て一瞬手が出そうになるも、春田の選択で矛を納めた。主人が我慢してでも頭を下げたならそれを尊重するのが部下の勤め。
アリシアは意気揚々とふんぞり返りながら前に出て、春田を見下した後「仕方ないなぁ」と走っていった。
「……ニーナよ。やはり育て方を間違えとるのではないか?」
ナルルは四天王の怒りを親にぶつける。
「あはは……娘が失礼しました。一応学校では人当たりが良いらしいから、味方、つまり人に対しては礼を尽くすと思うの……まだ敵だと思ってるからあんな感じなんじゃないかなぁと……」
ニーナは反応を窺うように返答する。本音と建前の差が激しいと言うことだろう。それに関して何か言うつもりはないが、時と場合を考えて欲しいものだ。
こちらの都合なので真摯に伝えても反論されるのは目に見えているが……。
「よし、俺たちも急ごう」
アリシアの後を追って歩き出すが、すぐに呼び止められる。
「春田くん」
その声に覚えのあった春田はビクッと反応する。虎田だ。
「……ポイ子を残して他は先に行け。俺たちもすぐに追い付く」
ヤシャとマレフィアとニーナはそれに従って先を急ぐが、ナルルは立ち止まる。
「何故ポイ子なんじゃ?わらわで良かろう?」
こちら側にも命令を聞かないのが一人。ヤシャが一瞬凄い顔で振り向いたが、春田が小さい声で「行け行け!」と急かした為、渋々進んでいった。
それを尻目にポイ子が手を振って虎田を出迎える。
「虎田さんこんにちわ」
「こんにちわー……。なんかタイミング悪かったかな?」
「うん!」と言えたらどれだけ楽か。
「そんなこと無いよ。なんか用か?」
「いえ別に。ちょこっと外出たら出会えたから偶然だなーって」
(単なる挨拶程度か……)と胸を撫で下ろす。
「そっか……でも一人で出歩くのは危ないぜ?昨日の今日だし、今日は控えた方が良いと俺は思うけど?」
「今日は町に出る用事もないし、すぐに帰るよ。ありがとう心配してくれて」
他愛ない会話。正直勘弁してほしい。流行る気持ちを抑えて一生懸命笑顔を見せる。
ドパァンッ
その時凄まじい音が空に木霊した。爆竹程度の音なら誤魔化しも聞くが、花火のもう一つ上くらいの心胆を震わせる音が空気を震わせる。目を瞑って少し丸まった虎田は恐る恐る目を開ける。
「何……今の……?」
「どうなってる?アリシアが先行しただろ?なんで戦闘が始まるんだよ……」
春田は虎田を尻目に青ざめている。
「春田くん何か知ってるの?」
「おい、もう良いか?聖也。すぐに行くぞ」
ナルルがそれを遮る。春田も虎田に構っている暇がなくなった。
「悪い虎田さん!もう少し話したかったけど無理っぽい!気を付けて帰って!!」
ポイ子もナルルも走って春田に続く。あっという間走っていったのを見て虎田はポカンと呆けていた。
「えぇ?……何なの?本当に……」
0
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた
季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】
気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。
手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!?
傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。
罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚!
人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ?
――――それ、オレなんだわ……。
昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。
そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。
妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる