一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

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第十四章 驚天動地

第三十八話 ハードモード

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 ──ピクッ

 異変が起こる直前、真っ先に気付いたのはミネルバだった。寝ていたはずの彼女はスッと首をもたげて開いた扉を凝視する。
 その視線にイーファが首を傾げる。自分が見られているわけでないと感じて後ろを振り向いた時、ミネルバはその隙を狙ったようにベッドから飛び降りて扉から出ていった。

「あっ、ミネルバちゃん」

 フッ

 イーファが名前を呼ぶと同時に灯りが消える。

「え?」

 全員の頭に疑問符が浮かび、突然の暗闇という緊張と恐怖が押し寄せる。ブレイドは立て掛けていたガンブレイドを手に取り、足の踏み場を探して床に降りる。

『……面白くなってきたな』

 ネレイドはニヤリと笑って立ち上がる。

「え?何の話?」

『ふふ……今に分かるさ』

 ネレイドの気配が徐々に薄くなっていく。気配の消失と共に肉体が消え、空気に溶けていった。

「……あの神様とことん歩かないね」

 アルルは呆れ気味に呟く。突然の暗闇で何が起こったのか分からないブレイドたちはスッと立ち上がり、動けるようにそれぞれが警戒し始めた。

「わたくし、姉様たちと合流します。とりあえずは大広間に集合ということで宜しいでしょうか?」

「ええ、それで行きましょう」

 イーファは丈の長いスカートを翻し、屈むように腰を低く風のように走り去る。イーファを見送った後、ブレイドはアルルを見る。

「アスロンさんは?」

「んー、魔力が供給されてないから、おじいちゃんも出て来られないよ。もしかしたら動力源に問題があるかも?」

「そうか……よし、それじゃ二手に分かれましょう。俺とアルルで動力源を確認に行きます。御三方はイーファさんたちと大広間で合流してもらって、そのまま待機しててくれます?」

「分カッタ。デモ気ヲ付ケテ、灰燼様ノ技術ト大魔導士ノ知識ガ対応出来無イ事態……ツマリ外カラノ干渉ダロウト考エラレルワ。万ガ一ノ時ハ戦ワズ、逃ゲニ徹スルノヨ」

 ジュリアの注意喚起に大きく頷き、別行動のために動き出す。そこで歩が突然足を止める。

「待って!……は、八大地獄が……!」

 危険を察知した歩。彼の特異能力は常時発動型の索敵と識別。魔障壁が使用不可となった現状、彼らを封印する術はない。この騒ぎに便乗して出てきてしまったらしい。

「……やはり始末しておくべきだったか……作戦変更です。アルルはジュリアさんと一緒に動力源を確認に行ってくれ。俺たち三人で八大地獄を捕獲、無理なら各個撃破する」

「ええ?なんで?」

「動力源は魔法使いのアルルの専門だ。ジュリアさんは戦える上に鼻が敏感だから、いち早く敵を察知出来るし、無理に戦わない危機回避能力もある。こんな時、危なげなく動力源まで辿り着けられるのは彼女だけだ。良いですか?ジュリアさん」

「ソウネ、ソウシマショウ」

 ジュリアは即座に切り替える。アンノウンもうんうん頷く。だが歩だけは一人おどおどして落ち着きがない。

「歩さん?どうかされましたか?」

「い、いやぁ、各個撃破ってさぁ……ぼ、僕は自信が無くて……」

「大丈夫です。あなたは強い。もし勝てそうになかったら、命を最優先に逃げてください。アンノウンさんもです」

「何を言ってるの?それじゃあなたはどうするのよ?」

「……奴らを殺します」

 八大地獄は全員を何とかしない限り延々と人員を補充してくる。終わりのない戦いに終止符を打つのは、物理的な死だけだ。

「良い覚悟ね。でも一人じゃ無理でしょ?」

「ええ、まぁ……でも何とかなります」

 伝説の怪魔剣ガンブレイド”デッドオアアライブ”を引っ提げ、戦いに挑む。

「歩さん。案内をお願いします。奴らを一人残らず消滅させるために……」



「ケルベロスの野郎……どこ行きやがった?」

「この船に乘っかてることは確かなのよねぇ……」

 テノスとティファルは大広間を見渡していた。一向に見つからないケルベロスにそろそろ嫌気がさしてきた。

「ねぇ~、何をしているのぉ?」

 急に声を掛けられて二人共驚いたが、そのおっとりとした喋り方は彼女を隠す罠。初戦を超えるのは、第一魔王”黒雲”の娘エレノア。

「……顔を焼かれたあの時の借りは返させてもらうぞ?」

「えぇ?もう治っているのにぃ?」
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