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第1章 追放の儀式
第6話「再構築の発動」
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建造物の修復から三週間が経っていた。一団は、その場所を「基地」から「町」へと変えていった。だが、問題は深刻だった。
食料がない。農業も、狩猟も、これまでのように機能していない。辺境の荒野では、何も育たず、動物もいない。
「坊ちゃん」
と、村長が報告しに来た。気づけば、皆が「坊ちゃん」呼びをしている。
「食料の備蓄が、あと十日で尽きます。どうしましょうか」
「十日か」
レオンは、思案した。外部から食料を買うことはできない。王国は、自分たちを追放者として見ており、取引しようとしない。
「だが、解決策がある」
と、レオンが言った。
「何ですか?」
「この大地を、農地に変える。そして、作物を育てるのだ」
「ここで?」
村長は、周囲を見渡した。辺境の荒野には、草一本育たない。
「それは、不可能では……」
「不可能ではない。難しいだけだ」
レオンは、立ち上がった。
「俺が、この大地を再構築する」
翌朝。レオンは、町の周辺に出た。広大な、枯れ果てた大地。
彼は、その中で立ち止まり、目を閉じた。古代遺跡で学んだ感覚。地面との対話。構造の理解。レオンは、この大地の「秘密」を感じようとした。
何故、ここには何も育たないのか。王国全体で、大地の魔力が失われているのか。それとも、ここ特有の問題があるのか。やがて、レオンは理解した。
この大地には、深い傷がある。古い魔力の暴走により、土壌が「毒」に汚染されているのだ。
だから、何も育たない。その毒は、どこから来たのか。レオンが、さらに深く探ると——
古い遺跡。この町の地下に、古代の魔導装置がある。それが、かつて暴走し、この大地に毒をもたらしたのだ。
「では、直すしかない」
レオンは、地面に手を置いた。そして、彼の力を、深く、深く、地面へと沈める。
最初は、何も見えなかった。だが、やがて、町の地面全体が微かに光り始めた。リナやミーナ、村長たちは、その光を見て、驚いた。
「坊ちゃん……何をしているのですか?」
と、ミーナが呟いた。
レオンは、答えず、ただ力を注ぎ続けた。彼の意識は、地面の奥深くにある。古代の魔導装置。その装置を理解する。
どのように機能していたのか。何故、暴走したのか。どうすれば、また機能するのか。すべてが、彼の脳裏に流れ込む。そして——
装置が、再起動した。地面が、ゆっくりと動く。古い機械の音。かすかな青白い光が、地面から漏れ出した。やがて、光が消える。
レオンは、意識を戻した。彼は、倒れていた。リナが、彼を支えた。
「坊ちゃん!」
「大丈夫だ。ただ、疲れただけ」
だが、レオンの身体は、大きく消耗していた。汗が、全身に流れている。手は、微かに震えている。
「何が起きたのですか?」
と、村長が聞いた。
「地下の装置を、再起動させた」
レオンは、呼吸を整えながら答えた。
「あれは、かつて大地に毒をもたらしたものだ。だが、今、俺が再構築した。毒を浄化する装置へ」
「本当ですか?」
村長が、大地に目を向けた。その瞬間だ。地面から、光が湧き出した。だが、それは前とは違う。青白く、淡い光ではなく、金色に輝く光だ。その光が、大地全体に広がっていく。やがて、触れられた土地から、小さな芽が出始めた。
草。木。やがて、小さな花も。
「これは……」
と、ミーナが泣いた。
「坊ちゃんが、大地を蘇らせた」
一団は、歓声を上げた。
数日後。その成長は、加速した。レオンが再構築した装置から放たれる光は、毎日、大地をより肥沃にしていった。やがて、町の周辺は、緑に覆われた。
そして、一団は、種を蒔いた。穀物。野菜。果実。すべてが、急速に育った。
「これは、奇跡です」
と、村長が言った。
「いや」
とレオンが答えた。
「これは、再構築だ。かつてあったものを、もう一度、正しい形に戻した」
だが、その代償は大きかった。レオンは、その後、数日間、ほぼ眠り続けた。彼の魔力は、完全に枯渇していたのだ。目覚めた時、彼は痩せ細っていた。
「坊ちゃん」
と、リナが心配そうに言った。
「これ以上、無理はしないでください」
「わかっている」
レオンは、窓から外を見た。町の周辺は、今や農地に変わっていた。緑の大地。
「だが、これはほんの始まりに過ぎない」
「何の始まりですか?」
「世界の再構築だ」
その夜。レオンは、ルリアと会った。彼女は、町で食堂を開いていた。
「レオン」
と、ルリアが言った。
「あなたの力は、本当に凄い。だけど……」
「だけど?」
「何か、おかしい」
ルリアは、レオンを見つめた。
「あなたは、自分の意思で力を使っているのに、何か違う何かに支配されているような」
「支配?」
「そう。古代遺跡から、あなたに何かが語りかけているの?」
レオンは、答えなかった。確かに。彼は、その声を聞いていた。古代遺跡での、あの声。
「再構築者よ。貴方が来ることを、待っていた」
その声は、この地下にもあるのだ。装置の中に。そして、彼女は、無意識のうちに、その声に従っている。
「ルリア」
と、レオンが言った。
「もし、俺が何かに支配されているなら?」
「なら、私が止めます」
ルリアは、強く言った。
「あなたは、人間です。何かの道具ではない」
その言葉は、レオンの心に刺さった。
翌朝。レオンは、一人で、地下の装置へ向かった。地面に開いた入口から、階段が下りている。彼は、その階段を降りた。
やがて、彼は、かつて見た古代遺跡と同じような空間に着いた。金色に輝く装置。そして、その中央に、鏡のような面がある。
レオンは、その鏡に近づいた。
「貴方は何か」
と、彼は声に出して聞いた。
鏡が光った。やがて、あの声が聞こえた。
「再構築者よ。貴方は、選ばれた者だ」
「選ばれた?誰に?」
「古代より、世界を守る者たちに。かつての文明が衰退した時、我らは一つの遺産を残した。それが、『再構築の力』」
「何故、俺なのか」
「貴方の血統だ。古き王家の末裔。その血に、再構築者の資質が眠っていた」
レオンは、その言葉に戸惑った。自分が、王家の末裔?
「俺は、アーデルハイト家の三男だ」
「そう。だが、アーデルハイト家も、その源は、古き王朝にある。なぜなら……」
装置が、さらに光った。
「この世界は、かつて、再構築者たちが作った。そして、今、その世界は、再び壊れようとしている」
「壊れている?」
「そう。王国の衰退も。大地の魔力の喪失も。すべては、古代の力が失われることによる」
「では、俺は何をすればいい」
「世界を、直すのだ。かつての栄光を取り戻し、すべてを再構築する」
その声は、命令ではなく、導きのようだった。だが、レオンは感じた。その導きの背後に、何か大きな意思があることを。
「わかった」
と、レオンは言った。
「俺は、世界を直す。だが、一つ条件がある」
「条件?」
「俺は、俺の意思で動く。何かに支配されるのではなく。そして、俺の仲間たちを、絶対に傷つけない」
装置は、静寂した。やがて、光が消えた。
「了解した。貴方は、自由だ。だが、貴方の力は、貴方が望むなら、世界を変えることができる」
その言葉を最後に、装置は静かになった。地上に戻ったレオンは、ルリアの元へ向かった。彼女は、食堂で、野菜を切っていた。
「ルリア」
「何ですか?」
「ありがとう」
「何がですか?」
「俺を、支配から守ってくれようとしたこと。その一言で、俺は気付いた。俺は、自分で選ぶ必要があるということを」
ルリアは、微かに微笑んだ。
「私たちは、もう王国に支配されないと誓ったのです。だから、古いものにも支配されるべきではありません」
「ああ」
レオンは、頷いた。
「では、行こう。俺たちは、新しい世界を作る。古いものに支配されず、自分たちの意思で」
ルリアは、レオンの手を取った。
「一緒に」
その日の夜。
一団は、篝火の周りに集まった。レオンは、みんなの前で宣言した。
「俺たちは、新しい国を作る。それは、王国の呪縛から自由な国だ。そして、古い秩序からも自由な国だ」
「どのような国ですか?」
と、ミーナが聞いた。
「みんなが、自分たちの力で生きることができる国。そして、みんなで、新しい世界を作ることができる国だ」
一団は、歓声を上げた。レオンは、空を見上げた。星々が、煌めいている。古代遺跡の声は、もう聞こえない。だが、彼の心には、新しい決意がある。
この世界を、自分たちの手で、正しく直す。その為に。
食料がない。農業も、狩猟も、これまでのように機能していない。辺境の荒野では、何も育たず、動物もいない。
「坊ちゃん」
と、村長が報告しに来た。気づけば、皆が「坊ちゃん」呼びをしている。
「食料の備蓄が、あと十日で尽きます。どうしましょうか」
「十日か」
レオンは、思案した。外部から食料を買うことはできない。王国は、自分たちを追放者として見ており、取引しようとしない。
「だが、解決策がある」
と、レオンが言った。
「何ですか?」
「この大地を、農地に変える。そして、作物を育てるのだ」
「ここで?」
村長は、周囲を見渡した。辺境の荒野には、草一本育たない。
「それは、不可能では……」
「不可能ではない。難しいだけだ」
レオンは、立ち上がった。
「俺が、この大地を再構築する」
翌朝。レオンは、町の周辺に出た。広大な、枯れ果てた大地。
彼は、その中で立ち止まり、目を閉じた。古代遺跡で学んだ感覚。地面との対話。構造の理解。レオンは、この大地の「秘密」を感じようとした。
何故、ここには何も育たないのか。王国全体で、大地の魔力が失われているのか。それとも、ここ特有の問題があるのか。やがて、レオンは理解した。
この大地には、深い傷がある。古い魔力の暴走により、土壌が「毒」に汚染されているのだ。
だから、何も育たない。その毒は、どこから来たのか。レオンが、さらに深く探ると——
古い遺跡。この町の地下に、古代の魔導装置がある。それが、かつて暴走し、この大地に毒をもたらしたのだ。
「では、直すしかない」
レオンは、地面に手を置いた。そして、彼の力を、深く、深く、地面へと沈める。
最初は、何も見えなかった。だが、やがて、町の地面全体が微かに光り始めた。リナやミーナ、村長たちは、その光を見て、驚いた。
「坊ちゃん……何をしているのですか?」
と、ミーナが呟いた。
レオンは、答えず、ただ力を注ぎ続けた。彼の意識は、地面の奥深くにある。古代の魔導装置。その装置を理解する。
どのように機能していたのか。何故、暴走したのか。どうすれば、また機能するのか。すべてが、彼の脳裏に流れ込む。そして——
装置が、再起動した。地面が、ゆっくりと動く。古い機械の音。かすかな青白い光が、地面から漏れ出した。やがて、光が消える。
レオンは、意識を戻した。彼は、倒れていた。リナが、彼を支えた。
「坊ちゃん!」
「大丈夫だ。ただ、疲れただけ」
だが、レオンの身体は、大きく消耗していた。汗が、全身に流れている。手は、微かに震えている。
「何が起きたのですか?」
と、村長が聞いた。
「地下の装置を、再起動させた」
レオンは、呼吸を整えながら答えた。
「あれは、かつて大地に毒をもたらしたものだ。だが、今、俺が再構築した。毒を浄化する装置へ」
「本当ですか?」
村長が、大地に目を向けた。その瞬間だ。地面から、光が湧き出した。だが、それは前とは違う。青白く、淡い光ではなく、金色に輝く光だ。その光が、大地全体に広がっていく。やがて、触れられた土地から、小さな芽が出始めた。
草。木。やがて、小さな花も。
「これは……」
と、ミーナが泣いた。
「坊ちゃんが、大地を蘇らせた」
一団は、歓声を上げた。
数日後。その成長は、加速した。レオンが再構築した装置から放たれる光は、毎日、大地をより肥沃にしていった。やがて、町の周辺は、緑に覆われた。
そして、一団は、種を蒔いた。穀物。野菜。果実。すべてが、急速に育った。
「これは、奇跡です」
と、村長が言った。
「いや」
とレオンが答えた。
「これは、再構築だ。かつてあったものを、もう一度、正しい形に戻した」
だが、その代償は大きかった。レオンは、その後、数日間、ほぼ眠り続けた。彼の魔力は、完全に枯渇していたのだ。目覚めた時、彼は痩せ細っていた。
「坊ちゃん」
と、リナが心配そうに言った。
「これ以上、無理はしないでください」
「わかっている」
レオンは、窓から外を見た。町の周辺は、今や農地に変わっていた。緑の大地。
「だが、これはほんの始まりに過ぎない」
「何の始まりですか?」
「世界の再構築だ」
その夜。レオンは、ルリアと会った。彼女は、町で食堂を開いていた。
「レオン」
と、ルリアが言った。
「あなたの力は、本当に凄い。だけど……」
「だけど?」
「何か、おかしい」
ルリアは、レオンを見つめた。
「あなたは、自分の意思で力を使っているのに、何か違う何かに支配されているような」
「支配?」
「そう。古代遺跡から、あなたに何かが語りかけているの?」
レオンは、答えなかった。確かに。彼は、その声を聞いていた。古代遺跡での、あの声。
「再構築者よ。貴方が来ることを、待っていた」
その声は、この地下にもあるのだ。装置の中に。そして、彼女は、無意識のうちに、その声に従っている。
「ルリア」
と、レオンが言った。
「もし、俺が何かに支配されているなら?」
「なら、私が止めます」
ルリアは、強く言った。
「あなたは、人間です。何かの道具ではない」
その言葉は、レオンの心に刺さった。
翌朝。レオンは、一人で、地下の装置へ向かった。地面に開いた入口から、階段が下りている。彼は、その階段を降りた。
やがて、彼は、かつて見た古代遺跡と同じような空間に着いた。金色に輝く装置。そして、その中央に、鏡のような面がある。
レオンは、その鏡に近づいた。
「貴方は何か」
と、彼は声に出して聞いた。
鏡が光った。やがて、あの声が聞こえた。
「再構築者よ。貴方は、選ばれた者だ」
「選ばれた?誰に?」
「古代より、世界を守る者たちに。かつての文明が衰退した時、我らは一つの遺産を残した。それが、『再構築の力』」
「何故、俺なのか」
「貴方の血統だ。古き王家の末裔。その血に、再構築者の資質が眠っていた」
レオンは、その言葉に戸惑った。自分が、王家の末裔?
「俺は、アーデルハイト家の三男だ」
「そう。だが、アーデルハイト家も、その源は、古き王朝にある。なぜなら……」
装置が、さらに光った。
「この世界は、かつて、再構築者たちが作った。そして、今、その世界は、再び壊れようとしている」
「壊れている?」
「そう。王国の衰退も。大地の魔力の喪失も。すべては、古代の力が失われることによる」
「では、俺は何をすればいい」
「世界を、直すのだ。かつての栄光を取り戻し、すべてを再構築する」
その声は、命令ではなく、導きのようだった。だが、レオンは感じた。その導きの背後に、何か大きな意思があることを。
「わかった」
と、レオンは言った。
「俺は、世界を直す。だが、一つ条件がある」
「条件?」
「俺は、俺の意思で動く。何かに支配されるのではなく。そして、俺の仲間たちを、絶対に傷つけない」
装置は、静寂した。やがて、光が消えた。
「了解した。貴方は、自由だ。だが、貴方の力は、貴方が望むなら、世界を変えることができる」
その言葉を最後に、装置は静かになった。地上に戻ったレオンは、ルリアの元へ向かった。彼女は、食堂で、野菜を切っていた。
「ルリア」
「何ですか?」
「ありがとう」
「何がですか?」
「俺を、支配から守ってくれようとしたこと。その一言で、俺は気付いた。俺は、自分で選ぶ必要があるということを」
ルリアは、微かに微笑んだ。
「私たちは、もう王国に支配されないと誓ったのです。だから、古いものにも支配されるべきではありません」
「ああ」
レオンは、頷いた。
「では、行こう。俺たちは、新しい世界を作る。古いものに支配されず、自分たちの意思で」
ルリアは、レオンの手を取った。
「一緒に」
その日の夜。
一団は、篝火の周りに集まった。レオンは、みんなの前で宣言した。
「俺たちは、新しい国を作る。それは、王国の呪縛から自由な国だ。そして、古い秩序からも自由な国だ」
「どのような国ですか?」
と、ミーナが聞いた。
「みんなが、自分たちの力で生きることができる国。そして、みんなで、新しい世界を作ることができる国だ」
一団は、歓声を上げた。レオンは、空を見上げた。星々が、煌めいている。古代遺跡の声は、もう聞こえない。だが、彼の心には、新しい決意がある。
この世界を、自分たちの手で、正しく直す。その為に。
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