追放された貴族は《再構築》の力で世界を直す

自ら

文字の大きさ
7 / 57
第1章 追放の儀式

第7話「目覚める遺跡の声」

しおりを挟む
その夜の三日後。レオンは、再び地下へ向かった。今回は、ルリアとリナが付き添った。

「坊ちゃん。本当に大丈夫ですか?」

と、リナが心配そうに言った。

「ああ。今度は、ただ話を聞きに来ただけだ」

三人は、古代装置のある空間へ到着した。装置は、静かに光っていた。

「これは……」

と、ルリアが呟いた。

「古代文明の遺跡。本当に存在していたのですね」

「ああ。そして、これは単なる遺跡ではない。ネットワークだ」

レオンは、装置の周りを見回った。

「壁に見えるこれらは、何か?」

と、リナが聞いた。

「記録」

レオンは、壁に刻まれた古い文字を見つめた。

「古代文明の記録だ。彼らが何をしたのか、何を夢見ていたのか、すべてが刻まれている」

レオンは、壁に手を置いた。すると、装置が反応した。光が、更に強くなる。やがて、映像のようなものが、空中に浮かび上がった。

古代文明。数千年前の世界。栄えた都市。高い塔。多くの人々。そして、空を飛ぶ魔法の乗り物。大地から湧き出す、無限の魔力。

「これは……何ですか?」

と、ルリアが呟いた。

「古代の世界」

と、装置の声が響いた。その声は、前よりもはっきりしていた。

「我ら古代人は、魔力を完全に支配していた。天候も、大地も、すべてが我らの手の内にあった」

映像が続く。だが、やがて、それは変わった。

暗い雲が、空を覆う。大地が、割れ始める。都市が、崩壊していく。

「何が起きたのですか?」

と、リナが聞いた。

「暴走」

装置の声が答えた。

「我らの魔力が、暴走した。制御しきれなくなったのだ。その結果、我ら古代人のほぼすべてが、滅亡した」

映像は、より激しくなった。炎。地震。魔力の暴走。人々の悲鳴。やがて、すべてが静寂に包まれた。

「我らは、その時、決断した」

装置が続ける。

「すべてを失うことになっても、この技術と力を保存する。そして、遠い未来の世代のために、『再構築者』を探し出すプログラムを設置した」

「再構築者?」

と、レオンが聞いた。

「貴方だ」

装置は、レオンを指差すように光った。

「我らは、古き血統の中に、再構築の力を眠らせておいた。それが、千年ごと、万年ごとに目覚め、世界を正すことを望んでいた」
「つまり、俺は、古代人に作られた?」
「いや」

装置の声は、静かになった。

「貴方は、自然に進化した。だが、貴方の血統に、我らの遺伝子が混ざっていた。その結果、貴方は、再構築者として目覚めたのだ」

映像は、さらに続いた。古代人たちが、世界の各地に遺跡を建設する姿。その中で、彼らが何かを保存している。
力。知識。技術。そして、最後に、一つの大きな装置が映される。

「これは?」

と、レオンが聞いた。

「世界再構築装置」

装置が答えた。

「もし、世界が完全に崩壊する時が来たなら、この装置を使い、すべてを初期化することができる。その時、貴方たちが必要になる」
「初期化?」
「そう。世界のすべての歴史と記録を、一度リセットし、新しく始めるのだ」

レオンは、その言葉に震えた。

「つまり、俺たちは、そのためだけに存在している?」
「いや」

装置の声は、異なる音色になった。

「貴方たちは、選ぶ自由がある。世界を直すか、それとも、世界を初期化するか」
「では、今、世界はどのような状態なのか?」

と、ルリアが聞いた。

「衰退」

装置が答えた。

「古代の魔力は、徐々に消えていっている。王国は、その力を失い、衰退している。大地の魔力も、日に日に失われている」

映像が、現在の王国の姿を映す。緑の減少。人口の減少。貴族社会の腐敗。

「このままいくと、何が起きる?」

と、レオンが聞いた。

「滅亡」

装置が、単語だけで答えた。

「五十年以内に、王国は完全に衰退する。そして、その後、大陸全体が荒廃する。そして、百年以内に、世界は再構築装置の起動を待つ状態になる」
「では、俺たちは何をすればいい?」

と、レオンが強く言った。

「世界を直すのだ」

装置が答えた。

「貴方の再構築の力を使い、失われた魔力を復活させる。大地を正す。人々を導く。そして、新しい秩序を作る」
「それは、可能なのか?」
「不可能ではない。だが、非常に困難だ。貴方一人では、不可能だ」
「では、何が必要か?」
「協力者」

装置が答えた。

「他の再構築者たち。古き血統を持つ者たち。彼らと共に、世界を直す必要がある」
「他の再構築者?」

と、ルリアが聞いた。

「世界のどこかに、存在している」

装置が答えた。

「我らが予定していた、再構築者たち。彼らも、もう目覚めている可能性が高い」

映像が消えた。装置は、再び静かになった。

「理解できたか?」

と、装置の声が聞いた。

「はい」

と、レオンが答えた。

「俺たちは、世界を直す。そのために、仲間を探す。そして、古代人の遺産を使い、新しい世界を作る」
「それが、貴方の選択か?」
「ああ」

レオンは、強く頷いた。

「ただし、条件がある」
「条件?」
「俺たちは、自分たちの意思で動く。古代の指示に従うのではなく。そして、世界を直す時、人々の自由を守る。支配ではなく、協力で」

装置は、静寂した。長い、静寂。やがて、装置が光った。

「了解した。貴方は、自由だ。そして、貴方の使命は、自分で選ぶことができる」
「ありがとう」

レオンは、地下から上がることにした。ルリアとリナが、後に続いた。

地上に戻ると、太陽は昇っていた。朝だ。一団は、まだ眠っていた。

レオンは、ルリアとリナを連れ、町の高いところへ向かった。そこから、周囲が見える。

緑の大地。農地。そして、远方には、王国の領土が見えた。

「ルリア」

と、レオンが言った。

「ここから、俺たちは何をする?」
「何ですか?」
「古代人は、他の再構築者を探すことを求めている。だが、それは俺たちの目的ではない」
「では、目的は?」
「ここから、国を作ることだ。小さな国。だが、本当に人々が自由に生きることができる国。そこから、世界を変えていく」

ルリアは、その言葉を聞いて、微かに微笑んだ。

「わかりました」
「そして、もし必要になれば、他の再構築者たちとも協力する。ただし、自分たちの意思で」
「ええ」

リナが頷いた。

「我らは、自分たちの道を、自分たちで作ります」

その日、レオンは一団に報告した。古代文明の存在。世界の衰退。そして、彼らの使命。

一団は、その話を聞いても、騒がなかった。というより、彼らは既に覚悟していたのだ。レオンについて行くことで、何か大きな出来事に関わるであろうということを。

「では、どうするのですか?」

と、ミーナが聞いた。

「ここから、本当の国造りを始める」

レオンが答えた。

「ここを、王国とは違う、新しい国に作り替える。そして、この国から、世界を変えていく」
「どのように変えるのですか?」
「わかりません」

レオンは、正直に答えた。

「だが、一步ずつ進みます。そして、みんなで新しい世界を作ります」

一団は、その言葉に、再び歓声を上げた。


その夜。レオンは、一人で、城の最上階に立っていた。
(正確には、修復した建造物だが、彼らはそれを「城」と呼ぶようになっていた)

星々が、空を埋めていた。彼は、古代装置から聞いた言葉を反復した。

「世界を直す」
「古き血統」
「再構築者」

すべてが、現実のように感じられた。だが、同時に、彼は理解していた。古代人の計画は、あくまで「計画」に過ぎない。現実は、彼たちの手で作られなければならない。

「坊ちゃん」

と、リナが、階段から上ってきた。

「一人ですか?」
「ああ。少し、考え事をしていた」
「何を考えているのですか?」
「俺たちが、本当に世界を直すことができるのか」

リナは、その言葉を聞いて、微かに微笑んだ。

「できます」
「何故、そう言い切る?」
「貴方が、すでにここまで来たから」

リナは、城から見える景色を指差した。

緑の大地。農地。そして、灯火に照らされた町。

「数週間前、ここは何もない荒野でした。だが、今は?」
「ああ」

レオンは、それを見つめた。

「人々が生きることができる場所になった」
「そうです。貴方は、すでに世界を直し始めています」

その言葉が、レオンの心に刺さった。

「では、進みましょう」

と、彼は呟いた。

「新しい世界を作るために」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

​『追放された底辺付与術師、実は【全自動化】のチートスキル持ちでした〜ブラックギルドを追い出されたので、辺境で商会を立ち上げたら勝手に世界規

NagiKurou
ファンタジー
​「お前のような、一日中デスクに座って何もしない無能はクビだ!」 国内最大のギルド『栄光の剣』で、底辺の付与術師として働いていたアルスは、ある日突然、強欲なギルドマスターから追放を言い渡される。 しかし、彼らは知らなかった。ギルドの武器の自動修復、物流の最適化、資金管理に至るまで、すべてアルスの固有スキル【全自動化(ワークフロー構築)】によって完璧にシステム化され、回っていたことを。 「俺がいなくなったら、あの自動化システム、全部止まるけど……まあいいか」 管理権限を解除し、辺境へと旅立ったアルス。彼は自身のスキルを使って、圧倒的な耐久力を誇る銀色の四輪型重装ゴーレムを作り出し、気ままな行商を始める。 一度構築すれば無限に富を生み出す「全自動」のチートスキルで、アルスの商会は瞬く間に世界規模へとスケールしていく! 一方、すべてを失ったギルドは、生産ラインが崩壊し、絶望のどん底へと突き落とされていくのだった……。

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...