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1章-崩壊
第10話「孤独への回帰」
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目が覚めた。
体が重い。まるで鉛が詰まっているかのように、動かすのが辛い。
俺はゆっくりと起き上がった。周囲を見る。
焼け野原だ。
集落があった場所は、全てが焼けている。建物は崩れ、地面は黒く焦げている。まるで戦場の跡地のようで、いや、実際にここは戦場だったのだろう。俺が引き起こした、一方的な破壊の痕跡だ。
人の気配はない。皆、逃げたのだろう。俺から。化け物から。
俺は立ち上がった。足元がふらつく。
美咲は、どこだ。
俺は周囲を探した。焼けた瓦礫の中を、歩く。
そして、見つけた。
美咲の遺体だ。
焼けている。顔も、体も、全てが焼けている。だが、それでも美咲だと分かる。いつも優しい笑顔を見せてくれた美咲が、今は焼け焦げた遺体となって、地面に横たわっている。
俺が、焼いた。
俺が、美咲を殺した。
守るはずだった。守ると決めた。だが、守れなかった。それどころか、俺が殺した。
俺は美咲の遺体の前に座り込んだ。
「ごめん」
俺は呟いた。
「ごめん、美咲さん」
だが、美咲は答えない。もう、二度と笑顔を見せることはない。
左腕が呟く。
「俺のせいだ」
「違う。俺の責任だ」
俺は立ち上がった。
美咲を、埋葬しなければ。
俺は近くの瓦礫を片付けて、地面を掘った。素手で掘る。手が痛い。爪が割れる。だが、止まらない。
穴を掘って、美咲の遺体を、そっと横たえた。
土をかける。美咲の顔が、土に覆われていく。もう、見えなくなる。
墓を作った。瓦礫で墓標を立てる。
俺は墓の前に座った。
「ごめん」
また、呟いた。
「また、守れなかった」
母。妹。高橋。三田。そして、美咲。
皆、死んだ。俺が、守れなかった。
「もう、誰とも関わらない」
俺は立ち上がった。
「一人で、生きる」
左腕が何か言おうとしたが、俺は聞かなかった。
俺は集落を去った。
荷物を持って、一人で歩き始めた。
どこへ行くのか、分からない。ただ、ここから離れたかった。美咲の墓から、焼け野原から、全てから離れたかった。
街を歩く。廃墟の街を、一人で歩く。
冬が来ていた。雪が降り始めている。冷たい雪が、俺の顔に当たる。
俺は歩き続けた。
それから、一年間、俺は放浪した。
東京を離れて、他の都市へ行った。横浜、川崎、千葉。どこも同じだった。廃墟と魔物しかない。人はいない。いや、時々、生存者を見かけることはあった。だが、俺は関わらなかった。すぐに去った。もう、誰とも関わりたくない。また失いたくない。
俺は一人で生き延びた。魔物を倒し、食料を集め、ただ生きた。
季節が変わった。冬が終わり、春が来た。桜が咲いた。誰も見ない桜が、廃墟の街で咲いている。まるで人類の滅亡など関係ないかのように、自然は変わらず巡っている。
春が終わり、夏が来た。暑い。汗が流れる。俺は川で水を浴びた。
夏が終わり、秋が来た。紅葉が美しい。だが、誰も見ない。
秋が終わり、また冬が来た。
一年が経った。美咲が死んでから、一年が経った。
俺は、まだ生きている。
なぜ生きているのか、分からない。生きる理由も、目的も、何もない。ただ、生きている。
放浪を始めて一年が経ったとき、俺は再び東京に戻ることにした。
なぜか。自分でも分からない。ただ、東京に戻りたかった。
東京に、全てがあった。家族も、仲間も、全て。そして、全て失った。
だから、東京に戻る。
俺は東京へ向かって歩いた。数日かけて、東京に辿り着いた。
東京は相変わらず廃墟だった。崩壊したビル、錆びた車、草が生えた道路。何も変わっていない。まるで時間が止まっているかのように、東京はあの日のままだった。
俺はかつての自宅に行った。
瓦礫の山になっている。母と妹の墓がある。
俺は墓の前に座った。
「ただいま」
俺は呟いた。
「また、来たよ」
墓は何も答えない。
「俺は、弱かった」
俺は続けた。
「守れなかった。母さんも、妹も、高橋さんも、三田さんも、美咲さんも」
「皆、死んだ」
「俺が、守れなかった」
俺は顔を上げた。
「もう、誰とも関わらない」
「一人で、生きる」
「そして、いつか、死ぬ」
俺は立ち上がった。
東京のレッドゾーンで生活を始めることにした。
廃墟となったマンションの一室を拠点にした。窓から外が見える。街が見える。廃墟の街が。
俺は魔物を倒して、食料を集めて、ただ生きた。
誰とも話さない。左腕とだけ話す。
左腕も、最近はあまり話さなくなった。俺が答えないから。
時間が過ぎていく。
数ヶ月が経った。
俺は変わらない。ただ、生きている。
朝になれば、魔物を倒しに行く。夕方になれば、マンションに戻る。夜になれば、眠る。そして、また朝が来る。
同じ日が、繰り返される。
変化はない。
ある日、左腕が呟いた。
「このままでいいのか」
「これでいい」
「寂しくないのか」
「慣れた」
左腕は何も言わなくなった。
俺は窓の外を見た。
夜明け前だ。空が少し明るくなってきた。新しい一日が始まる。だが、昨日と同じ一日だ。
俺は立ち上がって、武器を手に取った。
今日も、魔物を倒しに行く。
マンションを出る。街を歩く。
廃墟の街を、一人で歩く。
朝日が昇り始めている。オレンジ色の光が、崩壊したビルを照らしている。まるで世界が燃えているかのような色だ。
俺は歩き続ける。
魔物の気配を探す。
そして、時間は現在に繋がる。
魔物出現から、二年が経った。
俺は、まだ生きている。
「終わらせる」
あの日、そう言った。
だが、何を終わらせるのか。
魔物を終わらせるのか。この世界を終わらせるのか。それとも、自分を終わらせるのか。
分からない。
ただ、生きている。
孤独に、虚無に、ただ生きている。
それが、今の俺だ。
体が重い。まるで鉛が詰まっているかのように、動かすのが辛い。
俺はゆっくりと起き上がった。周囲を見る。
焼け野原だ。
集落があった場所は、全てが焼けている。建物は崩れ、地面は黒く焦げている。まるで戦場の跡地のようで、いや、実際にここは戦場だったのだろう。俺が引き起こした、一方的な破壊の痕跡だ。
人の気配はない。皆、逃げたのだろう。俺から。化け物から。
俺は立ち上がった。足元がふらつく。
美咲は、どこだ。
俺は周囲を探した。焼けた瓦礫の中を、歩く。
そして、見つけた。
美咲の遺体だ。
焼けている。顔も、体も、全てが焼けている。だが、それでも美咲だと分かる。いつも優しい笑顔を見せてくれた美咲が、今は焼け焦げた遺体となって、地面に横たわっている。
俺が、焼いた。
俺が、美咲を殺した。
守るはずだった。守ると決めた。だが、守れなかった。それどころか、俺が殺した。
俺は美咲の遺体の前に座り込んだ。
「ごめん」
俺は呟いた。
「ごめん、美咲さん」
だが、美咲は答えない。もう、二度と笑顔を見せることはない。
左腕が呟く。
「俺のせいだ」
「違う。俺の責任だ」
俺は立ち上がった。
美咲を、埋葬しなければ。
俺は近くの瓦礫を片付けて、地面を掘った。素手で掘る。手が痛い。爪が割れる。だが、止まらない。
穴を掘って、美咲の遺体を、そっと横たえた。
土をかける。美咲の顔が、土に覆われていく。もう、見えなくなる。
墓を作った。瓦礫で墓標を立てる。
俺は墓の前に座った。
「ごめん」
また、呟いた。
「また、守れなかった」
母。妹。高橋。三田。そして、美咲。
皆、死んだ。俺が、守れなかった。
「もう、誰とも関わらない」
俺は立ち上がった。
「一人で、生きる」
左腕が何か言おうとしたが、俺は聞かなかった。
俺は集落を去った。
荷物を持って、一人で歩き始めた。
どこへ行くのか、分からない。ただ、ここから離れたかった。美咲の墓から、焼け野原から、全てから離れたかった。
街を歩く。廃墟の街を、一人で歩く。
冬が来ていた。雪が降り始めている。冷たい雪が、俺の顔に当たる。
俺は歩き続けた。
それから、一年間、俺は放浪した。
東京を離れて、他の都市へ行った。横浜、川崎、千葉。どこも同じだった。廃墟と魔物しかない。人はいない。いや、時々、生存者を見かけることはあった。だが、俺は関わらなかった。すぐに去った。もう、誰とも関わりたくない。また失いたくない。
俺は一人で生き延びた。魔物を倒し、食料を集め、ただ生きた。
季節が変わった。冬が終わり、春が来た。桜が咲いた。誰も見ない桜が、廃墟の街で咲いている。まるで人類の滅亡など関係ないかのように、自然は変わらず巡っている。
春が終わり、夏が来た。暑い。汗が流れる。俺は川で水を浴びた。
夏が終わり、秋が来た。紅葉が美しい。だが、誰も見ない。
秋が終わり、また冬が来た。
一年が経った。美咲が死んでから、一年が経った。
俺は、まだ生きている。
なぜ生きているのか、分からない。生きる理由も、目的も、何もない。ただ、生きている。
放浪を始めて一年が経ったとき、俺は再び東京に戻ることにした。
なぜか。自分でも分からない。ただ、東京に戻りたかった。
東京に、全てがあった。家族も、仲間も、全て。そして、全て失った。
だから、東京に戻る。
俺は東京へ向かって歩いた。数日かけて、東京に辿り着いた。
東京は相変わらず廃墟だった。崩壊したビル、錆びた車、草が生えた道路。何も変わっていない。まるで時間が止まっているかのように、東京はあの日のままだった。
俺はかつての自宅に行った。
瓦礫の山になっている。母と妹の墓がある。
俺は墓の前に座った。
「ただいま」
俺は呟いた。
「また、来たよ」
墓は何も答えない。
「俺は、弱かった」
俺は続けた。
「守れなかった。母さんも、妹も、高橋さんも、三田さんも、美咲さんも」
「皆、死んだ」
「俺が、守れなかった」
俺は顔を上げた。
「もう、誰とも関わらない」
「一人で、生きる」
「そして、いつか、死ぬ」
俺は立ち上がった。
東京のレッドゾーンで生活を始めることにした。
廃墟となったマンションの一室を拠点にした。窓から外が見える。街が見える。廃墟の街が。
俺は魔物を倒して、食料を集めて、ただ生きた。
誰とも話さない。左腕とだけ話す。
左腕も、最近はあまり話さなくなった。俺が答えないから。
時間が過ぎていく。
数ヶ月が経った。
俺は変わらない。ただ、生きている。
朝になれば、魔物を倒しに行く。夕方になれば、マンションに戻る。夜になれば、眠る。そして、また朝が来る。
同じ日が、繰り返される。
変化はない。
ある日、左腕が呟いた。
「このままでいいのか」
「これでいい」
「寂しくないのか」
「慣れた」
左腕は何も言わなくなった。
俺は窓の外を見た。
夜明け前だ。空が少し明るくなってきた。新しい一日が始まる。だが、昨日と同じ一日だ。
俺は立ち上がって、武器を手に取った。
今日も、魔物を倒しに行く。
マンションを出る。街を歩く。
廃墟の街を、一人で歩く。
朝日が昇り始めている。オレンジ色の光が、崩壊したビルを照らしている。まるで世界が燃えているかのような色だ。
俺は歩き続ける。
魔物の気配を探す。
そして、時間は現在に繋がる。
魔物出現から、二年が経った。
俺は、まだ生きている。
「終わらせる」
あの日、そう言った。
だが、何を終わらせるのか。
魔物を終わらせるのか。この世界を終わらせるのか。それとも、自分を終わらせるのか。
分からない。
ただ、生きている。
孤独に、虚無に、ただ生きている。
それが、今の俺だ。
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