女の子なのに能力【怪力】を与えられて異世界に転生しました~開き直って騎士を目指していたらイケメンハーレムができていた件~

沙寺絃

文字の大きさ
34 / 41

三十三話 決起会

しおりを挟む
 数日後。
 教官たちは話し合いの結果、ルゥの言っていることには信憑性があると判断した。特にクリフがもたらした証拠が大きかったようだ。
 クリフ自身は過去の罪状があるから騎士学校にやって来ることはなかったけど。彼の口から証言された内容と、彼が保管していた依頼状は大きな証拠となった。

 話はアルスターの領主である伯爵や、アルスター騎士団長にも届けられる。
 ルゥは彼らを味方につけると高らかに名乗りをあげ、ゲイリーの罪を白日の下に晒した。
 いつかゲイリーから表彰された会場に伯爵が人を集め、ルゥは声明を発表する。

「摂政アルフレッド=ゲイリーは、第一王子のアーサー=フレデリク=イリアステルならびに、この僕ルーファス=クリストファー=イリアステルの誘拐を企てました。ゲイリーは不自然なタイミングで殺戮の現場に現れて僕たちを保護すると、王子奪還の功績を手に、摂政の位まで上り詰めました」

 檀上に立ち弁舌を振るうルゥは、いつもの女装ではなく王子の礼装に身を包んでいる。

「しかし保護された時には健康体だった兄が数日後には人事不詳の状態に陥り、発話や自力歩行すら困難な状態になったのです。摂政はこれ幸いにと兄から実権を奪い、さながら自らが王であるかのように振る舞うようになりました。その兄が昨年亡くなると、今度は弟の僕に目をつけました。摂政のやり方を目の当たりにしてきた僕は、王家の血を絶やすまいと密かに王城を抜け出し、ここアルスターの地に身を隠していたのです」

 ルゥは一旦言葉を切ると、目を瞑って深く息を吸う。時間にして一呼吸。瞼を開くと、演説を再開した。

「そして先月、僕はついにゲイリーが王子誘拐に関与していた証拠を手に入れました。この依頼状が証拠の一部です。鑑定の結果、ゲイリーの筆跡と一致しています。先日の夜、僕を襲った暗殺者もゲイリーに依頼された資格であると白状しました。皆さまに宣言します! 僕は自分の命が惜しいから、ゲイリーを糾弾するのではありません。民の意志により王家が解体されるのであれば、それも定めとして受け入れましょう。しかし一部の奸臣の欲望により、国と民が混乱していく様を座して見ていることはできません」

 聴衆は声こそ立てないものの、真剣な面持ちから義憤に駆られていることが伝わってきた。

「ゲイリーは不当な重税を課し、果たすべき責務を果たさず、民を苦しめる傍らで、自らの屋敷を新造し、若い娘を集めては、贅の限りを尽くしています。彼は国や民のことなど考えておらず、自らの権勢拡大にのみ傾注していると判断していいでしょう。皆さんに問います。このようなことが許されていいのでしょうか?」

 ルゥは聴衆に向け、両手を差し出す。

「果たしてゲイリーの治める国とは、どのような国になるのでしょうか? そこで皆さんはどのように生きるのでしょうか。今一度、考えてみてください。願わくはゲイリーの罪を共に糾弾する立場に回ってくれるのであれば、これほど嬉しいことはありません」

 一礼して話を締めくくると、会場は拍手に包まれた。
 私や第一分隊の仲間たち、そしてレスターさんは舞台袖からその様子を見守っていた。
 ルゥは舞台袖に引っ込んでくると、私たちを見てふうっと溜息をつく。

「ああ、緊張した……」
「お疲れ様です。ルーファス王子」
「もう、アイリ。ルーファス王子は止めてって言ったじゃないか。今まで通り接してくれればいいんだよ」
「そうはいきませんよ。もちろん人目がない場所ではそう呼ばせてもらいますけど、今は立場がありますもん」

 ねえ? と仲間たちに目配せすると、みんな頷き返す。ルゥもその辺りの事情は汲んでいるから、仕方がないかと苦笑してみせた。

「王子。この後はアルスター伯たちとの会議が控えています」
「うん、分かったよ」

 私たち第一分隊の面々は、今ではルーファス王子の護衛役に任命されている。
 正規の騎士団からも護衛をつけられているものの、ルーファス王子の本来の目的――若き騎士見習いの中から同志を見つけるという意志が汲まれた。
 私たちは騎士学校でトップ成績を誇っているし、何よりルゥとは同じ部隊で切磋琢磨していた関係もあって、適役だと判断された。
 それに今のルゥには何かと心労が多い。私たちが近くにいると落ち着くからというのも、護衛役に抜擢された理由の一つだった。

 もちろんレスターさんも一緒だ。難しい話やスケジュール管理はレスターさんが、実働的な護衛は騎士団員や私たちが担当している。
 今後の方針を決める作戦会議は、アルスター伯の屋敷で行われる。応接室に通されると、もう伯爵や騎士団長は席についていた。

「お疲れ様でした。ルーファス王子。本日のご意向表明は大成功と言って間違いはないでしょう。現在、世論はルーファス王子にとって有利に働いています」
「アルスター伯、ハンドラー騎士団長、今回の場を設けてくれて感謝するよ。改めてお礼を言わせてもらいたい」
「ありがたきお言葉、恐悦至極に存じます」

 私たちは騎士見習いだから、直接話し合いに加わる権限はない。周囲を警戒しながら話し合いの内容に耳を傾ける。
 小難しい内容はよく分からなかったけど、現状を概略すると――世論および大衆はルーファス王子の味方だ。けれど数年かけて培ってきたゲイリー派閥も根強いらしい。
 ゲイリーが失脚すると自分たちも芋づる式に立場を失うから、必死に擁護している貴族も少なくないんだとか。

「摂政派閥はあろうことか、ルーファス王子の正気を問う風説を流布しております。王子は病気のせいで精神を患っており、被害妄想から摂政にあらぬ疑いを抱き、密かに王城を抜け出したと。この理屈により、筆跡鑑定も先日の刺客も、情緒不安定から発生する虚言だと反論しているようですね。よくもおめおめと。王子が正気であられることは、我々がよく理解しております」
「ありがとう、アルスター伯。けれどゲイリーが足掻くのは予想の範疇だ。近いうちに向こうから会談を申し込んでくるのではないかと思う。その場合は王都ではなく、このアルスターで行えるよう取り計らってほしい。敵の懐に飛び込んでいくのは危険が大きいからね」
「はっ! かしこまりました!」

 ルゥの読みは当たった。アルスターでルゥが意向を表明してから三日後、ゲイリーから会談の申し込みがアルスター伯の元に届けられた。
 最初は王都でという申し出だったけど、アルスター伯の立ち回りによりアルスターでの会談が決定された。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

転生騎士団長の歩き方

Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~

アトハ
ファンタジー
【短いあらすじ】 普通を勘違いした魔界育ちの少女が、王都に旅立ちうっかり無双してしまう話(前世は病院少女なので、本人は「超健康な身体すごい!!」と無邪気に喜んでます) 【まじめなあらすじ】  主人公のフィアナは、前世では一生を病院で過ごした病弱少女であったが……、 「健康な身体って凄い! 神さま、ありがとう!(ドラゴンをワンパンしながら)」  転生して、超健康な身体(最強!)を手に入れてしまう。  魔界で育ったフィアナには、この世界の普通が分からない。  友達を作るため、王都の学園へと旅立つことになるのだが……、 「なるほど! 王都では、ドラゴンを狩るには許可が必要なんですね!」 「「「違う、そうじゃない!!」」」  これは魔界で育った超健康な少女が、うっかり無双してしまうお話である。 ※他サイトにも投稿中 ※旧タイトル 病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...