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28話 ドッグラン
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「こんな地下牢にずっといるのも疲れない? フレイさん、アモンを上の練兵場に連れて行ってみませんか?」
翌日。相変わらず口を割らないアモンを前に、私はそう提案した。
話を聞きだすには飴と鞭が必要。地下牢は鞭だ。こんな暗くて狭いところで1日中閉じ込められていたら、心だって開く筈がない。
こんな地下牢から解放されて、運動できる環境を与えるのは飴になるだろうと考えた。
魔力は私が吸収しているから安全面でも問題ないと思う。そう提案してみると、フレイさんは監視付きでならと許可してくれた。
「良かったね、アモン! 今日は思いっきり運動できるよ! しかもこの時間帯は練兵場を貸し切ってあるから、思う存分走り回れるよ!」
「オマエ、完っ全に俺様をペット扱いしてるだロ!?」
まあ気分はドッグランとか、そんな感じかもしれない。
「友達が一緒じゃないのは残念だけど、他の魔族は魔力を吸収できていないから、安全性を考慮してね?」
「俺様だけじゃなク、俺様の部下までペット扱いしやがってんのか!?」
「お前さえ従順になれば、仲間たちを解放してやらなくもないのだが」
「ケッ! 誰が!!」
「あっ、アモン! フレイさんに噛みつこうとしちゃダメだよ! ステイ!」
「ギャンっ!」
「ライダウン!」
「うぐぐぐ……!」
「よーしよし、よくできました。グッドボーイ」
「クゥーン……って、何やらせんだボケェッ!!」
フレイさんに向かっていこうとしたアモンは、私が命令すると地面に縫い付けられるようにその場に伏せる。
大人しく言うことを聞いたというよりも、魔力の主導権がこっちにあるから、アモンは強制的に従わされている感じだ。
それでも言うことを聞いたのは確かだから頭を撫でると、尻尾を振って喉を鳴らした。
たぶんこれは本能だ。ご主人様に褒められて嬉しい犬の本能だ。けれど魔族としての誇りもアモンにはある。すぐに牙を剥いて唸り始めた。
そんな顔をされても、一連の流れを見たばかりの私にとって、ちっとも怖くない。
――ボールを使って運動を続けることしばし。アモンの様子を見ていた私は、傍らのフレイさんに話しかける。
「ねえフレイさん、アモンってそんなに悪い魔族じゃなさそうですよ」
「確かに、今の状態ではあまり脅威はなさそうですね」
「たぶん魔力で繋がってる影響だと思うけど、今のアモンは口では反発しても、体は私に逆らえないみたいです」
「おイ!? その言い方は語弊があるゾ!?」
「……」
「フレイさん?」
「エリカ殿と魔力で繋がるとは、なんと羨ま――けしからん。アモン、今後も厳しく取り調べを続けさせてもらうぞ」
「フレイさん!?」
「くっだらねぇ嫉妬してんじゃねえ!! 聖女に魔力を吸収してもらいたきゃいくらでもしてもらえばいいだロ!? その代わり俺様に魔力を返セ!!」
「……ふむ」
「フレイさんも真剣に悩まないでくださいね!?」
「冗談です。今後も魔族と戦い続けることを考えると、アモンに魔力を返すべきではありません。このままエリカ殿の内に留めておいてください」
「あ、はい」
やっぱり冗談だったみたい。フレイさんは真顔でボケるから分かりにくい。時々反応に困る。
「チッ! 俺様をダシにイチャついてんじゃねえヨ! おイ、聖女に騎士野郎! あんま俺様を舐めンじゃねぇゾ! この俺様を誰だと思ってやがル! 魔王四天王が1人、紅蓮のアモン様だゾ!!」
「シットダウン」
「グヘッ!」
「スダンドアップ」
「ハッハッハ」
「ハウス!」
「キュゥーン……って、ざっけんナ! ハウスってあの地下牢だロ!? 犬扱いされた挙句地下牢に逆戻りかヨ!? なんつー屈辱ダ!!」
悪態を吐きながらも、アモンは地下牢に戻っていく。本当にすごい効果だ。
もっと運動させてあげたいけど、残念がながらもうすぐ兵士たちの訓練時間が迫っていた。
「明日また遊ぼうねー!」
「二度とやるカ!!」
アモンを見張りの兵士たちに任せて、フレイさんと地下牢を後にする。
「お見事でしたエリカ殿」
「うまくやれたかなあ」
「はい。短い時間で上下関係を叩き込み、この相手には逆らえないと体に叩きこむ。実に見事な調教の腕前でした」
「ちょ、調教!? 私としては心を開いてもらおうとしただけなんですけど!?」
「あの様子であれば、アモンが心身ともにエリカ殿に屈する日も遠くないかもしれませんね。……それはそれで面白くありませんが」
「えっと、それも冗談ですよね?」
「さあ、どうでしょうか」
いやほんと、分かりにくいわ、この人。
無駄に爽やかな笑顔を浮かべるフレイさんを前に、私は冷や汗を垂らしていた。
翌日。相変わらず口を割らないアモンを前に、私はそう提案した。
話を聞きだすには飴と鞭が必要。地下牢は鞭だ。こんな暗くて狭いところで1日中閉じ込められていたら、心だって開く筈がない。
こんな地下牢から解放されて、運動できる環境を与えるのは飴になるだろうと考えた。
魔力は私が吸収しているから安全面でも問題ないと思う。そう提案してみると、フレイさんは監視付きでならと許可してくれた。
「良かったね、アモン! 今日は思いっきり運動できるよ! しかもこの時間帯は練兵場を貸し切ってあるから、思う存分走り回れるよ!」
「オマエ、完っ全に俺様をペット扱いしてるだロ!?」
まあ気分はドッグランとか、そんな感じかもしれない。
「友達が一緒じゃないのは残念だけど、他の魔族は魔力を吸収できていないから、安全性を考慮してね?」
「俺様だけじゃなク、俺様の部下までペット扱いしやがってんのか!?」
「お前さえ従順になれば、仲間たちを解放してやらなくもないのだが」
「ケッ! 誰が!!」
「あっ、アモン! フレイさんに噛みつこうとしちゃダメだよ! ステイ!」
「ギャンっ!」
「ライダウン!」
「うぐぐぐ……!」
「よーしよし、よくできました。グッドボーイ」
「クゥーン……って、何やらせんだボケェッ!!」
フレイさんに向かっていこうとしたアモンは、私が命令すると地面に縫い付けられるようにその場に伏せる。
大人しく言うことを聞いたというよりも、魔力の主導権がこっちにあるから、アモンは強制的に従わされている感じだ。
それでも言うことを聞いたのは確かだから頭を撫でると、尻尾を振って喉を鳴らした。
たぶんこれは本能だ。ご主人様に褒められて嬉しい犬の本能だ。けれど魔族としての誇りもアモンにはある。すぐに牙を剥いて唸り始めた。
そんな顔をされても、一連の流れを見たばかりの私にとって、ちっとも怖くない。
――ボールを使って運動を続けることしばし。アモンの様子を見ていた私は、傍らのフレイさんに話しかける。
「ねえフレイさん、アモンってそんなに悪い魔族じゃなさそうですよ」
「確かに、今の状態ではあまり脅威はなさそうですね」
「たぶん魔力で繋がってる影響だと思うけど、今のアモンは口では反発しても、体は私に逆らえないみたいです」
「おイ!? その言い方は語弊があるゾ!?」
「……」
「フレイさん?」
「エリカ殿と魔力で繋がるとは、なんと羨ま――けしからん。アモン、今後も厳しく取り調べを続けさせてもらうぞ」
「フレイさん!?」
「くっだらねぇ嫉妬してんじゃねえ!! 聖女に魔力を吸収してもらいたきゃいくらでもしてもらえばいいだロ!? その代わり俺様に魔力を返セ!!」
「……ふむ」
「フレイさんも真剣に悩まないでくださいね!?」
「冗談です。今後も魔族と戦い続けることを考えると、アモンに魔力を返すべきではありません。このままエリカ殿の内に留めておいてください」
「あ、はい」
やっぱり冗談だったみたい。フレイさんは真顔でボケるから分かりにくい。時々反応に困る。
「チッ! 俺様をダシにイチャついてんじゃねえヨ! おイ、聖女に騎士野郎! あんま俺様を舐めンじゃねぇゾ! この俺様を誰だと思ってやがル! 魔王四天王が1人、紅蓮のアモン様だゾ!!」
「シットダウン」
「グヘッ!」
「スダンドアップ」
「ハッハッハ」
「ハウス!」
「キュゥーン……って、ざっけんナ! ハウスってあの地下牢だロ!? 犬扱いされた挙句地下牢に逆戻りかヨ!? なんつー屈辱ダ!!」
悪態を吐きながらも、アモンは地下牢に戻っていく。本当にすごい効果だ。
もっと運動させてあげたいけど、残念がながらもうすぐ兵士たちの訓練時間が迫っていた。
「明日また遊ぼうねー!」
「二度とやるカ!!」
アモンを見張りの兵士たちに任せて、フレイさんと地下牢を後にする。
「お見事でしたエリカ殿」
「うまくやれたかなあ」
「はい。短い時間で上下関係を叩き込み、この相手には逆らえないと体に叩きこむ。実に見事な調教の腕前でした」
「ちょ、調教!? 私としては心を開いてもらおうとしただけなんですけど!?」
「あの様子であれば、アモンが心身ともにエリカ殿に屈する日も遠くないかもしれませんね。……それはそれで面白くありませんが」
「えっと、それも冗談ですよね?」
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いやほんと、分かりにくいわ、この人。
無駄に爽やかな笑顔を浮かべるフレイさんを前に、私は冷や汗を垂らしていた。
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