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鬼の棲む場所その4
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愛実は恐る恐る電話に出る。
「……も、もしもし、湯川君?」
「ハア、ハア、ハア、ハア…………。
鬼が……………。お、鬼がッッ!!
ザ、ザァーーーーーーーーッッッ!!
キュイーーーーーン!!ブツッッッ!!
プー、プー、プー、プー………。」
首を傾げながら電話を耳から離す愛実に、
小手川が尋ねた。
「おい!湯川何だって?」
「……何か意味分かんない事言ってすぐに切れちゃった……。」
「……一体何て言ってた?」
「……何か、鬼がどうとかって……。」
「ハア!?何だそりゃ!?」
「……これからどうする?やっぱり警察に相談してみる?」
「……やっぱそうなるか。……アレッッ!?」
「……どうしたの?」
「ちょ、お前のケータイ見せて!!
……マッジかよ………。電波が来てねぇ……。」
小手川の言葉に愛実も自分のケータイを確認する。
「……エッッ!?さっきまで普通にアンテナ立ってたのに何で!?」
「……これじゃ、警察に通報しようにも出来ねぇな。…………………………。
よし!それじゃとりま、車で電波入るとこまで移動しようぜ!そっから、ケーサツに電話すりゃいい!!」
……変なことばかりが起きて暗くなった場を和ますように小手川がわざとテンションを上げて愛実に言った。
「……うん、そうだね。じゃ、私運転するね。」
二人は松前の白い軽バンに乗り込んで、舗装された山道を麓目指して下っていった。
◆ ◆ ◆ ◆
「……ねえ?なんかさっきから同じ所、グルグル回ってる気、しない?」
「えっ?そう?」
「…………………………………。
やっぱり…………。あそこのヒビの入ったお地蔵さん、さっきも見た………。」
100m程先の道路脇にある、小さな祠を指して愛実が言う。
「………マジかよ………。……道がループしてるってのか!?そんなアホな!?」
「……疑うんだったら前ちゃんと見ててよ!また、あのお地蔵さん、出てくるはずだから!!」
…………それから30分後、軽バンの中で頭を抱える小手川と愛実の姿があった。
「……ありえねー……。ありえねー……。
ありえねー………。」
小手川がリーゼント風にまとめた前髪を右手で掴みながら助手席でブツブツと呟いている。
一方、運転席の愛実も眉根を寄せて途方に暮れていた。
とにかく、進めども進めども同じ山道が果てしなく延々と続いていく。
じゃあ逆にトンネルのある場所まで戻ろうか、と言って引き返そうにも、何故かトンネルまでは辿り着けず、ループしている山道へと戻って来てしまう。
そうして二人が呆然としていると、ブー、ブー、ブー、ブー、とどこかでケータイのバイブ音がした。
「……あれ?私のじゃない…………。」
「俺のでもねーぞ。」
「……もしかして…………。」
愛実が傍らのトートバッグをガサガサ漁り始めた。
「……あった!やっぱり、しおんのだ!!」
そう言ってトートバッグからしおんの白いスマホを取り出して画面の着信表示を見る。
そこには、「しおん」と表示されている。
「……えっっ?一体どういう事?」
「なんだこれ?しおんのケータイバグった?
……まあ、いいや。とにかく出てみろよ。」
「……う、うん。も、もしもし、あなたは誰?何かケータイ調子悪いみたいで表示がおかしくって。誰?」
「………ブブブブブブブブ………。
あ"?あ"い"み"?わだじじお"んだびょー!
たずげで、すぐ。トンネル。まっでる"っ!」
………プープープープー。
「……誰だった?何て?」
「………………………………。」
愛実はしおんのケータイを耳から離すと、まるで不気味なものを見るような目付きでジッと手の中のケータイを凝視している。
小手川が思わず愛実の肩に手をかけて揺さぶって言う。
「おい!しっかりしろよ、愛実!愛実ってば!!」
「…………アッ!ゴ、ゴメンなさい!!
でも、そんな………………。
……やっぱりおかしい………。」
愛実はしおんのケータイを操作しながらそう呟いた。
「……一体なんだってんだよ?ちゃんと説明してくれないと分かんねぇよ!!」
「うん、あのね。さっきしおんのケータイなのに「しおん」って表示されてたでしょ?着歴見てみたんだけど……ほら見て!ここ!」
「んん?これが何?」
「だってこの番号このケータイのだよ?おかしくない?」
「……ああ~~、そういう事か……。
こりゃあ、完全に俺達異世界に迷い込んじまったみてーだな…………。……なあ、これからマジどーするよ?」
「……うん。……これは部長の受け売りなんだけどね。異界に迷い込む時っていうのは必ず何かしらの原因があるものなの。
って事は、その原因さえどうにか出来れば現実に戻れる、っていう事でもある訳。」
「……っつってもよ~~。何か俺達やったっけ?不謹慎なこととか別にしてなくないか?」
「……ひょっとしたら、私達は誰かのやった事に巻き込まれちゃっただけなのかも。
……実はさ、さっきから気にはなってたんだけど途中の山道にヒビの入ったお地蔵さんがあったの、覚えてる?」
「……ああ。何かあったな。そんなの。」
「うん。……それで多分だけど、誰かがあのお地蔵さんにヒビを入れるような、不謹慎な事をしちゃって、それでそのとばっちりを私達が受けちゃったんじゃないか、と思うの。
……だとしたら、あのお地蔵さんを何とか元に戻せれば私達も元の世界に戻れるんじゃないのかな?」
「……えぇ~~~~……。そんなこと言ったってあんなの一体どうやって直すんだよ!
絶対素人じゃどうにも出来ないじゃんか~~~!!」
「……何か策があればいいんだけど……。」
右手の親指の爪を軽く噛みながら愛実が言った。
「……も、もしもし、湯川君?」
「ハア、ハア、ハア、ハア…………。
鬼が……………。お、鬼がッッ!!
ザ、ザァーーーーーーーーッッッ!!
キュイーーーーーン!!ブツッッッ!!
プー、プー、プー、プー………。」
首を傾げながら電話を耳から離す愛実に、
小手川が尋ねた。
「おい!湯川何だって?」
「……何か意味分かんない事言ってすぐに切れちゃった……。」
「……一体何て言ってた?」
「……何か、鬼がどうとかって……。」
「ハア!?何だそりゃ!?」
「……これからどうする?やっぱり警察に相談してみる?」
「……やっぱそうなるか。……アレッッ!?」
「……どうしたの?」
「ちょ、お前のケータイ見せて!!
……マッジかよ………。電波が来てねぇ……。」
小手川の言葉に愛実も自分のケータイを確認する。
「……エッッ!?さっきまで普通にアンテナ立ってたのに何で!?」
「……これじゃ、警察に通報しようにも出来ねぇな。…………………………。
よし!それじゃとりま、車で電波入るとこまで移動しようぜ!そっから、ケーサツに電話すりゃいい!!」
……変なことばかりが起きて暗くなった場を和ますように小手川がわざとテンションを上げて愛実に言った。
「……うん、そうだね。じゃ、私運転するね。」
二人は松前の白い軽バンに乗り込んで、舗装された山道を麓目指して下っていった。
◆ ◆ ◆ ◆
「……ねえ?なんかさっきから同じ所、グルグル回ってる気、しない?」
「えっ?そう?」
「…………………………………。
やっぱり…………。あそこのヒビの入ったお地蔵さん、さっきも見た………。」
100m程先の道路脇にある、小さな祠を指して愛実が言う。
「………マジかよ………。……道がループしてるってのか!?そんなアホな!?」
「……疑うんだったら前ちゃんと見ててよ!また、あのお地蔵さん、出てくるはずだから!!」
…………それから30分後、軽バンの中で頭を抱える小手川と愛実の姿があった。
「……ありえねー……。ありえねー……。
ありえねー………。」
小手川がリーゼント風にまとめた前髪を右手で掴みながら助手席でブツブツと呟いている。
一方、運転席の愛実も眉根を寄せて途方に暮れていた。
とにかく、進めども進めども同じ山道が果てしなく延々と続いていく。
じゃあ逆にトンネルのある場所まで戻ろうか、と言って引き返そうにも、何故かトンネルまでは辿り着けず、ループしている山道へと戻って来てしまう。
そうして二人が呆然としていると、ブー、ブー、ブー、ブー、とどこかでケータイのバイブ音がした。
「……あれ?私のじゃない…………。」
「俺のでもねーぞ。」
「……もしかして…………。」
愛実が傍らのトートバッグをガサガサ漁り始めた。
「……あった!やっぱり、しおんのだ!!」
そう言ってトートバッグからしおんの白いスマホを取り出して画面の着信表示を見る。
そこには、「しおん」と表示されている。
「……えっっ?一体どういう事?」
「なんだこれ?しおんのケータイバグった?
……まあ、いいや。とにかく出てみろよ。」
「……う、うん。も、もしもし、あなたは誰?何かケータイ調子悪いみたいで表示がおかしくって。誰?」
「………ブブブブブブブブ………。
あ"?あ"い"み"?わだじじお"んだびょー!
たずげで、すぐ。トンネル。まっでる"っ!」
………プープープープー。
「……誰だった?何て?」
「………………………………。」
愛実はしおんのケータイを耳から離すと、まるで不気味なものを見るような目付きでジッと手の中のケータイを凝視している。
小手川が思わず愛実の肩に手をかけて揺さぶって言う。
「おい!しっかりしろよ、愛実!愛実ってば!!」
「…………アッ!ゴ、ゴメンなさい!!
でも、そんな………………。
……やっぱりおかしい………。」
愛実はしおんのケータイを操作しながらそう呟いた。
「……一体なんだってんだよ?ちゃんと説明してくれないと分かんねぇよ!!」
「うん、あのね。さっきしおんのケータイなのに「しおん」って表示されてたでしょ?着歴見てみたんだけど……ほら見て!ここ!」
「んん?これが何?」
「だってこの番号このケータイのだよ?おかしくない?」
「……ああ~~、そういう事か……。
こりゃあ、完全に俺達異世界に迷い込んじまったみてーだな…………。……なあ、これからマジどーするよ?」
「……うん。……これは部長の受け売りなんだけどね。異界に迷い込む時っていうのは必ず何かしらの原因があるものなの。
って事は、その原因さえどうにか出来れば現実に戻れる、っていう事でもある訳。」
「……っつってもよ~~。何か俺達やったっけ?不謹慎なこととか別にしてなくないか?」
「……ひょっとしたら、私達は誰かのやった事に巻き込まれちゃっただけなのかも。
……実はさ、さっきから気にはなってたんだけど途中の山道にヒビの入ったお地蔵さんがあったの、覚えてる?」
「……ああ。何かあったな。そんなの。」
「うん。……それで多分だけど、誰かがあのお地蔵さんにヒビを入れるような、不謹慎な事をしちゃって、それでそのとばっちりを私達が受けちゃったんじゃないか、と思うの。
……だとしたら、あのお地蔵さんを何とか元に戻せれば私達も元の世界に戻れるんじゃないのかな?」
「……えぇ~~~~……。そんなこと言ったってあんなの一体どうやって直すんだよ!
絶対素人じゃどうにも出来ないじゃんか~~~!!」
「……何か策があればいいんだけど……。」
右手の親指の爪を軽く噛みながら愛実が言った。
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