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予知する人形その2
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「それじゃあ、お疲れ様でーす!」
僕は深夜のアルバイトを終えて日が昇り出した町並みを横目に自分のマンションへと帰ってきた。
部屋に入るなり思わず独り言を漏らす。
「……フーッ!!全く今日はとんでもない目に遭ったなぁ。まさか生の強盗に出くわすなんて……。」
冷蔵庫からペットボトルの炭酸飲料を取り出してラッパ飲みする。ゴクッゴクッゴクッゴクッ!!
「プハァーー!!生き返る~~~!」
そしてその日は昼まで寝て午後から必要な単位の分だけ授業に出席した。
「ただいまー。はいおかえりーっと。」
学校から帰って空しい独り言を呟いた後パソコンの電源を入れて動画サイトを巡回していた
その時部屋の隅に置いていたピエロの人形がまたしても突然甲高い声で喋り始めた。
「コノアトゴゴ9ジニアナタノモトカノガハモノヲシノバセテココニヤッテキマス。ゴフコウヲカイヒスルニハコレカラワタシノイウコトヲシッカリトマモッテクダサイ。イチ、チャントヘヤマデカノジョヲアゲルコト。ニ、ケシテカノジョノコトバヲヒテイシナイコト。ツゴウガワルケレバダマッテイテモダイジョウブデス。サン、ワカレギワニ"キミモゲンキデネ"トイウコト。イジョウガヨチトアドバイスニナリマス。ドウカゴカツヨウノホドヲ。」
「は!?元カノが刃物を持って家に来るだって!?ええっっ!?」
僕が高校を卒業する何ヵ月か前にある女の子から告白を受けた。
最初は断るつもりだったんだけどその子が余りにも号泣して懇願するので仕方なく短い間付き合うことになった。
そして高校卒業を機に僕は地元から離れたこの街に専門学校へと通うため引っ越すことになりその子とは別れることになったのだけども……。
よりにもよって半年も経ってからその子が刃物持参でやって来るだって!?
冗談じゃないよ!
その後どうにも落ち着かずにテレビを見て気をまぎらわしていた僕は疲れていたのかいつの間にか眠りに落ちていた。
ピンポーン。ピンポーン。
インターホンの鳴る音がして慌てて僕はバッと身を起こした。時計を見ると午後9時丁度。
ヤバイ!!出なきゃ!!
「ハイ!」
「私……。覚えてるよね……?元カノのミキです……。今日は少しお話ししたいことがあって来ました……。」
「す、すぐ開けるよ!ちょっと待ってて!」
そうインターホン越しに返して僕は玄関へと向かった。
ガチャっ!ドアを開けるとそこには相も変わらず陰気で地味な僕の元カノがヌボーッと幽霊のように立っていた。
「あ、上がりなよ。」
「……お邪魔します……。」
とりあえず居間に通してテーブルの前のクッションをすすめる。
「えっと……何か飲む?」
「いらない……。それよりこっちに座って……。」
「ああ分かったよ……。」
僕は彼女に言われて彼女の正面に腰を下ろした。
「そ、それで話したい事って何?」
僕が尋ねると彼女は少しモジモジしながらこう言った。
「……わ、私達まだ別れてないよね……?」
「えっ……?」
「……私達まだ別れてなんかいないんだよね?」
彼女の支離滅裂な言葉に頭が真っ白になった僕は瞬間人形から言われた言葉を思い出した。
ケシテカノジョノコトバヲヒテイシナイコト。
ツゴウガワルケレバダマッテイテモダイジョウブデス。
黙っていても大丈夫……。
僕が黙っていると、
「や、やっぱりそうだったんだ……。私達もう完全に終わっちゃってたんだね……。」
そう言うなり彼女はシクシクと泣き始めた。
……僕はいたたまれない気持ちで一杯になる。
それから10分位してようやく彼女は泣き止み、
「ごめんなさい……。」と一言呟いて玄関の方へ走っていく。
サン、ワカレギワニ"キミモゲンキデネ"トイウコト。
「あっ、ちょっと待って!!」
僕が声をかけると玄関口で靴を履いていた彼女は振り返って僕を見つめる。
「あの、き、君も元気でね……。」
僕が言うと彼女は一瞬ポカンとした表情をしてから、
「うん。あなたも元気で。」
とどこか吹っ切れたような顔で微笑みそして部屋から出ていった。
「……フーーッッ!!」
安心する余り僕はその場にへたりこんで息をついた。
僕は深夜のアルバイトを終えて日が昇り出した町並みを横目に自分のマンションへと帰ってきた。
部屋に入るなり思わず独り言を漏らす。
「……フーッ!!全く今日はとんでもない目に遭ったなぁ。まさか生の強盗に出くわすなんて……。」
冷蔵庫からペットボトルの炭酸飲料を取り出してラッパ飲みする。ゴクッゴクッゴクッゴクッ!!
「プハァーー!!生き返る~~~!」
そしてその日は昼まで寝て午後から必要な単位の分だけ授業に出席した。
「ただいまー。はいおかえりーっと。」
学校から帰って空しい独り言を呟いた後パソコンの電源を入れて動画サイトを巡回していた
その時部屋の隅に置いていたピエロの人形がまたしても突然甲高い声で喋り始めた。
「コノアトゴゴ9ジニアナタノモトカノガハモノヲシノバセテココニヤッテキマス。ゴフコウヲカイヒスルニハコレカラワタシノイウコトヲシッカリトマモッテクダサイ。イチ、チャントヘヤマデカノジョヲアゲルコト。ニ、ケシテカノジョノコトバヲヒテイシナイコト。ツゴウガワルケレバダマッテイテモダイジョウブデス。サン、ワカレギワニ"キミモゲンキデネ"トイウコト。イジョウガヨチトアドバイスニナリマス。ドウカゴカツヨウノホドヲ。」
「は!?元カノが刃物を持って家に来るだって!?ええっっ!?」
僕が高校を卒業する何ヵ月か前にある女の子から告白を受けた。
最初は断るつもりだったんだけどその子が余りにも号泣して懇願するので仕方なく短い間付き合うことになった。
そして高校卒業を機に僕は地元から離れたこの街に専門学校へと通うため引っ越すことになりその子とは別れることになったのだけども……。
よりにもよって半年も経ってからその子が刃物持参でやって来るだって!?
冗談じゃないよ!
その後どうにも落ち着かずにテレビを見て気をまぎらわしていた僕は疲れていたのかいつの間にか眠りに落ちていた。
ピンポーン。ピンポーン。
インターホンの鳴る音がして慌てて僕はバッと身を起こした。時計を見ると午後9時丁度。
ヤバイ!!出なきゃ!!
「ハイ!」
「私……。覚えてるよね……?元カノのミキです……。今日は少しお話ししたいことがあって来ました……。」
「す、すぐ開けるよ!ちょっと待ってて!」
そうインターホン越しに返して僕は玄関へと向かった。
ガチャっ!ドアを開けるとそこには相も変わらず陰気で地味な僕の元カノがヌボーッと幽霊のように立っていた。
「あ、上がりなよ。」
「……お邪魔します……。」
とりあえず居間に通してテーブルの前のクッションをすすめる。
「えっと……何か飲む?」
「いらない……。それよりこっちに座って……。」
「ああ分かったよ……。」
僕は彼女に言われて彼女の正面に腰を下ろした。
「そ、それで話したい事って何?」
僕が尋ねると彼女は少しモジモジしながらこう言った。
「……わ、私達まだ別れてないよね……?」
「えっ……?」
「……私達まだ別れてなんかいないんだよね?」
彼女の支離滅裂な言葉に頭が真っ白になった僕は瞬間人形から言われた言葉を思い出した。
ケシテカノジョノコトバヲヒテイシナイコト。
ツゴウガワルケレバダマッテイテモダイジョウブデス。
黙っていても大丈夫……。
僕が黙っていると、
「や、やっぱりそうだったんだ……。私達もう完全に終わっちゃってたんだね……。」
そう言うなり彼女はシクシクと泣き始めた。
……僕はいたたまれない気持ちで一杯になる。
それから10分位してようやく彼女は泣き止み、
「ごめんなさい……。」と一言呟いて玄関の方へ走っていく。
サン、ワカレギワニ"キミモゲンキデネ"トイウコト。
「あっ、ちょっと待って!!」
僕が声をかけると玄関口で靴を履いていた彼女は振り返って僕を見つめる。
「あの、き、君も元気でね……。」
僕が言うと彼女は一瞬ポカンとした表情をしてから、
「うん。あなたも元気で。」
とどこか吹っ切れたような顔で微笑みそして部屋から出ていった。
「……フーーッッ!!」
安心する余り僕はその場にへたりこんで息をついた。
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