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スリを追いかけていって10分程経ってから、ラボスがバツが悪そうに頭を掻きつつ、スリを追いかけていった路地から姿を現した。
「ごめんごめん!困っている人がいると、つい周りが見えなくなるっていうか……置いてけぼりにしちゃってホントごめん!」
片目を瞑って謝罪するラボス。
「いや、別にいいですけど……帰ってきてくれたんで………。それで結局犯人は捕まえたんですか?」
俺が尋ねると、ラボスは少し動揺しながら、
「……いいや。追いついたはいいけど最終的には振り切られちゃってさ。……逃がしちゃった。」
と、答えた。……心なしか、その瞳には影が射しているように見える。
「……まあ、それはともかくとしてこの街を案内してる途中だったね。さあ、次はどこへ行こうか?」
わざとらしく明るい声でラボスはそう続けた。
俺はその後もラボスにくっついて、マジックアイテムの精製所だの、街を走る鋼鉄の丸い乗り物(それは地面から少し浮いていて、ラボスの話によると、コーダの街の中央のマジックアイテムで作られた結界の中でしか動かないらしい。)の製作所だの、色々案内してもらって充実した一日を過ごした。
そして、俺達はその日もコーダの街の宿屋に泊まって、翌日早朝から再び聖都ラーヌを目指すことにした。
◆ ◆ ◆ ◆
チチチチチ………。
どこかから小鳥のさえずりが聞こえてくる。
俺とラボスは夜が明けてすぐに宿屋を出て、コーダの西にあるケニーの街を目指してコーダの街を出発した。
「次のケニーという街はグルメで有名な街でね。世界中の食材が集まってくる所なんだ。到着したら何か美味しいものでも食べよう。」
……この世界の食べ物は狼っぽい(ラボスの説明によると)獣の肉を焼いたものとパン、それに果物(俺のいた世界の物とは大分香りとか、味が変わった組み合わせの)なんかが基本らしい。
魚もあるにはあるが、周りに川や海のある場所以外では余りお目にかかれないらしい。
……俺はどちらかといったら魚の方が好きなので、ケニーのグルメな料理に是非とも期待したいところだ。
そして、相も変わらずだだっ広い野原を3日程歩き続け(その間、モンスターなんかも出現したけれど、全てラボスが魔法でなんなく倒してしまった)、俺達はグルメの街ケニーへとたどり着いた。
◆ ◆ ◆ ◆
数日前サーシャの命令で、この世界に召喚されたはずの行方不明となっている"勇者"を捜索するべく、
聖都ラーヌから出発した騎士達5人は、クリーの街へと続くベルの森にて焚き火を囲みながら話をしていた。
まだ10代であろう、白ローブが隣に座っている中年の白ローブに尋ねる。
「……なあ、異世界人って一体どうするんだよ?勇者っつっても所詮はお飾りなんだろ?
何でそんな役立たずをわざわざ我が魔導騎士団が召喚しなきゃならないのか、ぜんっぜん分かんないんだけど?」
「……お前、知らないのか?おめでたい奴だな、全く……。」
若い白ローブの正面に座っていた精悍な顔の白ローブが、中年の白ローブに代わってその質問に答えた。
「聖都の魔術研究所の連中がなにやら新しい魔法開発の為、奴らで人体実験をしている、
ってもっぱらの噂だぜ。」
「……でも、何で犬猿の仲のはずの魔術研究所にサーシャ様は協力しておられるのだろう?」
と、若い白ローブ。すると、今度は精悍な白ローブの隣の男が口を開いた。
「俺が聞いた話ではサーシャ様のお父上であらせられる、先代魔導騎士団参謀のオゥル様がどうも魔術研究所に出向しておられるとか。
その関係で手を貸しておられるか、そうでなければ単に恩を売って後々貴族達との交渉を有利に進めよう、ということだろうな。
……なんせ魔術研究所は王族と貴族が実権を支配しているからな。」
若い白ローブ以外の4人はクククッ、と皮肉めいた笑い声をあげる。
「……なるほどな。そういう裏があったのか。」
……彼らが雑談に興じている間に森の夜は段々と更けていった。
◆ ◆ ◆ ◆
一方その頃、聖都ラーヌのはずれに建てられた魔術研究所では………。
暗いだだっ広い空間に、不気味に発光する
人が入れる程の大きさのガラスのカプセルが、いくつもズラッと三列に分かれて置かれている。
その中にはうっすらと緑の光を放つ液体が満たされており、人のような、モンスターのような、どちらとも判別のつかない異形の影が浮かんでいる。
その中の一体が掠れた声で呟く。
「……ああ、ハルト……。……私を、助け、て………。」
その異形の者の体にはあちらこちらに無数の傷痕があって、実に惨たらしい。
「……誰、か…………。助け、て………。」
彼女の必死の声はしかし、他の誰の耳にも届くことはなかった。
「ごめんごめん!困っている人がいると、つい周りが見えなくなるっていうか……置いてけぼりにしちゃってホントごめん!」
片目を瞑って謝罪するラボス。
「いや、別にいいですけど……帰ってきてくれたんで………。それで結局犯人は捕まえたんですか?」
俺が尋ねると、ラボスは少し動揺しながら、
「……いいや。追いついたはいいけど最終的には振り切られちゃってさ。……逃がしちゃった。」
と、答えた。……心なしか、その瞳には影が射しているように見える。
「……まあ、それはともかくとしてこの街を案内してる途中だったね。さあ、次はどこへ行こうか?」
わざとらしく明るい声でラボスはそう続けた。
俺はその後もラボスにくっついて、マジックアイテムの精製所だの、街を走る鋼鉄の丸い乗り物(それは地面から少し浮いていて、ラボスの話によると、コーダの街の中央のマジックアイテムで作られた結界の中でしか動かないらしい。)の製作所だの、色々案内してもらって充実した一日を過ごした。
そして、俺達はその日もコーダの街の宿屋に泊まって、翌日早朝から再び聖都ラーヌを目指すことにした。
◆ ◆ ◆ ◆
チチチチチ………。
どこかから小鳥のさえずりが聞こえてくる。
俺とラボスは夜が明けてすぐに宿屋を出て、コーダの西にあるケニーの街を目指してコーダの街を出発した。
「次のケニーという街はグルメで有名な街でね。世界中の食材が集まってくる所なんだ。到着したら何か美味しいものでも食べよう。」
……この世界の食べ物は狼っぽい(ラボスの説明によると)獣の肉を焼いたものとパン、それに果物(俺のいた世界の物とは大分香りとか、味が変わった組み合わせの)なんかが基本らしい。
魚もあるにはあるが、周りに川や海のある場所以外では余りお目にかかれないらしい。
……俺はどちらかといったら魚の方が好きなので、ケニーのグルメな料理に是非とも期待したいところだ。
そして、相も変わらずだだっ広い野原を3日程歩き続け(その間、モンスターなんかも出現したけれど、全てラボスが魔法でなんなく倒してしまった)、俺達はグルメの街ケニーへとたどり着いた。
◆ ◆ ◆ ◆
数日前サーシャの命令で、この世界に召喚されたはずの行方不明となっている"勇者"を捜索するべく、
聖都ラーヌから出発した騎士達5人は、クリーの街へと続くベルの森にて焚き火を囲みながら話をしていた。
まだ10代であろう、白ローブが隣に座っている中年の白ローブに尋ねる。
「……なあ、異世界人って一体どうするんだよ?勇者っつっても所詮はお飾りなんだろ?
何でそんな役立たずをわざわざ我が魔導騎士団が召喚しなきゃならないのか、ぜんっぜん分かんないんだけど?」
「……お前、知らないのか?おめでたい奴だな、全く……。」
若い白ローブの正面に座っていた精悍な顔の白ローブが、中年の白ローブに代わってその質問に答えた。
「聖都の魔術研究所の連中がなにやら新しい魔法開発の為、奴らで人体実験をしている、
ってもっぱらの噂だぜ。」
「……でも、何で犬猿の仲のはずの魔術研究所にサーシャ様は協力しておられるのだろう?」
と、若い白ローブ。すると、今度は精悍な白ローブの隣の男が口を開いた。
「俺が聞いた話ではサーシャ様のお父上であらせられる、先代魔導騎士団参謀のオゥル様がどうも魔術研究所に出向しておられるとか。
その関係で手を貸しておられるか、そうでなければ単に恩を売って後々貴族達との交渉を有利に進めよう、ということだろうな。
……なんせ魔術研究所は王族と貴族が実権を支配しているからな。」
若い白ローブ以外の4人はクククッ、と皮肉めいた笑い声をあげる。
「……なるほどな。そういう裏があったのか。」
……彼らが雑談に興じている間に森の夜は段々と更けていった。
◆ ◆ ◆ ◆
一方その頃、聖都ラーヌのはずれに建てられた魔術研究所では………。
暗いだだっ広い空間に、不気味に発光する
人が入れる程の大きさのガラスのカプセルが、いくつもズラッと三列に分かれて置かれている。
その中にはうっすらと緑の光を放つ液体が満たされており、人のような、モンスターのような、どちらとも判別のつかない異形の影が浮かんでいる。
その中の一体が掠れた声で呟く。
「……ああ、ハルト……。……私を、助け、て………。」
その異形の者の体にはあちらこちらに無数の傷痕があって、実に惨たらしい。
「……誰、か…………。助け、て………。」
彼女の必死の声はしかし、他の誰の耳にも届くことはなかった。
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