絶望の魔王

たじ

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炎閃光ファイアロンド!!」

不敵に笑い続けるパルスに向かって、数人の魔導騎士が魔法を打ち出す。

ボオオオオオオオオオッッ!!

途端にパルスの全身が、炎に包まれる。

「……キャッッ!!なあにすんのよ!!このっ!破滅の杖っ!!」

パルスが、その右手に持った魔導具を天高く掲げると、妖しい砂嵐が巻き起こった。

「な、何だ……?俺の体が溶けていくッッ!!」

後方で控えているサーシャの目の前で、先頭にいた騎士達の姿が空間に溶けるように消えていった。

「……ば、バカなっっ!!」

サーシャをはじめとする魔導騎士団は、パルスの見たこともない攻撃に青ざめ硬直した。

「…………フフフフ。さあて、次は一体どう出てくれるのかしら」

余裕の笑みを浮かべてパルスが、サーシャのその真っ青な顔を見て言った。

「……ええい!魔導迫撃砲マジックデストロイヤーは、まだかっ!?」

相手の攻撃に動揺するあまり、やや声を裏返らせつつもサーシャが、ホワイトラグーンの面々に声をかける。

すると、ホワイトラグーンの出入り口から騎士が一人顔を出してサーシャに答える。

「充填完了しましたっっ!!」

「よおし!!うてーーーーっっいっっ!!」

パオーーーーン!!

と、辺りに音を轟かせ、魔導迫撃砲マジックデストロイヤーが、パルスに向かってその牙を剥いた。

「おおっと!!そんなもん喰らったら、さすがのあたしでもやられちゃうわんっ!!」

そう言ってパルスは、素早く羽を羽ばたかせて上空へと身をかわす。

「……くそっっ!!あの、ハエ頭めっっ!!お前達っっ!早く魔法を撃たんかっっ!!何としても、ホワイトラグーンの魔力充填が終わるまでは奴をその場に釘付けにせよっっ!!」

サーシャが、苛立ちながら、未だその場で凍りついていた騎士達に命令した。

騎士達は、ハッと我に返って、パルスに向かって、魔法攻撃を始めた。

雷閃光サンダーロンド!!」

俄にパルスの上の空がかきくもり、雷がその身を打つ。

プスプスと雷に打たれたパルスの全身から煙が立ち上る。
しかし。

「今、何かした?」

そう言ってニヤリと笑うパルスの体には、よくよく見ると、傷の一つもついてはいない。

「奴に雷は効かないのかっっ!?……ええい!!片っ端からありとあらゆる攻撃魔法を撃て撃て撃ていっっ!!」

上空を飛んでいるパルスに、魔導騎士達の魔法攻撃が次々と襲いかかっていった。
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