絶望の魔王

たじ

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ラボスは、魔術研究所の奥までやってくると、
意識を集中させてハルトの魔力探知を行う。

「…………地下だって?……ここには、やはり僕が睨んでいた通り、色々と秘密があるようだな」

そう呟きながら、ラボスは地下への入り口の当たりをつけて、突き当たりを曲がり渡り廊下へと出た。

「……この先に地下への入り口があるのか?」

渡り廊下の先には、物置部屋が何部屋かあるだけだったはずだ。

首をかしげなからも、ラボスは物置部屋を一つ一つ確認していく。

すると、2部屋目で、壁のブロックの一つが押し込めるようになっているのを発見した。

ラボスが、グッとそのブロックを奥まで押し込むと、ゴゴゴゴ、と音をたてながら、壁が反転してその奥には地下へと続く階段が現れた。

「…………まさか、こんな仕掛けがあったとは…………」

ラボスは、辺りを警戒しながら階段を一つ一つ下っていった。

…………地下には、格子状になった広大な通路が広がっていた。

ラボスは、階段を下りきった少し先で立ち止まって再び、ハルトの魔力探知を行った。

「…………どうやら、この奥のようだな………」

ラボスが、通路の奥へと歩みを進めると、
曲がり角から茶色い装束を纏った4人組が現れ、その中の一人ーー仮面の男が言った。

「…………おやおや、誰か、と思ったらこれはこれは。魔導騎士団元副団長のラボス殿ではありませんか?……一体、そのお姿はどうされたのですかな?よもや、魔王に下ったのではありますまいな?」

「…………………………………………」

「沈黙は肯定と受け取りますが、よろしいか?」

「…………………………………………」

こいつは一体誰だ?魔術研究所、しかも副団長だった僕でさえ知らなかった、こんな地下にいるなんて。多分、オゥル所長お抱えの人間達だとは思うけど。…………もしや、裏の工作要員か?

黙りこくって考えているラボスを見ながら、仮面の男ーートレースーーが、部下の3人に言う。

「お前達っ!こいつをこれ以上奥に進ませるなっ!!」

トレースに言われた3人の茶装束が、ゆっくりとその腰にささった曲刀を抜き放ち、ラボスに近づいた。


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