絶望の魔王

たじ

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魔風刃ヘルズ・ウインド!!」

ラボスが、両手から闇色の風の刃をサーシャ達に繰り出した。

ラボスの攻撃にとっさに反応した、サーシャが右手に持ったキラキラと光る石の付いた杖を掲げて魔法を唱える。

空間転移テレポーテーション!!」

ラボスの目の前からサーシャ達の姿が消え、渡り廊下の壁に、闇色の刃がぶつかる。

ドーーーーーッン!!

壁が切り裂かれて、激しい煙が舞い上がる。

ラボスの攻撃の威力を目の当たりにして、サーシャと共に、渡り廊下の横に広がる中庭へとテレポートした研究員達が、顔を真っ青にした。
サーシャが、転移魔法を使うのが一瞬遅ければ、自分達ははたしてどうなっていたことだろう?

「…………ラボスよっ!さては、貴様っ、魔王に下ったかっっ!!」

異形と化した姿のラボスを憎々しげな表情で睨み付けながら、サーシャが怒鳴り声をあげる。


「……例え、そうだったとしてもサーシャ、君には関係のないことだろう?それよりも、地下にある実験施設は何だっっ!?お前達っ、さては奴隷として買われてきた人達に秘密裏に非道な実験でもしているんじゃないのかっっ!?」

睨み返しながらそう問うてくるラボスに、冷ややかな顔を向けてサーシャが答える。

「…………そうか。知ってしまったか…………。
……しかし、魔王に下った貴様の話など誰が信用するものかっっ!!おい、お前達っ、この化け物をどうにかしろっっ!!」

サーシャの言葉に、研究員達が、慌てて攻撃魔法をラボスに放つ。

炎閃光ファイアロンド!!」

まばゆい炎が、立ち尽くすラボスに襲いかかった後で、爆発する。

「…………グッッッ!!」

両腕を顔の前に交差して防御しつつ、ラボスが呻き声をあげる。

……しかし、その体には、傷一つついてはいない。

「……な、なんだとっっ!?」

攻撃を仕掛けた研究員達が、目を見開き、驚愕の表情で立ち尽くす。

その一瞬の隙を、ラボスは見逃さなかった。

魔風刃ヘルズ・ウインド!!」

ラボスの両手から放たれた闇色の風の刃が、サーシャ達の前に立ちはだかった研究員達を次々と切り刻んでゆく。

哀れな研究員達は、声をあげる間もなく、血を流しながら地面に倒れ絶命していった。

「…………クッッッ!!……父上、ここは、一度引いてから出直した方がよろしいか、と」

サーシャの進言にオゥルが軽く首を縦に振ると、サーシャは、再び右手の杖を掲げて転移魔法を使った。サーシャとオゥルの姿がその場から消えてゆく。

それを見ながら、ラボスが吐き捨てた。

「…………クソッッ!!逃げたかっっ!!………………まあ、いいさ。ハルト、百合江さんっ!また、奴等が来ないうちに逃げようっ!!」


…………そして、ラボスは、その両腕にハルトと百合江をしっかりと抱えると、空へと飛び立っていった。



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