暴虐の果て

たじ

文字の大きさ
33 / 45

第33話

しおりを挟む
11月12日

荒垣は、前日、宇都宮と約束した時間に、S警察署の一階待合室までやって来ていた。

……ほどなくして、宇都宮が、階段を降りてこちらにやって来る。

「よし!それじゃあ、詳しく聞かせてもらおうか」

2人は、連れ立って取調室へと入っていく。

「それで、電話では、須藤君と三宅さんが、行方不明ってことだが、何か心当たりは?」

憔悴しきった様子で、荒垣が答える。

「……いいえ。全く。……でも、もしかすると……」

その先を引き継いで宇都宮が言った。

「……あのストーカー野郎、もとい、連続殺人の犯人に拐われたと?」

「……かもしれません……」

そう言って力なく、荒垣はうなだれた。

「……ふぅむ。……一応、お前達は、連続殺人の犯人と関わりがあるようだからな。こちらの方でも、何とか足取りを追ってはみるが……。
……なにせ、やつは、今の今まで、全くといっていいほど、こちらに尻尾を掴ませてくれないからな。……まあ、あまり期待しないで、待っていてくれ」

「あっ!そうだっ!そういえば、2人は、三岳山のレストランに、デートに行くとかって言っていたような……」

「なるほど。わかった。ちゃんと、うちの部下にも伝えておくよ。……すまないな。こっちも、あの事件のせいで、てんてこまいで、もう行かなければ……」

そう言って、荒垣に片手をあげると、宇都宮は、取調室から出ていった。

一人取調室に残された荒垣は、奥歯を噛み締めながら、「……クソッッ……!」と、呟いた。


    ◆  ◆  ◆  ◆

11月14日

私は、呆けたように頭上の通風口を見上げていた。

外では、どうやら小雨が降っているようだった。

シトシト、という雨音を聞きながら、私は、これからどうすればよいのか、についてずっと、考えを巡らせていた。

机の上のパソコンに目を向けると、私は、

「結局、これの設問に答えるくらいしか今はやることがない、か……」

と、呟くと、椅子に座って、思い付くままにパソコンの解答欄に、答えを打ち込んでゆく。

……しかし、何度やってみても、エラー音が鳴り響くばかりで、そのうち、私は諦めてうなだれた。

……前回は、通風口にヒントの書かれた紙が挟まっていたが、今回はそういうことも無さそうだった。一通り、部屋の中は調べてはいたが、何の収穫もなかった。

……相変わらず、シトシトと、雨音が天井の通風口から鳴り響いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...