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第45話
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11月15日
宇都宮は、自分のデスクで両手を組んでその上に顎をのせたまま、3日前から行方不明となっている部下の身を案じていた。
堤下は、その日、荒垣に張り付いていたはずなのだが、そこから一切連絡がなく、職場にも出てこなかった。
他の捜査員が自宅まで訪ねていっても留守だった。
加えて、堤下の携帯は、GPSで位置特定出来ないタイプのもので、監視カメラなどから何とか荒垣の住んでいるマンションまで荒垣を追跡していたことは掴めたものの、それ以降の足取りがどうにもまだ判明していなかった。
荒垣に対して尋問できれば良いのだが、今のところは虚偽を申告した疑いがあるのみで、宇都宮たちはそれ以上のことができない。
入江京子誘拐現場のゲソ痕の件では、荒垣によると、一緒にいたという所員が突然失踪してしまったとのことで、宇都宮にはますます荒垣が怪しく思えてきていた。
……せめて、堤下の身に何かが起こる前にこちらに連絡していてくれれば、基地局から少しは位置を特定することもできたかもしれないのだが……。
「……ダメです。やはり、付近の監視カメラを調べてみたものの、荒垣や堤下の車が映っていたのは、市街地の途中まででそこから先の足取りは掴めませんでした」
部下の一人の報告に、
「……やっぱりそうか。くそっっ!!」
と、悔しさをにじませて宇都宮は頭を抱えてデスクに顔を押し付けた。
◆ ◆ ◆ ◆
11月16日
その日、B山で登山を楽しんでいた中年夫婦が、山中の茂みの中から不審な皮のバッグを発見し、最寄りの交番まで届け出ていた。
その中身は、どうも件の連続殺人事件に関係しているものと思われ、すぐにS警察署に連絡が入り、やがて、M警察署の刑事がそのバッグを携えて、S警察署の捜査本部へとやって来た。
「……これが、ご連絡差し上げた例のバッグです」
デスクに座った宇都宮が、刑事の差し出したバッグを受けとる。
続けて刑事が言った。
「……今まで発見されてきた被害者について犯人が作成したと思われる、ドキュメントと殺害の瞬間の動画が収められたUSBメモリが入っています。……ただ、その、どうにも不可解と言いますか……。
……まあ、とにかく見ていただければ分かるとは思いますが……。それでは、私はこれで失礼します」
宇都宮に一礼してM署の刑事は去っていった。
「……不可解だと?……早速見てみるか……」
ドキュメントには、これまで発見されてきた被害者たちの詳細なデータが書かれており、何かの薬品について書かれたものも一緒に綴じられているようだ。
とりあえず、それらは後回しにして先にUSBに収められた動画を見てみることにする。手近にあったノートパソコンにUSBを差し込むと中身を確認する。動画は20個ほどあった。その内の一つをクリックすると画面に動画が再生された。
「……イヤアアアアアアアアアアア!!」
画面には、2人目の被害者がベッドに拘束されている姿が映されている。
やがて、キィ、バタン、という扉の開閉音が聞こえて、灰色のパーカーを着たマスク姿の男が一人被害者の拘束されているベッドにゆっくりと近づいてきた。
「……フー。フー。フー…………」
男のくぐもった息遣いが微かに聞こえてくる。
やがて、男が一人で何事かをブツブツと呟いていたかと思うと、男の体つきや人相が全く別の物へと変化し始めた。
「……なん、だと!?」
驚愕に目を見開いた宇都宮の見ている前で、見る見るうちに、男の姿が筋骨隆々たる大柄な人物のものへと変化した。マスクでおおわれてはいるが、顔も先程までとは違う人物のように見える。
そしてまた何事かを一人ブツブツ呟くと、パーカーの男が片手に持った瓶の中身を慎重に少しずつ被害者の裸体にかけ始めた。
……ジュウウウウウ。
「いやあああああああああああああ!!」
どうやら瓶の中身は、硫酸かなにかのようで、女性の腹部からは煙が上がり、その皮膚が赤く焼けただれていく。
宇都宮は、動画を一時停止させると、もう一度始めから確認した。
「……おいおいおいおい!……嘘だろ!?なんだよこりゃあ!?」
まるで、CGを使った映画のようだ。
恐らく、事前に撮った動画を加工したと思われる。
……だが。
宇都宮には、その映像が加工されたものであるとは何故か思えないのだった。
宇都宮は、自分のデスクで両手を組んでその上に顎をのせたまま、3日前から行方不明となっている部下の身を案じていた。
堤下は、その日、荒垣に張り付いていたはずなのだが、そこから一切連絡がなく、職場にも出てこなかった。
他の捜査員が自宅まで訪ねていっても留守だった。
加えて、堤下の携帯は、GPSで位置特定出来ないタイプのもので、監視カメラなどから何とか荒垣の住んでいるマンションまで荒垣を追跡していたことは掴めたものの、それ以降の足取りがどうにもまだ判明していなかった。
荒垣に対して尋問できれば良いのだが、今のところは虚偽を申告した疑いがあるのみで、宇都宮たちはそれ以上のことができない。
入江京子誘拐現場のゲソ痕の件では、荒垣によると、一緒にいたという所員が突然失踪してしまったとのことで、宇都宮にはますます荒垣が怪しく思えてきていた。
……せめて、堤下の身に何かが起こる前にこちらに連絡していてくれれば、基地局から少しは位置を特定することもできたかもしれないのだが……。
「……ダメです。やはり、付近の監視カメラを調べてみたものの、荒垣や堤下の車が映っていたのは、市街地の途中まででそこから先の足取りは掴めませんでした」
部下の一人の報告に、
「……やっぱりそうか。くそっっ!!」
と、悔しさをにじませて宇都宮は頭を抱えてデスクに顔を押し付けた。
◆ ◆ ◆ ◆
11月16日
その日、B山で登山を楽しんでいた中年夫婦が、山中の茂みの中から不審な皮のバッグを発見し、最寄りの交番まで届け出ていた。
その中身は、どうも件の連続殺人事件に関係しているものと思われ、すぐにS警察署に連絡が入り、やがて、M警察署の刑事がそのバッグを携えて、S警察署の捜査本部へとやって来た。
「……これが、ご連絡差し上げた例のバッグです」
デスクに座った宇都宮が、刑事の差し出したバッグを受けとる。
続けて刑事が言った。
「……今まで発見されてきた被害者について犯人が作成したと思われる、ドキュメントと殺害の瞬間の動画が収められたUSBメモリが入っています。……ただ、その、どうにも不可解と言いますか……。
……まあ、とにかく見ていただければ分かるとは思いますが……。それでは、私はこれで失礼します」
宇都宮に一礼してM署の刑事は去っていった。
「……不可解だと?……早速見てみるか……」
ドキュメントには、これまで発見されてきた被害者たちの詳細なデータが書かれており、何かの薬品について書かれたものも一緒に綴じられているようだ。
とりあえず、それらは後回しにして先にUSBに収められた動画を見てみることにする。手近にあったノートパソコンにUSBを差し込むと中身を確認する。動画は20個ほどあった。その内の一つをクリックすると画面に動画が再生された。
「……イヤアアアアアアアアアアア!!」
画面には、2人目の被害者がベッドに拘束されている姿が映されている。
やがて、キィ、バタン、という扉の開閉音が聞こえて、灰色のパーカーを着たマスク姿の男が一人被害者の拘束されているベッドにゆっくりと近づいてきた。
「……フー。フー。フー…………」
男のくぐもった息遣いが微かに聞こえてくる。
やがて、男が一人で何事かをブツブツと呟いていたかと思うと、男の体つきや人相が全く別の物へと変化し始めた。
「……なん、だと!?」
驚愕に目を見開いた宇都宮の見ている前で、見る見るうちに、男の姿が筋骨隆々たる大柄な人物のものへと変化した。マスクでおおわれてはいるが、顔も先程までとは違う人物のように見える。
そしてまた何事かを一人ブツブツ呟くと、パーカーの男が片手に持った瓶の中身を慎重に少しずつ被害者の裸体にかけ始めた。
……ジュウウウウウ。
「いやあああああああああああああ!!」
どうやら瓶の中身は、硫酸かなにかのようで、女性の腹部からは煙が上がり、その皮膚が赤く焼けただれていく。
宇都宮は、動画を一時停止させると、もう一度始めから確認した。
「……おいおいおいおい!……嘘だろ!?なんだよこりゃあ!?」
まるで、CGを使った映画のようだ。
恐らく、事前に撮った動画を加工したと思われる。
……だが。
宇都宮には、その映像が加工されたものであるとは何故か思えないのだった。
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