勇者に「レベル」がないっっっっ!?

たじ

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第12話

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「……へぇー、こちらの方が魔導騎士団の皆さんが異世界から召喚された勇者様なんですかー。へぇー……。」

リルから俺達一行について詳しい説明を受けたリーンが物珍しげに後ろの俺の方をちらちらと見る。

広大に広がる樹海の中をえっちらおっちら進みながら、先程からリルとリーンが自分達について色々と情報を交換しあっている。

「そうか、主はかのエシャロット伯の娘ごであったか。最初に名前を聞いた時にすぐに気づくべきじゃったのう。」

「……まあ、私は一族の中でも落ちこぼれとして扱われていますから。知られていなくてもしょうがないといいますか………。」

「なあ、エシャロット伯って一体誰?」
俺は横を歩いているマリスに尋ねる。

「……バヌーには、王室お抱えの剣技に長けた一族がいるそうです…。……そして、エシャロット伯は今現在バヌー王室近衛隊隊長を務めておられる方です…。…なんでも代々エシャロット家は王室近衛隊隊長を拝命しておられる、とか……。」

マリスが相も変わらず陰気に解説してくれる。

「……ふぅ~~~ん……。リーンって結構良いとこのお嬢さんなんだな。」

俺が呟くと、リーンが、
「いえいえ!!お恥ずかしい話ですけど、私は本当に、一族の中ではミソッカスなので。大したことはないんですよ。」

「……でもさ、さっき俺たちを鮮やかな剣技で盗賊から助けてくれたじゃないか!全然落ちこぼれなんかじゃないって!!」

「……毎回ああだといいんですけどね………。
……実は私、騎士の家系に生まれたくせに昔から虚弱体質でちょくちょく貧血で倒れてしまうんです。……だから、さっきのはたまたまうまくいっただけ、というか………。……だから、親族の中では昔から落ちこぼれ扱いされてるというか。まあ、そんな感じでして……。」

「……でも、貧血で倒れちゃうのはしょうがないんじゃないの?」

「……うちの一族は普通の家庭とは違って皆厳しいんですよ、その辺り。実力至上主義といいますか。……今一人で旅をしているのも親から武者修行を無理強いされているだけですし……。」

リーンはそう言って力無く微笑む。

……良いとこのお嬢さんって言っても、色々気苦労があるんだなぁ。可哀想に。

いつの間にかウェンディの肩から移動してきたラウが俺の肩の上で眉を下げ、

「……きゅうう~~~~……。」

とまるでリーンを哀れんでいるかのように鳴く。

「……本当、お前って人間臭いモンスターだよな。」

……それから2、3時間は一同黙ってひたすら森の中を歩き続けた。


    ◆  ◆  ◆  ◆


クゥーッ、クゥーッ、クゥーッ………。

数十m程離れた大木の枝の上でまるでカラスの体毛を真っ白にしたような鳥が何羽か鳴いている。

「スラーか。死肉を食む鳥が何でこんな所に。
近くに動物の死骸でもあるのかな。」

俺の後ろのマックスがそう言って顔をしかめる。

……どうやら見た目通り、俺の世界で言うところの
カラスとほぼ同じと思っていいみたいだ。

「…………っ!!何かいるぞ!!お前ら気を付けろっっ!!」

俺の横にいたウェンディが険しい顔で一同に注意を促した。

すると、前方の木々の陰から、

「……シュー、シュー、シュー……。」

という鼻息を漏らしながら、双頭の黒いワニのようなモンスターが地を這って姿を現した。

……ただし、ビジュアルはワニに似てはいるがサイズが全然違う。頭は小柄なウェンディ位の高さまであり、全長は10m近い。

……何ていうデカさだ。ここまでデカイともはやワニというか恐竜に近い。

「……おい!!カイト!!さっさとやらんか!!」

凍りついている俺に向かってリルが怒鳴る。

……そうだった。この世界では俺はダメージを受けないんだった。どんな化け物でも恐るるに足らず。

「…せやぁぁーーーーー!!」

俺は腰に下げていた棍棒で思い切り目の前のモンスターの頭を殴った。(剣だと何かの間違いでモンスターを仲間にする前に殺してしまいかねない、という事で格好悪いけどリルに棍棒を腰に下げさせられている俺。)

ぽよん、という音がして巨大な双頭のワニの敵意に満ちていた視線が一気に和らぎ、仲間にして欲しそうに俺の方を熱い視線で見つめている。

「……いいだろう。仲間にしてやるぜ!!」

俺が言うと、嬉しそうに身をよじらせる巨大なワニ。

「……おい。名前位つけてやったらどうじゃ?ラウの時はわしが名前をつけたから今度は主がつけると良いじゃろう。」

……う~~~~~ん。そう言われても今一つ思い付かない。

「……こいつの種族名って何て言うの?」

「ルビリスじゃ。」

「なら、ルビで。」

「……安易過ぎるがまあ良いわ。これから主の名前はルビじゃ!」

リルの声にシューシュー鼻息を漏らしながらコクコクとルビは頷いた。


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