ループ令嬢はそろそろ先に進みたい。今度は必ず幸せになってみせます。

MAYY

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家を出るにしても持っていくものは鞄一つにも満たないもの。
装飾品も持っていない私は自分の洋服一着に下着のみ。
それも一枚ずつだけだ。

「それだけか?」

私があまりにも荷物がないため眉間にシワを寄せながら聞いてくるレオンハルト様に微笑んだ。

「はい。今日明日着る衣服さえあれば過ごせますわ。私洗濯が得意なんです。ふふ。そんな顔しないでくださいませ。レオンハルト様が怒ることは何もないのですよ。私はになれただけで幸せなのですわ。」

レオンハルト様の眉間のシワを手で触り撫でながら微笑むと、頬を赤らめながら私を見つめてくれて私の頭を優しく撫でてくれた。
人に撫でられたの初めてだ。
こんなに温かい気持ちになるんだなぁ。
嬉しくてニコニコしてしまう。

「ルクティエが嬉しそうに笑うから俺はそれだけで幸せだ。」

レオンハルト様のような素敵な方にこんなこと言われてどうにかなっちゃいそうです。
やめてください。その顔でその言葉は反則です!!
私の心臓にとても悪いです。


玄関ホールでは護衛騎士の方とお父様にお母様、ムチエが立っていた。
お父様とお母様も相当私を睨んでいたが、ムチエの殺気がかった視線の方が私はとても怖かった。
レオンハルト様は私が震えているのかわかったのかそっと私の手を握りしめてくれた。
それだけで心が温かくなったのがわかる。

「お父様、お母様、今まで育てていただきありがとうございました。」

育てられた覚えはないが、今まで生き延びたのは食事を毎日少しずつでも与えてくれたからだ。
装飾品を買って貰ったことがなくても、そんなことどうでもいい。
例え無下にされても食事できただけで……生き延びられたそこは感謝している。

「ムチエもお元気で。」

感謝はしているが三人の目を見て言えるほど私は強くなかった。
ムチエとも何度も仲良くなりたくて試みたが、毎回私が悪いように泣き始めその騒ぎを聞き付けて来たお父様とお母様が私を怒る……の繰り返しだった。
私のことは嫌いなんだろう。前の時は私の元婚約者と浮気をするくらいだから………まさかレオンハルト様を狙われたりしないよね?
考え出すと不安はどんどん押し寄せてくる。
レオンハルト様の手をギュッと握りしめて温かい体温を確認してしまう。
クソ王子と比べなくても素敵な人だ。
ムチエが見逃さないわけない。
前のクソ王子の時みたいにレオンハルト様を取られたくない。

私も今度こそ幸せになりたい………。


「大丈夫だ。俺はルクティエ以外の女ムチエには興味がない。心配しなくていいよ。」


馬車に乗ってもレオンハルト様の手を握りしめていた私に、優しく微笑みながら言ってくれた。
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