7 / 14
7.
しおりを挟む
家を出るにしても持っていくものは鞄一つにも満たないもの。
装飾品も持っていない私は自分の洋服一着に下着のみ。
それも一枚ずつだけだ。
「それだけか?」
私があまりにも荷物がないため眉間にシワを寄せながら聞いてくるレオンハルト様に微笑んだ。
「はい。今日明日着る衣服さえあれば過ごせますわ。私洗濯が得意なんです。ふふ。そんな顔しないでくださいませ。レオンハルト様が怒ることは何もないのですよ。私はレオンハルト様の婚約者になれただけで幸せなのですわ。」
レオンハルト様の眉間のシワを手で触り撫でながら微笑むと、頬を赤らめながら私を見つめてくれて私の頭を優しく撫でてくれた。
人に撫でられたの初めてだ。
こんなに温かい気持ちになるんだなぁ。
嬉しくてニコニコしてしまう。
「ルクティエが嬉しそうに笑うから俺はそれだけで幸せだ。」
レオンハルト様のような素敵な方にこんなこと言われてどうにかなっちゃいそうです。
やめてください。その顔でその言葉は反則です!!
私の心臓にとても悪いです。
玄関ホールでは護衛騎士の方とお父様にお母様、ムチエが立っていた。
お父様とお母様も相当私を睨んでいたが、ムチエの殺気がかった視線の方が私はとても怖かった。
レオンハルト様は私が震えているのかわかったのかそっと私の手を握りしめてくれた。
それだけで心が温かくなったのがわかる。
「お父様、お母様、今まで育てていただきありがとうございました。」
育てられた覚えはないが、今まで生き延びたのは食事を毎日少しずつでも与えてくれたからだ。
装飾品を買って貰ったことがなくても、そんなことどうでもいい。
例え無下にされても食事できただけで……生き延びられたそこは感謝している。
「ムチエもお元気で。」
感謝はしているが三人の目を見て言えるほど私は強くなかった。
ムチエとも何度も仲良くなりたくて試みたが、毎回私が悪いように泣き始めその騒ぎを聞き付けて来たお父様とお母様が私を怒る……の繰り返しだった。
私のことは嫌いなんだろう。前の時は私の元婚約者と浮気をするくらいだから………まさかレオンハルト様を狙われたりしないよね?
考え出すと不安はどんどん押し寄せてくる。
レオンハルト様の手をギュッと握りしめて温かい体温を確認してしまう。
クソ王子と比べなくても素敵な人だ。
ムチエが見逃さないわけない。
前のクソ王子の時みたいにレオンハルト様を取られたくない。
私も今度こそ幸せになりたい………。
「大丈夫だ。俺はルクティエ以外の女には興味がない。心配しなくていいよ。」
馬車に乗ってもレオンハルト様の手を握りしめていた私に、優しく微笑みながら言ってくれた。
装飾品も持っていない私は自分の洋服一着に下着のみ。
それも一枚ずつだけだ。
「それだけか?」
私があまりにも荷物がないため眉間にシワを寄せながら聞いてくるレオンハルト様に微笑んだ。
「はい。今日明日着る衣服さえあれば過ごせますわ。私洗濯が得意なんです。ふふ。そんな顔しないでくださいませ。レオンハルト様が怒ることは何もないのですよ。私はレオンハルト様の婚約者になれただけで幸せなのですわ。」
レオンハルト様の眉間のシワを手で触り撫でながら微笑むと、頬を赤らめながら私を見つめてくれて私の頭を優しく撫でてくれた。
人に撫でられたの初めてだ。
こんなに温かい気持ちになるんだなぁ。
嬉しくてニコニコしてしまう。
「ルクティエが嬉しそうに笑うから俺はそれだけで幸せだ。」
レオンハルト様のような素敵な方にこんなこと言われてどうにかなっちゃいそうです。
やめてください。その顔でその言葉は反則です!!
私の心臓にとても悪いです。
玄関ホールでは護衛騎士の方とお父様にお母様、ムチエが立っていた。
お父様とお母様も相当私を睨んでいたが、ムチエの殺気がかった視線の方が私はとても怖かった。
レオンハルト様は私が震えているのかわかったのかそっと私の手を握りしめてくれた。
それだけで心が温かくなったのがわかる。
「お父様、お母様、今まで育てていただきありがとうございました。」
育てられた覚えはないが、今まで生き延びたのは食事を毎日少しずつでも与えてくれたからだ。
装飾品を買って貰ったことがなくても、そんなことどうでもいい。
例え無下にされても食事できただけで……生き延びられたそこは感謝している。
「ムチエもお元気で。」
感謝はしているが三人の目を見て言えるほど私は強くなかった。
ムチエとも何度も仲良くなりたくて試みたが、毎回私が悪いように泣き始めその騒ぎを聞き付けて来たお父様とお母様が私を怒る……の繰り返しだった。
私のことは嫌いなんだろう。前の時は私の元婚約者と浮気をするくらいだから………まさかレオンハルト様を狙われたりしないよね?
考え出すと不安はどんどん押し寄せてくる。
レオンハルト様の手をギュッと握りしめて温かい体温を確認してしまう。
クソ王子と比べなくても素敵な人だ。
ムチエが見逃さないわけない。
前のクソ王子の時みたいにレオンハルト様を取られたくない。
私も今度こそ幸せになりたい………。
「大丈夫だ。俺はルクティエ以外の女には興味がない。心配しなくていいよ。」
馬車に乗ってもレオンハルト様の手を握りしめていた私に、優しく微笑みながら言ってくれた。
0
あなたにおすすめの小説
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる