29 / 57
29 ケネシスの相手
しおりを挟む
遠慮していたワイドン公爵令嬢エイミーであったがケネシスの説得により気持ちを変え、北部の辺境伯の次男を婿にしワイドン公爵家を後継する決心をする。
数ヶ月前の王城パーティーではそれを公にするために令嬢夫妻がそのように振る舞い後継者であるアピールしていたことは社交界で大きな噂になっていた。夫妻は王都学園の卒業生ではないので王都での社交にハンデを感じている。そのためとても積極的に動いていたことも好感が持たれている。
パレシャが『よるコン』でズバニールとケネシスを選ぶと悪役令嬢はメイロッテである。エイミーは『よるコン』では公爵家を後継する気持ちはなかったので公爵家後継者ケネシスの相手が男爵令嬢パレシャでは納得しなかった。そこで女性騎士に憧れる仲間であるメイロッテにケネシスの周りからパレシャを排除することを頼みメイロッテが悪役令嬢になる。
それはあくまでも『よるコン』での話だ。ケネシスはワイドン公爵家後継者ではないしズバニールのことがあるにも関わらずメイロッテはパレシャと接点を持つ間もなく卒業していった。
この世界でも『よるコン』でもケネシスの相手は決まっていない。
『それに僕の望みはワイドン公爵家当主ではありませんから』
ケネシスが妖しく笑いズバニールは背筋を凍らせた。
「そんなの酷いよ! 私の気持ちを弄んだのね!」
「これはこれは予想の上をいくご意見で本当に勉強になります。
参考までにユノラド男爵令嬢のお気持ちとはどのようなものなのでしょうか?」
「ケネシスが好きって気持ちに決まっているじゃないの!」
みなが絶句する。
『その衣装は誰とお揃いですかぁ……?』
『貴女が抱き合っていたのは誰ですかぁ……?』
『二つの公爵家を一度に敵にしてませんかぁ……?』
それぞれ気にするところに差異はあれど『パレシャの本命ってズバニールではなくケネシスなのか?』という疑問は共通している。
もちろんこれは当人も。
ズバニールはパカリと口を開けてパレシャの横顔を見ていた。
「ははははははは!!!」
ケネシスが腹を抱えて笑いだしそれにつれらたように招待客も小さな声で笑っている者もいる。
「ユノラド男爵令嬢。隣に目を向けてみてほしいですね。貴女の発言で唯一傷ついた方がいらっしゃいますよ」
「え?」
パレシャは隣を見て顔を青くした。
「違う! 違うのよ、ズバニール様! 私は友人としてケネシスが好きってことなの!
男性として好きなのはズバニール様だけなのよ!」
笑いを堪える声があちらこちらから漏れるが気落ちしていたズバニールにはパレシャしか見えていないしパレシャの声しか耳に届かない。
「そぉなのか……?」
不安そうにパレシャを見てきたのでパレシャは音がしそうなほどびゅんびゅんと首を縦に振った。
「ケネシスなんかよりずぅーーーとずぅーーーと男らしいでしょう。それにすんごぉぉぉく優しいし。
とっても頼れるし、堂々としていてステキだし。
ズバニール様が一番好きです!」
ズバニールがにっこり笑うのと笑いを堪えながらのケネシスが茶々を入れるのは同時だった。
「僕は二番でも十番でも百番でもお断りします」
笑顔になりかけて再び引きつらせたズバニールはパレシャからの気持ちの価値に疑問を持ったようでケネシスを見て目を瞬かせる。
「それならアンタは黙ってなさいよ!」
「これはこれは『好きだ』と告白までした相手に随分なものいいですね」
先程の言葉を蒸し返されてギリギリと顔を歪めるパレシャと優位さを示すように冷酷な笑顔のケネシスの間で目に見えぬ何かが燃えていた。
「ケニィ。もうやめておきなさい」
呆れ笑いのアリサがケネシスの腕に触れそうなほど隣に来たのでパレシャはびっくりして声を張った。
「アリサ! 王妃になるアンタがそんなふしだらなことしちゃダメじゃん!」
「以前からそのお言葉に疑問を持っておりましたがそれはどういう意味ですか?」
「だからぁ! アリサは王太子と婚約するんでしょう。王宮に招かれるって言ってたじゃん」
「婚約者候補はわたくしだけではありませんわ。それにここでわたくしの口から王家について言及はできませんがわたくしは王太子殿下に嫁ぐことはないということは言わせていただきます」
「うそ! アリサがフラレるなんておかしいよ!」
「そういうお話ではありませんし、王家の判断に言及なさるのは控えた方がよろしいと思いますわよ」
「なんで? おかしいことをおかしいって言っちゃいけないの?」
「王家の決定は国王陛下が最終決定したものだ。それに対して疑問を口にするなんて王家への反逆の意思でもあるのかもしれないねぇ」
爽やかでよく通るが聞き慣れない声に振り返るとそこには青みを帯びた銀髪をアシンメトリーにして同色の瞳を持つ美青年が騒ぎの中心へ歩いてきていた。
数ヶ月前の王城パーティーではそれを公にするために令嬢夫妻がそのように振る舞い後継者であるアピールしていたことは社交界で大きな噂になっていた。夫妻は王都学園の卒業生ではないので王都での社交にハンデを感じている。そのためとても積極的に動いていたことも好感が持たれている。
パレシャが『よるコン』でズバニールとケネシスを選ぶと悪役令嬢はメイロッテである。エイミーは『よるコン』では公爵家を後継する気持ちはなかったので公爵家後継者ケネシスの相手が男爵令嬢パレシャでは納得しなかった。そこで女性騎士に憧れる仲間であるメイロッテにケネシスの周りからパレシャを排除することを頼みメイロッテが悪役令嬢になる。
それはあくまでも『よるコン』での話だ。ケネシスはワイドン公爵家後継者ではないしズバニールのことがあるにも関わらずメイロッテはパレシャと接点を持つ間もなく卒業していった。
この世界でも『よるコン』でもケネシスの相手は決まっていない。
『それに僕の望みはワイドン公爵家当主ではありませんから』
ケネシスが妖しく笑いズバニールは背筋を凍らせた。
「そんなの酷いよ! 私の気持ちを弄んだのね!」
「これはこれは予想の上をいくご意見で本当に勉強になります。
参考までにユノラド男爵令嬢のお気持ちとはどのようなものなのでしょうか?」
「ケネシスが好きって気持ちに決まっているじゃないの!」
みなが絶句する。
『その衣装は誰とお揃いですかぁ……?』
『貴女が抱き合っていたのは誰ですかぁ……?』
『二つの公爵家を一度に敵にしてませんかぁ……?』
それぞれ気にするところに差異はあれど『パレシャの本命ってズバニールではなくケネシスなのか?』という疑問は共通している。
もちろんこれは当人も。
ズバニールはパカリと口を開けてパレシャの横顔を見ていた。
「ははははははは!!!」
ケネシスが腹を抱えて笑いだしそれにつれらたように招待客も小さな声で笑っている者もいる。
「ユノラド男爵令嬢。隣に目を向けてみてほしいですね。貴女の発言で唯一傷ついた方がいらっしゃいますよ」
「え?」
パレシャは隣を見て顔を青くした。
「違う! 違うのよ、ズバニール様! 私は友人としてケネシスが好きってことなの!
男性として好きなのはズバニール様だけなのよ!」
笑いを堪える声があちらこちらから漏れるが気落ちしていたズバニールにはパレシャしか見えていないしパレシャの声しか耳に届かない。
「そぉなのか……?」
不安そうにパレシャを見てきたのでパレシャは音がしそうなほどびゅんびゅんと首を縦に振った。
「ケネシスなんかよりずぅーーーとずぅーーーと男らしいでしょう。それにすんごぉぉぉく優しいし。
とっても頼れるし、堂々としていてステキだし。
ズバニール様が一番好きです!」
ズバニールがにっこり笑うのと笑いを堪えながらのケネシスが茶々を入れるのは同時だった。
「僕は二番でも十番でも百番でもお断りします」
笑顔になりかけて再び引きつらせたズバニールはパレシャからの気持ちの価値に疑問を持ったようでケネシスを見て目を瞬かせる。
「それならアンタは黙ってなさいよ!」
「これはこれは『好きだ』と告白までした相手に随分なものいいですね」
先程の言葉を蒸し返されてギリギリと顔を歪めるパレシャと優位さを示すように冷酷な笑顔のケネシスの間で目に見えぬ何かが燃えていた。
「ケニィ。もうやめておきなさい」
呆れ笑いのアリサがケネシスの腕に触れそうなほど隣に来たのでパレシャはびっくりして声を張った。
「アリサ! 王妃になるアンタがそんなふしだらなことしちゃダメじゃん!」
「以前からそのお言葉に疑問を持っておりましたがそれはどういう意味ですか?」
「だからぁ! アリサは王太子と婚約するんでしょう。王宮に招かれるって言ってたじゃん」
「婚約者候補はわたくしだけではありませんわ。それにここでわたくしの口から王家について言及はできませんがわたくしは王太子殿下に嫁ぐことはないということは言わせていただきます」
「うそ! アリサがフラレるなんておかしいよ!」
「そういうお話ではありませんし、王家の判断に言及なさるのは控えた方がよろしいと思いますわよ」
「なんで? おかしいことをおかしいって言っちゃいけないの?」
「王家の決定は国王陛下が最終決定したものだ。それに対して疑問を口にするなんて王家への反逆の意思でもあるのかもしれないねぇ」
爽やかでよく通るが聞き慣れない声に振り返るとそこには青みを帯びた銀髪をアシンメトリーにして同色の瞳を持つ美青年が騒ぎの中心へ歩いてきていた。
21
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
【完結】パパ、私は犯人じゃないよ ~処刑予定の私、冷徹公爵(パパ)に溺愛されるまで~
チャビューヘ
ファンタジー
※タイトル変更しました。
「掃除(処分)しろ」と私を捨てた冷徹な父。生き残るために「心を無」にして媚びを売ったら。
「……お前の声だけが、うるさくない」
心の声が聞こえるパパと、それを知らずに生存戦略を練る娘の物語。
-----
感想送っていただいている皆様へ
たくさんの嬉しい言葉や厳しい意見も届いており一つ一つがすごく嬉しいのと頑張ろうと感じています。ご意見を元に修正必要な部分は随時更新していきます。
成長のため感想欄を閉じませんが公開はする予定ありません。ですが必ず全て目を通しています。拙作にお時間を頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
【完結】レイハート公爵夫人の時戻し
風見ゆうみ
恋愛
公爵夫人である母が亡くなったのは、私、ソラリアが二歳になり、妹のソレイユが生まれてすぐのことだ。だから、母の記憶はないに等しい。
そんな母が私宛に残していたものがあった。
青色の押し花付きの白い封筒に入った便箋が三枚。
一枚目には【愛するソラリアへ】三枚目に【母より】それ以外、何も書かれていなかった。
父の死後、女性は爵位を継ぐことができないため、私は公爵代理として、領民のために尽くした。
十九歳になった私は、婚約者に婿入りしてもらい、彼に公爵の爵位を継いでもらった。幸せな日々が続くかと思ったが、彼との子供を授かったとわかった数日後、私は夫と実の妹に殺されてしまう。
けれど、気がついた時には、ちょうど一年前になる初夜の晩に戻っており、空白だったはずの母からの手紙が読めるようになっていた。
殺されたことで羊の形をした使い魔が見えるようになっただけでなく『時戻しの魔法』を使えるようになった私は、爵位を取り返し、妹と夫を家から追い出すことに決める。だが、気弱な夫は「ソラリアを愛している。別れたくない」と泣くばかりで、離婚を認めてくれず――。
悪役令嬢発溺愛幼女着
みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」
わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。
響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。
わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。
冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。
どうして。
誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる