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第一章 本編
3 広告主は……
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ノエルダムに睨みつけられても動揺のないヘレナーシャに、ノエルダムはさらに顔を赤くして三歩前に出た。
「ヘレナっ! 貴様は本当に根性が腐っているのだなっ!」
ヘレナーシャではなく、まわりの者があんぐりと口を開けて呆れた。ノエルダムは『当然のマナーを教えた』という言葉を聞いていないのか?誰もが目が点になる。
「ふふふ。本当にノエルダム様は思考がお狂いでいらっしゃるわ」
野次馬たちもクスクスと笑った。
「きっさまぁ!!!」
ノエルダムが拳を握り肩まで上げる。
「ノエル。止めなよ。そいつらがクズなのはわかっていたことだろう?」
ウデルタがノエルダムの腕を掴んで止めた。
『カタン』
ヘレナーシャの隣にいた青い髪を腰まで伸ばしたユリティナ・ソチアンダ侯爵令嬢が金色の目を細めて立ち上がった。
「ウデルタ様、聞き捨てなりませんわね。『クズなそいつら』とはどなたのことでございますの?」
ちなみに、ノエルダム―公爵子息―の言葉に返事をするためなのでヘレナーシャ―伯爵令嬢―が発言することは問題ない。ウデルタとユリティナは共に侯爵家なので、発言を挟むことは問題ない。
「ああ、ユリア。そこにいると思っていたよ。やはり心根の悪い者は心根の悪い者たちと一緒にいるんだねぇ」
ウデルタは下卑た笑いをユリティナに向けた。
「「「ひっ!」」」
ユリティナは顔色を変えない。小さな悲鳴は野次馬からだ。
「そのお言葉。わたくし個人ではなく公爵家への侮辱として受け取らせていただきますわね」
ラビオナが優雅に笑った。
メーデルはシエラの頬を指で拭い、シエラの肩を抱いてラビオナたちに振り向いた。
メーデルはシエラの涙を見て気持ちが復活した。ラビオナを睨む。
「いつもそのように身分をかさに着て威張っていたのだな」
メーデルの言葉に一瞬場は静まるが、すぐにざわざわと声がした。
「メーデル王太子殿下。ここは一般教養や武術だけでなく、貴族としてのマナーや常識も学ぶところです。学び舎であるために、不敬な発言も罰になることは稀です。
先程のウデルタ様のような酷いお言葉でなければ、家に報告もいたしません」
ラビオナがチラリとウデルタを見れば、ウデルタが肩を揺らして動揺した。ラビオナは再びメーデルを見据えた。
「しかし、学び舎であるからこそ、間違えていらっしゃる時にはご指摘いたしますわ。
社交界に出てからでは遅いですから。
それをかさに着て威張るとおっしゃるとは……」
ラビオナは扇を閉じて顎に当てた。
「メーデル王太子殿下の発言の意味は理解できませんが、つまりはウデルタ様やシエラ様は学ぶおつもりがないということでしょうか?」
「そのようなことは申しておらんっ!
二人ともわかっている。わかっている者にとやかく言うことがおかしいのだっ!」
吊り目をこれでもかと吊らせていたメーデルが怒鳴り散らす。
ラビオナは顔色一つ変えないので感情が読めないが、これこそが淑女教育の賜物なのだ。『ラビオナの言葉は冷静で堅実な意見だ』と思わせることに一役買っている。
「わかっていらっしゃるのに、あれらの発言ですか……。どうやら、根本的な教育がお間違えのようですわね。王家にも、ブルゾリド男爵家にも、メヘンレンド侯爵家にも、ご注意いただくよう、父に相談しておきますわ。
あ、側近候補者様ですのに、ご指摘なさらないノエルダム様も問題ですわ。コームチア公爵家にも相談しておきますわね」
シエラがハラハラと涙を流し顔を覆って俯き、三人の男たちは顔を赤くしてワナワナと震えている。
三人の男たちが何か反論しようとした時、食堂室に入って来た者から声がかかった。
「失礼いたします。国王陛下の命により、確認にまいりました」
息を切らしながら入ってきたのは、簡易甲冑を着た王宮の近衛兵であった。
「メーデル王太子殿下。求人広告をお捨てになったというのは本当ですか?」
近衛兵は姿勢正しく立ち、胸を反らせて質問した。
「当たり前だっ! あのような稚拙な悪戯を放っておけるわけがないだろうっ!」
メーデルは近衛兵を指さしながら怒鳴る。貴族として人に対して指を指すのはマナー違反だ。
ラビオナは思わず注意しそうになったが、近衛兵にこの場を任せるために息を飲み込んで我慢した。
「失礼ながら。
あの求人広告は王妃陛下の掲示物であります。メーデル王太子殿下であろうとも、王妃陛下の掲示物にお手出しは不敬となります。
王妃陛下より、再び掲示するようにと申し付かって参りました。
また、メーデル王太子殿下には『次は不敬ととる』との伝言も申し付かりました。
ご理解いただきますようお願いいたします」
さすがのメーデルもたじろいた。まさか『陛下』の名前での掲示物だとは思っていなかったのだ。
近衛兵はメーデルに深々と頭を下げた後、廊下に向き直る。
「伝言は済みました。お願いいたします」
大きな声が食堂室の向こうの廊下まで響いた。
「ヘレナっ! 貴様は本当に根性が腐っているのだなっ!」
ヘレナーシャではなく、まわりの者があんぐりと口を開けて呆れた。ノエルダムは『当然のマナーを教えた』という言葉を聞いていないのか?誰もが目が点になる。
「ふふふ。本当にノエルダム様は思考がお狂いでいらっしゃるわ」
野次馬たちもクスクスと笑った。
「きっさまぁ!!!」
ノエルダムが拳を握り肩まで上げる。
「ノエル。止めなよ。そいつらがクズなのはわかっていたことだろう?」
ウデルタがノエルダムの腕を掴んで止めた。
『カタン』
ヘレナーシャの隣にいた青い髪を腰まで伸ばしたユリティナ・ソチアンダ侯爵令嬢が金色の目を細めて立ち上がった。
「ウデルタ様、聞き捨てなりませんわね。『クズなそいつら』とはどなたのことでございますの?」
ちなみに、ノエルダム―公爵子息―の言葉に返事をするためなのでヘレナーシャ―伯爵令嬢―が発言することは問題ない。ウデルタとユリティナは共に侯爵家なので、発言を挟むことは問題ない。
「ああ、ユリア。そこにいると思っていたよ。やはり心根の悪い者は心根の悪い者たちと一緒にいるんだねぇ」
ウデルタは下卑た笑いをユリティナに向けた。
「「「ひっ!」」」
ユリティナは顔色を変えない。小さな悲鳴は野次馬からだ。
「そのお言葉。わたくし個人ではなく公爵家への侮辱として受け取らせていただきますわね」
ラビオナが優雅に笑った。
メーデルはシエラの頬を指で拭い、シエラの肩を抱いてラビオナたちに振り向いた。
メーデルはシエラの涙を見て気持ちが復活した。ラビオナを睨む。
「いつもそのように身分をかさに着て威張っていたのだな」
メーデルの言葉に一瞬場は静まるが、すぐにざわざわと声がした。
「メーデル王太子殿下。ここは一般教養や武術だけでなく、貴族としてのマナーや常識も学ぶところです。学び舎であるために、不敬な発言も罰になることは稀です。
先程のウデルタ様のような酷いお言葉でなければ、家に報告もいたしません」
ラビオナがチラリとウデルタを見れば、ウデルタが肩を揺らして動揺した。ラビオナは再びメーデルを見据えた。
「しかし、学び舎であるからこそ、間違えていらっしゃる時にはご指摘いたしますわ。
社交界に出てからでは遅いですから。
それをかさに着て威張るとおっしゃるとは……」
ラビオナは扇を閉じて顎に当てた。
「メーデル王太子殿下の発言の意味は理解できませんが、つまりはウデルタ様やシエラ様は学ぶおつもりがないということでしょうか?」
「そのようなことは申しておらんっ!
二人ともわかっている。わかっている者にとやかく言うことがおかしいのだっ!」
吊り目をこれでもかと吊らせていたメーデルが怒鳴り散らす。
ラビオナは顔色一つ変えないので感情が読めないが、これこそが淑女教育の賜物なのだ。『ラビオナの言葉は冷静で堅実な意見だ』と思わせることに一役買っている。
「わかっていらっしゃるのに、あれらの発言ですか……。どうやら、根本的な教育がお間違えのようですわね。王家にも、ブルゾリド男爵家にも、メヘンレンド侯爵家にも、ご注意いただくよう、父に相談しておきますわ。
あ、側近候補者様ですのに、ご指摘なさらないノエルダム様も問題ですわ。コームチア公爵家にも相談しておきますわね」
シエラがハラハラと涙を流し顔を覆って俯き、三人の男たちは顔を赤くしてワナワナと震えている。
三人の男たちが何か反論しようとした時、食堂室に入って来た者から声がかかった。
「失礼いたします。国王陛下の命により、確認にまいりました」
息を切らしながら入ってきたのは、簡易甲冑を着た王宮の近衛兵であった。
「メーデル王太子殿下。求人広告をお捨てになったというのは本当ですか?」
近衛兵は姿勢正しく立ち、胸を反らせて質問した。
「当たり前だっ! あのような稚拙な悪戯を放っておけるわけがないだろうっ!」
メーデルは近衛兵を指さしながら怒鳴る。貴族として人に対して指を指すのはマナー違反だ。
ラビオナは思わず注意しそうになったが、近衛兵にこの場を任せるために息を飲み込んで我慢した。
「失礼ながら。
あの求人広告は王妃陛下の掲示物であります。メーデル王太子殿下であろうとも、王妃陛下の掲示物にお手出しは不敬となります。
王妃陛下より、再び掲示するようにと申し付かって参りました。
また、メーデル王太子殿下には『次は不敬ととる』との伝言も申し付かりました。
ご理解いただきますようお願いいたします」
さすがのメーデルもたじろいた。まさか『陛下』の名前での掲示物だとは思っていなかったのだ。
近衛兵はメーデルに深々と頭を下げた後、廊下に向き直る。
「伝言は済みました。お願いいたします」
大きな声が食堂室の向こうの廊下まで響いた。
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