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第三章 子爵令嬢の大いなる挑戦
3 学園での勉強に挑戦する
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学園のクラスは成績順で分けられている。Aクラスは九割が高位貴族子女で、あとは子爵家男爵家の長男である。
また、Bクラスは三十人中女性は十人で、サラビエネ以外は高位貴族令嬢だ。高位貴族と下位貴族とでは、根本的に教育方針も教育費も教育時間も違うのだから、当然の結果である。
男性も高位貴族の次男三男が多く、後は下位貴族の後継者となる令息だ。
その中で上位であるサラビエネは確かに異質といえた。
初めは心無い批判を受けることもあった。だが、両親の愛を信じているサラビエネは全く動揺することなく勉学に励んだ。
友達の存在も大きい。親友のノエリエラ・パーミル子爵令嬢はサラビエネと同様に才女であり、一つ年上の二年生でBクラス内の上位であった。二人の悩みはそっくり同じであったので大変気が合う。
サラビエネの優秀さにやっかむ声が減った頃、美しいサラビエネは何人もの男の子たちに誘いを受けた。だが、誰と話をしてもサラビエネは楽しいと思えなかった。なぜなら、サラビエネに声をかけてくるのは、子爵家男爵家の次男や三男で、男であることに胡座をかき努力を怠り、それなのにムワタンテ子爵家の後継を狙う者が多かったからだ。
同じクラスの高位貴族の次男三男たちはプライドが大変高く、自分より成績のよいサラビエネを良くは思っていない。
〰️ 〰️ 〰️
サラビエネが二年生になって間もなく、ムワタンテ子爵家に男の子が生まれた。
ムワタンテ子爵家に生まれた男の子はアーディルと名付けられた。アーディルはオデリーヌと同じネイビーの髪とムワタンテ子爵のブラウンの瞳の可愛らしい子だ。
学園の長期休みでやっとアーディルに会えたサラビエネは、可愛らしい弟にとても感動した。
さらには、九歳になったライラリンネの勉強を見て、自分より優秀だと確信する。
そして、三人の家族会議が開かれた。
「お父様。ムワタンテ子爵家はアディに継がせてください」
「何を言うんだっ! サーラが優秀なのはわかっている。
アディは男の子だ。勉強が優秀なら王城の文官にもなれるし、武術が優秀なら騎士団へ入ってもいい。
だが、残念なことに、女性であり、子爵家の娘であるサーラの才能を活かせる仕事はなかなかない。
この領地でその才能を活かしなさい」
「それでしたら、ライリーにムワタンテ子爵家を継がせてください。ライリーはわたくしよりずっと優秀です」
「サーラ。ライリーは貴女に憧れて勉強しているのよ。わたくしもライリーも貴女がムワタンテ子爵家を継ぐべきだと思っているわ」
「お義母様……。わかりました。でも、後継者をお決めになることは保留にしてください。アディが成人してからでも間に合います」
「そこまで待つかどうかはわからないが、少なくともサーラの婚姻が決まるまでは待つことにしよう」
サラビエネは両親を説得することは今は諦めた。そして、休み中はライラリンネとたくさん遊びたくさん勉強した。暇を見つけてはアーディルの面倒もみた。
サラビエネは両親には内緒だが、ムワタンテ子爵領をアーディルが継ぐにしてもライラリンネが継ぐにしてもサポート役になろうと決心して学園へ戻った。支えることを目標にしたサラビエネは益々勉強に力を入れることになる。
ムワタンテ子爵家に男の子が生まれたことが広まるとサラビエネに声をかける男の子たちは露骨に減った。後継者にならないのなら、自分より優秀な女性との婚姻は願い下げとの考えがプライドの高い男たちの中では当然である。
それでも声をかけてくるのは、美しいサラビエネとの一時の恋を楽しみたい下心丸出しの者ばかりだった。
アーディルかライラリンネを支えると決心したサラビエネは、身を翻した男子生徒も下心丸出しの男子生徒も嫌いになり、尚更勉強に傾いた。
〰️ 〰️ 〰️
サラビエネは卒業までBクラスのトップだった。
サラビエネは卒業するとすぐにムワタンテ子爵のサポート役になった。ムワタンテ子爵はサラビエネを後継者として領地経営について教えていく。サラビエネがアーディルとライラリンネのために頑張っているとは全く気がついていなかった。
〰️
そして、運命の手紙がムワタンテ子爵家に届いた。貴族全家に送られた手紙である。
【王太子妃候補者募集!】
ムワタンテ子爵は王城の勤務をしていないので、学園にそのような求人広告が出されたことなど知らず、手紙の内容に驚きを隠せなかった。
だが、ムワタンテ子爵はある項目に注目していた。
○月に一度のテストに一年間合格すること(不合格の時点で候補から落選する)
『これは女性が学ぶ機会を与えられるということではないのか?』
さらにもう一枚の手紙には内容が記されている。
【カリキュラム】
○月曜から金曜の夕方三時より七時まで
○王城の特別室にて勉強会をする
○下記の内容を一ヶ月毎にテストする
○テスト合格者は80点以上の者とする
1・マナー、ダンス、護身術体術初級
2・語学大陸共通語初級
3・歴史学、淑女学初級
4・地理学、天候学初級
5・語学他国語初級
6・総合学初級
この後は、同内容の中級となる
ムワタンテ子爵は自分の予想に確信は持てないものの、オデリーヌとサラビエネに相談することにした。
また、Bクラスは三十人中女性は十人で、サラビエネ以外は高位貴族令嬢だ。高位貴族と下位貴族とでは、根本的に教育方針も教育費も教育時間も違うのだから、当然の結果である。
男性も高位貴族の次男三男が多く、後は下位貴族の後継者となる令息だ。
その中で上位であるサラビエネは確かに異質といえた。
初めは心無い批判を受けることもあった。だが、両親の愛を信じているサラビエネは全く動揺することなく勉学に励んだ。
友達の存在も大きい。親友のノエリエラ・パーミル子爵令嬢はサラビエネと同様に才女であり、一つ年上の二年生でBクラス内の上位であった。二人の悩みはそっくり同じであったので大変気が合う。
サラビエネの優秀さにやっかむ声が減った頃、美しいサラビエネは何人もの男の子たちに誘いを受けた。だが、誰と話をしてもサラビエネは楽しいと思えなかった。なぜなら、サラビエネに声をかけてくるのは、子爵家男爵家の次男や三男で、男であることに胡座をかき努力を怠り、それなのにムワタンテ子爵家の後継を狙う者が多かったからだ。
同じクラスの高位貴族の次男三男たちはプライドが大変高く、自分より成績のよいサラビエネを良くは思っていない。
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サラビエネが二年生になって間もなく、ムワタンテ子爵家に男の子が生まれた。
ムワタンテ子爵家に生まれた男の子はアーディルと名付けられた。アーディルはオデリーヌと同じネイビーの髪とムワタンテ子爵のブラウンの瞳の可愛らしい子だ。
学園の長期休みでやっとアーディルに会えたサラビエネは、可愛らしい弟にとても感動した。
さらには、九歳になったライラリンネの勉強を見て、自分より優秀だと確信する。
そして、三人の家族会議が開かれた。
「お父様。ムワタンテ子爵家はアディに継がせてください」
「何を言うんだっ! サーラが優秀なのはわかっている。
アディは男の子だ。勉強が優秀なら王城の文官にもなれるし、武術が優秀なら騎士団へ入ってもいい。
だが、残念なことに、女性であり、子爵家の娘であるサーラの才能を活かせる仕事はなかなかない。
この領地でその才能を活かしなさい」
「それでしたら、ライリーにムワタンテ子爵家を継がせてください。ライリーはわたくしよりずっと優秀です」
「サーラ。ライリーは貴女に憧れて勉強しているのよ。わたくしもライリーも貴女がムワタンテ子爵家を継ぐべきだと思っているわ」
「お義母様……。わかりました。でも、後継者をお決めになることは保留にしてください。アディが成人してからでも間に合います」
「そこまで待つかどうかはわからないが、少なくともサーラの婚姻が決まるまでは待つことにしよう」
サラビエネは両親を説得することは今は諦めた。そして、休み中はライラリンネとたくさん遊びたくさん勉強した。暇を見つけてはアーディルの面倒もみた。
サラビエネは両親には内緒だが、ムワタンテ子爵領をアーディルが継ぐにしてもライラリンネが継ぐにしてもサポート役になろうと決心して学園へ戻った。支えることを目標にしたサラビエネは益々勉強に力を入れることになる。
ムワタンテ子爵家に男の子が生まれたことが広まるとサラビエネに声をかける男の子たちは露骨に減った。後継者にならないのなら、自分より優秀な女性との婚姻は願い下げとの考えがプライドの高い男たちの中では当然である。
それでも声をかけてくるのは、美しいサラビエネとの一時の恋を楽しみたい下心丸出しの者ばかりだった。
アーディルかライラリンネを支えると決心したサラビエネは、身を翻した男子生徒も下心丸出しの男子生徒も嫌いになり、尚更勉強に傾いた。
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サラビエネは卒業までBクラスのトップだった。
サラビエネは卒業するとすぐにムワタンテ子爵のサポート役になった。ムワタンテ子爵はサラビエネを後継者として領地経営について教えていく。サラビエネがアーディルとライラリンネのために頑張っているとは全く気がついていなかった。
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そして、運命の手紙がムワタンテ子爵家に届いた。貴族全家に送られた手紙である。
【王太子妃候補者募集!】
ムワタンテ子爵は王城の勤務をしていないので、学園にそのような求人広告が出されたことなど知らず、手紙の内容に驚きを隠せなかった。
だが、ムワタンテ子爵はある項目に注目していた。
○月に一度のテストに一年間合格すること(不合格の時点で候補から落選する)
『これは女性が学ぶ機会を与えられるということではないのか?』
さらにもう一枚の手紙には内容が記されている。
【カリキュラム】
○月曜から金曜の夕方三時より七時まで
○王城の特別室にて勉強会をする
○下記の内容を一ヶ月毎にテストする
○テスト合格者は80点以上の者とする
1・マナー、ダンス、護身術体術初級
2・語学大陸共通語初級
3・歴史学、淑女学初級
4・地理学、天候学初級
5・語学他国語初級
6・総合学初級
この後は、同内容の中級となる
ムワタンテ子爵は自分の予想に確信は持てないものの、オデリーヌとサラビエネに相談することにした。
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