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疑問8 天使なのかしら?
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ノイデル伯爵はお母様の死が自分のせいだと納得したのか、膝を地面につき項垂れて呆けている。
ノイデル卿も青い顔で父親ノイデル伯爵を見て呆然としていた。
私はこの兄であるノイデル卿もオリビアを虐待していたことを知っているのでこちらも教育してやらなくてはならない。
「ノイデル卿。貴方にとって父親だけの話ではないのですよ」
「え?」
こちらをやっと向いたが、先程までの怒りはなく目を虚ろにさせている。
「貴方もそのお年になっても性教育をわかっていらっしゃらないようですわね?
わたくしはノイデル伯爵のように『一人に拘って潰すこと』だけを申しているのではありません。知識もなく何人もの方と性交渉をなされていることも問題だと思います」
「っ!!!」
虚ろな目から驚愕の目に変わった。
「周りから見ると恋人と思われる方が何人かいらっしゃるとお聞きしております。社交界の紳士方の間では有名だとか? しかし、そのような薄い知識で婚姻前に大丈夫ですか?」
いらぬことまで暴露されたジリー・ノイデル卿は顔を青くした。そこへ可愛らしい令嬢が前へと進み出てくる。
「サマンサ……」
ジリーは震えながら呟いた。その令嬢はレオガーナ伯爵家のサマンサ様らしい。
『バッチーン!』
サマンサ様は手にしていた扇でジリーの頬を叩いた。叩かれたジリーだけでなく、誰もがあ然としている。
「貴方に性交渉を迫られた時、お断りして本当によかったですわ。令嬢らしくない言葉でごめんなさいね。ですが、これはわたくしの名誉を守るためのお言葉ですのよ。卑猥な意味では全くありません。ご理解くださいませねっ」
サマンサ様はジリーのエスコートでいくつかのパーティーに参加しており、恋人の一人ということは有名だと聞いている。もちろん、サマンサ様は自分だけと思っていたからこそのこのお怒りなのだ。
確かに処女性を重んじる貴族の中で、しっかりと身の潔白をアピールしておくのは必要だ。ジリーの恋人だと思われている時点で処女であることに疑いを持たれていることは間違いない。それを私の言葉を利用してきっぱりと処女をアピールしておくことは、立派な自己防衛手段である。
これだけの人がいるのだ。ジリーがフラレたことともにサマンサ様の純潔も社交界で広がるだろう。
サマンサ様はジリーに『フンッ』と横を向き、お祖父様とお祖母様と私に向き合った。
「お見苦しいところをお見せして申し訳ございません。オリビア様の今後のご活躍をお祈り申し上げますわ。
本日はこれで失礼させていただきます」
「こちらこそこのようなことになり申し訳ない」
「いえ。オリビア様とは是非改めてご親睦を深めさせていただきたく存じますわ。よろしければお茶会のお誘いをしてもよろしいかしら?」
サマンサ様は私に素敵な笑顔を見せてくれた。
「はい。お待ちしております」
サマンサ様が笑顔でカーテシーをしたあと、もう一度項垂れるジリーを睨みつけて出入口へと向かった。それを追いかけるようにサマンサ様のご両親レオガーナ伯爵夫妻も私たちに挨拶をし頭を下げ、ジリーを睨みつけて帰っていった。
「サマンサ嬢によい縁談を探して差し上げましょう」
お祖母様は私とお祖父様とバレルだけに聞こえるような声だった。
項垂れているノイデル伯爵と呆けているノイデル卿を尻目にオリビアの復讐は終わらない。
私は意識の変化を感じた。
〰️ 〰️ 〰️
お祖父様たちに私とオリビアの話をしてお祖母様とのお茶会をする約束をした後、とりあえずそれぞれで今後どうしていくかを考えてみようということになりその場は解散して、後日再集合することになった。
私はそのままフィゾルド侯爵夫妻が孫娘のために八年もの間大切にし温めてきた部屋を使わせてもらうことになる。そして、『事故に合い記憶が疎らなオリビア』をメイドの前で演じた。これは三人も了承済みだ。
「頭に靄がかかっているの。悪いけど一人になりたいわ」
部屋に戻るとメイドにも下ってもらい、一人になる。一般的な日本人である私は、ずっと世話されることも、世話をするためにずっと待ってもらうことも良しとしなかった。
私は独り言を言いながら考えをまとめていく。フィゾルド侯爵の言葉が気になる。
『神に遣わされた天使様ということですな』
「天使様ねぇ。確かに私がここでこうしていることは、普通ではないものね。神の力って言われた方が納得できるわ」
私はベッドに座った状態から仰向けに倒れて腕を大の字にした。
「設定や名前まで覚えてないけど、ここって私が最後に読んだ小説の中だと思うのよね」
目を瞑って懸命に思い出そうとする。
ノイデル卿も青い顔で父親ノイデル伯爵を見て呆然としていた。
私はこの兄であるノイデル卿もオリビアを虐待していたことを知っているのでこちらも教育してやらなくてはならない。
「ノイデル卿。貴方にとって父親だけの話ではないのですよ」
「え?」
こちらをやっと向いたが、先程までの怒りはなく目を虚ろにさせている。
「貴方もそのお年になっても性教育をわかっていらっしゃらないようですわね?
わたくしはノイデル伯爵のように『一人に拘って潰すこと』だけを申しているのではありません。知識もなく何人もの方と性交渉をなされていることも問題だと思います」
「っ!!!」
虚ろな目から驚愕の目に変わった。
「周りから見ると恋人と思われる方が何人かいらっしゃるとお聞きしております。社交界の紳士方の間では有名だとか? しかし、そのような薄い知識で婚姻前に大丈夫ですか?」
いらぬことまで暴露されたジリー・ノイデル卿は顔を青くした。そこへ可愛らしい令嬢が前へと進み出てくる。
「サマンサ……」
ジリーは震えながら呟いた。その令嬢はレオガーナ伯爵家のサマンサ様らしい。
『バッチーン!』
サマンサ様は手にしていた扇でジリーの頬を叩いた。叩かれたジリーだけでなく、誰もがあ然としている。
「貴方に性交渉を迫られた時、お断りして本当によかったですわ。令嬢らしくない言葉でごめんなさいね。ですが、これはわたくしの名誉を守るためのお言葉ですのよ。卑猥な意味では全くありません。ご理解くださいませねっ」
サマンサ様はジリーのエスコートでいくつかのパーティーに参加しており、恋人の一人ということは有名だと聞いている。もちろん、サマンサ様は自分だけと思っていたからこそのこのお怒りなのだ。
確かに処女性を重んじる貴族の中で、しっかりと身の潔白をアピールしておくのは必要だ。ジリーの恋人だと思われている時点で処女であることに疑いを持たれていることは間違いない。それを私の言葉を利用してきっぱりと処女をアピールしておくことは、立派な自己防衛手段である。
これだけの人がいるのだ。ジリーがフラレたことともにサマンサ様の純潔も社交界で広がるだろう。
サマンサ様はジリーに『フンッ』と横を向き、お祖父様とお祖母様と私に向き合った。
「お見苦しいところをお見せして申し訳ございません。オリビア様の今後のご活躍をお祈り申し上げますわ。
本日はこれで失礼させていただきます」
「こちらこそこのようなことになり申し訳ない」
「いえ。オリビア様とは是非改めてご親睦を深めさせていただきたく存じますわ。よろしければお茶会のお誘いをしてもよろしいかしら?」
サマンサ様は私に素敵な笑顔を見せてくれた。
「はい。お待ちしております」
サマンサ様が笑顔でカーテシーをしたあと、もう一度項垂れるジリーを睨みつけて出入口へと向かった。それを追いかけるようにサマンサ様のご両親レオガーナ伯爵夫妻も私たちに挨拶をし頭を下げ、ジリーを睨みつけて帰っていった。
「サマンサ嬢によい縁談を探して差し上げましょう」
お祖母様は私とお祖父様とバレルだけに聞こえるような声だった。
項垂れているノイデル伯爵と呆けているノイデル卿を尻目にオリビアの復讐は終わらない。
私は意識の変化を感じた。
〰️ 〰️ 〰️
お祖父様たちに私とオリビアの話をしてお祖母様とのお茶会をする約束をした後、とりあえずそれぞれで今後どうしていくかを考えてみようということになりその場は解散して、後日再集合することになった。
私はそのままフィゾルド侯爵夫妻が孫娘のために八年もの間大切にし温めてきた部屋を使わせてもらうことになる。そして、『事故に合い記憶が疎らなオリビア』をメイドの前で演じた。これは三人も了承済みだ。
「頭に靄がかかっているの。悪いけど一人になりたいわ」
部屋に戻るとメイドにも下ってもらい、一人になる。一般的な日本人である私は、ずっと世話されることも、世話をするためにずっと待ってもらうことも良しとしなかった。
私は独り言を言いながら考えをまとめていく。フィゾルド侯爵の言葉が気になる。
『神に遣わされた天使様ということですな』
「天使様ねぇ。確かに私がここでこうしていることは、普通ではないものね。神の力って言われた方が納得できるわ」
私はベッドに座った状態から仰向けに倒れて腕を大の字にした。
「設定や名前まで覚えてないけど、ここって私が最後に読んだ小説の中だと思うのよね」
目を瞑って懸命に思い出そうとする。
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