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疑問12 なぜ虐げられていたのかしら?
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五人は一頻り泣いた後、どうにかソファについた。お祖父様が一人で長ソファに座り、オリビアとお祖母様が反対側の長ソファに座った。お祖母様はオリビアの手を離そうとはしなかった。
「どうして、わたくしだとわかったのですか?」
「んー……。理由などない。ただ『わかった』としか表現できない」
お祖父様の答えに三人も頷く。
「シズは今はどうしているの?」
「わたくしが今までそうしていたように、わたくしの中で一緒に喜んでくれています」
「そう。シズは本当に天使様ね」
「お祖母様……わたくし……」
オリビアの体が傾きお祖母様に寄りかかった。
「ビア! ビア!」
お祖父様が慌てて声をかける。私は目を開けた。
「シズ……ね」
お祖母様は優しく私の頭を撫でてくれた。
「はい。ビアは眠っていたので、まだ長い時間は表に出られないようです。疲れてしまったのかな? 今はうたた寝のような状態です。でも、話はちゃんとビアに届きますよ」
私はあえて『仮死』とは言わず『眠っていた』という言葉にした。おそらくオリビア本人としては本当の死の近くにいたときがあったのだと感じている。死の淵からの生還なら簡単には回復しないだろう。
「ええ、ええ。ゆっくりでいいの。
シズ。本当にありがとう」
私とオリビアは交代で表に出てくるようになった。とはいえ、オリビアの時間はとても短いものだ。
オリビアの履修状態は、十歳までの間にここで学んだものだけだった。十歳まではお祖母様が厳しく育ててくれたので、マナーなどはとりあえず大丈夫であった。そのおかげで、ノイデル伯爵に連れらてたパーティーでも問題なく過ごせたようだ。
私はマナーを、オリビアは淑女教育を受けながら生活していった。
私とオリビアは二人で一人。その状態で侯爵家の跡取りお披露目パーティーに参加となった。
〰️ 〰️ 〰️
パーティー会場のど真ん中で項垂れているノイデル伯爵と呆けているジリーを尻目にオリビアは凛と立ち、一つ大きく深呼吸をした。
「わたくしはお母様を殺した罪で家族に虐げられてまいりました。ですが、わたくしがお母様を殺したわけではない……。
貴方方は無知故にそうなさっていたのですか? それとも加虐心があり、そのハケ口がわたくしだったのですか?」
二人は俯いて肩を震わせている。
「わたくしもお母様がいらっしゃらないことを寂しく思っておりました。その気持ちは同じはずなのに、なぜわたくしだけが虐げられてきたのでしょうか?」
「そ、それは……。お前を見るとエリオナを思い出す……のだ……」
私は髪の色は父親ノイデル伯爵譲りだが、人並みにふくよかになった今の顔は、肖像画のエリオナお母様にそっくりだった。特に紫の大きな瞳はそのものと言っても過言ではない。
「エリオナと似ない容姿にするため……だ」
オリビアは社交デビューする十六歳まで顔も叩かれていて、目を腫らしていることも度々あった。
「それならば、引き取らなければよろしかったではありませんか……」
お祖母様が目元にハンカチをあてながら訴えた。
実家フィゾルド侯爵家で出産したエリオナは三日後に儚くなった。オリビアは母親の手がないということでそのままフィゾルド侯爵家で十歳までは育てられた。高位貴族令嬢としての嗜みなどを学ばなければならないからだ。
しかし、幼いながらに淑女としてのマナーをある程度学んだ頃、ノイデル伯爵家に引き取られることになった。父親の権限は強く、お祖父様お祖母様はオリビアを手放すしかなかったそうだ。
「初めからそう―虐待―するつもりで引き取るわけがないっ!」
まるで自分に言い訳をするように怒鳴っていた。
それはメイドも証言していた。数ヶ月は普通に生活できていたと。しかし、何がきっかけなのかはわからないが、ノイデル伯爵がオリビアの頬を叩きオリビアが泣きじゃくった。その日から少しずつエスカレートしていくことになる。それを見たジリーもいつしか追随していたそうだ。
「どうして、わたくしだとわかったのですか?」
「んー……。理由などない。ただ『わかった』としか表現できない」
お祖父様の答えに三人も頷く。
「シズは今はどうしているの?」
「わたくしが今までそうしていたように、わたくしの中で一緒に喜んでくれています」
「そう。シズは本当に天使様ね」
「お祖母様……わたくし……」
オリビアの体が傾きお祖母様に寄りかかった。
「ビア! ビア!」
お祖父様が慌てて声をかける。私は目を開けた。
「シズ……ね」
お祖母様は優しく私の頭を撫でてくれた。
「はい。ビアは眠っていたので、まだ長い時間は表に出られないようです。疲れてしまったのかな? 今はうたた寝のような状態です。でも、話はちゃんとビアに届きますよ」
私はあえて『仮死』とは言わず『眠っていた』という言葉にした。おそらくオリビア本人としては本当の死の近くにいたときがあったのだと感じている。死の淵からの生還なら簡単には回復しないだろう。
「ええ、ええ。ゆっくりでいいの。
シズ。本当にありがとう」
私とオリビアは交代で表に出てくるようになった。とはいえ、オリビアの時間はとても短いものだ。
オリビアの履修状態は、十歳までの間にここで学んだものだけだった。十歳まではお祖母様が厳しく育ててくれたので、マナーなどはとりあえず大丈夫であった。そのおかげで、ノイデル伯爵に連れらてたパーティーでも問題なく過ごせたようだ。
私はマナーを、オリビアは淑女教育を受けながら生活していった。
私とオリビアは二人で一人。その状態で侯爵家の跡取りお披露目パーティーに参加となった。
〰️ 〰️ 〰️
パーティー会場のど真ん中で項垂れているノイデル伯爵と呆けているジリーを尻目にオリビアは凛と立ち、一つ大きく深呼吸をした。
「わたくしはお母様を殺した罪で家族に虐げられてまいりました。ですが、わたくしがお母様を殺したわけではない……。
貴方方は無知故にそうなさっていたのですか? それとも加虐心があり、そのハケ口がわたくしだったのですか?」
二人は俯いて肩を震わせている。
「わたくしもお母様がいらっしゃらないことを寂しく思っておりました。その気持ちは同じはずなのに、なぜわたくしだけが虐げられてきたのでしょうか?」
「そ、それは……。お前を見るとエリオナを思い出す……のだ……」
私は髪の色は父親ノイデル伯爵譲りだが、人並みにふくよかになった今の顔は、肖像画のエリオナお母様にそっくりだった。特に紫の大きな瞳はそのものと言っても過言ではない。
「エリオナと似ない容姿にするため……だ」
オリビアは社交デビューする十六歳まで顔も叩かれていて、目を腫らしていることも度々あった。
「それならば、引き取らなければよろしかったではありませんか……」
お祖母様が目元にハンカチをあてながら訴えた。
実家フィゾルド侯爵家で出産したエリオナは三日後に儚くなった。オリビアは母親の手がないということでそのままフィゾルド侯爵家で十歳までは育てられた。高位貴族令嬢としての嗜みなどを学ばなければならないからだ。
しかし、幼いながらに淑女としてのマナーをある程度学んだ頃、ノイデル伯爵家に引き取られることになった。父親の権限は強く、お祖父様お祖母様はオリビアを手放すしかなかったそうだ。
「初めからそう―虐待―するつもりで引き取るわけがないっ!」
まるで自分に言い訳をするように怒鳴っていた。
それはメイドも証言していた。数ヶ月は普通に生活できていたと。しかし、何がきっかけなのかはわからないが、ノイデル伯爵がオリビアの頬を叩きオリビアが泣きじゃくった。その日から少しずつエスカレートしていくことになる。それを見たジリーもいつしか追随していたそうだ。
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