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第五章 公爵令息の作戦 遂行編

作戦12 最高権力者の理解を得る

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 4人で登城するため、学園の馬車に乗り込む。エマローズさん、ヴィオリアさんを馬車にエスコート。そして、イメルダリアさんをエスコートしたら、馬車の中でイメルダリアさんが止まってしまった。中を覗いてみると、エマローズさんとヴィオリアさんが同じ方向に座っていて、向かいの席しか空いてない。当然、僕もそこへ座ることになる。しばらく逡巡して、覚悟をしたらしく座った。そして、僕も乗り込む。

「イメルダリアさんと隣で嬉しいな。」
 もちろん、爆弾は投下する。イメルダリアさんは真っ赤になって、反対を向いてしまった。

 エマローズさんとヴィオリアさんはニコニコしながら、取り留めもない話をして、あっという間に王城に到着した。

 降りる際のエスコートに、警戒していたイメルダリアさんの手を少し強めにキュッと握ると赤くなったイメルダリアさんがこけてしまいそうになったので、さっと支えた。そして、耳元で
「本当に可愛いですね。」
と呟いたら、真っ赤な顔でキッと睨まれた。睨らんだ顔、初ゲット!ふふ



 僕たちは、会議室に案内された。会議室には、僕たちの父親と、(元?)婚約者たちの父親が左右に分かれて、すでに座っていた。僕たちはそれぞれ父親の隣に座った。辺境伯様は、いらっしゃらず、ヴィオリアさんは、エマローズさんの隣に座った。

 なんでも、辺境伯様は、婚約が白紙になってすぐ、ヴィオリアさんの夏休みを待たずに領地へ帰られたそうだ。新人兵士たちと一緒に帰ったらしい。


 しばらくすると、騎士の方が、国王陛下の入室を告げ、僕たちは立ち上がり迎える。陛下が、真ん中の椅子に座る。父上が
「自己紹介をしなさい。」
と言い、僕たちはそれぞれ挨拶と自己紹介をした。

「うん、若いのに、みな良くできておるな。」

「もったいないお言葉でございます。」
父上が応える。

「まあ、みな、座るがよい。」

「「「「はい。」」」」

「話は聞いておる。」

「恐れながら、息子たちが報告書を持って参りましたので、ご覧いただければと。」

「うむ、持ってまいれ。」
 僕は近くに来てくれた文官さん(陛下の近くにいれるのだから、たぶん高官だろうけど。)の持つ盆に、僕たちの報告書を乗せた。

 陛下は、それを受け取り、ゆっくりと目を通す。途中、少しだけ動きがあったが、きっとそこは前王弟ランタル公爵様のページだろう。動揺などは見せないのが王侯貴族だ。

 最後のページを見て、陛下が問う。
「お前たち以外の名前があるが、ユラベル侯爵の息子か?後は    トラリオンは子爵だったかの。」

父上が僕に頷いてくれた。
「恐れながら、
二人は私の友人です。報告書の作成や事実確認に協力してくれました。」

「そうか、よい友人も作れているようだの。

全く、見習ってほしいものだ。」
陛下の後ろの言葉は僕には聞こえなかった。

「それで、各家で、話は進んでおるのか?」

「恐れながら、

我息子イリサス・シャーワントと、侯爵殿がご令嬢イメルダリア・ユラベル嬢との婚約は、先日を持って白紙にさせていただきました。慰謝料などにつきましても、協議を終えております。」

「うむ。」

「恐れながら、

我息子ウズライザー・バルトルガーと、辺境伯殿がご令嬢ヴィオリア・マーペリア嬢との婚約も同じにございます。」

「恐れながら、

我息子エンゾラール・サンドエクと、侯爵殿がご令嬢エマローズ・ナハナージュ嬢の婚約は、白紙にすることは決定しておりますが、期日につきましては、我サンドエク家の都合で決定できておりません。」

「そうか、ご令嬢の未来があるゆえ、対応してやれ。」
僕は、姉上のことは?あんたが言うか?と失礼なことを思ってしまった。

「畏まってございます。」
サンドエク伯爵様が応えた。

「後は、何かあるか?」

「恐れながら、婚約白紙にはなりましたが、今のところ、ご令嬢方のご厚意により、発表はまだ控えており、各々で愚息の更正を試みているところでございます。」
シャーワント公爵様が応えた。

「そうか、未来ある若者たちだ、更正できることが一番であろうな。」

「ありがたきお言葉にございます。」

「状況は、わかった。できるだけ各々で解決せよ。ワシが関わってしまうと、話も大きくなってしまうゆえな。話が大きくなると誤解も大きくなる。これ以上ご令嬢たちの醜聞にならぬように配慮せよ。」

「はっ。」

「以上だ。」

 全員が立ち上がり、頭を下げる。国王陛下が退室する。直前、
「レンバーグ公爵、ヨアンシェル、この後、半刻ほどしたら、ワシの執務室へ参れ。」

「畏まりました。」
父上が応えると、陛下が退室した。

 それを、見届けると、僕たちも退室となる。しばらくそれぞれで雑談している。

 僕は、イメルダリアさんたちに話かける。
「緊張したね。」

「ヨアン君は、堂々としてましたわ。私たちはご挨拶だけでしたもの。それでもとても緊張しましたわ。」

「ヴィオリアさんは、一人だったから、怖くなかったですか?大丈夫ですか?」
僕が聞くと、

「怖くて、テーブルの下でエマローズさんの手を握っていたわ。」
 エマローズさんとヴィオリアさんが目を合わせて笑う。

「僕はこのあと、陛下とお話があるようなのですが、先に学園に戻りますか?」

「そうですわね。学園は、休講願いを出していますから、三人でどこかでお話でもしましょう。」
 それが王城というわけにはいかないのは、わかっている。

「では、気をつけて。」

「ヨアン君も、このあと頑張ってくださいね。」

「イメルダリアさんに励ましてもらえたから、大丈夫だって思えるな。」

「なっ!」
 赤くなるイメルダリアさんを後に、僕は三人と離れた。
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