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23 エイダの邪魔だて
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私とダリアナのクラリッサへの教育が進んでいく中でなぜかボブバージル様が来なくなりクラリッサも昼間に寝ていることが多くなる。クラリッサのことは作戦が順調という証みたいなものだからいいわ。
そんな時、クラリッサ宛にボブバージル様から手紙が届く。
『あら? わざわざ公爵家の封蝋が使われているわね。
ん? つまりは重要な話ってこと? きっと婚約者変更のことに違いないわ!
本当は開けて中身を見たいけどこの封蝋には触れないもの』
メイドにはそれを読むクラリッサの様子を報告させた。涙を流していたというから間違いなく婚約解消ね!
そう信じていたのに翌日のクラリッサの言葉に驚いたわ。
「ジルから公爵邸にお誘いされましたの。どうしてもお話したいことがあるそうなのです。明日、行って参ります。きちんと自分の立場を見てまいりますわ」
『はあ? 別れ話なんて手紙一つでいいじゃないの! 私の目が届かないところでクラリッサが何をしでかすかわからないわ。女を使ってボブバージル様に縋るかもしれない』
十三歳の男なんて盛っているに決まっているわ。どんなにクラリッサがブサイクだって股を開けば飛びかかるに決まっている。
やつれた様子のクラリッサだけどギャレット公爵邸に行かせるわけにはいかない。
そんな手紙だとは知らずにクラリッサに渡していたなんて私のミスだ。
『チッ。公爵家の封蝋なんかにびびった自分がなさけないわ』
クラリッサがギャレット公爵家に招待されたことを旦那様に知られるわけにはいかないから旦那様が帰って来る前にクラリッサを寝かせることにした。クラリッサが実際に寝ているかどうかは関係ない。十三歳にもなれば寝間着姿の娘のところへは余程でなければ行かないらしい。
『お上品なお考えで助かったわ』
私は心の中で嘲笑ってやった。
翌朝になると旦那様が少し訝しむ。昨夜も顔を見ていないことが気になったようだ。
「クララが朝食に来なかったがどうしたのだ?」
「お嬢様は遅くまで読書をしていたようで起こしても返事がありませんでした」
「まあ。私に寝ると言ったのは本を読みたかったからなのね」
私もメイドのセリフに合わせた。これまでも時々あったことなので旦那様は納得して仕事へ出かけた。
出かけてすぐにクラリッサに伝えに行く。
「先程、公爵家から早馬が来たわ。ボブバージル様はお風邪をめされたそうなの。今日は中止になったから」
「え! それならお見舞いにいかなくては!」
本人が病人みたいな顔をしているのに馬鹿なことを言っている。
「病人のところに他家の者が行くなど迷惑をかけるだけです。止めておきなさい」
私はクラリッサを諭した。そして、クラリッサには秘密で代わりにダリアナを行かせた。ダリアナにはクラリッサが病気だと伝えてメモを渡す。ダリアナが上手く嘘をつけるとは思えないから知らなくても問題ないことは教えない。
ダリアナがすぐに帰ってきたことには驚いたがダリアナが見えたという話はもっと驚いた。話によるとダリアナが公爵夫人になるらしい。嬉しい報告だが危険と隣り合わせな内容だ。とにもかくにもダリアナとボブバージル様を確実に結婚させて私の豪華な未来を確実なものにするわ。
ギャレット公爵夫人から手紙が来たが絶対に嫌味に決まっているから読まずに捨ててやった。
『高位貴族の夫人たちの性格が悪いのはオールポッド侯爵家に嫁に行ったときから知っているわよ。いざとなったら執事の責任にして首にしちゃえばいいわ』
もちろん旦那様には報告しない。
たびたびボブバージル様からクラリッサに手紙が届く。
一度中身を見て大丈夫そうだからクラリッサに渡したらクラリッサはボブバージル様に会って話をしたいと返事の手紙を書いていた。それも握り潰したしそれからのボブバージル様からの手紙はすべて握り潰した。
だけど計算外にボブバージル様とダリアナとの接点もなくなってしまった。
『クラリッサからの手紙が届かなければクラリッサを見捨ててダリアナに会いに来るとおもったのに。ボブバージル様さえ来ればクラリッサを部屋に閉じ込めておけばすむことなのよ』
どうしたものかと考えていたら旦那様から救いの手が伸びる。
「最近、クララの元気がないようだが何かあったのか?」
「ボブバージル様がお忙しいようで全くいらっしゃらなくなったのですわ。可哀相なクラリッサ」
翌日、夕方に戻ってきた旦那様は素晴らしいことをおっしゃった。
「明日、バージルが来るそうだ。迎える用意をしてやってくれ」
さすがは頼れる旦那様だわ。
そんな時、クラリッサ宛にボブバージル様から手紙が届く。
『あら? わざわざ公爵家の封蝋が使われているわね。
ん? つまりは重要な話ってこと? きっと婚約者変更のことに違いないわ!
本当は開けて中身を見たいけどこの封蝋には触れないもの』
メイドにはそれを読むクラリッサの様子を報告させた。涙を流していたというから間違いなく婚約解消ね!
そう信じていたのに翌日のクラリッサの言葉に驚いたわ。
「ジルから公爵邸にお誘いされましたの。どうしてもお話したいことがあるそうなのです。明日、行って参ります。きちんと自分の立場を見てまいりますわ」
『はあ? 別れ話なんて手紙一つでいいじゃないの! 私の目が届かないところでクラリッサが何をしでかすかわからないわ。女を使ってボブバージル様に縋るかもしれない』
十三歳の男なんて盛っているに決まっているわ。どんなにクラリッサがブサイクだって股を開けば飛びかかるに決まっている。
やつれた様子のクラリッサだけどギャレット公爵邸に行かせるわけにはいかない。
そんな手紙だとは知らずにクラリッサに渡していたなんて私のミスだ。
『チッ。公爵家の封蝋なんかにびびった自分がなさけないわ』
クラリッサがギャレット公爵家に招待されたことを旦那様に知られるわけにはいかないから旦那様が帰って来る前にクラリッサを寝かせることにした。クラリッサが実際に寝ているかどうかは関係ない。十三歳にもなれば寝間着姿の娘のところへは余程でなければ行かないらしい。
『お上品なお考えで助かったわ』
私は心の中で嘲笑ってやった。
翌朝になると旦那様が少し訝しむ。昨夜も顔を見ていないことが気になったようだ。
「クララが朝食に来なかったがどうしたのだ?」
「お嬢様は遅くまで読書をしていたようで起こしても返事がありませんでした」
「まあ。私に寝ると言ったのは本を読みたかったからなのね」
私もメイドのセリフに合わせた。これまでも時々あったことなので旦那様は納得して仕事へ出かけた。
出かけてすぐにクラリッサに伝えに行く。
「先程、公爵家から早馬が来たわ。ボブバージル様はお風邪をめされたそうなの。今日は中止になったから」
「え! それならお見舞いにいかなくては!」
本人が病人みたいな顔をしているのに馬鹿なことを言っている。
「病人のところに他家の者が行くなど迷惑をかけるだけです。止めておきなさい」
私はクラリッサを諭した。そして、クラリッサには秘密で代わりにダリアナを行かせた。ダリアナにはクラリッサが病気だと伝えてメモを渡す。ダリアナが上手く嘘をつけるとは思えないから知らなくても問題ないことは教えない。
ダリアナがすぐに帰ってきたことには驚いたがダリアナが見えたという話はもっと驚いた。話によるとダリアナが公爵夫人になるらしい。嬉しい報告だが危険と隣り合わせな内容だ。とにもかくにもダリアナとボブバージル様を確実に結婚させて私の豪華な未来を確実なものにするわ。
ギャレット公爵夫人から手紙が来たが絶対に嫌味に決まっているから読まずに捨ててやった。
『高位貴族の夫人たちの性格が悪いのはオールポッド侯爵家に嫁に行ったときから知っているわよ。いざとなったら執事の責任にして首にしちゃえばいいわ』
もちろん旦那様には報告しない。
たびたびボブバージル様からクラリッサに手紙が届く。
一度中身を見て大丈夫そうだからクラリッサに渡したらクラリッサはボブバージル様に会って話をしたいと返事の手紙を書いていた。それも握り潰したしそれからのボブバージル様からの手紙はすべて握り潰した。
だけど計算外にボブバージル様とダリアナとの接点もなくなってしまった。
『クラリッサからの手紙が届かなければクラリッサを見捨ててダリアナに会いに来るとおもったのに。ボブバージル様さえ来ればクラリッサを部屋に閉じ込めておけばすむことなのよ』
どうしたものかと考えていたら旦那様から救いの手が伸びる。
「最近、クララの元気がないようだが何かあったのか?」
「ボブバージル様がお忙しいようで全くいらっしゃらなくなったのですわ。可哀相なクラリッサ」
翌日、夕方に戻ってきた旦那様は素晴らしいことをおっしゃった。
「明日、バージルが来るそうだ。迎える用意をしてやってくれ」
さすがは頼れる旦那様だわ。
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