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27 公爵家の名前の力
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髪を振り乱して走っているのでブルンブルンとゆれた胸が片方ポロリと溢れたがゲンナリするだけだった。護衛たちでさえ見えて喜んでいる素振りはない。
僕らの近くまで来ると執事のような者を突き飛ばした。自分でも気がついていたようで僕に背を向けて胸元を直してから振り返ると乱れまくった襟足が見える。
胸を隠したことに誰も触れる間を与えず僕の襟首を掴みまくしたててきた。
「あんたはもう帰ったはずでしょうっ! なぜここにいるのっ!」
まさに鬼のような形相で先日美しいと自負していた態度の女性だとは思えないし、淑女として男を突き飛ばすことも男の襟首を掴むことも怒鳴り散らしていることもありえないことだ。今更マクナイト伯爵夫人に淑女らしいことが見れるとは思っていないけど胸を曝け出して走るなんて平民の女性でもしないだろう。
「先程、言ったでしょう。僕はマクナイト伯爵様の言いつけでクララに会いに来たんだよ。クララに会う以外の目的はないんだ。君たちのくだらない話に付き合ったのもクララに会うためだし君たちに作り笑いを見せたのもクララに会うためだよ」
鬼の形相でまくしたてる相手に僕は逆に冷静沈着な物言いをした。こういう場合冷静沈着に見える方が断然に有利となることは公爵家の勉強で学んでいる。
マクナイト伯爵夫人は何も言えずに僕の襟首を掴んだまま手を震わせ目を見開いて眉を寄せている。
美人は見る影もない。
僕とマクナイト伯爵夫人とがやり合っているところに年若いメイドが飛び出してきてその場で土下座をした。
「お嬢様の部屋の鍵を開けてください。お願いします」
僕はマクナイト伯爵夫人を振り払いマクナイト伯爵夫人にひれ伏すメイドを立たせる。マクナイト伯爵夫人は床に倒れてその床を憎々しげに睨んでいた。
僕は背筋を伸ばしはっきりとした口調で執事のような者に命令する。
「王弟ギャレット公爵家が次男ボブバージル・ギャレットが命じる。すぐに鍵を開けよっ!」
執事のような者はその場で尻もちをつき顔を真っ青にして震えていた。マクナイト伯爵夫人も何も言ってこない。
先程僕を抑えつけていた護衛がもう一人の護衛の動きを牽制してから執事のような者のポケットを探り鍵を奪いクララの部屋にかけられた鎖の鍵を開けた。鎖をほどきドアを開けて頭をさげる。
僕に『どうぞ』と言いたいのだろう。懸命に自分のしたことを挽回しようとするその変わり身の早さに呆れるけどマクナイト伯爵夫人に忠誠心がないならこんなものなのだろう。
『僕の家なら絶対に許されないな。間違いなく首だ』
僕は軽蔑の眼差しにならないように顔を引き締める。ここで屈強な男たちに敵扱いされても時間を使うことになり面倒なだけだ。
早くクララの様子が知りたい。
「僕と彼女以外の入室は許さない」
そう命じてクララを心配したメイドと二人でクララの部屋に入る。
護衛はドアをゆっくりと閉めた。
〰 〰 〰
旦那様の機転のおかげでボブバージル様が来ることになった。もちろんクラリッサには内緒。旦那様はクラリッサに直接伝えたそうだったけど近頃は読書で寝不足らしいっていう話を信じているから私に任せると言って仕事へ行ってくれた。
でもやってきたボブバージル様は私たち美人母娘で丁寧におもてなししてあげたのに怒ってすぐに帰ってしまう。いったい何が不服なのかちっともわからない。
また作戦を練らなくちゃならないと思いながらお茶をしていたらメイドがノックもせず勢いよく駆け込んできた。
「ギャレット公爵子息様がクラリッサ様のお部屋を開けようとしています!!」
私はどんな顔になったのだろうか? ダリアナが私を見て目を見開いていた。今はそれを気にしているときではない。
「ダリアナ。貴女はここにいなさい!」
メイドに手を伸ばすも肩で息をしているメイドは意味がわかっていないようだ。
「早く私を立たせなさい!」
「あ! はい。すみません」
メイドは両手で私の手を掴んで引っ張る。
「痛いわね!」
「す、すみません」
「邪魔よっ」
私は私を立たせたメイドを突き飛ばしてドアに向かった。カップの割れる音がしたような気がするがメイドがどうにかするだろう。
私はすぐに三階のクラリッサの部屋に向かった。階段が長い。私が普段使っている部屋は二階であるし優雅にゆっくりと上っている。
「スカートが重いっ! あの餓鬼め! 赦さないわよっ」
手すりを掴みながら必死で来てみればボブバージルが執事に手を伸ばしている。執事が自分のポケットを探り出した。鍵を渡すつもりに違いない!
「やめなさいっ!」
なりふり構わず走ってきた私は執事を突き飛ばしたのだけどその執事の視線に気がついて慌てたわ。私のおっぱいが丸見えになっていたのだもの。急いで身なりを整えてボブバージルを掴み上げる。
「もう帰ったはずでしょっ! なぜここにいるのっ!」
ボブバージルが何やら言っていたけど私はどうやって追い返すかを懸命に考えていた。
僕らの近くまで来ると執事のような者を突き飛ばした。自分でも気がついていたようで僕に背を向けて胸元を直してから振り返ると乱れまくった襟足が見える。
胸を隠したことに誰も触れる間を与えず僕の襟首を掴みまくしたててきた。
「あんたはもう帰ったはずでしょうっ! なぜここにいるのっ!」
まさに鬼のような形相で先日美しいと自負していた態度の女性だとは思えないし、淑女として男を突き飛ばすことも男の襟首を掴むことも怒鳴り散らしていることもありえないことだ。今更マクナイト伯爵夫人に淑女らしいことが見れるとは思っていないけど胸を曝け出して走るなんて平民の女性でもしないだろう。
「先程、言ったでしょう。僕はマクナイト伯爵様の言いつけでクララに会いに来たんだよ。クララに会う以外の目的はないんだ。君たちのくだらない話に付き合ったのもクララに会うためだし君たちに作り笑いを見せたのもクララに会うためだよ」
鬼の形相でまくしたてる相手に僕は逆に冷静沈着な物言いをした。こういう場合冷静沈着に見える方が断然に有利となることは公爵家の勉強で学んでいる。
マクナイト伯爵夫人は何も言えずに僕の襟首を掴んだまま手を震わせ目を見開いて眉を寄せている。
美人は見る影もない。
僕とマクナイト伯爵夫人とがやり合っているところに年若いメイドが飛び出してきてその場で土下座をした。
「お嬢様の部屋の鍵を開けてください。お願いします」
僕はマクナイト伯爵夫人を振り払いマクナイト伯爵夫人にひれ伏すメイドを立たせる。マクナイト伯爵夫人は床に倒れてその床を憎々しげに睨んでいた。
僕は背筋を伸ばしはっきりとした口調で執事のような者に命令する。
「王弟ギャレット公爵家が次男ボブバージル・ギャレットが命じる。すぐに鍵を開けよっ!」
執事のような者はその場で尻もちをつき顔を真っ青にして震えていた。マクナイト伯爵夫人も何も言ってこない。
先程僕を抑えつけていた護衛がもう一人の護衛の動きを牽制してから執事のような者のポケットを探り鍵を奪いクララの部屋にかけられた鎖の鍵を開けた。鎖をほどきドアを開けて頭をさげる。
僕に『どうぞ』と言いたいのだろう。懸命に自分のしたことを挽回しようとするその変わり身の早さに呆れるけどマクナイト伯爵夫人に忠誠心がないならこんなものなのだろう。
『僕の家なら絶対に許されないな。間違いなく首だ』
僕は軽蔑の眼差しにならないように顔を引き締める。ここで屈強な男たちに敵扱いされても時間を使うことになり面倒なだけだ。
早くクララの様子が知りたい。
「僕と彼女以外の入室は許さない」
そう命じてクララを心配したメイドと二人でクララの部屋に入る。
護衛はドアをゆっくりと閉めた。
〰 〰 〰
旦那様の機転のおかげでボブバージル様が来ることになった。もちろんクラリッサには内緒。旦那様はクラリッサに直接伝えたそうだったけど近頃は読書で寝不足らしいっていう話を信じているから私に任せると言って仕事へ行ってくれた。
でもやってきたボブバージル様は私たち美人母娘で丁寧におもてなししてあげたのに怒ってすぐに帰ってしまう。いったい何が不服なのかちっともわからない。
また作戦を練らなくちゃならないと思いながらお茶をしていたらメイドがノックもせず勢いよく駆け込んできた。
「ギャレット公爵子息様がクラリッサ様のお部屋を開けようとしています!!」
私はどんな顔になったのだろうか? ダリアナが私を見て目を見開いていた。今はそれを気にしているときではない。
「ダリアナ。貴女はここにいなさい!」
メイドに手を伸ばすも肩で息をしているメイドは意味がわかっていないようだ。
「早く私を立たせなさい!」
「あ! はい。すみません」
メイドは両手で私の手を掴んで引っ張る。
「痛いわね!」
「す、すみません」
「邪魔よっ」
私は私を立たせたメイドを突き飛ばしてドアに向かった。カップの割れる音がしたような気がするがメイドがどうにかするだろう。
私はすぐに三階のクラリッサの部屋に向かった。階段が長い。私が普段使っている部屋は二階であるし優雅にゆっくりと上っている。
「スカートが重いっ! あの餓鬼め! 赦さないわよっ」
手すりを掴みながら必死で来てみればボブバージルが執事に手を伸ばしている。執事が自分のポケットを探り出した。鍵を渡すつもりに違いない!
「やめなさいっ!」
なりふり構わず走ってきた私は執事を突き飛ばしたのだけどその執事の視線に気がついて慌てたわ。私のおっぱいが丸見えになっていたのだもの。急いで身なりを整えてボブバージルを掴み上げる。
「もう帰ったはずでしょっ! なぜここにいるのっ!」
ボブバージルが何やら言っていたけど私はどうやって追い返すかを懸命に考えていた。
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