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17 恩人
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ブルーノとベルティナは、両親と上の兄姉から虐待されていた。使用人たちも、それに追随しており、二人に手を差し伸べる者は屋敷の中にはいなかった。二人はまるで、使用人に使われる奴隷のような扱いであった。
部屋は屋根裏部屋に、薄い毛布を一枚ずつ渡されただけであった。ベッドもない部屋で、二人で身を寄せ合うようにして眠った。
朝は誰より早く起きないと1日中なぐられるので、誰より早く起きた後、二人で水瓶を満たすため、井戸と台所を何度も往復する。起きてきた使用人たちは、まず、挨拶のように木桶を運ぶ二人を転ばせる。なので、二人の服はいつも真っ黒だった。
タビアーノ男爵夫妻は、そんな汚い者たちを屋敷には入れられないと、外の薪割りや草むしり、などをやらせる。炎天下であろうと、雪であろうと関係ない。そして、仕事が遅いと言って殴り、仕事が雑だと言って蹴飛ばした。
兄姉は、二人が汚いと言って、井戸へ引っ張り連れていき、頭から何度も水を浴びせた。
食事は、使用人よりも後で、スープしか残らない鍋と硬くなって誰も食べなくなったパン水に浸して、それを二人で分け合い食べ、水を飲んで凌いだ。
それでも、ベルティナの隣にはブルーノがいたから、二人は耐えられた。
〰️
ブルーノが、初等学校へ上がると、顔を殴られるのは、ベルティナだけになった。ブルーノはベルティナに謝るが、ベルティナは仕方がないのだと、泣き言は言わない。
ブルーノの痩せ方を心配した教師の一人が誰にも秘密で、ブルーノにパンを与えた。ブルーノは、それを持ち帰り、夜中に屋根裏部屋で二人でそっと食べた。
ベルティナが初等学校へ上がると、ベルティナも顔を殴られることはなくなったが、体中なぐられ、それが見えないように、夏でも長袖のボロを着させられた。
教師は、二人にパンを毎日くれた。
「ごめんな。僕はこの領地の学校に雇われだ。つまり、タビアーノ男爵に雇われているんだ。これ以上のことを、してやれない……」
教師は時には泣いて謝ってきた。ブルーノとベルティナにとっては、その教師のおかげで生きていけるのに、謝られる意味がわからなかった。
二人は、家のことをしなくていい学校の時間が大好きで、一生懸命に勉強した。
「学園へ通うことは貴族の義務だ。そこまで頑張れ!そこでいい友人を見つけ、ここから出るんだ。そのためにも勉強は頑張れ」
その教師と、ブルーノとベルティナは始業時間の2時間も前に学校へ来て、勉強に励んだ。
おかげでブルーノは、学年1位で初等学校を卒業した。しかし、タビアーノ男爵はそれが余計に気に入らず、ブルーノの卒業証書を破り捨て、その日はブルーノが立てなくなるほど殴った。そして、ブルーノは中等学校にも通わせてもらえなかった。
ブルーノの受けた罰を聞いたその教師は、ベルティナの成績に細工をして、タビアーノ男爵には、普通程度であると思わせるようにした。パンはベルティナに二人分持たせた。
〰️
初等学校を出て、1日中働かされるようになったブルーノは、ずっと、チャンスをうかがっていた。ブルーノが学園へ行く年まで後2年半。ブルーノにしてみれば、自分がそこまで生かされるかも不明だった。
そして、その日はやってきた。
州都に移動サーカス団がやってきて、タビアーノ夫妻、兄、姉、妹、弟が揃って州都の屋敷へと出かけて行ったのだ。予定では1週間ほど戻らないと聞いていた。
ブルーノは思い切って家出を決意した。ブルーノは、ベルティナにも声をかける。
「ベルティナ、俺はこの家を出るよ。お前もおいで」
痩せていて落ちくぼんだブルーノの目は本気だった。
「ブルーノ兄様、それは無理よ。私を連れていたら、兄様も逃げられない。私は学園を出れば、どこかのメイドにでもなれば逃げられるもの。お兄様は、このままではダメよ。幸運を祈っているわ」
ベルティナは、痩せギスの体では走れないことも逃げても数日で餓死するような体であることも、しっかり自分で理解していた。
「ベルティナ、いつか、迎えにくるから。それまで、生きていてほしい」
ブルーノも納得した。ブルーノだけでも、生きていけるかの保証は何もない。ブルーノとベルティナは、痩せ細ったお互いの手を握り合う。
「ありがとう、ブルーノ兄様。お兄様も必ず生きてね」
ベルティナの目には涙が浮かんだ。しかし、のんびりもしていられない。
真夜中、ろうそくの火を頼りに、父親の寝室や書斎にある金目のものをさがす。父親の忠実な下僕の執事も州都に行っていたのは幸いだった。お金とお金になりそうなものを二人で集めた。本当に一人が、逃げられるかどうかのお金しか見つけられなかった。金庫を開けることまではできなかったから。
兄の部屋に行き、ブルーノが着られそうな普段着を選ぶ。いくつか見繕って、着替えて、他はかばんに入れる。ブルーノの痩せ細った体には不釣り合いであったが、今まで着ていた服で外へ行くよりはマシであった。
ブルーノは最後にベルティナを抱きしめた。二人は必ずまた会おうと約束した。
ブルーノが、まだ真っ暗な道をろうそくの灯りとともに消えていった姿は、ベルティナには忘れられない光景になった。
州都から帰ってきたタビアーノ男爵は、怒り狂った。もちろん、すぐに捜索した。だが、1週間も前なのだから、見つからない。森にでも逃げて、猛獣に襲われたのだろうと結論付けられた。
だが、タビアーノ男爵の怒りはおさまらない。その矛先はベルティナにむかった。それ以来、ベルティナへの虐めは苛烈を極めた。母親もブルーノの分まで働けと、夜中までベルティナに仕事をさせた。
服をブルーノに盗まれたと兄も怒り、それまで以上に仕打ちが酷くなり、姉もそれに加わった。
そのせいで、朝の勉強に行けなくなったベルティナは、教師に謝った。教師は気にしなくていいと言って、今までと同様、ブルーノの分のパンまでくれた。
〰️ 〰️ 〰️
そんな時、ティエポロ侯爵からベルティナを連れて来るようにと言われたのだ。ベルティナは、初等学校には行っているので、存在は誤魔化しようはなかった。
それから1週間、州都のタビアーノ男爵邸では、ベルティナに無理やりご飯を食べさせた。だが、食べさせも食べさせもベルティナは太らなかった。
ベルティナは、無理やり食べさせられたあと、レストルームで、それらをほとんど吐き出していたのだった。散々食事を抜かれて小さくなってしまった胃袋には、受け付けられなかったようだ。
風呂も無理やり入れられた。髪にこびりついた泥はどうやっても落とすことができず、ティエポロ侯爵邸に行く前日に男の子のように髪を切られた。
ベルティナは、結局、痩せっぽっちのまま、散切り頭で、侯爵邸に連れて行かれることになった。
〰️
ベルティナの姿を見たティエポロ侯爵は、即決した。
「ほぉ、なかなか賢そうな子だ。うちのセリナージェと一緒に勉強させることにしよう。しばらく預かる。いいな」
本気と嘘を織り交ぜながら、ティエポロ公爵は、タビアーノ男爵夫人に断ることをさせなかった。
州というシステム上、高位貴族と子爵家男爵家では、確かな身分の差があるのだ。タビアーノ男爵夫人は、拒否できなかったというところもある。
ティエポロ侯爵邸で、ベルティナはすぐに浴室に連れていかれた。裸にされると、侯爵夫人が浴室に入ってきた。侯爵夫人は泣きながらベルティナを抱きしめた。
ベルティナの体はアザだらけであった。どう見ても古いアザもあった。腕も足も、腹も背も、青くない場所を探す方が大変なほどだった。肋骨は、薄く見え、手首は今にも折れそうだ。目は落ちくぼみ、唇はカサカサだった。散切りに切られた髪には艶はなく、軋んでいた。
それでも、ベルティナの瞳だけは爛々として、生きる気力は溢れていた。兄ブルーノとの再会の約束が、ベルティナが生きていく理由だった。
『この子はいくつから耐えていたのかしら。うちの州のまさか貴族家でこのようなことがあるなんて』
侯爵も侯爵夫人もとてもショックを受けていた。
その日から、まずはスープから与えられ、少しずつ、ベルティナは回復していった。3週間後には、セリナージェと初対面し、セリナージェはその場でベルティナを気に入った。そして、その日から、ベルティナの隣にはいつもセリナージェがいた。
部屋は屋根裏部屋に、薄い毛布を一枚ずつ渡されただけであった。ベッドもない部屋で、二人で身を寄せ合うようにして眠った。
朝は誰より早く起きないと1日中なぐられるので、誰より早く起きた後、二人で水瓶を満たすため、井戸と台所を何度も往復する。起きてきた使用人たちは、まず、挨拶のように木桶を運ぶ二人を転ばせる。なので、二人の服はいつも真っ黒だった。
タビアーノ男爵夫妻は、そんな汚い者たちを屋敷には入れられないと、外の薪割りや草むしり、などをやらせる。炎天下であろうと、雪であろうと関係ない。そして、仕事が遅いと言って殴り、仕事が雑だと言って蹴飛ばした。
兄姉は、二人が汚いと言って、井戸へ引っ張り連れていき、頭から何度も水を浴びせた。
食事は、使用人よりも後で、スープしか残らない鍋と硬くなって誰も食べなくなったパン水に浸して、それを二人で分け合い食べ、水を飲んで凌いだ。
それでも、ベルティナの隣にはブルーノがいたから、二人は耐えられた。
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ブルーノが、初等学校へ上がると、顔を殴られるのは、ベルティナだけになった。ブルーノはベルティナに謝るが、ベルティナは仕方がないのだと、泣き言は言わない。
ブルーノの痩せ方を心配した教師の一人が誰にも秘密で、ブルーノにパンを与えた。ブルーノは、それを持ち帰り、夜中に屋根裏部屋で二人でそっと食べた。
ベルティナが初等学校へ上がると、ベルティナも顔を殴られることはなくなったが、体中なぐられ、それが見えないように、夏でも長袖のボロを着させられた。
教師は、二人にパンを毎日くれた。
「ごめんな。僕はこの領地の学校に雇われだ。つまり、タビアーノ男爵に雇われているんだ。これ以上のことを、してやれない……」
教師は時には泣いて謝ってきた。ブルーノとベルティナにとっては、その教師のおかげで生きていけるのに、謝られる意味がわからなかった。
二人は、家のことをしなくていい学校の時間が大好きで、一生懸命に勉強した。
「学園へ通うことは貴族の義務だ。そこまで頑張れ!そこでいい友人を見つけ、ここから出るんだ。そのためにも勉強は頑張れ」
その教師と、ブルーノとベルティナは始業時間の2時間も前に学校へ来て、勉強に励んだ。
おかげでブルーノは、学年1位で初等学校を卒業した。しかし、タビアーノ男爵はそれが余計に気に入らず、ブルーノの卒業証書を破り捨て、その日はブルーノが立てなくなるほど殴った。そして、ブルーノは中等学校にも通わせてもらえなかった。
ブルーノの受けた罰を聞いたその教師は、ベルティナの成績に細工をして、タビアーノ男爵には、普通程度であると思わせるようにした。パンはベルティナに二人分持たせた。
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初等学校を出て、1日中働かされるようになったブルーノは、ずっと、チャンスをうかがっていた。ブルーノが学園へ行く年まで後2年半。ブルーノにしてみれば、自分がそこまで生かされるかも不明だった。
そして、その日はやってきた。
州都に移動サーカス団がやってきて、タビアーノ夫妻、兄、姉、妹、弟が揃って州都の屋敷へと出かけて行ったのだ。予定では1週間ほど戻らないと聞いていた。
ブルーノは思い切って家出を決意した。ブルーノは、ベルティナにも声をかける。
「ベルティナ、俺はこの家を出るよ。お前もおいで」
痩せていて落ちくぼんだブルーノの目は本気だった。
「ブルーノ兄様、それは無理よ。私を連れていたら、兄様も逃げられない。私は学園を出れば、どこかのメイドにでもなれば逃げられるもの。お兄様は、このままではダメよ。幸運を祈っているわ」
ベルティナは、痩せギスの体では走れないことも逃げても数日で餓死するような体であることも、しっかり自分で理解していた。
「ベルティナ、いつか、迎えにくるから。それまで、生きていてほしい」
ブルーノも納得した。ブルーノだけでも、生きていけるかの保証は何もない。ブルーノとベルティナは、痩せ細ったお互いの手を握り合う。
「ありがとう、ブルーノ兄様。お兄様も必ず生きてね」
ベルティナの目には涙が浮かんだ。しかし、のんびりもしていられない。
真夜中、ろうそくの火を頼りに、父親の寝室や書斎にある金目のものをさがす。父親の忠実な下僕の執事も州都に行っていたのは幸いだった。お金とお金になりそうなものを二人で集めた。本当に一人が、逃げられるかどうかのお金しか見つけられなかった。金庫を開けることまではできなかったから。
兄の部屋に行き、ブルーノが着られそうな普段着を選ぶ。いくつか見繕って、着替えて、他はかばんに入れる。ブルーノの痩せ細った体には不釣り合いであったが、今まで着ていた服で外へ行くよりはマシであった。
ブルーノは最後にベルティナを抱きしめた。二人は必ずまた会おうと約束した。
ブルーノが、まだ真っ暗な道をろうそくの灯りとともに消えていった姿は、ベルティナには忘れられない光景になった。
州都から帰ってきたタビアーノ男爵は、怒り狂った。もちろん、すぐに捜索した。だが、1週間も前なのだから、見つからない。森にでも逃げて、猛獣に襲われたのだろうと結論付けられた。
だが、タビアーノ男爵の怒りはおさまらない。その矛先はベルティナにむかった。それ以来、ベルティナへの虐めは苛烈を極めた。母親もブルーノの分まで働けと、夜中までベルティナに仕事をさせた。
服をブルーノに盗まれたと兄も怒り、それまで以上に仕打ちが酷くなり、姉もそれに加わった。
そのせいで、朝の勉強に行けなくなったベルティナは、教師に謝った。教師は気にしなくていいと言って、今までと同様、ブルーノの分のパンまでくれた。
〰️ 〰️ 〰️
そんな時、ティエポロ侯爵からベルティナを連れて来るようにと言われたのだ。ベルティナは、初等学校には行っているので、存在は誤魔化しようはなかった。
それから1週間、州都のタビアーノ男爵邸では、ベルティナに無理やりご飯を食べさせた。だが、食べさせも食べさせもベルティナは太らなかった。
ベルティナは、無理やり食べさせられたあと、レストルームで、それらをほとんど吐き出していたのだった。散々食事を抜かれて小さくなってしまった胃袋には、受け付けられなかったようだ。
風呂も無理やり入れられた。髪にこびりついた泥はどうやっても落とすことができず、ティエポロ侯爵邸に行く前日に男の子のように髪を切られた。
ベルティナは、結局、痩せっぽっちのまま、散切り頭で、侯爵邸に連れて行かれることになった。
〰️
ベルティナの姿を見たティエポロ侯爵は、即決した。
「ほぉ、なかなか賢そうな子だ。うちのセリナージェと一緒に勉強させることにしよう。しばらく預かる。いいな」
本気と嘘を織り交ぜながら、ティエポロ公爵は、タビアーノ男爵夫人に断ることをさせなかった。
州というシステム上、高位貴族と子爵家男爵家では、確かな身分の差があるのだ。タビアーノ男爵夫人は、拒否できなかったというところもある。
ティエポロ侯爵邸で、ベルティナはすぐに浴室に連れていかれた。裸にされると、侯爵夫人が浴室に入ってきた。侯爵夫人は泣きながらベルティナを抱きしめた。
ベルティナの体はアザだらけであった。どう見ても古いアザもあった。腕も足も、腹も背も、青くない場所を探す方が大変なほどだった。肋骨は、薄く見え、手首は今にも折れそうだ。目は落ちくぼみ、唇はカサカサだった。散切りに切られた髪には艶はなく、軋んでいた。
それでも、ベルティナの瞳だけは爛々として、生きる気力は溢れていた。兄ブルーノとの再会の約束が、ベルティナが生きていく理由だった。
『この子はいくつから耐えていたのかしら。うちの州のまさか貴族家でこのようなことがあるなんて』
侯爵も侯爵夫人もとてもショックを受けていた。
その日から、まずはスープから与えられ、少しずつ、ベルティナは回復していった。3週間後には、セリナージェと初対面し、セリナージェはその場でベルティナを気に入った。そして、その日から、ベルティナの隣にはいつもセリナージェがいた。
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