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47 豚肉希少部位とピンク車
水萌里と洋太は国道沿いの新川近くにある『旭食肉協同組合直売所』に来ていた。いも豚を中心とした商品を取り揃えたそこは、いわゆる『肉屋さん』であり、揚げたての惣菜やお弁当が並び、豚肉だけでなく牛肉や鶏肉、野菜やパンもある。
その中でも水萌里の目的は『豚コメカミ』であった。この部位は『ほほにく』とか『カシラ肉』と呼ばれることもある。アブラが少なめだがあっさりしすぎているわけでもなく、弾力があり噛むほどに旨さがあふれる。
一夏がそれを持って田中家に来て部位の説明をしたときには、水萌里は少したじろいだが、食べてみて驚嘆した。一夏がフライパンで塩焼きにして七味をかけて食べたのだが、まさに焼き鳥のような感じである。
「豚一頭に少ししか取れないから産地でしか出回らないのかもしれないわね。うちは娘がアブラが苦手だからよく使うのよ。
会津の方ではこれを『やきとり』っていうらしいわ」
その夜、残りを温めて真守の酒のアテにしたところ、真守も大絶賛し、それ以来、結構な頻度で購入している。時には品切れでがっかりして帰ることになることもあるのだが、その日は無事購入することができた。
「ちょっと雑誌が見たいから書店に寄るわ」
そこからすぐ近くにある『ワンダーグー旭店』に立ち寄った。
「母さん! あれなんだ?」
喜びの声を上ずらせた洋太の指の先にはパステルピンクと白のツートンカラーの車が緑の可愛らしい傘をさしていた。
『洋太って派手めの車が好きよね。たしか、すずちゃんのこともそれで見つけたのよね』
水萌里は二人に紹介された『すゞや』の夫婦を思い出した。
「さあ? 私もわからないわ。行ってみましょう」
『ワンダーグー旭店』の入り口に停車していたそれはクレープのキッチンカーであった。美味しそうな写真が掲示されている。
「クレープね。薄い生地の中に生クリームを入れておやつにしたり、野菜やソーセージで軽食にするものよ。一つだけ買ってもいいよ」
「え?! 一つ?」
水萌里が当然だと首肯すると洋太は情けないほどに目を垂れさせるが、水萌里はツイッと顔を背ける。
「いらっしゃいませ!」
中から車に似合う可愛らしい声がした。『ニコカフェ』のミドリはまだうら若い女性である。水萌里は思わずキョロキョロとしたが手伝っていそうな人物は誰もいない。昨今キッチンカーが流行りとはいえ、若い女性が一人でやっていることに驚きを隠せない。
「お一人なの? あ……立ち入ってごめんなさいね」
水萌里は思わず口にしてしまってから、反省した。
「大丈夫ですよぉ。よく聞かれるんでぇ」
語尾が少しだけ間延びするミドリはその雰囲気と容姿にとても似合っていて和ませ、こちらの顔がほころんでしまう。
「いろいろとやってきたんですけどぉ、私、一人が合うみたいでぇ」
さらっと笑顔で答えたわりになかなかヘビーな話で水萌里は面食らった顔をするが余計に興味が湧いてしまった。
「でも、一人で起業って大変だったでしょう?」
「そうでもないですよぉ。すごくラッキーだったんだって思いますけど、この仕事を見つけてすぐに飛びつきました。大阪で研修して来たんです。条件はこの車を購入することだったんですけどぉ、内装も全部そろっているものを購入するってこちらにメリットしかないじゃないですかぁ」
確かに何も知らない者にとってお膳立てができている車を購入できることはいい事ずくめであろうが、継続は本人次第なのだからミドリにキッチンカーオーナーの力があることは確かだ。
「うふふ。これカワイイロゴね」
水萌里は車の脇に書かれた『ニコカフェ』のロゴを見て笑みを零した。
「LIVEペイントで手書きしてもらったんです! 本当にステキに書いてもらっんで、この車を乗り潰すまで頑張ります!」
可愛らしい笑顔に水萌里も笑顔を返した。
「私、ちょっと雑誌買ってくるので、息子の分をお願いします。その後に私は芋アイスクレープで」
「ありがとうございます!」
「洋太。決まったらオーナーさんに言うのよ」
メニューを悲しそうに見ている洋太はコクリと首を縦にした。
しばらくして雑誌を胸に抱えて戻ってきた水萌里はギョッとする。洋太の体勢に変化がなかったのだ。
「ちょ、ちょっと洋太! ニコカフェさんに迷惑でしょ!」
小走りで来た水萌里は前かがみの洋太を起こす。
「だって……母さんが一個って言うから……」
「大丈夫ですよぉ。息子さんが他のお客さんを先にしてくださいましたからぁ」
「そう? それならよかった。
洋太。まだ決まらないの?」
「惣菜系食べたら絶対に甘い系が食べたくなるし、その逆も……」
「………………しかたないわね。なら、惣菜系と甘い系を一つずつでいいわよ」
キラキラキラァと音が聞こえてきそうなほど目を輝かせて水萌里を見た。
「ミドリ! ツナウィンナーとチョコバナナな!」
「はぁい!」
「洋太っ! オーナーさんを名前呼び?」
「ん? 何がいいかなぁって相談してたら、名前の方が聞きやすいだろう?」
水萌里は啞然とする。
『洋太ってタラシの素養があるのかしら? そういえば確かにヒトタラシではあるわ。女性限定でないのならアリ? なのかしら?』
水萌里は不安と驚きで洋太の背中を見る。洋太は車内を覗きこんでいた。
「おお! ミドリ、さすがに上手いな! キレイな丸だし、その薄さが美味そうだ」
「ふふふ。ありがとうぉございまぁす。あっという間に一年です。一年間焼きまくってますからねぇ」
ツナソーセージを受け取った洋太はすぐに食べ始めた。
「甘くてしょっぱい! ソーセージ弾けた! うまぁ!」
「アイス棒系もあるの?」
「はい。クリームチョコだけなんですけど」
それを聞いた洋太は子犬のように水萌里を見つめる。
「…………それも三つください」
水萌里は洋太に甘い自分に苦笑いして品物を受け取った。
「ミドリ! またなぁ!」
ブンブンと手を振ってその場を後にした洋太は車内で水萌里のアイスクレープを半分もらったことはご愛嬌。
「アイス棒クレープは家で、な」
自分の口端についたクリームをペロリと舐めた洋太がご機嫌でそう言った。
『真守さんの分は残るのかしら?』
水萌里の中で「水萌里が食べない」という選択肢はない。
☆☆☆
ご協力
旭食肉協同組合直売所様
クレープキッチンカーニコカフェ様
その中でも水萌里の目的は『豚コメカミ』であった。この部位は『ほほにく』とか『カシラ肉』と呼ばれることもある。アブラが少なめだがあっさりしすぎているわけでもなく、弾力があり噛むほどに旨さがあふれる。
一夏がそれを持って田中家に来て部位の説明をしたときには、水萌里は少したじろいだが、食べてみて驚嘆した。一夏がフライパンで塩焼きにして七味をかけて食べたのだが、まさに焼き鳥のような感じである。
「豚一頭に少ししか取れないから産地でしか出回らないのかもしれないわね。うちは娘がアブラが苦手だからよく使うのよ。
会津の方ではこれを『やきとり』っていうらしいわ」
その夜、残りを温めて真守の酒のアテにしたところ、真守も大絶賛し、それ以来、結構な頻度で購入している。時には品切れでがっかりして帰ることになることもあるのだが、その日は無事購入することができた。
「ちょっと雑誌が見たいから書店に寄るわ」
そこからすぐ近くにある『ワンダーグー旭店』に立ち寄った。
「母さん! あれなんだ?」
喜びの声を上ずらせた洋太の指の先にはパステルピンクと白のツートンカラーの車が緑の可愛らしい傘をさしていた。
『洋太って派手めの車が好きよね。たしか、すずちゃんのこともそれで見つけたのよね』
水萌里は二人に紹介された『すゞや』の夫婦を思い出した。
「さあ? 私もわからないわ。行ってみましょう」
『ワンダーグー旭店』の入り口に停車していたそれはクレープのキッチンカーであった。美味しそうな写真が掲示されている。
「クレープね。薄い生地の中に生クリームを入れておやつにしたり、野菜やソーセージで軽食にするものよ。一つだけ買ってもいいよ」
「え?! 一つ?」
水萌里が当然だと首肯すると洋太は情けないほどに目を垂れさせるが、水萌里はツイッと顔を背ける。
「いらっしゃいませ!」
中から車に似合う可愛らしい声がした。『ニコカフェ』のミドリはまだうら若い女性である。水萌里は思わずキョロキョロとしたが手伝っていそうな人物は誰もいない。昨今キッチンカーが流行りとはいえ、若い女性が一人でやっていることに驚きを隠せない。
「お一人なの? あ……立ち入ってごめんなさいね」
水萌里は思わず口にしてしまってから、反省した。
「大丈夫ですよぉ。よく聞かれるんでぇ」
語尾が少しだけ間延びするミドリはその雰囲気と容姿にとても似合っていて和ませ、こちらの顔がほころんでしまう。
「いろいろとやってきたんですけどぉ、私、一人が合うみたいでぇ」
さらっと笑顔で答えたわりになかなかヘビーな話で水萌里は面食らった顔をするが余計に興味が湧いてしまった。
「でも、一人で起業って大変だったでしょう?」
「そうでもないですよぉ。すごくラッキーだったんだって思いますけど、この仕事を見つけてすぐに飛びつきました。大阪で研修して来たんです。条件はこの車を購入することだったんですけどぉ、内装も全部そろっているものを購入するってこちらにメリットしかないじゃないですかぁ」
確かに何も知らない者にとってお膳立てができている車を購入できることはいい事ずくめであろうが、継続は本人次第なのだからミドリにキッチンカーオーナーの力があることは確かだ。
「うふふ。これカワイイロゴね」
水萌里は車の脇に書かれた『ニコカフェ』のロゴを見て笑みを零した。
「LIVEペイントで手書きしてもらったんです! 本当にステキに書いてもらっんで、この車を乗り潰すまで頑張ります!」
可愛らしい笑顔に水萌里も笑顔を返した。
「私、ちょっと雑誌買ってくるので、息子の分をお願いします。その後に私は芋アイスクレープで」
「ありがとうございます!」
「洋太。決まったらオーナーさんに言うのよ」
メニューを悲しそうに見ている洋太はコクリと首を縦にした。
しばらくして雑誌を胸に抱えて戻ってきた水萌里はギョッとする。洋太の体勢に変化がなかったのだ。
「ちょ、ちょっと洋太! ニコカフェさんに迷惑でしょ!」
小走りで来た水萌里は前かがみの洋太を起こす。
「だって……母さんが一個って言うから……」
「大丈夫ですよぉ。息子さんが他のお客さんを先にしてくださいましたからぁ」
「そう? それならよかった。
洋太。まだ決まらないの?」
「惣菜系食べたら絶対に甘い系が食べたくなるし、その逆も……」
「………………しかたないわね。なら、惣菜系と甘い系を一つずつでいいわよ」
キラキラキラァと音が聞こえてきそうなほど目を輝かせて水萌里を見た。
「ミドリ! ツナウィンナーとチョコバナナな!」
「はぁい!」
「洋太っ! オーナーさんを名前呼び?」
「ん? 何がいいかなぁって相談してたら、名前の方が聞きやすいだろう?」
水萌里は啞然とする。
『洋太ってタラシの素養があるのかしら? そういえば確かにヒトタラシではあるわ。女性限定でないのならアリ? なのかしら?』
水萌里は不安と驚きで洋太の背中を見る。洋太は車内を覗きこんでいた。
「おお! ミドリ、さすがに上手いな! キレイな丸だし、その薄さが美味そうだ」
「ふふふ。ありがとうぉございまぁす。あっという間に一年です。一年間焼きまくってますからねぇ」
ツナソーセージを受け取った洋太はすぐに食べ始めた。
「甘くてしょっぱい! ソーセージ弾けた! うまぁ!」
「アイス棒系もあるの?」
「はい。クリームチョコだけなんですけど」
それを聞いた洋太は子犬のように水萌里を見つめる。
「…………それも三つください」
水萌里は洋太に甘い自分に苦笑いして品物を受け取った。
「ミドリ! またなぁ!」
ブンブンと手を振ってその場を後にした洋太は車内で水萌里のアイスクレープを半分もらったことはご愛嬌。
「アイス棒クレープは家で、な」
自分の口端についたクリームをペロリと舐めた洋太がご機嫌でそう言った。
『真守さんの分は残るのかしら?』
水萌里の中で「水萌里が食べない」という選択肢はない。
☆☆☆
ご協力
旭食肉協同組合直売所様
クレープキッチンカーニコカフェ様
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