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第一章:事件
001. 気がついた?
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― 人生、波瀾万丈? ―
いや、違うか。
― 事実は小説より奇なり ―
誰が言った言葉だとか、どこで聞いた言葉かとかどうでもいいことを考えていたが、何故かこの時はこの言葉が俺の頭に浮かび今一番俺に合っているのではないかなと思う。
俺、五十嵐叶羽はまだ十五年しか生きていないのになんだかいろいろなことが自分の周りというか自分の身にこういうことが起こるなんて思ってもみなかった。
現実的に言ってもそんなことは夢物語のように思って感じていた。
俺の名前が五十嵐と言ったけれど、五十嵐は戸籍上の名字であって普段は松井という名字を使用している。
俺が五十嵐叶羽だということを知らされたのはずっと後のことで姉ちゃんから初めて告げられた。
その時は本当にびっくりしたけどなんだか結婚した人が会社等で旧姓を使っているような感覚なのではないかと思う。
いや、俺は結婚したことがないけど…まだ十五歳だし。
俺の家族、だと思っていた父と母と妹は俺と姉ちゃんの本当の家族の母親だった松井美咲の兄の家族だった。
俺と姉ちゃんが十五歳の年の差なのに対して俺と妹の年齢差が八カ月ということに違和感があり、更に父と母が妹ばかりを溺愛していたことにも不思議に思っていた。
気が付けば姉ちゃんがいつも俺と二人だけになった時に何度も話してくれた。
姉ちゃんと俺の家族は父:松井迅と母:松井美咲の四人家族だった。
しかし、俺が一歳になった時父さんと母さんは交通事故で亡くなった。
姉ちゃんもまだその時は十六歳で未成年だったから母さんの兄:武田樹生の家に引き取られたという。
姉ちゃんは高校生だったこともあり武田の家に引き取られることに抵抗感が強くあったらしい。
それは母さんが自分の兄なのに考え方が全く違い、お金に対して汚く執着が強いところが相反すると感じていたと子供の頃から仲良くできなかったことを聞いていたという。
だから姉ちゃんは親戚だといっても武田の家族にはかなり強く嫌っていた。
姉ちゃんは福祉を利用して優先的に保育園に入園させてもらった。
姉ちゃんが高校に通いながら保育園の登園・降園に合わせて学校に通いながら俺を育ててくれた。
武田の父と母は妹:帆夏が生まれると帆夏のことばかり優先して溺愛していた。
そういうことは俺が物心つく前からの環境だったからどこがどう変わったかなんてことは判らなかった。
それでもお金の話をしていると目の色が変わるというか欲望をギラギラさせた目つきなのはわかった。
父さんと母さんの交通事故の損害賠償金と生命保険金に目をつけていたようで俺の顔を見れば“金、金、金”と責めてきた。
そんな家の中に長時間、居させないように姉ちゃんは小学生になると俺は習い事をさせられた。
低学年の頃は姉ちゃんの意図も解らずに習い事に行っていたので最初は嫌々だった。
小学生の習い事と言えば、ピアノや水泳、習字や英会話とか。
でも姉ちゃんの考えは一味違っていた。
俺には何故なのか姉ちゃんは絶対に教えてはくれなかったが護身術を身に着けさせようとした。
他にも料理だったり家事全般を徹底的に叩き込まれた。
姉ちゃんは大学を卒業すると五十嵐クリエイティブ株式会社に就職した。その会社で姉ちゃんは秘書課に勤務となった。そのおかげで同伴しなければならないことが多い出張に出かけることが多かったため、俺も一緒に出張へ連れて行かれた。
姉ちゃんとの生活は迅父さんと美咲母さんがいない寂しさが少なからずあっただろうと思ったけれど、俺の記憶はあやふやで姉ちゃんと二人の生活の方が俺にとっての当たり前になっていた。
意味のない“保護者”という縛りが邪魔になったけれど何かあれば姉ちゃんに相談した。
姉ちゃんには何か考えがあるのだと思っているので姉ちゃんと俺の間で話したことは知られないように生活しなければと思う。
いや、違うか。
― 事実は小説より奇なり ―
誰が言った言葉だとか、どこで聞いた言葉かとかどうでもいいことを考えていたが、何故かこの時はこの言葉が俺の頭に浮かび今一番俺に合っているのではないかなと思う。
俺、五十嵐叶羽はまだ十五年しか生きていないのになんだかいろいろなことが自分の周りというか自分の身にこういうことが起こるなんて思ってもみなかった。
現実的に言ってもそんなことは夢物語のように思って感じていた。
俺の名前が五十嵐と言ったけれど、五十嵐は戸籍上の名字であって普段は松井という名字を使用している。
俺が五十嵐叶羽だということを知らされたのはずっと後のことで姉ちゃんから初めて告げられた。
その時は本当にびっくりしたけどなんだか結婚した人が会社等で旧姓を使っているような感覚なのではないかと思う。
いや、俺は結婚したことがないけど…まだ十五歳だし。
俺の家族、だと思っていた父と母と妹は俺と姉ちゃんの本当の家族の母親だった松井美咲の兄の家族だった。
俺と姉ちゃんが十五歳の年の差なのに対して俺と妹の年齢差が八カ月ということに違和感があり、更に父と母が妹ばかりを溺愛していたことにも不思議に思っていた。
気が付けば姉ちゃんがいつも俺と二人だけになった時に何度も話してくれた。
姉ちゃんと俺の家族は父:松井迅と母:松井美咲の四人家族だった。
しかし、俺が一歳になった時父さんと母さんは交通事故で亡くなった。
姉ちゃんもまだその時は十六歳で未成年だったから母さんの兄:武田樹生の家に引き取られたという。
姉ちゃんは高校生だったこともあり武田の家に引き取られることに抵抗感が強くあったらしい。
それは母さんが自分の兄なのに考え方が全く違い、お金に対して汚く執着が強いところが相反すると感じていたと子供の頃から仲良くできなかったことを聞いていたという。
だから姉ちゃんは親戚だといっても武田の家族にはかなり強く嫌っていた。
姉ちゃんは福祉を利用して優先的に保育園に入園させてもらった。
姉ちゃんが高校に通いながら保育園の登園・降園に合わせて学校に通いながら俺を育ててくれた。
武田の父と母は妹:帆夏が生まれると帆夏のことばかり優先して溺愛していた。
そういうことは俺が物心つく前からの環境だったからどこがどう変わったかなんてことは判らなかった。
それでもお金の話をしていると目の色が変わるというか欲望をギラギラさせた目つきなのはわかった。
父さんと母さんの交通事故の損害賠償金と生命保険金に目をつけていたようで俺の顔を見れば“金、金、金”と責めてきた。
そんな家の中に長時間、居させないように姉ちゃんは小学生になると俺は習い事をさせられた。
低学年の頃は姉ちゃんの意図も解らずに習い事に行っていたので最初は嫌々だった。
小学生の習い事と言えば、ピアノや水泳、習字や英会話とか。
でも姉ちゃんの考えは一味違っていた。
俺には何故なのか姉ちゃんは絶対に教えてはくれなかったが護身術を身に着けさせようとした。
他にも料理だったり家事全般を徹底的に叩き込まれた。
姉ちゃんは大学を卒業すると五十嵐クリエイティブ株式会社に就職した。その会社で姉ちゃんは秘書課に勤務となった。そのおかげで同伴しなければならないことが多い出張に出かけることが多かったため、俺も一緒に出張へ連れて行かれた。
姉ちゃんとの生活は迅父さんと美咲母さんがいない寂しさが少なからずあっただろうと思ったけれど、俺の記憶はあやふやで姉ちゃんと二人の生活の方が俺にとっての当たり前になっていた。
意味のない“保護者”という縛りが邪魔になったけれど何かあれば姉ちゃんに相談した。
姉ちゃんには何か考えがあるのだと思っているので姉ちゃんと俺の間で話したことは知られないように生活しなければと思う。
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