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高校生 激動編
018. 変動のない高校生活のはずが…
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入学式のあった日は瑠維さんに連れられ、紫凰のアパートへ。
春休みの間で生活用品を買いそろえてあったので皆で寛いだ。
「明日は俺ら一年は休みだからさ、今日と明日はこのまま亜月もここに泊まっていけばいいじゃん」
そう言ってきた紫凰の言葉に僕も気持ちが緩んだ。
「そうだ…ね。僕もそうしたい」
ほっと息を吐いた。
昼食をみんなで食べた後に僕は瑠維さんと今後のことを離し始めた。
「夏休みには亜月君の生活が少し変わると思う。もうしばらく我慢してね」
申し訳なさそうに瑠維さんが言った。
「変わるって…何が変わるんですか?」
「詳しいことは言えないけどあと少しだから…期待させて残念な結果になったら困るから」
どうやらこれまで父さんが納得しないらしいが小学生の頃からずっとお祖父様と瑠維さんが僕を引き取るための準備をしていたようだ。
「禿河の家も学校に近い場所だけど紫凰のこの部屋の方がもっと近いんだよねー…」
なんてことを僕は呟いた。
学校の入学式で足が動かず転んでしまったり、ほんの少し急いだだけで縺れてしまっていたことを思い出して言ってしまった。
「亜月君の歩く速さで学校までどのくらい時間かかる?」
「計ってないけど…たぶん…二十分…くらい?」
「もうちょいかかってると思うぞ?…三十分…だと思う」
紫凰が僕の出した計算を訂正した。
「今日の入学式の様子を見ていたらやっぱり心配だよな…自転車に乗るのは無理だろう…送り迎え…はしてくれ…ないわな。歩いて通うことも考えなきゃね」
瑠維さんの頭の中ではある程度の計画があるみたいでニッコリ笑っていた。
瑠維さんがこれから何をしようとしているのかは分からないけれど決して僕に悪いことじゃないと思う。
だって瑠維さんがあんなに楽しそうにしているから。
なんて、僕は暢気に考えていた。
学校が始まり、毎日のように朝早く紫凰が禿河の家にやって来る。
そして僕は紫凰と一緒に登校する。
「何だってこんなに朝早くから起こされなくちゃならないの!」
確かに清心の怒りはごもっともで。
最初の一週間は紫凰も禿河家の様子があまり分かっていなかったので普通に僕を迎えに来ていた。ちょうど清心が仕事に出勤しながら麗夏も清心の車に乗って登校する。
僕は紫凰と二人で歩いて登校、ゆっくり歩いて八時ちょっと前か少し過ぎた頃に着く。
清心は朝食も昼の弁当も僕の分は何も用意してくれない。自分たちには作るのに…。弁当作るのに二つ作るも三つ作るも大して変わらないのに、僕の分だから作るのは嫌だという態度が丸見えだった。
結局学校の購買部でパンを買うか食堂でランチを食べるかだ。
この学校は私立だから生徒それぞれの携帯電話に学生証アプリをダウンロードしていてその学生証のIDで支払いができるようになっている。
清心や麗夏にお金を取り上げられないで僕の銀行口座にお祖父様から直接入金されているので食べられないということはなかった。
それでも毎朝の食事はなかったので見かねた紫凰が清心に文句を言った。
「ちゃんと亜月君の分の朝食、用意してください」
紫凰は冷めた目をして清心に詰め寄った。
「だーかーらー、私はコイツの母親なんかじゃないんだから用意する必要ないでしょ!」
朝早くに起こされて清心は不機嫌だった。
「ふーん…”コイツ”ねぇ…俺が亜月君の迎えに来てから朝食もこっちで用意するんだから時間が早くなるのは仕方ないことだと思いませんか?」
「あぁ!もうっ!だから私にはコイツと関係ないの!私たち家族とだって関係ない邪魔な厄介者、居候なの。だけど聖夜がコイツに執着してるから仕方なくこの家に居させてやってるだけよ!」
僕以外の人間の前で猫被ることができない程にイラ立ちがピークになっていたようだ。
「そうですか…貴女方がそういうつもりでいるのならばこちらも考え方を改めますので…」
紫凰は突き刺すような瞳で清心を睨みつけた。
「…ふんっ!」
自分の正論が全く通じない清心は紫凰から視線を逸らした。
その後も清心の態度は変わることがなかった。
まぁ、ずっと僕に対して意地悪していた人が直してくれることなんてできないよね。
結局紫凰も毎朝変わらずに早い朝に禿河の家に来て清心と麗夏をたたき起こしていた。
「やっぱりあの人たちは態度は変わらない…か」
「うん、無理じゃない?自己中心的な考えしか持っていないんだから変わらないよ」
「…それもそうか…」
二人で納得していると麗夏が舞を連れて僕と紫凰の昼食を邪魔してきた。
「グズでノロマなあんたは邪魔なの。もう私たち家族の家に帰って来るな!さっさと出ていって欲しいんだけど?」
「私もあんたと幼馴染みと思われたくない!もう絶対に話しかけんなよ」
麗夏も舞も勝手なこと言ってる。
もう僕としてもそこまで言われて大人しくしていられない。
「僕も別に貴女方のことは家族だと思っていないし、幼馴染みだと思っていない。だからこれ以上絡んでこないでください。あと父さんさえ許可すれば僕はあんな家出ていきたいですから」
僕はそれだけ言うと紫凰と二人で食堂を出た。
今まで麗夏と舞に何か言われても黙っていた僕が急に言い返したことにびっくりしたようだ。麗夏と舞は暫くの間その場で茫然としていたようだった。
毎日の当たり前になった登校時間も少しずつ慣れてきた。
麗夏は朝は学校まで送ってもらっていたが帰りは北白川と二人で歩いて帰っていた。
僕は紫凰と帰りも一緒に帰っていた。
が、今日は予定が違った。
放課後に初めて委員会活動があった。
紫凰はCクラスのクラス委員で僕はAクラスの保健委員となった。
保健委員会は最初の顔合わせと活動内容の話や次回の活動についてなどの話だけで一時間くらいで終わり解散となった。
クラス委員会は生徒総会の準備だったり、学校行事と生徒会の関係を含めた説明と多岐にわたる。そのため他の委員会とは違うため時間がかかっていた。
紫凰はいつ終わるか分からなかったので僕は一人で先に帰ることにした。
いつもはまだ明るい時間に帰っていたけれど今日は遅くなった。
太陽はかなり沈んだけれど空はまだうっすらと明るかった。
入学式の頃には桜が満開だったが今は静かに吹く風に木の枝が揺れ、花弁が舞っていた。
僕はその風景を見ながらのんびりと歩いていた。
桜の花弁を見ていると瀧野瀬のお祖母様の名前が桜子で母さんの名前が美桜。桜という字が使われているんだと僕は考えていた。
桜がきれいだなぁと眺めていた。
ぼーっとしていたわけじゃなと思うけれど、僕の身体はかなり無防備になっていたみたいだ。
背後から近づいた人の気配に気づくのが遅れてしまい後ろから殴られた。
普段の帰宅時間よりも遅い時間で住宅が建ち並ぶ道でも人通りは少なくひっそりとしていた。
後ろから殴られていても一発だけだったら突発的な引ったくり強盗だと思った。
「運が悪かったとてめぇの親、怨めや!」
二発目、三発目と殴りながら犯人の一人が言った。
僕の親をうらむ?
それって死んでしまった母さんのことをうらまないといけないの?
それとも父さんとその家族のこと?
僕は殴られ那賀rそんなどうでもいいことを考えていた。
あれ?どこかで聞いたことあるセリフ…。
そんなことを思いながらも僕は何も抵抗できずにただ殴られていた。
気を失いかけながらも頭を守るように腕でカバーしていた。
痛みに耐えながら誰かが通るのを待った。
それはたった数秒から数分のことなのかもしれないけれど数時間もかかっているように感じた。
「お前ら!何している?!」
大きな声で問いかけてきた。
どうやら紫凰のようだった。
目がかすんでいたが紫凰が僕を殴る男たちを抑えていった。
一応紫凰は父親の煌さんに訓練されていたので武術はある程度習得していた。
そんな様子を見ていた僕はそこで意識を失った。
たぶん紫凰が来てくれたことに安心したんだと思う。
春休みの間で生活用品を買いそろえてあったので皆で寛いだ。
「明日は俺ら一年は休みだからさ、今日と明日はこのまま亜月もここに泊まっていけばいいじゃん」
そう言ってきた紫凰の言葉に僕も気持ちが緩んだ。
「そうだ…ね。僕もそうしたい」
ほっと息を吐いた。
昼食をみんなで食べた後に僕は瑠維さんと今後のことを離し始めた。
「夏休みには亜月君の生活が少し変わると思う。もうしばらく我慢してね」
申し訳なさそうに瑠維さんが言った。
「変わるって…何が変わるんですか?」
「詳しいことは言えないけどあと少しだから…期待させて残念な結果になったら困るから」
どうやらこれまで父さんが納得しないらしいが小学生の頃からずっとお祖父様と瑠維さんが僕を引き取るための準備をしていたようだ。
「禿河の家も学校に近い場所だけど紫凰のこの部屋の方がもっと近いんだよねー…」
なんてことを僕は呟いた。
学校の入学式で足が動かず転んでしまったり、ほんの少し急いだだけで縺れてしまっていたことを思い出して言ってしまった。
「亜月君の歩く速さで学校までどのくらい時間かかる?」
「計ってないけど…たぶん…二十分…くらい?」
「もうちょいかかってると思うぞ?…三十分…だと思う」
紫凰が僕の出した計算を訂正した。
「今日の入学式の様子を見ていたらやっぱり心配だよな…自転車に乗るのは無理だろう…送り迎え…はしてくれ…ないわな。歩いて通うことも考えなきゃね」
瑠維さんの頭の中ではある程度の計画があるみたいでニッコリ笑っていた。
瑠維さんがこれから何をしようとしているのかは分からないけれど決して僕に悪いことじゃないと思う。
だって瑠維さんがあんなに楽しそうにしているから。
なんて、僕は暢気に考えていた。
学校が始まり、毎日のように朝早く紫凰が禿河の家にやって来る。
そして僕は紫凰と一緒に登校する。
「何だってこんなに朝早くから起こされなくちゃならないの!」
確かに清心の怒りはごもっともで。
最初の一週間は紫凰も禿河家の様子があまり分かっていなかったので普通に僕を迎えに来ていた。ちょうど清心が仕事に出勤しながら麗夏も清心の車に乗って登校する。
僕は紫凰と二人で歩いて登校、ゆっくり歩いて八時ちょっと前か少し過ぎた頃に着く。
清心は朝食も昼の弁当も僕の分は何も用意してくれない。自分たちには作るのに…。弁当作るのに二つ作るも三つ作るも大して変わらないのに、僕の分だから作るのは嫌だという態度が丸見えだった。
結局学校の購買部でパンを買うか食堂でランチを食べるかだ。
この学校は私立だから生徒それぞれの携帯電話に学生証アプリをダウンロードしていてその学生証のIDで支払いができるようになっている。
清心や麗夏にお金を取り上げられないで僕の銀行口座にお祖父様から直接入金されているので食べられないということはなかった。
それでも毎朝の食事はなかったので見かねた紫凰が清心に文句を言った。
「ちゃんと亜月君の分の朝食、用意してください」
紫凰は冷めた目をして清心に詰め寄った。
「だーかーらー、私はコイツの母親なんかじゃないんだから用意する必要ないでしょ!」
朝早くに起こされて清心は不機嫌だった。
「ふーん…”コイツ”ねぇ…俺が亜月君の迎えに来てから朝食もこっちで用意するんだから時間が早くなるのは仕方ないことだと思いませんか?」
「あぁ!もうっ!だから私にはコイツと関係ないの!私たち家族とだって関係ない邪魔な厄介者、居候なの。だけど聖夜がコイツに執着してるから仕方なくこの家に居させてやってるだけよ!」
僕以外の人間の前で猫被ることができない程にイラ立ちがピークになっていたようだ。
「そうですか…貴女方がそういうつもりでいるのならばこちらも考え方を改めますので…」
紫凰は突き刺すような瞳で清心を睨みつけた。
「…ふんっ!」
自分の正論が全く通じない清心は紫凰から視線を逸らした。
その後も清心の態度は変わることがなかった。
まぁ、ずっと僕に対して意地悪していた人が直してくれることなんてできないよね。
結局紫凰も毎朝変わらずに早い朝に禿河の家に来て清心と麗夏をたたき起こしていた。
「やっぱりあの人たちは態度は変わらない…か」
「うん、無理じゃない?自己中心的な考えしか持っていないんだから変わらないよ」
「…それもそうか…」
二人で納得していると麗夏が舞を連れて僕と紫凰の昼食を邪魔してきた。
「グズでノロマなあんたは邪魔なの。もう私たち家族の家に帰って来るな!さっさと出ていって欲しいんだけど?」
「私もあんたと幼馴染みと思われたくない!もう絶対に話しかけんなよ」
麗夏も舞も勝手なこと言ってる。
もう僕としてもそこまで言われて大人しくしていられない。
「僕も別に貴女方のことは家族だと思っていないし、幼馴染みだと思っていない。だからこれ以上絡んでこないでください。あと父さんさえ許可すれば僕はあんな家出ていきたいですから」
僕はそれだけ言うと紫凰と二人で食堂を出た。
今まで麗夏と舞に何か言われても黙っていた僕が急に言い返したことにびっくりしたようだ。麗夏と舞は暫くの間その場で茫然としていたようだった。
毎日の当たり前になった登校時間も少しずつ慣れてきた。
麗夏は朝は学校まで送ってもらっていたが帰りは北白川と二人で歩いて帰っていた。
僕は紫凰と帰りも一緒に帰っていた。
が、今日は予定が違った。
放課後に初めて委員会活動があった。
紫凰はCクラスのクラス委員で僕はAクラスの保健委員となった。
保健委員会は最初の顔合わせと活動内容の話や次回の活動についてなどの話だけで一時間くらいで終わり解散となった。
クラス委員会は生徒総会の準備だったり、学校行事と生徒会の関係を含めた説明と多岐にわたる。そのため他の委員会とは違うため時間がかかっていた。
紫凰はいつ終わるか分からなかったので僕は一人で先に帰ることにした。
いつもはまだ明るい時間に帰っていたけれど今日は遅くなった。
太陽はかなり沈んだけれど空はまだうっすらと明るかった。
入学式の頃には桜が満開だったが今は静かに吹く風に木の枝が揺れ、花弁が舞っていた。
僕はその風景を見ながらのんびりと歩いていた。
桜の花弁を見ていると瀧野瀬のお祖母様の名前が桜子で母さんの名前が美桜。桜という字が使われているんだと僕は考えていた。
桜がきれいだなぁと眺めていた。
ぼーっとしていたわけじゃなと思うけれど、僕の身体はかなり無防備になっていたみたいだ。
背後から近づいた人の気配に気づくのが遅れてしまい後ろから殴られた。
普段の帰宅時間よりも遅い時間で住宅が建ち並ぶ道でも人通りは少なくひっそりとしていた。
後ろから殴られていても一発だけだったら突発的な引ったくり強盗だと思った。
「運が悪かったとてめぇの親、怨めや!」
二発目、三発目と殴りながら犯人の一人が言った。
僕の親をうらむ?
それって死んでしまった母さんのことをうらまないといけないの?
それとも父さんとその家族のこと?
僕は殴られ那賀rそんなどうでもいいことを考えていた。
あれ?どこかで聞いたことあるセリフ…。
そんなことを思いながらも僕は何も抵抗できずにただ殴られていた。
気を失いかけながらも頭を守るように腕でカバーしていた。
痛みに耐えながら誰かが通るのを待った。
それはたった数秒から数分のことなのかもしれないけれど数時間もかかっているように感じた。
「お前ら!何している?!」
大きな声で問いかけてきた。
どうやら紫凰のようだった。
目がかすんでいたが紫凰が僕を殴る男たちを抑えていった。
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