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第16話 転生するなら説明書よりやっぱり攻略書が欲しかった
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王子達と悪役令嬢の話しを偶然聞いてしまってから、数週間が経った。
その数週間で、色々な噂を聞くようになった。
どれが嘘で本当か分からないので一度アルファに頼んで、王子達とユリスという少女について調べて貰った。
「以上が今日までの出来事をまとめた話しになります」
「・・・意味が分からない」
「もう一度説明しますか?」
「いや、大丈夫。話しは聞いてたから・・・聞いてたけど頭の処理が追いつかないだけ」
ユリス・アルテアン。
アルファの話しでは、ユリスも俺やリーゼと同じ平民らしい。
本来貴族しか入学出来ない学園に俺やリーゼの他にも平民がいたことに驚いたが、どうして今までその存在を知らなかったのか。
主人公であるリーゼに意識をほとんど向けていたとはいえ、貴族中心のこの学園で俺達以外の平民の話を聞かないことなんてありえるのだろうか。
更に気になるのは・・・。
「王子達との出会いが主人公の動きと全く同じだ」
「マスターが持っている説明書に書いてある事ですか?」
「ああ」
攻略本では無いが、序盤の流れは書いてある。
主人公と王子達との出会いも書かれている。
「この説明書には、リーゼが主人公と書かれているのに王子達と一緒に行動しているのはユリスという別の人物だ」
「リーゼとユリスはどちらも平民です。条件だけあれば、ユリスが王子達の近くにいてもおかしくないかと」
「条件って、平民ていうところだけだろ? 悪いけど、リーゼが主人公であることは間違い無いよ」
「言い切りますか」
「アルファも感じない? リーゼから何かを」
「そうですね。上手く言葉では表せない何かは感じます。それは、ユリスという少女には感じられませんでした」
具体的には言い表せないが、リーゼからは不思議な力を感じる。
「 神秘の力とでも呼んでおくか? いちいち、不思議な力というのも面倒だし」
「何故人というのは、解明出来ない何かがあると神という文字を使うのでしょうね。マスターも同じような発想を・・・失礼しました、マスターはそもそも頭が・・・」
「アルファ、それ以上は言うなよ? 俺にだって、人並みの頭と人並みの心があるんだからな。つまり、悪口言われたら辛いんだぞ」
「そんなことを堂々と言われても困ります。それに私がこれまで鍛えてきたのに、まだ人並みと答えるマスターにはより一層厳しいトレーニングメニューを考えなくてはいけませんね」
「それだけは許して下さい。今でも、十分きついから」
俺は、土下座をしてアルファに頼んだ。
宙に浮いている丸い球体に、土下座してる人間の図・・・。
他人が見たら変な目で見られるかもしれないが、アルファのトレーニングは本当にきついんです。
「トレーニングの事は一旦保留にしておきましょう」
「・・・保留にはなるのか」
「それで、どうしますか? 仮にユリスがリーゼの役割を奪い主人公になったとしても、マスターにはあまり関係無いとも思いますが」
「そうなんだよなぁ~。真剣に考えてるけど、俺ただのモブなんだよな。考えるだけ無駄な気もする。モブが与えられる影響力はあまり無いだろうし」
ユリスが主人公になろうと俺には関係無いように思う。
だけど、リーゼを主人公とした物語があるのだとすれば、いつか面倒事に巻き込まれる可能性もある。
説明書を見てリーゼが主人公である事を知らなければ、こんなに悩まなくても済んだだろうか。
もしくは、攻略書があり最後まで物語を知る事が出来ていたら、間違っているイベントを修正するように動けただろうか。
「・・・はあ、この話しも一旦保留にしよう。マシで頭が痛くなってきた」
「マスターがそこまで悩む必要性を感じませんが・・・自分の事だけを考えれば良いではありませんか」
「自分の事だけ考えているさ。俺の人生が何の面倒も無く、平穏に終わりますようにって。この学園に入学した時点ですでに怪しいがな」
「おや、私にあった時点でマスターの平穏は終わったのでは?」
「いや、まあ正直お前と出会った事により平穏では無くなっていたな。ただ、アルファには感謝している事も多いのは事実だからな」
「・・・・・マスター」
「これからも頼むぜ、相棒」
「道端に落ちている物でも食べましたか? マスターの脳には何も異常は感じられませんが・・・おっと失礼、異常な事が正常でしたね」
「可笑しいな? ちょっと、良い感じになっていた筈なのに。どうして、わざわざ俺を馬鹿にしてくるんだ」
「私は機械ですからね。良い感じと言われても正直分かりません」
「人を散々馬鹿にしといて“機械ですから”で納得する訳ないだろう」
「マスター、明日は雨が降る確率が高いです。傘を忘れないようにして下さい」
「こらっ、話しを変えるな」
アルファと言い争いをしたが、すぐに負かされました。
明日の雨より、目から流れる雨を晴らしたい夜でした。
その数週間で、色々な噂を聞くようになった。
どれが嘘で本当か分からないので一度アルファに頼んで、王子達とユリスという少女について調べて貰った。
「以上が今日までの出来事をまとめた話しになります」
「・・・意味が分からない」
「もう一度説明しますか?」
「いや、大丈夫。話しは聞いてたから・・・聞いてたけど頭の処理が追いつかないだけ」
ユリス・アルテアン。
アルファの話しでは、ユリスも俺やリーゼと同じ平民らしい。
本来貴族しか入学出来ない学園に俺やリーゼの他にも平民がいたことに驚いたが、どうして今までその存在を知らなかったのか。
主人公であるリーゼに意識をほとんど向けていたとはいえ、貴族中心のこの学園で俺達以外の平民の話を聞かないことなんてありえるのだろうか。
更に気になるのは・・・。
「王子達との出会いが主人公の動きと全く同じだ」
「マスターが持っている説明書に書いてある事ですか?」
「ああ」
攻略本では無いが、序盤の流れは書いてある。
主人公と王子達との出会いも書かれている。
「この説明書には、リーゼが主人公と書かれているのに王子達と一緒に行動しているのはユリスという別の人物だ」
「リーゼとユリスはどちらも平民です。条件だけあれば、ユリスが王子達の近くにいてもおかしくないかと」
「条件って、平民ていうところだけだろ? 悪いけど、リーゼが主人公であることは間違い無いよ」
「言い切りますか」
「アルファも感じない? リーゼから何かを」
「そうですね。上手く言葉では表せない何かは感じます。それは、ユリスという少女には感じられませんでした」
具体的には言い表せないが、リーゼからは不思議な力を感じる。
「 神秘の力とでも呼んでおくか? いちいち、不思議な力というのも面倒だし」
「何故人というのは、解明出来ない何かがあると神という文字を使うのでしょうね。マスターも同じような発想を・・・失礼しました、マスターはそもそも頭が・・・」
「アルファ、それ以上は言うなよ? 俺にだって、人並みの頭と人並みの心があるんだからな。つまり、悪口言われたら辛いんだぞ」
「そんなことを堂々と言われても困ります。それに私がこれまで鍛えてきたのに、まだ人並みと答えるマスターにはより一層厳しいトレーニングメニューを考えなくてはいけませんね」
「それだけは許して下さい。今でも、十分きついから」
俺は、土下座をしてアルファに頼んだ。
宙に浮いている丸い球体に、土下座してる人間の図・・・。
他人が見たら変な目で見られるかもしれないが、アルファのトレーニングは本当にきついんです。
「トレーニングの事は一旦保留にしておきましょう」
「・・・保留にはなるのか」
「それで、どうしますか? 仮にユリスがリーゼの役割を奪い主人公になったとしても、マスターにはあまり関係無いとも思いますが」
「そうなんだよなぁ~。真剣に考えてるけど、俺ただのモブなんだよな。考えるだけ無駄な気もする。モブが与えられる影響力はあまり無いだろうし」
ユリスが主人公になろうと俺には関係無いように思う。
だけど、リーゼを主人公とした物語があるのだとすれば、いつか面倒事に巻き込まれる可能性もある。
説明書を見てリーゼが主人公である事を知らなければ、こんなに悩まなくても済んだだろうか。
もしくは、攻略書があり最後まで物語を知る事が出来ていたら、間違っているイベントを修正するように動けただろうか。
「・・・はあ、この話しも一旦保留にしよう。マシで頭が痛くなってきた」
「マスターがそこまで悩む必要性を感じませんが・・・自分の事だけを考えれば良いではありませんか」
「自分の事だけ考えているさ。俺の人生が何の面倒も無く、平穏に終わりますようにって。この学園に入学した時点ですでに怪しいがな」
「おや、私にあった時点でマスターの平穏は終わったのでは?」
「いや、まあ正直お前と出会った事により平穏では無くなっていたな。ただ、アルファには感謝している事も多いのは事実だからな」
「・・・・・マスター」
「これからも頼むぜ、相棒」
「道端に落ちている物でも食べましたか? マスターの脳には何も異常は感じられませんが・・・おっと失礼、異常な事が正常でしたね」
「可笑しいな? ちょっと、良い感じになっていた筈なのに。どうして、わざわざ俺を馬鹿にしてくるんだ」
「私は機械ですからね。良い感じと言われても正直分かりません」
「人を散々馬鹿にしといて“機械ですから”で納得する訳ないだろう」
「マスター、明日は雨が降る確率が高いです。傘を忘れないようにして下さい」
「こらっ、話しを変えるな」
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明日の雨より、目から流れる雨を晴らしたい夜でした。
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